FM802『RADIO∞INFINITY』15周年の節目に大集結ーー『電波無限祭 -15の夜-』TALTOオールスターズ、コレサワ、CLAN QUEEN、Czecho、SHE’S、TRACK15、猫背セゾと伝説の夜に
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2025年3月24日(月)・25日(火)、大阪・なんばHatchでFM802の番組『RADIO∞INFINITY』(毎週木曜 深夜00:00〜3:00)の15周年記念イベント『RADIO∞INFINITY 15th Anniversary pre. 電波無限祭-15の夜-』が開催された。15年間、最前線のライブハウスシーンをキャッチして発信し続けてきた同番組。SPICEでは歴代DJsの鼎談も行うなど、本イベントを追いかけてきた。いよいよ迎えた当日。本記事ではDAY1の模様をレポートする。『RADIO∞INFINITY』と802がいかにバンドマンたちから愛されてきたか、DJsとの関係性が深いかがよくわかる、特別で幸せな1日となった。
『RADIO∞INFINITY 15th Anniversary pre. 電波無限祭〜15の夜〜』DAY1 2025.3.24(MON)大阪・なんばHatch
深夜番組のイベントだが、平日のお昼間に開催ということで、会場のなんばHatchには春休み中の学生の姿が多く見られた。働く社会人向けの「アフター6
イベントは前半を「無限 TIIME」、18時以降の後半を「INFINITY TIME」として構成。DAY1の「無限 TIME」にはコレサワ、CLAN QUEEN、Czecho No Republicが、「INFINITY TIME」にはSHE'S、TRACK15、TALTOオールスターズ(SAKANAMON / はっとり、長谷川大喜 fromマカロニえんぴつ / いちろー、せんせい、おいたんfrom ex 東京カランコロン)が、そしてOAに猫背のネイビーセゾンが出演した。
会場では『RADIO∞INFINITY』を楽しんでもらおうと、随所に工夫がなされていた。ロビーに足を進めると、番組ロゴの入ったフラッグが目に飛び込んできた。これまで番組ゲストに登場したアーティストのサインが入ったもので、普段はスタジオに飾られているそうだ。フラッグの前には「出席確認」のボードが置かれ、DJsのサインとメッセージが入っていた。番組のオープニングで行う出席確認を『電波無限祭』でもやろうということで、ラジオネームとメッセージを募っていた。ここで書かれた名前は実際に番組内でも読まれるとのことで、イベントが終わる頃にはたくさんのメッセージがボードに踊っていた。
また、タイムテーブルがラジオの進行表のようだったり、「ネヤガワドライビングスクール」のポスターの写真が昨年9月に行われた『NEYAGAWA DRIVE ROCK FES』のものだったりと、『RADIO∞INFINITY』の世界が伝わるものになっていた。
定刻になり、暗転した会場に「さあ、時刻は11時45分を回っております。今週も月火水木生放送でお届けしてきました『ROCK KIDS 802』」と、FM802 DJ・落合健太郎の声とラジオジングルが聴こえてきた。「『RADIO∞INFINITY』、今日は15年の集大成。今日だけのスペシャルな内容でお届けしていきますよ」と紹介。このイベントのために特別に収録したそうだ。その後、2011年4月〜2021年3月まで802で放送されていた、『MIDNIGHT HARBOUR』のテーマ曲が流れ始めた。瞬間、自分の中で日付が変わる直前の夜の空気が感じられ、まるで家で802を聴いているような気持ちになる。
やがて歴代DJsの飯室大吾、樋口大喜、ハタノユウスケがステージに登場し「ようこそお越しくださいました! 初代DJの飯室大吾です」「2代目樋口大喜です」「そして現在も担当しております。3代目ハタノユウスケです」と挨拶。飯室は「『RADIO∞INFINITY』という番組がずっとやってきたことを、そのままイベントにした2日間になるんじゃないかな。これまで我々、深夜にあらゆるバンドの皆さんに無茶なお願いをしてきたじゃないですか。今回はその逆がありえます。普通のライブじゃなさそうな気がします」と予想。深夜番組だからこその自由さがライブにも反映されそうで、何が起こるかワクワクする。また「我々3代の歴史が全部詰まったみたいで、楽屋は同窓会のような雰囲気もあり、始まる前から胸アツです。その気持ちを皆さんにたっぷりお届けしていきますので、最後まで楽しんでいってください」と意気込んだ。
