『團菊祭五月大歌舞伎』夜の部『四千両小判梅葉』より、富蔵(尾上松緑)の鋭い視線と得体の知れない不気味さを感じる特別ビジュアルが公開

2024.4.16
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歌舞伎座『四千両小判梅葉』特別ビジュアル

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令和6(2024)年5月歌舞伎座『團菊祭五月大歌舞伎』夜の部で上演される『四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)』の特別ビジュアルが公開された。また、主人公・野州無宿富蔵を初役で勤める尾上松緑のコメント、撮り下ろしスチール写真も届いたので紹介する。

明治18(1885)年初演の『四千両小判梅葉』は、盗賊が主人公の「白浪物」を得意とした歌舞伎の名作者・河竹黙阿弥が、幕末に江戸城で実際に起きた御金蔵破りを題材にした作品。初演の富蔵は黙阿弥と共に数々の名作を世に送りだした五世尾上菊五郎。江戸・幕末の安政2(1855)年に野州無宿の富蔵と浪人者の藤岡藤十郎の二人が、江戸城内の御金蔵から四千両という大金を盗み出した前代未聞の大事件は、黒船来航や安政の大地震など不穏な世相の内に起きた一大センセーショナルな出来事だった。明治に入り初演された本作は、二人組の盗賊の役名に実名を用いるなど真に迫った内容で評判を呼び、黙阿弥異色の白浪物として今日まで上演が続く人気作だ。

『四千両小判梅葉』野州無宿富蔵=尾上松緑 /(C)松竹

『四千両小判梅葉』野州無宿富蔵=尾上松緑 /(C)松竹

『四千両小判梅葉』の序幕「四谷見附外の場」は、夜も更けた四谷見附の堀端でおでん屋の商いをしている富蔵が、偶然再会した藤岡藤十郎に江戸城の御金蔵破りの企てを持ち掛ける場面。
この度公開された特別ビジュアルには、屋台の行灯の灯りに照らされた尾上松緑演じる富蔵の顔が闇夜に浮かび上がり、遠くには江戸城の影が……。何か見てはいけない瞬間を垣間見てしまったような、富蔵の鋭い視線と得体の知れない不気味さを感じる一枚となっている。

『四千両小判梅葉』野州無宿富蔵=尾上松緑 /(C)松竹

『四千両小判梅葉』野州無宿富蔵=尾上松緑 /(C)松竹

松緑は自身が演じる富蔵についてのコメントを寄せ、公演に向けて意気込んだ。

『四千両小判梅葉』野州無宿富蔵=尾上松緑 /(C)松竹

なお、松緑は、今月の歌舞伎座『四月大歌舞伎』では、昼の部『双蝶々曲輪日記 引窓』と夜の部『四季』に出演。歌舞伎座には、昨年9月より連続して出演しており、5月歌舞伎座『團菊祭五月大歌舞伎』で9カ月連続して歌舞伎座への出演となる。さらに6月の歌舞伎座出演も決まっている。

尾上松緑 コメント

尾上松緑

御機嫌宜しう御座居ます
尾上松緑で御座居ます
来月の歌舞伎座、『團菊祭五月大歌舞伎』夜の部に於きまして
『四千両小判梅葉』の野州無宿富蔵を演じさせて頂きます
私もこの演目には何度も出演させて頂いておりますが
これまで、師匠の尾上菊五郎の兄さんの富蔵を側で見ていて、陰と凄味が印象的で憧れだった役で御座居ます
また、私のイメージする“格好いい”が凝縮されている役の一つが、この富蔵で御座居ます
相手役の藤岡藤十郎に中村梅玉兄さんの胸を借りて勤めさせて頂ける事、心から嬉しく、有難く思っております
今回をスタートとして、両先輩に沢山の御教えを承りながら一生演じ続けて行きたいと考えております
この宣伝写真で拵えをしてみて、改めて身が引き締まり気合いが入りました
悪党が活躍するピカレスク物を、観に来て下さるお客様に喜んで貰える様に千穐楽まで取り組んで参ります 

公演情報

『四月大歌舞伎』
日程:2024年4月2日(火)~26日(金)
会場:歌舞伎座
【休演】18日(木)
 
<昼の部>午前11時~

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
引窓
 
南与兵衛後に南方十次兵衛:中村梅玉
女房お早:中村扇雀
平岡丹平:中村松江
三原伝造:坂東亀蔵
濡髪長五郎:尾上松緑
母お幸:中村東蔵
 

今井豊茂 改訂
二、七福神(しちふくじん)
 
恵比寿:中村歌昇
弁財天:坂東新悟
毘沙門:中村隼人
布袋:中村鷹之資
福禄寿:中村虎之介
大黒天:尾上右近
寿老人:中村萬太郎
 

並木千柳 作
三好松洛 作

三、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
序幕 住吉鳥居前の場
二幕目 難波三婦内の場
大詰 長町裏の場

