日比谷野外大音楽堂で単独ライブ!MyGO!!!!! 7th LIVE「こたえなんてなくても」レポート
写真:ハタサトシ
■2024.12.22MyGO!!!!! 7th LIVE「こたえなんてなくても」@日比谷公園大音楽堂
12月22日、東京・日比谷野外大音楽堂でMyGO!!!!!のライブ「こたえなんてなくても」が行われた。
MyGO!!!!!はブシロードのメディアミックスプロジェクト『BanGDream!』(バンドリ!)発のガールズバンド。メロコアや青春パンクを武器に2022年より活動しており、7回目のナンバリングライブとなる今回の公演はバンド初の野外での単独ライブ開催となった。
記念すべきMyGO!!!!!初の野音公演のオープニングアクトを務めたのはバンドリ!の後輩・夢限大みゅーたいぷ。仲町あられ(Vo.)、宮永ののか(Gt.)、峰月律(Gt.)、藤都子(Key.)、千石ユノ(DJ&Mp.)というガールズバンドだ。
開演前のステージに現れ「よろしくお願いします」と声を揃えた5人はメロディアスでコミカルなパンクからヒップホップ、さらにはアラブ音楽を彷彿とさせるスケールへと目まぐるしくメロディがリレーする「夢現妄想世界」、ハウスミュージック仕立てのラップチューン「ビッグマウス」、エレクトリックな四つ打ちヘヴィロックにして12月25日リリースのデビューSingle表題曲「コミュ着火Fire!」とコンテンポラリーなダンスロックを連投。途中の「会場を熱くしてMyGO!!!!!さんにつなげればと思っています」の宣言どおりのパフォーマンスを繰り広げた。
この日のMyGO!!!!!は変則シフト。小日向美香(そよ役。Ba.)がインフルエンザに罹患したため、羊宮妃那が演じる燈(Vo.)、立石凛演じる愛音(Gt.)、青木陽菜演じる楽奈(Gt.)、林鼓子演じる立希(Dr.)の4人で初の野音に臨むこととなった。
写真:ハタサトシ
定刻、まず登場したのは立希。アンプ類とドラムセット、おびただしい数の照明、そしてそよのベースという構成の、ある種無骨で剥き出しのステージへと歩を進めた彼女がビートを刻み出すと続いて現れた愛音と楽奈がそのリズムにリフを重ね、さらに燈が合流。彼女が「野音、準備いいですか?」と超満員のバンドリ!ファン、通称バンドリーマーを挑発するや、そのまま「砂寸奏」へと雪崩れ込む。
このキレのいいビートパンクチューンでいきなり会場のボルテージをトップギアへと押し上げた彼女たちは、そのまま楽器隊の繰り出すキレのいい8ビートに、どこかストレンジなメロディと燈の儚げながらも的確なボーカルが絡み合うことで独特の浮遊感と熱狂を生み出す「処救生」をドロップ。その大サビ〈いつでも音楽(ここ)に帰ろう〉のリリックに合わせて燈が力強く拳を前に突き出すと大歓声が巻き起こった。
そしてバンドは燈の「今日は届けたい曲も想いもたくさんある」「そよちゃんのぶんも……そよちゃんも一緒にみんなで一緒にがんばろう」、愛音の「このままどんどんボリュームを上げていきますよ」の言葉のとおりのステージを展開する。立希の複雑なビート、愛音のノイジーなコードストローク、楽奈のタッピングによるオブリガートというアンサンブルを燈が高速リリックで自在に乗りこなす「歌いましょう鳴らしましょう」で文字どおり会場を揺らしつつ、爽快な「迷星叫」を挟んで、燈の「この場所で鳴らされてきた音、声、光。その一瞬一瞬と一緒に、ここで叫びたい!」のシャウトとともに「壱雫空」をプレイ。ブライトでストレートなスカパンクのようで、実は目まぐるしくリズムパターンが変化し、また細かくタイトなキメが入りまくる、これまたアンサンブルの妙で魅せる楽曲でバンドリーマーのシンガロングを煽っていた。
写真:ハタサトシ
唐突に「こたつでライブしたい」と言い出した楽奈の話に乗ったメンバーが「ライブは難しいかもだけど、みんなでこたつに入ってみたいかも」「みんなでお鍋でも食べない?」と盛り上がると、なぜか言い出しっぺの楽奈が「ライブまだ?はやくライブしよう」と混ぜっ返す、らしいといえばらしいものの、なんとも言えないMCののちもMyGO!!!!!はMyGO!!!!!のまま。燈の「道しるべも地図もなくてもこの歩みは止めたくない」という切なる叫びを受けた楽奈による深いディレイをかけたインプロビゼーションから始まる、オールドスクールなハードロックナンバー「無路矢」では、その燈のリードボーカルと楽奈のファルセットでの裏メロコーラスが絡み合う。さらにそのメロディとリリック、メロディラインにフェイクを噛ませたギターソロが古き良き歌謡曲も思わせる「輪符雨」、愛音のある種のヤダみをたたえたストロークと楽奈の不穏なカッティング、立希の醒めきったかのように正確無比なリムショットに乗せて、燈が己の切羽詰まったありようをスクリーム交じりでポエトリーリーディングする「潜在表明」と、バンドの中でも異質な2曲を重ねて、会場を万雷の拍手で包んでみせる。