ハタノが「お客さんと一緒に熱狂を作っていくライブになると思います。何が起こるか我々もわかってないようなところもあるのでね」と言うと、樋口は楽しすぎるのかイタズラ心を覗かせて「え、そうなん!? わかってないの?」とハタノに絡んで困らせる。飯室はそんな次男(樋口)と三男(ハタノ)を笑顔で見守りつつ「それでは『電波無限祭 -15の夜-』、コレサワからスタートです!」と開会宣言をした。
コレサワ
飯室にバトンを渡されたコレサワは、バンドメンバーのひぐちけい(Gt)、Shizupi(Ba)、下山明恵(Key)、U(Dr)とステージに登場し、「あたしを彼女にしたいなら」から軽快にライブをスタート。よく通る歌声とキャッチーなメロディーがスッと身体に入ってくる。大阪・摂津市出身のコレサワは、活動初期の頃から『RADIO∞INFINITY』にお世話になっていると述べ、「今日初めてなんばHatchに出させてもらいました。いつかここで自分もライブしたいなと思っていた夢を、802に叶えてもらいました」と笑顔。
「阪急電車と2DK」に続き披露された「浮気したらあかんで」では、「実は今日、ボーイフレンド連れてきたんだけど、紹介してもいい? ボーイフレンドの樋口くんでーす!」と樋口を呼び込んだ。「彼氏」と書かれたトラの着ぐるみ姿で現れた樋口は、コレサワと一緒にキュートなダンスと歌詞に合わせたアクティングを披露。<浮気したらあかんで あかんで かんで かんで>とコレサワに胸ぐらを掴まれたり、謝ったりする樋口の姿はレア。これぞ『RADIO∞INFINITY』ならではの光景で、おおいに会場を湧かせていた。ラストスパートは3月リリースの最新アルバム『あたしを選んだ君と あたしを選ばなかった君へ』 から「あたしを選ばなかった君へ」、そして「♡人生♡」で「15周年おめでとー!」のコール&レスポンスで祝福してひとつに。親しみやすい人柄で初見の人もしっかり会場を巻き込み、ヘルシーで華やかなライブで楽しませてくれた。
CLAN QUEEN
2番手は2022年結成のCLAN QUEEN。SF映画のオープニングのようにミステリアスなSEが流れ、サポートドラムの井上瑠哉、AOi(Gt)、マイ(Ba)、yowa(Vo)が登場。yowaが「かかってこいや!」と好戦的に煽り、1曲目の「プルートー」を投下した。顔がはっきり見えないほど暗めの照明で歌われるAOiとyowaのツインボーカルは独自の世界観を確立し、オルタナ感満載のサウンドで観る者を圧倒していく。続く「求世主」は、疾走感の中にボカロ要素やラップなど様々なジャンルをクロスさせる。どの曲もメロディーラインが秀逸で、yowaは抜群の歌唱力、楽器隊はハイスキルの持ち主で、佇まいもクールだ。洗練された新世代のセンスに脱帽する。
ここからは曲の合間に環境音のSEを流し、ほぼMCなしでシームレスに楽曲を披露していった。「『RADIO∞INFINITY』15周年おめでとう! 大阪、踊ろう!(yowa)」と誘い、ダンスチューン「踊楽園」、ハイトーンボーカルが切ない「紙風船」に続き、「次はDJハタノさんリクエストの曲をやります(AOi)」と「花一匁」を披露。ラストの「自白」までじわじわと雰囲気を高め、全9曲を駆け抜けた。楽曲ごとに異なる表情を魅せ、ダークかつスタイリッシュなパフォーマンスで圧倒したCLAN QUEENだったが、この後のDJsトークで楽屋から声を聞かせてくれたメンバーのギャップは新鮮だった。樋口曰く裏では「キャピキャピしている」そうで、若者らしい一面も知ることができた。ますます気になるバンドだ。
転換中には番組にゆかりのあるアーティストからのビデオメッセージが続々到着。DAY1はKANA-BOONの谷口鮪(Vo.Gt)と遠藤昌巳(Ba)、chelmico、シャイトープ、w.o.d.、DENIMSが、それぞれお世話になったDJとのエピソードや、番組での思い出を嬉しそうに語っていた。
