圧倒的展示の数々で『カイジ』の世界を骨の髄まで体感…! 『逆境回顧録 大カイジ展』レポート
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『逆境回顧録 大カイジ展』 (C)福本伸行/講談社
1996年の連載開始以来、生死を賭けたギャンブルで逆境に立ち向かう主人公・カイジの戦いを描いて人気を博し続けるギャンブル漫画『カイジ』シリーズ。その逆境に満ちた作品世界を生原画と多彩な体感型展示で楽しめる展覧会『逆境回顧録 大カイジ展』が、2024年5月12日(日)まで、東京ドームシティ・Gallery AaMoにて開催中だ。その開催に先立って行われた、原作者・福本伸行と『カイジ』シリーズの大ファンであるというお笑い芸人の霜降り明星・粗品のトークセッションと共に、悪魔的魅力に満ちた会場の様子をレポートしよう。
粗品の作品愛止まらず…!『カイジ』誕生のきっかけも明かされた白熱のトーク
左から:霜降り明星・粗品、原作者・福本伸行
展覧会開幕前日となる3月15日(金)には、原作者・福本伸行と、福本作品の大ファンであり自身もギャンブル好きという霜降り明星・粗品のトークセッションが行われた。
「僕が面白いと思っている人は5人ぐらいしかいない。福本先生が日本で一番面白い!」
そんな粗品の福本へのリスペクト発言から始まったトークでは、『アカギ』で麻雀の世界を勉強したことや、『最強伝説黒沢』の中でハワイでのカジキ釣りについて「あれは道楽の切り札…! とっておけ晩年に…!」と語ったフレーズの面白さを熱弁。
また『カイジ』シリーズの面白さの根底には「巨悪に立ち向かう主人公」という少年漫画の骨格があると話す。それについて福本は「主人公がいいヤツじゃないと読者は安心できない」という理由で “策略は巡らせるけれどいいヤツ” という設定にしたと語り、それには粗品も(カイジは)いいヤツ過ぎて、なんでもっと非情になれないのかと思うときがある、とコメントした。
粗品からはほかにも、『カイジ』シリーズの始まりである「限定ジャンケン」の誕生についての質問が飛び、福本は『アカギ』『銀と金』を描いていた頃に編集者から「福本さんならジャンケンでも面白くできるんじゃない?」と言われたのが始まりだと答えた。ジャンケンをカード化することでゲーム性を高め、豪華客船エスポワール内という「逃げ場のない閉鎖空間」での勝負や、最低限のルール説明から裏に隠された真意を探りあてる面白さを盛り込んだのだという。
さらに『カイジ』シリーズは最初にゲームの必勝法を考えて、それをカイジが見出していくという形でストーリーが構成されているという興味深い話や、『賭博堕天録カイジ』に登場した変則二人麻雀「17歩」は、ある二人用の麻雀の遊び方を知ってそれをアレンジしたことなども語られた。最後に粗品から『賭博堕天録 カイジ 24億脱出編』の連載再開をせっつかれた福本は、現在モーニングで連載中の『二階堂地獄ゴルフ』をある程度がんばらないといけないのでもうちょっと待ってほしいと、連載再開を待つファンへのメッセージが送られた。
鉄骨渡り、チンチロリン、そして焼き土下座! あの名場面を体感できる圧倒的幸福…!
次の話題へ移ろうとする司会者を粗品が「いやいやダメですよ、まだまだまだ!」と制しながら盛り上がった作品トーク。続いて今回の展覧会に関するトークがスタートした。
悪魔の3連クルーンや貯まりに貯まった無数の玉まで再現された「沼」。毎時15分と45分にカイジ&ナレーションの新録ボイスと共に光り輝く勝利演出がスタートする。
「沼」コーナーにはこちらもクラウドファンディングで実現したカイジと一条の等身大フィギュアも。福本キャラ独特の顔立ちも見事に立体化している。
本展覧会のためにクラウドファンディングで再現された『賭博破戒録カイジ』に登場するパチンコ台「沼」。実際に座ってみたという粗品からは、(体を後ろに反らしながら)「いつものパチンコを打つ姿勢ではきつかった。(原作のように)グッと迫る姿勢じゃないと」と、その完成度の高さを褒めるコメントが。
さらに入場時に触れる「チンチロリン」が意外に難しいという話や、実際に土下座すると煙が立ちのぼる「焼き土下座」など、フォトスポットとして再現された数々のゲームの面白さが語られた。
入場時にチンチロリンにチャレンジ。出目によって4種類の帝愛労働施設内通貨・ペリカがもらえる可能性が。なお原作のようなイカサマ賽は持ち込めません(笑)。
「焼き土下座」では実際に土下座を続けると手と額の辺りから煙が!