 
団七九郎兵衛/徳兵衛女房お辰:片岡愛之助
一寸徳兵衛:尾上菊之助
団七女房お梶:中村米吉
下剃三吉:坂東巳之助
傾城琴浦:中村莟玉
伜市松:中村秀乃介
おつぎ:中村歌女之丞
大鳥佐賀右衛門:片岡松之助
三河屋義平次:嵐橘三郎
堤藤内:大谷桂三
玉島磯之丞:中村種之助

釣船三婦:中村歌六
 
<夜の部>午後4時30分~

四世鶴屋南北 作
渥美清太郎 改訂

一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)
土手のお六
鬼門の喜兵衛

土手のお六:坂東玉三郎
山家屋清兵衛:中村錦之助
髪結亀吉:中村福之助
庵崎久作:市村橘太郎

油屋太郎七:坂東彦三郎
鬼門の喜兵衛:片岡仁左衛門

二、神田祭(かんだまつり)
 
鳶頭:片岡仁左衛門
芸者:坂東玉三郎

九條武子 作
三、四季(しき)
春 紙雛
夏 魂まつり
秋 砧
冬 木枯

〈春 紙雛〉
女雛:尾上菊之助
男雛:片岡愛之助
五人囃子:中村萬太郎
同 :中村種之助
同 :尾上菊市郎
同 :尾上菊史郎
同 :上村吉太朗

〈夏 魂まつり〉
亭主:中村芝翫
若衆:中村橋之助
太鼓持:中村歌之助
仲居:中村梅花
舞妓:中村児太郎
 
〈秋 砧〉
若き妻:片岡孝太郎
 
〈冬 木枯〉
みみずく:尾上松緑
みみずく:坂東亀蔵
木の葉 男:大谷廣松
    同:中村福之助
    同:中村鷹之資
    同:坂東亀三郎
    同:尾上眞秀
木の葉 女:市川男寅
    同:中村莟玉
    同:中村玉太郎
    
同:尾上左近
 
 

公演情報

『團菊祭五月大歌舞伎』
日程:2024年5月2日(木)初日〜26日(日)千穐楽(休演:8日(水)、16日(木))
会場:歌舞伎座
 
【昼の部】午前11時開演
 
一、鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)
おしどり
 
河津三郎/雄鴛鴦の精:尾上松也
遊女喜瀬川/雌鴛鴦の精:尾上右近
股野五郎:中村萬太郎
 
 
四世市川左團次一年祭追善狂言
二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
 
粂寺弾正:市川男女蔵
腰元巻絹:中村時蔵
小野春風:中村鴈治郎
小原万兵衛:尾上松緑
八剣数馬:尾上松也
秦秀太郎:中村梅枝
錦の前:市川男寅
若菜:市村萬次郎
秦民部:河原崎権十郎
八剣玄蕃:中村又五郎
小野春道:尾上菊五郎
 
後見:市川團十郎

 
河竹黙阿弥 作
三、極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
 
幡随院長兵衛:市川團十郎
水野十郎左衛門:尾上菊之助
女房お時:中村児太郎
極楽十三:中村歌昇
雷重五郎:尾上右近
神田弥吉:大谷廣松
小仏小平:市川男寅
閻魔大助:中村鷹之資
笠森団六:中村莟玉
加茂次郎義綱:中村玉太郎
下女およし:中村梅花
御台柏の前:中村歌女之丞
坂田金左衛門:市川九團次
伊予守頼義:上村吉弥
坂田公平:片岡市蔵
渡辺綱九郎:市村家橘
出尻清兵衛:市川男女蔵
唐犬権兵衛:市川右團次
近藤登之助:中村錦之助
 
 
【夜の部】午後4時30分開演
 
一、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
御殿
床下
 
〈御殿〉
乳人政岡:尾上菊之助
栄御前:中村雀右衛門
一子千松:尾上丑之助
鶴千代:中村種太郎
沖の井:中村米吉
八汐:中村歌六
 
〈床下〉
仁木弾正:市川團十郎
荒獅子男之助:市川右團次

 
 
河竹黙阿弥 作
二、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より牢内言渡しまで
 
野州無宿富蔵:尾上松緑
数見役:坂東彦三郎
頭:坂東亀蔵
女房おさよ:中村梅枝
三番役:中村歌昇
浅草無宿才次郎:中村萬太郎
伊丹屋徳太郎:坂東巳之助
四番役:中村種之助
黒川隼人:中村鷹之資
寺島無宿長太郎:尾上左近
生馬の眼八:市村橘太郎
田舎役者萬九郎:中村松江
浜田左内 河原崎権十郎
うどん屋六兵衛:坂東彌十郎
隅の隠居:市川團蔵
牢名主松島奥五郎:中村歌六
石出帯刀:坂東楽善
藤岡藤十郎:中村梅玉
 
 
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