中でも、FM802 DJの板東さえかは『RADIO∞INFINITY』DJ飯室大吾のアシスタントとして、2014年4月〜2017年9月まで「ムゲンレコード」というコーナーを担当。2017年夏にはCzecho No Republicの楽曲「MUSIC」で「チェコと12人の仲間たち」の一員として、飯室とコーラスに参加した繋がりがある。続いては、飯室と板東にとって関係値の深いCzecho No Republicが登場した。
Czecho No Republic
「無限 TIME」のトリは、今年結成15周年のCzecho No Republic(以下、チェコ)。サポートにオオナリヤスシ(Ba)を迎えた編成で、武井優心(Vo.Gt)、山崎正太郎(Dr)、砂川一黄(Gt)、タカハシマイ(Gt.Syn.Vo)が登場し、「No Way」からとびきりポップな疾走感で会場を包んでいく。さらに間髪入れず「Amazing Parade」をドロップ! あっという間にハッピーな空間に導いて、武井は「大好きな『RADIO∞INFINITY』の15周年を祝う場に呼んでいただき本当に嬉しいです! 大吾さんとは友達になっちゃうぐらいの関係性で、すごくよくしてもらっております」と感謝を述べる。『RADIO∞INFINITY』で1番思い出に残っていることとして、2012年リリースの2ndミニアルバム『DINOSAUR』に収録のインスト含む全8曲を飯室が番組内で全曲をフル尺でかけてくれたことを挙げ、「本当に大好きです」と愛を伝える。続く「Psychedelic Night」ではタカハシのレクチャーにより全員でダンス、「Firework」ではジャンプでよりひとつに。パワフルで繊細なバンドサウンドが本当に気持ち良い。
『RADIO∞INFINITY』同様に15周年を迎えたチェコだが、順風満帆ではない時期もあった。昨年、4年ぶりにアルバムを出して802を訪れた際、武井は「自分はもう過去の人になってるんだろうな」と思っていたそうだが、卑屈になっていたのは自分だけで、何も変わっていなかった。みんな俺らの音源を待っていてくれたと語り、802で過ごした時間ともらった愛を曲に詰めた新曲「Sing Again」を披露。ラストはチェコと『RADIO∞INFINITY』にとって思い出深い「ダイナソー」で爽やかに締め括った。
ここでDJsがステージに登場。飯室は『DINOSAUR』について「リスナーさんにどの曲で好きになってもらえるかわからないから、全曲かけようと思った」と当時を回顧した。
アンコールは、2013年10月度FM802ヘビロの「MUSIC」を「仲間たち」verで披露! ゲストボーカルにコレサワ、2017年当時も参加した井上竜馬(SHE’S)、藤森元生(SAKANAMON)を呼び込み、飯室、そして駆けつけた板東の総勢10名で、思い切りにぎやかに祝祭の夜を彩った。
前半「無限 TIME」が終了し、DJsのトークパートへ(樋口はなぜかバズ・ライトイヤーの羽をつけて登場)。「無限 TIME」のライブを振り返り、ワイワイと後半の「INFINITY TIME」へ突入した。
猫背のネイビーセゾン
まずはOAに「神戸、夜を彩るネオンロックバンド」こと、猫背のネイビーセゾンが登場。ハタノは「フレデリックやアルカラといった神戸のダンスロックバンドを源流にしつつ、各地のライブハウスを踊りに踊らせている。彼らの音楽には祈りや希望が込められて、ダンスで色んなものを突破していこうという強い精神がめちゃくちゃ好きなんです」と盛り上げ、バトンを渡す。
同郷の先輩であるフレデリックへのリスペクトが伝わるオープニングで、クラップで迎えられた井上直也(Vo.Gt)、おかともき(Ba.Cho)、横山大成(Gt)、石坂圭介(Dr)は、気合いたっぷり、開けたムードで明るく会場を巻き込みつつ「DANDANDANCE」で勢いよく自分たちの世界を構築していく。続けて「イントロから飛べますか?(井上)」と「Demonize」を投下してなんばHatchをダンスフロアに変える。
