上村聡史が相葉雅紀らキャスト陣と共に名作映画を立ち上げる パルコ・プロデュース2025『グッバイ、レーニン!』が開幕
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パルコ・プロデュース2025 『グッバイ、レーニン!』会見より
2003年にドイツで公開され、大ヒットした名作映画『グッバイ、レーニン!』。ドイツ国内外で多くの映画賞を受賞し、ゴールデングローブ賞の外国語映画賞にもノミネートされるなど、高く評価されている。
2021年には、映画の脚本を手掛けたベルント・リヒテンベルク自身により舞台化。東ドイツを知る世代も知らない世代も楽しめる、普遍的でハートフルな演劇作品となった。
日本初上演は、2024年9月に新国立劇場の芸術参与に就任した上村聡史が演出を務める。主演のアレックス役は相葉雅紀。さらに、堀内敬子、トリンドル玲奈、浅利陽介、松岡依都美、後藤剛範、福本伸一、櫻井章喜、佐川和正、今國雅彦、西尾まり、山崎一といったキャストが集結した。3月9日(日)の開幕に先駆け、プレスコールと開幕前会見が行われた。
<プレスコールレポート>
東ドイツ建国40周年記念日の夜、アレックス(相葉雅紀)は家族に内緒で反体制デモに参加する。アレックスと警官が揉み合っているところを見てしまった母・クリスティアーネ(堀内敬子)はショックを受け、心臓発作で昏睡状態に陥ってしまった。彼女が意識を取り戻したのは、東西ドイツ統一後。アレックスと姉・アリアーネ(松岡依都美)は、母が混乱しないよう、近所の人々を巻き込んで東西ドイツ統一を隠すことにする。
マスコミに向けて公開されたのは、8ヶ月の昏睡状態から目覚めたクリスティアーネが夫・ロベルト(山崎一)と再会し、物語のラストへ向かっていくシーンだ。母を思うが故の嘘をやめることを決断するアレックス、彼ら家族と家族を取り巻く人々の想いが交錯していく、切なくも温かい場面が描かれる。
盆が回ることで家族の思い出の小屋、嘘のテレビ中継に向けた準備の様子など、シーンが次々と切り替わりながら物語が進んでいく構成が面白い。スピード感ある展開にも関わらず、登場人物一人ひとりの心の動きも繊細に伝わってくる。美しいシーンに至るまでの経緯を、このカンパニーがどう作り上げたのか、全編への期待が高まるプレスコールだった。
<開幕会見レポート>
開幕会見には、相葉雅紀、堀内敬子、トリンドル玲奈、浅利陽介、西尾まり、山崎一が登壇した。
ーーまずは本作の見どころについて教えてください。
相葉:この作品は、東ドイツと西ドイツが分かれていた頃のお話。社会主義なども知ることができますが、家族の温かいフィクションを、近所の人まで一緒になって作っていくところに愛を感じる作品です。
堀内:とてもハートフルな作品です。昨今、戦争について考えることもありますが、身近な人を大切に思う輪が広がっていったらと思います。
トリンドル:この作品を見て、アレックスがつく嘘がいいことだと思う人、嘘をつかなくてもいいのにと思う人、いろいろな考えがあると思います。私もラーラをいろんな思いを持ちながら演じています。
浅利:「嘘」ではありますが、「自分の母親や父親が笑って過ごせるのが一番いい」というアレックスの想いに共感できる。相葉くんがアレックスを柔らかくチャーミングに演じているのも見どころです。
西尾:テンポが速いお芝居で、皆さんも一緒に巻き込まれていく感覚があると思います。お楽しみに!
山崎:西や東などイデオロギーの話も出てきますが、それよりも家族や隣人愛がテーマ。結局西も東もないというのがすごく魅力的な物語だと思っています。
ーーアレックスが周囲を巻き込み、愛のある嘘をつき続ける話ですが、皆さんがアレックスの立場だったら?
堀内:すごく信じてるから言えないでしょう。絶対(嘘を)つくと思う。
浅利:つきますね。決まった余生があるなら、その間だけでも。でもちゃんと伝えるのも大事だと思います。
山崎:大事だけど、嘘をつくことで長生きしてもらえるなら……。
トリンドル:愛ある嘘の場合、みんなで準備をするのはちょっと楽しそうだと思います。
相葉:いやー、アレックス、大変ですよ。
一同:(笑)。
相葉:伝え方を考えます。
西尾:私も。ばれちゃうから。
ーー最後に、意気込みとメッセージをお願いします。
浅利:先ほど皆さんも言っていたように、展開が早いです。演じている僕らもテンポが早いなと感じることがある。出ていない時も緊張感があるので、その波に乗って届けられたらと思います。くすくす笑えるところがたくさんあるので見つけていただけたら嬉しいです。
山崎:とにかく頑張ります。お客様に少しでも幸せになって帰っていただけたら。
西尾:見ての通り盆を使うので、怪我をしないように気をつけたいです。テンポが速いので、次のシーンにバトンを渡していくチームワークの良さを見ていただけたらと思っています。
トリンドル:歴史のことや時代背景など、難しいと思う方もいらっしゃるかもしれません、でも、それだけじゃなく、みんなの会話などから何かを感じ取れる作品です。気楽に楽しんでいただけたら嬉しいです。
堀内:相葉くんがとっても大変な思いをする作品ですが、稽古の時からとてもスムーズに進みました。みんなが手を取り合って作ってきたので、それが伝わり、温かい気持ちになっていただけたらと思います。
相葉:ここに登壇している役者さん以外にも、たくさんの大先輩に囲まれ、素敵な経験をさせていただいています。みんなで作る愛のあるフィクションの世界に入っていただけたら嬉しいです。
取材・文・撮影=吉田沙奈