おのおの2024年を振り返り、燈が「いろんなことがあって答えがあるものないものもあって、変わらないものも変わるものもあって」「でも進んでいかなきゃいけないから、これからもみんなと一緒に歩んでいきたいし、ずっと叫び続けたい」と決意を新たにしたところでライブ本編は最終盤。彼女の「野音、まだまだ盛り上がっていけますか?」「まだまだ声出せますか?」「もっともっと心、熱くしていけますか」の言葉とともにバンドは正調J-ROCKナンバー「孤壊牢」、バンドの定番アゲ曲である四つ打ちダンスロック「影色舞」、楽器隊の織りなすストレンジなアレンジと、その上に乗る意外かつ美麗なメロディで〈ジタバタでラクじゃないけれど 迷っても 君と進んでみたい いいかな〉と自身とバンドリーマーを鼓舞する「碧天伴走」を3連発して、この日一番の熱狂を生み出していた。
写真:ハタサトシ
さらにバンドは「重ねていく一歩一歩 繋いでく一日一日」「その先にもし何も」「答えなんてなくても」「この歩みは止めたくないんだ」と、立希、楽奈、愛音、燈が言葉を続けて、12月18日リリースの2nd Album『跡暖空』のリードトラック「歩拾道」をキック。日比谷野外大音楽堂という大バコによく似合うスタジアムロックで自身初の野外での単独ライブの本編を締めくくった。
アンコール代わりの熱烈なMyGO!!!!!コールに応えてステージに舞い戻ったバンドは、それまでのキャラクターとしてではなく、“素”の状態のリラックスムードに。ジェントルなメロディとアレンジに乗せて〈今日までの僕らを褒めてあげよう〉と歌う「端程山」を本当に優しく届けると、全員即座にステージ袖へとダッシュ。ベンチコートを受け取り、それを羽織りつつ「みなさんは寒くないですか?」と尋ねるも、ノリのよいバンドリーマーたちから「イエーイ!」の声が返ってきて「『寒いですか?』に『イエーイ!』???」と苦笑いを浮かべる。また、あらためて“中の人”として自己紹介をしている最中、青木が「ここでいつもなら(モノマネしながら)『そよ役の小日向美香です!』って入るはずなんだけど……」と切り出すや、会場中のペンライトの色がそよのイメージカラーであるイエローに切り替わる、そのビビッドな反応に一堂目を丸くするなど、客席との対話を楽しんでいた。
そして来春に6th Singleをリリースすることなどを発表しつつ、おのおのがこの日のライブの感想と2025年の決意を語ったところで、ライブは本当に本当の大ラスに。
写真:ハタサトシ
2nd Single表題曲「音一会」をパフォーマンスした彼女たちは、最新Albumのラストナンバー「焚音打」を投下。高速2ビートパンクでは「焚音打」は2コーラス後、バンドがブレイクし、燈のアカペラにバンドリーマーがシンガロングを重ね、さらに愛音、楽奈、立希が美麗なハーモニーを響かせる、ライブならではのドラマチックアレンジを施し、さらに〈大丈夫 僕たちは進もう〉〈迷うことに もう迷わない〉とバンドリーマーたちとの約束を交わしていた。
この日のMyGO!!!!!は手負いの状態。リズムを支えるベーシスト不在という、当然ながら万全とはいえない状態ではあったが、4人のステージでの立ち姿とそのプレイは、テクニカルでエモーショナルとしか形容のしようがなかった。それだけに小日向でありそよの復帰が待ち遠しい。きっと……いや、確実にこの野音以上にカッコいいMyGO!!!!!像を見せてくれるはずなのだから。
写真:ハタサトシ
写真:ハタサトシ
取材・文:成松哲 写真:ハタサトシ
セットリスト
■2024.12.22MyGO!!!!! 7th LIVE「こたえなんてなくても」@日比谷公園大音楽堂
01.夢現妄想世界
02.ビッグマウス
03.コミュ着火Fire!
【MyGO!!!!!】
01.砂寸奏
02.処救生
03.歌いましょう鳴らしましょう
04.迷星叫
05.壱雫空
06.無路矢
07.輪符雨
08.潜在表明
09.孤壊牢
10.影色舞
11.碧天伴走
12.歩拾道
<アンコール>
EN01.端程山
EN02.音一会
EN03.焚音打
バンドリ!公式X:https://x.com/bang_dream_info
YouTube「バンドリちゃんねる☆」:https://www.youtube.com/@bang_dream_official
MyGO!!!!!公式サイト:https://bang-dream.com/mygo
MyGO!!!!!公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@bang_dream_mygo
MyGO!!!!! Biography:https://bio.to/bio_mygo