神戸発スリーピースロックバンド・Marie's Girl、「yorisoi」リリースツアー初日東京編のオフィシャルレポート到着
兵庫県神戸発スリーピースロックバンド・Marie's Girlが、2025年3月12日(水)に東京・高田馬場CLUB PHASEにて『2nd demo CD 「yorisoi」release tour “yorisoi tour 2025”』を開催。本公演のオフィシャルレポートが到着した。
兵庫県神戸発の3人組・Marie's Girlが、2025年3月12日(水)に東京・高田馬場CLUB PHASEにて2nd Demo CD『yorisoi』のリリースツアー『yorisoi tour 2025』を開催した。リリースツアー初日と高田馬場CLUB PHASEによるイベント『BEATNUTS』、怪獣ピクルスによるリリースツアー『大人になるならせめてしょうもないことで笑っていたい』を兼ねたこの日は、Marie's Girlと怪獣ピクルス、Recca、東京、君がいない街、LOFT、Lost in Girl、MORNING CALLの7組が出演。スリーピースバンドが名を連ねる中、6番手に登場したMarie‘s Girlのステージをレポートする。
ハヤシケンタロウ(Vo.Ba)が「フロム太陽と虎、神戸Marie's Girl」と名乗りを上げ、「誰が為に鐘は鳴る」でショータイムの幕が上がった。どっしりとした数撃から「PHASE始めようぜ」の言葉を号砲に加速すれば、<貴方の為に ただその為に この声を枯らすから>とこのツアーを回る理由や約1年の活動で確かめた歌う意味を表明。間髪入れずに「当たり前なんてないから。やるか、やらないかっしょ」と「優しさに触れる前に」から「風」「2003」と問答無用のアッパーチューンを連打していく。マエダシンヤ(Dr)のマッシブなプレイングや容赦なく切り込んでくるノダユキオ(Gt.Cho)のコーラスワークで耳が埋め尽くされる分、アンサンブルが後景化する瞬間は<あのまま、二人が笑えてたら 今頃どこで何をしていたかな?><駅でするキスを覚えている>とロマンチシズムを多分に含んだリリックが浮き彫りに。続く「ティーンエイジャー」も然り、ド派手なバンドサウンドが熱を加えていくことによって、甘さの強いハヤシの歌声がより濃い芳香を放つ。
リピートされる日々のかけらを掻き集めていく「アカツキ」を急遽追加したのち、「バンドを始めて1年ちょっとですけど、最初からやりたいことは変わっていないです。俺が観てきたバンドが俺に寄り添ってくれたように、あなたに寄り添いたいし、傍にいさせてくれよ」と披露されたのは「stay with me」。柔らかいファルセットが浮かぶメロディーや「ワン、ツー」必至のブレイク、三拍子からチャイムを彷彿させるアルペジオを合図に突入するクライマックスをはじめ、数々の要素が詰め込まれたこの曲は、バンドの筋力の向上がありありと伺えるナンバーであると同時に、いくつもの諧謔を交えつつ重ならなくなっていた2人の世界をしたためていく。しかし、先ほどのMCを踏まえれば、同曲は決して100パーセントのラブソングではない。バンドがバンドであるための手綱を握り直したMarie's Girlがリスナーに向けた、そして音楽に向けたありったけの愛を込めた1つの讃美歌が「stay with me」であり、それは「全員で光を見に行こうぜ」と捧げられた「サテライト」から彼らが変わらずに抱き続けてきた自負の表象でもあったのだ。
だからこそ。「力を貸してくれよ」とプレイされた「拝啓」はひと際美しかった。スポットライトを一身に浴びながらアカペラで歌いあげるハヤシの背中と、純黒のフロアから確かに聞こえてくる大熱唱。ポツンと舞台を踏みしめるハヤシはさながら銀河を彷徨うようだが、決して孤独なわけではなく、耳を澄ます必要もないほどにいくつもの応答が溢れている。この日初めてパッケージングされて手元にプレゼントされた1曲がここまでのアンセムになっていたことは、彼らが各地のライブハウスで体温に満ちたやり取りを欠かさなかった証明にほかならない。簡単には消化できない悲哀を受容し、「これでも悪くない」と思わせること。3人の言葉を借りると「想いに傘をさすこと」は、既に成されつつある。
ピンクのライティングと共に満開に芽吹いた「サクラ」で、終止符を打ったMarie's Girl。ツアー初日の30分で見せつけたのは、孤独な夜に沿う音楽で寄り添うことを名に冠した今作『yorisoi』が1st Demo『hinode』の根底に流れていた恋慕を超越した親愛と言うべき真っ直ぐな優しさにスポットライトを当てた1枚だということ。初めての自主企画の開催や大舞台を賭けたバトルを経て、彼らは生活に隣接した切なメッセージを届けられるスケールを獲得したのだ。とはいえ、ツアーは始まったばかり。愛知、大阪での公演で、3人は「何がMarie's Girlの源泉なのか」と一層深く対峙していくはず。誰の為に彼らの音楽は鳴らされているのか。その答えは、ライブハウスに落ちている。
取材・文=横堀つばさ 撮影=ハマムラノゾミ
リリース情報
2025年3月12日(水)リリース
ツアー情報
release tour 『yorisoi tour 2025』
w/怪獣ピクルス/Recca/東京、君がいない街/LOFT/Lost in Girl/MORNING CALL
3月27日(木)愛知・栄Party'z
w/BACK TO BOYS/kurage/May Forth/SAMMOJi
4月10日(木)大阪・心斎橋BRONZE
w/Brown Basket/Cloudy/MUSHRO.mo/poro.