ツインボーカルで、フロントマン3人が大きく動き回る予測できないライブ展開に、思わず釘付けになった。井上は「『RADIO∞INFINITY』15周年、誠におめでとうございます! 記念すべき日にオープニングアクトに選んでいただいて光栄です」と喜び「なんばHatchデカいね!」と目を輝かせる。またなんばHatchに戻ってこられるように大きくなりたいと意気込んで、ラストはシンセサウンドが華やかな「偽り切ないな」へ。中毒性のあるライブでしっかり爪痕を残した猫背のネイビーセゾンだった。
SHE’S
来年結成15周年を迎えるSHE’Sは、井上竜馬(Vo.Key)の弾き語りから「Grow Old With Me」を演奏し、エバーグリーンなメロディーで会場を満たしていく。情熱的な「Masquerade」、美しく力強い「Cloud 9」と良曲を連投し、キャリアに裏付けされた実力をありありと提示する。服部栞汰(Gt)は「『電波無限祭』ということで、祭りですね! 『RADIO∞INFINITY』は昔からジングルを作らせてもらったり、思い出がたくさんあるんですけど、15周年を祝うことができて嬉しいです!」と挨拶。井上は「俺らの1個上や。すごいですよ、1つのことを15年間も続けてるって」としみじみ。
広瀬臣吾(Ba)と木村雅人(Dr)のリズム隊がパワフルな「Ugly」、『RADIO∞INFINITY』でラジオドラマを作った「Letter」を経て、井上は「『RADIO∞INFINITY』や樋口大喜がいる時にしか演奏しない曲があって」と、番組ジングル制作がキッカケでフル尺が作られ、アルバム『Now & Then』(2019年)に収録された「Sweet Sweet Magic」についてトーク。「樋口呼んで話そっか」と呼び込まれた樋口は、<白馬の王子様のように>の歌詞にちなみ、馬に乗った格好になれる着ぐるみを着て登場。「ヒヒーン!」といななき、嬉しそうに井上に近付いていく。
しばし思い出話に花を咲かせ、いよいよ楽曲を披露。樋口は「SHE’Sの世界観でありえないことが起こりえてる『電波無限祭』に感謝です」と述べ、キラキラポップサウンドに乗せて、井上とスイッチしながら張りのある歌声を響かせ、かき回しや煽りでステージを最高潮に盛り上げた。そのままの勢いで「Dance With Me」で華やかにライブをフィニッシュ。SHE’Sと樋口の関係性が見える、素敵な時間だった。
TRACK15
続いては大阪高槻出身の4人組ロックバンド・TRACK15。青く染まるステージに現れた蓮(Vo.Gt)、寺田航起(Gt)、高橋凜(Ba.)、前田夕日(Dr)は4人集まって気合いを入れ、「話したいこと」を奏で始める。透明感と繊細さをあわせ持つ蓮の歌声、上質なメロディーライン、高らかなギターリフがあまりにも美しい。耳に飛び込んでくると同時に浄化されるような感覚に胸がふるえた。間髪入れず「シティーライト、今夜」を投下し、クラップとジャンプ、シンガロングでひとつに導いていく。さらにベースラインが光る「青い夏」ではハンズアップ。良曲揃いで、コンポーザー・蓮のメロディーメーカーぶりに舌を巻いた。
「一生に一度しかない、15周年という記念すべき日にステージに立たせてもらえて幸せです」と蓮。802との関係性はまだ浅いものの「短い期間でたくさん関わらせてもらった」と感謝を述べる。何よりも高橋がハタノの高校からの友達で、ハタノの『RADIO∞INFINITY』の初回ゲストがTRACK15だった。
蓮は「僕たちの曲が初めて802でかかった時の鳥肌を、僕は忘れていなくて。802に愛を込めて!」と樋口が電波に乗せた「眠れない」を疾走感たっぷりに披露。そして最後は802との思い出を語り「助けられてばかりだなと思います。俺らの音楽で絶対に恩を返そうと思います。何年先もラジオで繋がっていけますように」と誠実な言葉を添えて、2024年11月度FM802ヘビロの「千年計画」を丁寧に歌い上げた。
TALTOオールスターズ
DAY1の大トリは、伝説的なステージになる予感しかないTALTOオールスターズ。「TALTO」は2016年に発足した音楽レーベルで、SAKANAMON、マカロニえんぴつ、そして2020年に惜しまれつつ解散した東京カランコロンを世に送り出してきた。今回は「『RADIO∞INFINITY』のために!」ということで、初めてSAKANAMONがホストバンドとなり、マカロニえんぴつのはっとり(Vo.Gt)、長谷川大喜(Key)、東京カランコロンのいちろー(Vo.Gt)、せんせい(Vo.Key)、おいたん(Gt)とともに、この日限りのスペシャルライブを行った。オールスターズが集結するのは、実に『RADIO CRAZY 2019』ぶり。超レアでハッピーな企画に胸が踊る。
