What’s FAVOY ~ルーツと今を紐解き“ふぁぼい”を知る~ 第5弾:超学生
超学生
『FAVOY』ー それは細分化されたネット音楽を網羅するために立ち上がったプロジェクトである
その第1章となるライブイベント『eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-』が、2025年8月7日(木)・8日(金)にZepp Shinjuku(TOKYO)にて開催される。
イベント名である『FAVOY』とは、FavoriteをFaveと略して推しと解釈する海外の若者文化に、2010年代に日本のSNSで流行した「ふぁぼる(いいねを押す)」を掛け合わせた「ふぁぼい(推せる!いいね!)」という造語。インターネットを超えリアルで推しを実感し、新たな推しとの出逢いに繋がるきっかけになってほしいという意味が込められている。
SPICEでは本イベントの開催に向けて、出演者であるSou、超学生、缶缶、DAZBEE、水槽、Empty old City、キービジュアルを担当したイラストレーター・萩森じあにインタビューを実施し、バイオグラフィを紐解く。
第5弾となる今回は、超学生が登場。活動の原点やネットカルチャーと触れあうことになったきっかけ、いまの“ふぁぼい”など、たっぷりと語ってもらった。
――2012年に歌い手活動を開始された超学生さん。そもそもどんなきっかけがあってネットカルチャーと触れあうことになったのでしょうか。
小学生のころ、DSなどのゲームは禁止だけど逆にパソコンは使っていいよという、その当時にしては珍しい教育方針の家だったんですよ。父がインターネットカルチャーにすごく詳しくて、HIKAKINさんや瀬戸弘司さんの動画をよく観ていたこともあり、僕も自然とそうしたYouTuberさんたちの動画に触れるようになりました。あとは、文字を読むのが好きだったのでいわゆる2ちゃんねるの怖いコピペとか笑えるコピペとかを漁ったりしていましたね。
――その延長線上で、今の活動につながるような歌、音楽との出会いがあったのでしょうか。
もともとずっと音楽が流れているような家で、歌うことも音楽を聴くことも幼いころから好きだったんですけど、小学4年生のときにGoogle ChromeのCMで流れていた初音ミクの「Tell Your World」という曲に出会ったんですよ。そこからいろいろ調べていくうちに「歌ってみた」の作り方動画のようなものをYouTubeで見つけて、「歌ってみた」というものがあることを知って。インターネットに対する抵抗がその時点で全然なく、だったら自分も上げてみようかな、っていう軽い気持ちで「歌ってみた」動画を投稿してみたんです。
――当時、歌い手や歌手で憧れの存在はいたりしたのでしょうか。
憧れの存在は特にいなかったと思うんですけど、よく聴いていたのはエンヤですね。
――同年代のお友達はなかなか聴いていなさそうですね。
そうですね(笑)。エンヤは、母が幼かった僕を寝かしつけるための子守唄感覚で聴かせてくれていて。それ以外で聴いていたのは……サザンオールスターズ、ゆず、Mr.Childrenとか。やっぱり、親の影響がかなり大きいと思います。小学校中学年くらいになると、KARAとか少女時代とかK-POPもよく聴くようになりました。
――幅広い表現力を持つ超学生さん、その音楽ルーツもやはり色彩豊かなのですね。それにしても、小学4年生にして「歌ってみた」動画を自ら投稿したその行動力にも驚かされます。
自分の中では自然ななりゆきというか。たぶんそれぐらいの時期ってみんなそういうチャレンジをしたい気持ちってあると思うんですけど、だいたいは親が止めるんですよ。僕が投稿し始めた時期は、今よりもさらにインターネットは怖い、危ないみたいな空気感があったと思いますし。でも、我が家の場合は親が「いいじゃん」という感じで止めなかったっていう……それだけのことです(笑)。特に口出しはしてこないし、こっちから助けてほしいことがあるときには協力してくれる。そういう両親のスタンスはとてもありがたかったなと思います。
――子どもの自主性を重んじて、信じてくれていたのですね。ちなみに、動画投稿を始めたころ、リスナーさんからの反応を含めどんなことを感じたか覚えていますか?
意外とみんなやさしいんだなっていうことをまず思いました。知らない人に叩かれまくるものだと予想していただけに、褒めてくれる人がこんなにたくさんいるんだっていう驚きがありました。
――そうだったのですね。
いまだにそうなんですけど、ちゃんとマイクで録ってフリーソフトでいい感じに処理をすれば、自分が家で録った音がCDで聴くような完成した音になるっていう感覚が、すごく面白くて好きなんですよね。で、それを投稿してみたら、もちろん今ほどの規模ではないけど嬉しいコメントがつくようになって。それがきっかけで、同年代だけではなく時にはめちゃくちゃ年上の人と関わることになっていったし、インターネット上で友達がどんどんできていくのも楽しかったんですよね。学校に行けば普通に友達はいたんですけど……。
――超学生さんにとって、インターネットは逃げ場所ではなかったのですね。
そうですね。僕、小学生のときバスケとサッカーどっちもやっていたりして。ネットにしか居場所がなくてっていう感じではなく、現実世界もネット世界も両方エンジョイしていました。
――授業を受けたあとにがっつりスポーツして……時間的にも体力的にも、ネットでの活動をするのはかなり大変そうです。
確かにそう言われると……自分すごいですね(笑)。部活動2〜3時間やって、帰ってきて歌うなんて、今じゃ考えられないです。
――スポーツで鍛えられた精神が活動にいきていたりも?
