SHISHAMO バンドの充実ぶりがうかがえる“攻めたセットリスト”、『ワンマンツアー2024初夏』国内ファイナル公演を振り返る

2024.7.25
レポート
音楽

SHISHAMO

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SHISHAMO ワンマンツアー2024初夏「退屈なハッピーエンドに迷い込んだのは君のせいだ」
2024.6.30 Zepp DiverCity(TOKYO)

2024年6月30日、 東京 Zepp DiverCity(TOKYO)で『SHISHAMO ワンマンツアー2024初夏「退屈なハッピーエンドに迷い込んだのは君のせいだ」』の国内ファイナル公演(7月13日の台北公演が正式なファイナル)を観た。CDデビュー11年目のSHISHAMOは、さらに高い次元へとステップアップしていた。これまでの魅力を維持しながらも、新境地を切り拓いていたからだ。“新しいSHISHAMO”の予感は、会場に入った瞬間からあった。最新のアーティストヴィジュアルにもリンクするような「SHISHAMO」の文字を形取ったネオン管風の照明が設置されていたからだ。4月10日にリリースしたアルバム『SHISHAMO 8』の充実ぶりも、今回のツアーへの期待を高いものにしていた。

宮崎朝子(Gt.Vo )

宮崎朝子(Gt,Vo)、松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr)がステージに登場すると、大きな拍手と熱烈な歓声が起こった。1階のスタンディングゾーンはぎっしり満員。この人口密集率の高さは、コロナ禍を乗り越えてきたことの証しでもあるだろう。オープニングナンバーは『SHISHAMO 8』収録の「会えないのに」だった。吉川がスティックでカウントを取り、宮崎が歌い始めた瞬間に、観客を一気に歌の世界へと引き込んでいく。松岡のドライブ感あふれるベースが気持ちいい。疾走感あふれる演奏でありながら、一つひとつの音のニュアンスが豊か。主人公のもやもやした思いまでもが鮮やかに伝わってくる。一転して、ほのぼのとした歌と演奏、キュートなコーラスが心地よかったのは「犬ころ」だ。素朴さを備えた演奏からは、日常の空気感までもが伝わってくるようだった。エモーショナルな歌声と演奏が染みてきたのは「私のままで」。曲の主人公にエールを送るような歌と演奏から、SHISHAMOの成長を感じた。3人はこれまで以上に深く楽曲の世界に踏み込み、より強く客席に向けて届けていた。冒頭から新曲が続く展開となったが、こうした“攻めたセットリスト”からは、最新アルバムに対するメンバーの手ごたえがうかがえる。MCでも3人それぞれからこんな言葉があった。

松岡彩(Ba)

「みなさんに新曲を直接演奏して届けられることによって、『SHISHAMO 8』が完成するんじゃないかと思っています」(吉川)

「この3年間やってきたことを詰め込んだアルバムができました」(松岡)

「CDデビュー11年目に自分でも最高と思えるアルバムを作れたことは希望であり、うれしいことです」(宮崎)

吉川美冴貴(Dr)

『SHISHAMO 8』はラブソングであると同時に、ヒューマンソングと言いたくなる楽曲が目立っている。自分を肯定して愛すること、世界を愛することなど、広い意味での“愛”が描かれた作品がたくさん収録されている。そしてそれらの曲に込められた思いが、人間味あふれるプレイで表現されることにより、鮮度の高い状態でダイレクトに届いてきた。観客が内面から揺さぶられていることも伝わってきた。客席から「かわいい!」との声がかかると、「ファイナルだもん。そりゃ、普段よりもかわいかろうよ」と宮崎。ファイナルの気迫を集中力へと変換しているところも見事だ。ネオン管型のSHISHAMOのロゴの照明や柱状の照明など、ライティングによる演出も多彩で、エンターテインメントショーとしても充実したステージを展開していた。

「ハリボテ」は宮崎のギターと歌での始まり。ハリボテの世界で恋人と2人で生きているというSF的な設定の楽曲の世界を、甘美さやシュールさの混じった歌と演奏で見事に表現していた。表現力の豊かさと解像度の高さを備えたバンドサウンドなのだ。密やかな恋心を繊細かつ緻密な演奏で見事に表現していたのは「なんとなく。」。歌心を持った3人のアンサンブルが見事だ。躍動感と開放感あふれる演奏に体が揺れたのは「わたしの宇宙」。観客がハンドクラップで参加している。温かさと力強さを備えた歌と演奏に、会場内が包み込まれていくようだった。

宮崎朝子(Gt.Vo )

「『SHISHAMO 8』のツアーですが、聴いていない人もいると思うので、『8』以外の曲もやります」(宮崎)とのことで、「笑顔のおまじない」「狙うは君のど真ん中」「ひっちゃかめっちゃか」「きっとあの漫画のせい」など、おなじみの人気曲も交えつつの構成。聴かせることと楽しませること、盛り上げることのバランスも絶妙だ。既発曲を挟んで、再び、最新作の曲へ。主人公の痛みがリアルに伝わってきたのは「春に迷い込んで」だ。3人が楽曲の世界の中に踏み込んで演奏しているからこそ、観客にしっかり届いていくのだろう。桜色の光を使ったライティングも効果的だった。深海から鳴り響くような松岡のベースと、強い意思を込めていくような吉川のドラムで始まった「溺れてく」では、オルタナティブな演奏がズシンと響いてきた。陰影に富んだ宮崎の歌とギターが染みてくる。大胆にして繊細な演奏だ。

松岡彩(Ba)