まずは、TALTOオールスターズのホストバンドをつとめるSAKANAMONが登場。TALTOでは中堅の彼らが、先輩の東京カランコロンと後輩のマカロニえんぴつを立て、演奏を支える。おいたんはギタリストとして最初から演奏にジョイン。藤森元生(Vo.Gt)は「TALTOオールスターズから一発目、SAKANAMONです。よろしくお願いします!」と放ち「花色の美少女」を勢いよくドロップ。森野光晴(Ba)と木村浩大(Dr)のタイトなビートとギターリフに乗ってパワフルな藤森の歌声が伸びてゆき、しっかりフロアの手が上がる。続けざまに「空想イマイマシー」を熱量高く、荒々しくプレイして会場の温度を引き上げた。
自分たちの楽曲を披露したところで藤森は「改めて『RADIO∞INFINITY』15周年おめでとうございます! レーベルを代表して、TALTOオールスターズとして演奏したいと思います!」と、マカロニえんぴつのはっとりと長谷川を呼び込む。らんらんとした瞳で、やる気に満ちた様子のはっとりはギターを持って「いけるかー!」と煽り、「洗濯機と君とラヂオ」をプレイ。全身から放たれるすさまじい声量の歌声から、気迫と愛が感じられる。はっとりは「大阪そんなもんか!」と煽りながら、圧倒的なパワーで会場を引っ張っていく。長谷川は心底楽しそうに、笑顔で鍵盤を奏でていた。
はっとりは「『RADIO∞INFINITY』15周年おめでとうございます。お世話になりっぱなしですね。TALTOの先輩の代からの流れで当たり前のようにラジオで曲を流してもらったり、大阪に来れたりしましたけど、カランコロンとSAKANAMONが繋いでくれたバトンでもあるし、802が作ってくれた居場所だと思っているので。大阪をアウェイと感じないのは、昔から802が傍にいてくれたり、『RADIO∞INFINITY』が共にあったからだなって。15周年の時とその歴史の中に混ざれていることを嬉しく思います。今日はTALTOの音を存分に浴びてください」と述べて、2019年9月度FM802ヘビロ曲「ヤングアダルト」をパワフルに情緒的に、会場全体を巻き込んで演奏した。
続いては東京カランコロンの番。長谷川はそのまま演奏に入り、はっとりは一旦ステージを去る。「ドン、ドン」と木村のビートが走り出すと会場はクラップの嵐に。そこからSAKANAMON、長谷川、おいたんによるバンドアンサンブルが分厚くなって疾走感を増す。いちろーとせんせいに最高のステージを用意するんだ、繋ぐんだというメンバーの気合いがものすごい。
いちろーとせんせいが現れると、フロアは大興奮! ギターを持ったいちろーはおいたんと目で合図すると「お久しぶりです! 今日はよろしく!」と挨拶して「16のbeat」へなだれ込む。「大阪ー!」といちろーが叫ぶと同時においたんのギターリフがわななき、懐かしさに胸がぎゅっとなる。ステージに立つのは3〜4年ぶりだというせんせいは、伸びやかでパワフルないちろーのボーカルに最高のコーラスを重ね、笑顔でぴょんぴょんジャンプ! ロックなプレイは健在で、歪みギターやいちろーのシャウトに牽引されて、フロアはクラップやハンズアップでひとつに。最後はいちろーがドラム台からジャンプ。なんという迫力! 奇跡のステージを観た喜びと尊さが会場中にあふれ、オーディエンスは惜しみない歓声と拍手を贈ったのだった。
「僕たちは以前、TALTOというレーベルに所属して、東京カランコロンというバンドをやっていたんですけど、少し前に解散して。『RADIO∞INFINITY』さんにも802さんにも死ぬほどお世話になって。大阪で初めて見つけてくれたのが大吾さんだよね(いちろー)」「そうそう。大阪でほんまに数えるぐらいしかライブやってない時に来てくれて(せんせい)」「次は2nd LINEに観に来てくれて、それ以来のお付き合い。次の年に『ミナホ』の大吾さん枠に出させてもらって。めちゃくちゃお世話になりました。今日は、解散してるんですけど「お祝いしてくれませんか」ということでやって来ました(いちろー)」と、飯室との関係やこれまでの経緯を話す。
