さあ、全国大会だ! ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉 ゲネプロレポート
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ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉
2025年1月11日(土)東京・日本青年館ホールにて開幕したミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs比嘉。本作より新メンバーとなった青学(せいがく)が挑むのは全国大会初戦。沖縄から来たダークホース・比嘉中と戦う青春学園中学部テニス部テニス部の“最初の輝き”を心に焼き付けよう!
リョーマひとりから青学(せいがく)、比嘉、六角、立海、不動峰…と、それぞれのユニフォームを身につけた選手&監督全員が登場するプロローグは、ダンスの動き一つひとつにもこれから始まる物語を彩るキャラクターたちの個性が現れる華やかさ。こちらの期待をさらに膨らませてくれるステージ上と客席のファーストコンタクトに相応しい、爽やかかつ豪華なナンバーでの幕開けである。
実力アップのため自分に相応しいやり方で地道な努力を続ける者たちが集った全国大会。青学(せいがく)の出番を前に、まずは千葉の六角vs沖縄の比嘉戦が始まる。仲間同士のびのびとテニスを楽しむ六角と、勝つためなら手段を選ばない荒くれ者の比嘉。同じ“海の子”でも正反対のチームのぶつかり合いから六角と青学(せいがく)の友情、そして比嘉の底知れぬ恐ろしさが刻みつけられていく。
そして、六角を制した比嘉が青学(せいがく)の前へ。シングル3の青学(せいがく)・越前リョーマ(竹内雄大) vs比嘉・田仁志 慧(平川聖大)戦は、圧倒的なパワーの田仁志が放つビッグバンサーブと、試合の流れを読むクレバーさと卓越したテクニックで勝機を狙うリョーマのぶつかり合い。煽る田仁志と生意気全開のリョーマによる攻防は見応えたっぷり。力強く、そしてスピーディーな展開だった。
続くダブルス2は青学(せいがく)・不二周助(橋本勇大)&河村 隆(坂上翔麻)vs比嘉・平古場 凛(桜井 一)&知念 寛(坂田大夢)。卑怯なテニスを見せる比嘉メンバーと早乙女晴美(鷲尾 昇)監督の行動に怒りを抱く不二、愚直なまでに己のパワーテニスを貫く河村に対して、平古場の必殺技の匙倩(ハブ)を軸に畳み掛ける比嘉ペア。互いの信念を譲らないからこそのゲーム、長尺の中で次第に心が動き、最後は余計なものを取り払った真っ向勝負で正々堂々と決着をつけていく流れにこちらの心も揺さぶられていく。プレーを通じて思いがシンクロする。これぞテニプリ精神!
シングルス2は青学(せいがく)・菊丸英二(長嶺龍汰)vs比嘉・甲斐裕次郎(益川和久)。ゴールデンペアの相棒・大石秀一郎(藤本力翔)が怪我のため欠場し、複雑な思いのままひとりコートに立つ菊丸が珍しく殺気を放ち、一方そのテンションの高さを潰しにかかるようにバイキングホーンで攻め込む“裏手のレフティ”甲斐。テニミュ比嘉戦恒例の“海賊TIME”、今回の海賊船はかなりビッグで、「ここまで活用してきた可動セットをこんなふうに活かすのか!」と舞台マジックにワクワクが倍増。さらに菊丸もひとりダブルスで応戦、決着まで目の離せない一戦に仕上がった。
試合はまだまだ続く。ダブルス1青学(せいがく)・乾 貞治(世良大雅)&海堂 薫(渡邊 樹)vs比嘉・不知火知弥(高岩芯泰)・新垣浩一(津山晄士朗)、シングルス2とは対照的に全てのセットが取り払われ、ステージ上には4人だけ。試合の流れをひとつのナンバーに集約し、歌とダンスで観客を惹きつける。最終戦に向け、ここまでのヘビーでヒリヒリとした空気を一旦リセットさせてくれるようなクリアな試合。ここまでひとつも落としていない青学(せいがく)と、ひとつも取れていない比嘉。だがどんな状況でも目の前の試合で勝利を掴むんだという彼らのスポーツマンシップは、「完全勝利」を掲げる立海の思いへも重なっていき……。
密度の濃いゲームを重ね、いよいよラストの試合。シングル1は青学(せいがく)・手塚国光(寺田友哉)vs比嘉・木手永四郎(二階堂 心)。部長同士、今までのゲームをバッサリと凌駕してしまうようなさらなる高みにある一戦である。百練自得の極みで手塚ゾーンを発動する手塚の静かに燃えるクールなプレーと、圧倒的なバランス感覚で全方位の縮地法を使い相手を叩き潰す“殺し屋・木手”のスタイリッシュなプレー。部員をバックダンサーに従えたキング・オブ・ポップな木手のカリスマ性はまさにラスボス。あくまで爽やかなシティーポップの世界で冷静に存在感を示す手塚との対比も鮮やかで、コート全体、会場全体を引き込んでのクライマックスへと突入すると、プロローグで歌われたナンバーが全員によるこの試合のためのリプライズとして響き、やがて全ての真剣勝負に決着がつくのだった。