限定ジャンケンで敗北すると送られる「別室」に入ることも可能。ただし来場者は服は脱がないように!
夜の雰囲気漂う暗い照明下での鉄骨渡りでは、ぜひ危ういバランスでのポーズを決めてみよう。
等身大フィギュアの大槻班長とのチンチロリン勝負の様子も撮影可能。自分が今日がんばった者かどうかが試される?
そんな今回の展示内容について福本は、展覧会用のイラスト以外は一切タッチせず、スタッフが考えてくれたとのこと。その内容の充実ぶりに改めて圧倒的感謝…! を送った。
そしてトークセッションの最後には、粗品へ「チンチロリンでピンゾロを出してカイジに勝った粗品」のカラーイラストが送られるサプライズも。本展覧会について2人からのメッセージが送られた。
「暗い中で勝負をするカイジの世界を体感できる会場となっているので、原画と作品内の雰囲気が合わせて楽しめて、とても面白いイベントだと思います」(福本)
「先生とお会いできてめっちゃ嬉しいし、聞きたいこともけっこう聞けてイラストももらえて満足です。イベントもゲームを体感できるのが面白くて、他の展示会とは違う満足度が味わえます。ゲームの細かなルールやあらすじなどもあって『カイジ』を知らない人でも楽しめるので、ファンはもちろん『カイジ』を知らない人もぜひ来ていただきたい!」(粗品)
原画や名シーンの再現スポット多数で、カイジの世界に迷い込んだかのよう
会場内へ入るといきなり、入場者を罵倒する利根川幸雄から始まる。原作各章の名場面・名セリフが原画と共に展示され、見応えも満点だ。
入場するなり来場者を待ち構える利根川幸雄からの説教が! ボイスは本展覧会用に利根川役の森川智之が収録した新録だ。
「17歩」に勝利したカイジになりきれるブースでは、カイジ役・萩原聖人の新録ボイスによる11回連続「ロン!」の叫びも楽しめる。
「愛よりも剣」「友情確認ゲーム」などのフォトスポットも。ぜひ友人やパートナーと共に撮影して、絆を確かめ合おう…!
そして各章のゲーム・ギャンブルを再現したフォトブースでは写真や動画も撮影可能(※各ブースごとに異なるので要注意)。一部ブースではカイジ役・萩原聖人、利根川幸雄役・森川智之、ナレーション・立木文彦による録り下ろしボイスによる演出も楽しめるなど、『カイジ』の世界を圧倒的に楽しむことができる。福本作品ファンはもちろん原作未読の人も独特の世界観に魅了されること間違いなしだ。
場内には歴代の名場面が原画と共に楽しめる。暗がりの場内で各章やキャラのイメージカラーが映えるコントラストの演出も見事。
ふと見上げると来場者を見下ろす兵藤会長の姿が! こんな遊びも会場内には仕掛けられているので、ぜひ探してみよう。
展覧会グッズ
大カイジ展開催を記念したオリジナルグッズも色々揃っているので、お土産にぜひ! 4000円以上買うとティッシュ箱くじにチャレンジして全額返金のチャンスも。
この春の行楽に迷ったら…『逆境回顧録 大カイジ展』に足を運んで、垂涎の至福を味わってほしい…! それが気持ちの良い人生ってもんだろっ…!
(C)福本伸行/講談社
文・撮影=斉藤直樹
イベント情報
■会場:東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)
■時間:11:00~19:00※最終入館は閉館の30分前まで
■料金:一般(大学生以上) 1,900円、中・高校生 1,700円
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※小学生以下無料。ただし、をお持ちの18歳以上の保護者1名につき、同伴の小学生以下1名まで無料
※再入場不可
■主催:逆境回顧録大カイジ展 実行委員会
■協力:ヤングマガジン
■原作:福本伸行
問い合わせ先:東京ドームシティ わくわくダイヤル TEL.03-5800-9999
(C)福本伸行/講談社