そして飯室リクエスト曲の「ラブ・ミー・テンダー」をプレイ。中毒性のあるギターリフが鳴り響き、伸びやかで恍惚としたハーモニーとサウンドに意識が連れていかれる。いちろーはギターを、せんせいは鉄琴を奏で、先ほどとは全く違う表情を作り出した。<だって、出会った。それは消せない。>という歌詞が、大きな意味合いを持って響いてくる。出会えたから今があるのだ。それは変わらない事実。いつまでも鳴り止まない拍手と贈られるあたたかな眼差しに、カランコロンへの愛を強く感じた。
再びステージに呼ばれた藤森とはっとり。藤森は「めっちゃ良かったです。ちょっと泣いちゃいました」と感動を口にする。はっとりは「もっとやってほしかったですね。(2人が)何をされてたか気になるんじゃないですか?」と、いちろーとせんせいがバンド解散後にどう過ごしていたのか質問する。せんせいは現在3歳半のお子さんを育てるお母さん。毎日公園に行ったり、畑で花を見たり、ブランコを永遠に押したり、子どもとの時間を過ごしているそうだ。いちろーは歌唱指導や楽曲制作など、裏方として音楽業界に関わっていると話す。話は尽きず、しばし和気藹々と8人でのトークを楽しんだ。
そして、2019年に3バンドが合同ツアーを行った際に制作し、会場限定CDに収録された「TALTOのレシピ」を披露。ゆったりとしたミドルナンバーで、1番ははっとり、2番はいちろー&せんせい、3番は藤森がボーカルを担う。サビは<ラララ……>と全員でシンガロング! フロアは手をワイパーしてひとつになる。ボーカル陣によるロングトーンやフェイク、シャウトは圧巻。最後は藤森が「サカなもんくん」のぬいぐるみを上に投げてフィニッシュした。TALTOが生み出す最高の音楽を浴びて、素晴らしい多幸感に包まれた会場。それぞれが見せた晴れやかな表情が、とても印象的だった。
「すごいもんもらっちゃった気がするんですけど!(飯室)」「やばーい!(樋口)」と興奮と感動をおさえきれない様子のDJs。「まだみんなが出会ってないかもしれないけどすごく素敵な音楽を鳴らしてる人たちを知ってほしくてただただやってきた番組を、15年経ってこんなにお祝いしてもらえるなんて思ってませんでした。一生分のおめでとうをもらった気がします(飯室)」「ラジオはやっぱり遊びだなと思いましたね。皆さんとリクエストが紡いできた15年だと思うので、本当に感慨深いです(樋口)」「802って『RADIO∞INFINITY』って素敵だなと思いましたし、樋口さんもおっしゃってましたけど、あなたたち1人1人が作った場所です。この15年、本当に本当にありがとうございました!(ハタノ)」と万感の思いを伝え、DAY1を締め括った。
取材・文=久保田瑛理 写真=FM802提供(撮影:渡邉一生)
セットリスト
『RADIO∞INFINITY 15th Anniversary pre.電波無限祭-15 の夜-』
2025年3月24日(月)@大阪・なんば Hatch
【セットリスト】
コレサワ
1.あたしを彼女にしたいなら
2.元彼女のみなさまへ
3.阪急電車と2DK
4.浮気したらあかんで
5.あたしを選ばなかった君へ
6.♡人生♡
1.プルートー
2.求世主
3.天使と悪魔
4.サーチライト
5.踊楽園
6.紙風船
7.花一匁
8.ゲルニカ
9.自白
1.No Way
2.Amazing Parade
3.Psychedelic Night
4.Firework
5.Sing Again
6.ダイナソー
En.MUSIC
1.DANDANDANCE
2.Demonize
3.偽り切ないな
SHE’S
1.Grow Old With Me
2.Masquerade
3.Cloud 9
4.Ugly
5.Letter
6.Sweet Sweet Magic
7.Dance With Me
1.話したいこと
2.シティーライト、今夜
3.青い夏
4.眠れない
5.君ノーベル
6.千年計画
1.花色の美少女
2.空想イマイマシー
3.洗濯機と君とラヂオ
4.ヤングアダルト
5.16のbeat
6.ラブ・ミー・テンダー
7.TALTOのレシピ