見どころは本当に「全部」。荒削りなところがむしろ伸び盛りの中学生らしさとして輝く青学(せいがく)メンバーは、試合のない大石や桃城 武(有岡歩斗)にもしっかりスポットが当たるシーンもあり、ベンチワークで聞こえてくる声や手塚を中心としたチームワークの強さなど、揺るぎない青学(せいがく)感が気持ち良い。対する比嘉はキャラクター性ももちろん、歌もダンスも非常にスキルが高く、島唄にエイサーにラップにウチナーグチに…と、ある種トリッキーな表現も自在に操るエンターテイナー集団だった。各学校をイメージさせる色使いや感情に沿った美しい照明、多彩な「水」の表現が「嵐」にたどり着いていく映像の視覚的な効果なども楽しく、全体的に「色」が与えてくれるパッションとイマジネーションも印象深く、カラフルな後味に。
また、六角のオジイ(うじすけ)と比嘉の早乙女といった大人の存在も大きい。死に物狂いの本気には自分も本気で応える、テニスの前では誰もが自分に嘘をつかない、勝つためには顔を上げ前を向き続ける、それは年齢なんか関係ないんだよというメッセージは、そのまま観客の私たちにも通じる「真実」。青春を閉じ込めたミュージカルだからこそ得られる未来への活力。そのみずみずしさを思いきり受け止めながら、まだまだ続く彼らの戦いを応援し続けたいと改めて思える、熱い熱い180分だった。
囲み会見コメント
(左から)手塚国光役:寺田友哉、越前リョーマ役:竹内雄大、木手永四郎役:二階堂 心、田仁志 慧役:平川聖大
<青学(せいがく)>
■越前リョーマ役:竹内雄大
いよいよ全校大会が始まりますが、僕たち新青学(せいがく)にとってはこれが初めての公演になります。リョーマと田仁志の戦いは、こんなに大きい田仁志にリョーマがどうやって挑むのか、「リョーマはこの時どう思ってるんだろう」「ビッグバン強っ!」とか、いろんな思いを感じていただきながら、みなさんぜひ瞬きをせずに観てほしいです。約2ヶ月の稽古を経てお互いが刺激しあってみんなで成長し、とても充実した稽古を送ることができました。とてもいい作品になったと思います。20年以上続くテニミュの歴史を僕たちがしっかり受け継いで、みなさんに2025年の素敵な幕開けとなる作品を届けたいです。本公演、ぜひ楽しみにしてください。
■手塚国光役:寺田友哉
これだけ長い間たくさんの方に愛されている作品に関われていることに毎日刺激を感じ、とても幸せです。青学(せいがく)はラケットの振り方から始め、少しでもいい作品を作っていこう、カッコ悪くても泥臭くてもいいから…と、たくさんの方にありがたいアドバイスをいただきながら「強い青学(せいがく)」を目指してみんな頑張って稽古してきました。テニミュカンパニーの一員として全力で頑張っている青学(せいがく)11名のことを誇りに思っています。木手戦は手塚本来の強さを見せる試合になります。全員が一瞬一瞬に魂燃やして闘志を燃やして挑んでいるので、進化した青学をお見せするのはもちろん、公演の中でも学びを得て成長していく僕らをご覧いただければと思います。
<比嘉>
■木手永四郎役:二階堂 心
先代からバトンを受け継いだ僕らですが、またみんなで1から作っていこう、新しい風を吹かせていこうという気持ちでやっています。比嘉中テニス部は木手永四郎という男が集め、技を教えて作ってきたチーム。僕自身のテーマとしても、稽古中からそういうふうに進めていけたらと思ってやってきましたし、実際素晴らしいチームが出来上がりました。ぜひそんな比嘉を観てもらえたら。テニミュファンの方々はみなさんたくさんの思い出を持っていると思います。僕たちもそんなファンの方々の記憶に色濃く残れる素晴らしい試合、素晴らしい舞台にしていきたいと思っています。ご期待ください。
■田仁志 慧役:平川聖大
今まで客席側で観て憧れていた舞台に立ててとても嬉しいです。パフォーマンス中は自分を俯瞰しながら楽しんで演じているので、そこにお客さまが入ったらどんな空間になるのか、とても楽しみです。僕の持ち味であるパワープレイ、リョーマとの第一戦はどういう試合になってどうお互い切り抜けていくのかが見どころです。また、比嘉として沖縄の存在感、ダークホースというところも是非注目してほしいです。新年初の観劇で初熱狂ができる、そんな舞台に仕上げてきました。僕らの情熱とパッションが詰まった作品になっています。僕にとって外の寒さを吹き飛ばすような一番熱い冬、最後まで頑張ります!
取材・文=横澤由香
公演情報
日程:2025年1月26日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪府)
開演:17:30~
【手数料0円】一般発売
受付期間:2024/12/8(日)10:00~2025/1/26(日)17:30
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