新国立劇場がおくる大規模プロジェクト『デカローグ 1~10』 上村聡史とともに演出を担当する小川絵梨子よりメッセージが到着

2024.2.1
ニュース
舞台

『デカローグ 1~10』

画像を全て表示(4件)


2024年4月より新国立劇場 小劇場にて上演される、『デカローグ 1~10』。この度、新国立劇場演劇芸術監督で本作の演出を上村聡史とともに務める、小川絵梨子よりメッセージが届いた。

「トリコロール」三部作、『ふたりのベロニカ』で知られる、ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集。十篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品だ。

もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987-1988年にかけて撮影されたこの作品は、テレビ放映前に「デカローグ5」と「デカローグ6」を劇場公開バージョンに編集し『殺人に関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』として1988年に発表、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど国際的に高い評価を受けた。その後、テレビシリーズも1989年ヴェネツィア国際映画祭で上映、後に世界で劇場公開された

その十篇の物語を4月~7月に新国立劇場にて完全舞台化する。

上演台本を、ロイヤルコート劇場との共同プロジェクト、劇作家ワークショップ発の作品『私の一ケ月』(2022年)の作家、須貝 英が担当。演出には、新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子、そして上演時間計7時間半の『エンジェルス・イン・アメリカ』二部作(2023年)の演出を手掛けたことも記憶に新しい、上村聡史の二人があたる。

そして、全篇に登場する、登場人物たちを見守る”天使“と呼ばれる存在。物語ごとに全く違う職業の人間になり、各エピソードの主人公の選択や岐路には関与せず、ただ見守る。その難役を、小川、上村両名が信頼を寄せる、亀田佳明が担う。

『デカローグ 1~4』

全10話を大きく3つのブロックに分け、4~5月は『デカローグ1~4』を、5~6月は『デカローグ5~6』を、そして6~7月は『デカローグ7~10』を上演。4~5月に上演する『デカローグ1~4』では、小川絵梨子が演出を担当する1話と3話を「プログラム A」、そして上村聡史が演出を担当する2話と4話を「プログラム B」とし、交互上演する。

プログラムA出演者(上段左から)ノゾエ征爾、高橋惠子(下段左から)千葉哲也、小島 聖

プログラムB出演者(上段左から)前田亜季、益岡 徹(下段左から)近藤芳正、夏子

各話、十戒の戒律に対応しており、1話は「わたしのほかに神があってはならない」、2話は「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」、3話は「主の日を心に留め、これを聖とせよ」、4話は「あなたの父母を敬え」を
モチーフとしている。

全話通して、総勢40名以上の出演者と共に、公演期間約4カ月という前例のない大規模プロジェクトとなる本作に、期待しよう。

小川絵梨子からのメッセージ 

『デカローグ』は人生と愛についての連作集です。十篇がそれぞれ独立した作品でありつつ、登場人物はみな同じ団地の住人であることから互いに繋がってもおり、十篇が壮大な一つの物語ともなっています。 登場人物たちは皆、どこにでも存在し得る隣人として描かれており、日常を生きる中で一つひとつの選択に悩み、葛藤し、時には失敗をしたり後悔もします。また、どの選択が正しかったのか振り返った時にも分からず、曖昧で孤独な不安の中に取り残される事もあります。各エピソードは十戒をモチーフにしていますが、決して人間を裁き断罪する物語ではなく、寧ろ、人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さも含めて向き合うことを描いた物語となっています。そこには正解もハッピーエンドもないかもしれませんが、人間をそのままに見つめ寄り添う視点の奥底には、人への根源的な肯定と愛が流れているように感じます。世界各地で戦争は続き、日々の生きづらさや、人生を生きることへの不安が簡単に消えることはありませんが、人間という存在への深い愛情と希望、そしてたとえ到達出来なくとも、人がより良い世界に向けて葛藤し続けることの必然と大切さを、この十篇の物語を通して少しでも描く事が出来たら幸いです。

公演情報

『デカローグ 1~10』
 
【日程】2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)
【会場】新国立劇場 小劇場
 
【原作】クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
【翻訳】久山宏一 
【上演台本】須貝 英 
【演出】小川絵梨子/上村聡史
 
公演スケジュール:
「デカローグ1~4」(プログラム A&B 交互上演):2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)
「デカローグ5~6」(プログラム C):2024年5月18日(土)~6月2日(日)
「デカローグ7~10」(プログラム D&E 交互上演):2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)
 
■プログラムA(デカローグ1、デカローグ3)
 
デカローグ1  ある運命に関する物語
演出:小川絵梨子
出演:ノゾエ征爾、高橋惠子
チョウ・ヨンホ、森川由樹、鈴木勝大、浅野令子
亀田佳明
 
デカローグ3  あるクリスマス・イヴに関する物語
演出:小川絵梨子
出演:千葉哲也、小島聖
浅野令子、鈴木勝大、チョウ・ヨンホ、森川由樹
亀田佳明
 
■プログラムB(デカローグ2、デカローグ4)
 
デカローグ2  ある選択に関する物語
演出:上村聡史
出演:前田亜季、益岡徹
坂本慶介、近藤隼、松田佳央理
亀田佳明
 
デカローグ4  ある父と娘に関する物語
演出:上村聡史
出演:近藤芳正、夏子
松田佳央理、坂本慶介、近藤隼
亀田佳明
 
■プログラムC(デカローグ5、デカローグ6)
 
デカローグ5  ある殺人に関する物語
演出:小川絵梨子
出演:福崎那由他、渋谷謙人、寺十吾
斉藤直樹、内田健介、名越志保、田中亨
亀田佳明
 
デカローグ6  ある愛に関する物語
演出:上村聡史
出演:仙名彩世、田中亨
寺十吾、名越志保、斉藤直樹、内田健介
亀田佳明

■プログラムD(デカローグ7、デカローグ8)
 
デカローグ7  ある告白に関する物語
演出:上村聡史
出演:吉田美月喜、章平、津田真澄
大滝寛、田中穂先、堀元宗一朗、笹野美由紀、伊海実紗
亀田佳明
 
デカローグ8  ある過去に関する物語
演出:上村聡史
出演:高田聖子、岡本玲、大滝寛
田中穂先、章平、堀元宗一朗、笹野美由紀、伊海実紗
亀田佳明
 
■プログラムE(デカローグ9、デカローグ10)
 
デカローグ9  ある孤独に関する物語
演出:小川絵梨子
出演:伊達暁、万里紗、宮崎秋人
笠井日向、鈴木将一朗、松本亮、石母田史朗
亀田佳明
 
デカローグ10  ある希望に関する物語
演出:小川絵梨子
出演:竪山隼太、石母田史朗
鈴木将一朗、松本亮、伊達暁、宮崎秋人、笠井日向
亀田佳明

【一般発売日】2024年2月17日(土)10:00~
 
【新国立シアタートーク】
プログラムA
日時:4月24日(水)終演後
出演:ノゾエ征爾、高橋惠子/千葉哲也、小島 聖
プログラムB
日時:4月19日(金)終演後
出演:前田亜季、益岡 徹/近藤芳正、夏子
司会:中井美穂(両日とも)
入場方法:本公演(いずれの日程でも可)をご提示ください。
  • イープラス
  • 近藤芳正
  • 新国立劇場がおくる大規模プロジェクト『デカローグ 1~10』 上村聡史とともに演出を担当する小川絵梨子よりメッセージが到着