前回のカンパニーの思いも載せ、浦井健治らが作り上げる新たな『天保十二年のシェイクスピア』稽古場&囲みレポート
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続いて行われた囲み取材には、音楽を手がけた宮川彬良と演出の藤田俊太郎、メインキャストが参加した。
――まずはご挨拶をお願いいたします。
宮川:僕が舞台音楽を作り初めて40年以上ですが、5年前に初めて東宝の仕事を請けたのがこの作品。同時に藤田さんとオリジナルで組んだのも初めてです。再演されるのは非常に光栄だと思っています。
藤田:2020年は全公演を完走できなかったので、その時に共に作った仲間たちの思いを胸に抱いています。今回は29名のキャストとプランナー、スタッフで総力を上げて作ってきました。このカンパニーならではの作品にできたと思うので、お客様には大いに泣いて笑っていただけたら。
宮川彬良
藤田俊太郎
浦井:2020年、最後まで全うできなかった思いも含めて挑みたいです。稽古場に入り、板の上に立った時、もう一度スタートを切ることができたと感じました。木場さんを筆頭にたくさんの先輩の凄さを目の当たりにしながら、井上ひさしさんの一言を大切にみんなが紡いでいけたらと思っています。きっと(辻)萬長さんも見てくれていると思って、笑顔で頑張りたいと思います。
大貫:浦井さんが演じていた役で、光栄であると同時に緊張と不安もありました。日々、素晴らしいカンパニーの皆さんに支えられながら自分にしかできない王次を模索する日々です。必死に稽古し、いい王次を見つけられるように頑張りたいです。
唯月:再びこの作品に出演できること、素晴らしい役を演じられることを光栄に思っています。本番までにもっともっと深めて素敵な作品をお届けします。
浦井健治、大貫勇輔
唯月ふうか
土井:カンパニーが素晴らしく、参加できることがとても幸せです。この時代にこの作品をやる意味について考えながら毎日の稽古に励んでいます。
阿部:2020年の最終日、配信のために無観客でやった時の崇高さ、置いてきてしまった気持ちを今回の舞台で皆さんにお届けできるのを嬉しく思います。
玉置:カンパニーの皆さんがとても素敵で、刺激をもらい、日々発見しながら稽古できています。一人でも多くの方にご覧いただけたら。
章平:ありがたいお役をいただき、日々稽古に励んでいます。2020年の思いも心に持ち、パワーアップした姿を見せられるように頑張りたいです。
猪野:僕は今回からの参加ですが、とてもあたたかく迎えてくれるカンパニーで感謝しています。作品の熱量も圧倒的なので、本番で早く皆さんにお届けできるように精進していきたいと思います。
綾:エネルギー溢れる作品で、素晴らしい皆さんとご一緒させていただけて光栄です。西洋のシェイクスピアと、日本をルーツにした作品、今の時代に生きる皆さんに元気をお届けできるように精一杯努めます。
福田:浮舟太夫のシーンはジェットコースターのように感情が激しく動くので、自分の中でしっかり落とし込み、生き様をしっかりお届けできるようにお稽古を頑張ります。
瀬奈:最近中々ない年齢層の高いカンパニーで(笑)、新人気分でやっております。2020年の皆さんの思いも大切にしながらお届けできたらと思いますので、ぜひ足をお運びください。
中村:前回、辻萬長さんが演じていたところに私が入りました。井上ひさしさんの言葉の力に宮川さんの音楽が加わり、非常にパワフルです。私は今まで中々お見せできなかったような役をやっているので、楽しんでいただけたら。
梅沢:場数も歌も多いですし、踊りも和洋折衷で大変です。今回は人数も増えて、非常に力強い舞台になると思います。
木場:蜷川版の2002年から22年この役をやらせていただいています。セリフの多さと戦っているところ(笑)。よろしくお願いします。
瀬奈じゅん
梅沢昌代
――2020年公演と今回で、取り組み方に変化はありましたか?
宮川:再演なので、冷静に受け止めて二次解釈をするような稽古です。僕は井上ひさしさんと20分くらいしかお会いしたことがなく、もちろんシェイクスピアにもお会いしたことはないですが(笑)。いずれの巨人とも距離が近くなった感覚で取り組んでいます。
――浦井さんの三世次の魅力はどんなところに感じますか?
藤田:今の浦井健治さんの全てが魅力です。佐渡の三世次はこういう人物なんだなと感じられました。自分の中にもこの人物がいるかもしれない、でも絶対に生き続けてはいけない人物だと思わせてくれる。相反するようですが実は背中合わせのイコールで、佐渡の三世次は今この世界にイエスとノーを同時に突きつけているのではないかという気づきを与えてくださいました。人間の暗部を光で抉り出すような、痛烈な人物が誕生しつつあるなと感じています。それを一言でいうと「好き」です。
――稽古を進めてきて、井上さんのメッセージをどう考えていらっしゃいますか?
浦井:責任をとても感じます。井上さんとはお会いしたことがありませんが、(井上に)お会いしている先輩方が筆に一生を捧げた井上さんの想いを受け取らせてくださる。演劇は時代を映す鏡、時代を再生する装置と言われますが、こういうことなんだと感じます。人から人に伝えることができるし、亡くなった方を忘れずにいることもできる。この作品は闇を描いていますが、お客様が今の時代に闇を見てもそれを光に変えてくださるような演劇体験にできるよう、頑張って稽古しています。
本作は2024年12月9日(月)~29日(日)まで日生劇場で上演。2025年1月には大阪の梅田芸術劇場、福岡の博多座、富山のオーバード・ホール 大ホール、愛知の愛知県芸術劇場大ホールでも公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
出演:
浦井健治 大貫勇輔 唯月ふうか 土井ケイト 阿部裕 玉置孝匡 / 瀬奈じゅん 中村梅雀 /
章平 猪野広樹 綾凰華 福田えり / 梅沢昌代 木場勝己
斎藤准一郎 下あすみ 鈴木凌平 中嶋紗希 藤咲みどり 古川隼大 水島 渓 水野貴以
作:井上ひさし
音楽:宮川彬良
演出:藤田俊太郎
<日程・会場>
2024年12月9日(月)~12月29日(日)東京 日生劇場
2025年1月5日(日)~1月7日(火)大阪 梅田芸術劇場
2025年1月11日(土)~1月13日(月)福岡 博多座
2025年1月18日(土)~1月19日(日)富山 オーバード・ホール 大ホール
2025年1月25日(土)~1月26日(日)愛知 愛知県芸術劇場大ホール