後半は「最高速度」「夏恋注意報」「君と夏フェス」「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」と、疾走感と爽快感あふれるバンドサウンドでたたみかけていく展開。熱気が充満する会場に風が起こったのは、観客が一斉に赤白タオルを回した「タオル」だ。タオルを回したり、ハンドクラップしたり、歌ったりして、参加できるところにも、SHISHAMOのライブの楽しさがある。「東京、ファイナル、最高です」と宮崎。3人が笑顔を見せるシーンもあった。もちろん、客席にも笑顔の花が咲いていたのは間違いないだろう。平日を頑張った人々をねぎらい、そしてエネルギーを充填する「明日も」、ソリッドなバンドサウンドが全開となった「明日はない」で本編が終了した。熱くて力強いエンディングだ。

吉川美冴貴(Dr)

アンコールの3曲は、どれも最新アルバム収録曲。自分を信じることの大切さを描いた「きらきら」、SHISHAMO史上、もっともせつない曲と表現したくなった「ハッピーエンド」、人を好きになることのかけがえなさが伝わってきた「恋じゃなかったら」と、観客を揺さぶる演奏を展開していた。楽曲の主人公たちに寄り添うと同時に、観客に寄り添うような演奏だ。“新しいSHISHAMO”とは、リスナー一人ひとりの人生の味方になってくれる“頼もしくてたくましいSHISHAMO”でもあった。3人からこの日のライブについて、こんな感想もあった。

「あっという間でした。お客さんの盛り上がる声を聴けて、楽しかったです。みなさんとこの時間を過ごせて、うれしかったです」(松岡)

「ステージとか客席とか関係なく、みんなで素晴らしい夜を一緒に作れて、幸せでした」(吉川)

「今日はいい日でした。みんなのおかげで、ここにいていいんだと思えるようになりました。ちゃんと届いているんだってことを感じられて、いい時間でした。これからも、モリモリやっていきます」(宮崎)

観客層が広がっていることも感じた。若い観客も増えているのだが、老若男女、客層の幅が広い。SHISHAMOもあらゆる世代が楽しめるステージを行っていた。聴く側にとって、入り口のたくさんあるステージだったからだ。楽曲の世界に浸ることも、参加して楽しく盛り上がることも、バンドサウンドを堪能することもできる。10月4日からライブハウスツアーが行われることも発表された。自分たちの住む街にやってくるSHISHAMOのステージを観ることは、きっと格別な体験となるだろう。

取材・文=長谷川誠 撮影=柴田恵理

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リリース情報

デジタルシングル「いっそこの心臓の音が君に聞こえたら」
2024年7月24日(水) 配信
▼各サイトにて配信中

https://SHISHAMO.lnk.to/IssoKonoShinzounoOtogaKiminiKikoetara

ライブ情報

SHISHAMO ライブハウスツアー2024
「この心臓の音が君に聞こえたらもうただの友達って言い訳できない」
10月04日(金) 千葉 LOOK   OPEN18:30 / START19:00
10月19日(土) 仙台 GIGS OPEN16:00 / START17:00
10月23日(水) 佐賀 GEILS OPEN18:30 / START19:00
10月25日(金) 広島 CLUB QUATTRO OPEN18:00 / START19:00
10月26日(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM OPEN16:00 / START17:00
10月30日(水) 松山 WstudioRED  OPEN18:30 / START19:00
11月01日(金) 徳島 club GRINDHOUSE OPEN18:30 / START19:00
11月08日(金) 水戸 LIGHT HOUSE  OPEN18:30 / START19:00
11月15日(金) 長野 CLUB JUNK BOX  OPEN18:30 / START19:00
11月17日(日) 静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA OPEN16:15 / START17:00
11月23日(土) 川崎 SUPERNOVA KAWASAKI OPEN16:15 / START17:00
11月26日(火) 盛岡 CLUBCHANGE WAVE     OPEN18:30 / START19:00 
11月27日(水) 青森 Quarter OPEN18:30 / START19:00
11月29日(金) 函館 club COCOA  OPEN18:30 / START19:00
12月01日(日) 小樽 GOLDSTONE OPEN16:30 / START17:00

代:¥6,000(税込)
☆スタンディング ※整理番号付き ☆仙台公演のみ2階指定席あり
※1DRINK代別
※小学生以上必要
※未就学児入場不可
(*仙台公演の2階席に限り、未就学児は大人1名につきひざ上に1名まで無料。お席が必要な場合はをご購入ください。)

<プレイガイド最速先行(抽選)>
▼受付期間:7月27日(土) 12:00 〜 8月4日(日) 23:59まで
受付枚数:お1人様1公演につき4枚まで
※千葉・川崎公演のみ おひとりさま2枚まで
申し込み詳細⇒ https://eplus.jp/shisyamo2024-lh/

SHISHAMO ライブハウスツアー2024
「この心臓の音が君に聞こえたらもうただの友達って言い訳できない」 in ソウル

12月07日(土) 韓国 Rolling Hall OPEN18:30 / START19:00
代:KRW 88,000
☆スタンディング ※整理番号付き

SHISHAMO NO YAON!!! 2024
大阪公演:
SHISHAMO NO YAON!!! 2024 WEST
7月27日(土) 大阪城音楽堂【TICKET SOLD OUT!!!】
OPEN 16:30 / START 17:30

 
東京公演:
SHISHAMO NO YAON!!! 2024 EAST
8月17日(土) 日比谷野外大音楽堂【TICKET SOLD OUT!!!】
OPEN 16:30 / START 17:30

 
<大阪公演(一部) / TikTok 生配信>
配信日時: 2024年7月27日(土) 18:45頃〜
※配信開始時間は、ライブの状況によって前後する場合がございます。
[配信アカウント]
▼SHISHAMO TikTok アカウント
https://www.tiktok.com/@shishamo_official
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