すると思いますね。たとえば今日は何km走る!と決めたらそれは絶対に実行してきたし、周りがどうこうは関係なく自分で決めたことはやり遂げたい、昨日の自分を超えていきたいという気持ちは常にあります。
――活動を始めて13年、自身で感じる変わったこと、変わらないことは?
変わらなかったことで言うと、名義とアカウント名ですね。少なくとも僕の周りでは、どちらも変わらず活動を続けているというのはかなり珍しいことで。Xのアカウント名が“chogakusei”ではなく“tyougakusei”になっているのは小学生のときに綴りを間違って作ってそのままだからです(笑)。
あと、昔の動画もほとんど消さずに残してあります。過去の自分があってこそ今の自分があるし、声変わりって人間の仕組みとしてかなり面白いものだと思っているので、成長の過程も資料として残しておきたいなと。そのおかげで、昔の自分の声とコラボする動画を投稿するっていう新しい試みも実践できました。でも、動画スタイルはガラッと変わりましたね。本家様の動画をお借りするにしてもオリジナルのMVを作るにしても、ずっと顔を出さずに活動していたんですけど、最近はシルエットではあるものの顔がほぼ出ている実写動画を投稿するようになって。
――その変化はなにか意図してのものだったのでしょうか。
僕は戦略家タイプではないので、そのときのテンションでやってみたいことをしているだけなんですけど……強めに影響を受けたのはバルーン(須田景凪)さんですね。うしろから青い光に照らされた須田さんが歌う「パレイドリア」のMVを観て、すごく素敵だなと思ったんですよ。同時期、レコーディング映像をそのまま使うっていうスタイルのMVも多くて、機材などが映っているのもかっこいいなと思ったりして。そういうのが組み合わさって、今の動画スタイルができていきました。
――そのときいいなと思ったもの、やりたいなと思ったことを形にしていこう、自分の気持ちに従おうと。活動に際してもっとも大事にしているのは、やはりそういった直感を信じる、ということになりますか?
そうですね、直感に従うようにはしています。直感って経験に基づく脳の警告というか、なんとなくの違和感を覚えたものって脳が奥のほうで冷静な判断をしていることが多いと思っていて。たとえば録音時、マイクが2つあってどっちを使おうか迷ったときは、自分の直感を信じて選ぶようにはしています。
あと、大事にしているのは音。とにかくいい音であればほかはなんでもいいぐらいに思っているんですよ。それこそ、今回参加させていただく『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』の出演者ってブランディングの神みたいな方々が集まっていると思うんですけど、そういうブランディングは僕にとって不得意なことなので。おしゃれなことはできないし、人間性はもう全然隠さず好きなように活動する。その代わり音だけは絶対よくすることで、帳尻合わせようとしているんです(笑)。
――いい音のためには絶対に妥協をしないと。困難な局面に苦しむことはあるのでしょうか。
しょっちゅうあります。リファレンス音源の質感になかなか近づけないとか、いい感じだと思って出したのにどうやらみんなにはいい感じに聴こえていないぞとか。それはもう、いい感じだと自分が思えるまでやり続けるか、いい結果が出るまで投稿し続けるかしかないんですよ。幸い僕は毎週投稿できる環境にいるわけで、1回投稿がこけたら次にいい結果が出るまで頑張るしかないし、落ち込んでいる時間がもったいないですからね。一時期はダークなボカロ曲が流行って、最近はポップなものとかイージーリスニング的な曲が好まれたりとか、リスナーさんのブームが目まぐるしく変わっていく中で、こうすれば絶対に大丈夫!っていう正解が見つからないからこそ、この活動って終わりがないし、楽しいとも思うので。とにかくトライアンドエラーを繰り返していくしかないですよね。
――アンテナをしっかり張って。
はい。僕はもう昔ながらのオタクくんなので、さまざまなコンテンツを楽しく観たり聴いたりさせていただいております。ライブにご招待いただいても、いざ始まってしまうと分析しようとか勉強しようとかっていう気持ちが吹き飛んでしまって、ペンライトをブンブン振り回しながらただただ楽しんじゃいますもん(笑)。
――超学生さんの歌や音楽に対する“好き”という気持ちの純度、活動を重ねてもずっと変わらず高いままなのですね。
それってもしかしたら一長一短かもしれないんですけど……純粋に楽しむぞっていう感覚はやっぱり持ち続けていたいんですよね。それがあれば、自分の音源とか動画とかでどうしようか迷ったとき、自分自身がまずペンライトを振れるか否かで決められるので。
――自分の作品の一番のファンであるって素敵なことです。そんな超学生さんにとって、他の方の作品やライブで印象に残っているもの、ことはありますか?
作品で言うと、ボカロPのァネイロさんの動画ですね。実験音楽に近い感じで、初めて観たときに衝撃を受けて。動画はmelonadeさんという方が作っていて。ァネイロさんの動画を観て、僕もmelonadeさんに「キラーチューナー」の映像をつくっていただいたんですけど、すごくうれしかったですね。
ライブに関しては僕はそんなにたくさん観に行っているほうではないんですけど、FAKE TYPE.さんがゲスト出演されたTOOBOEさん主宰のイベントが純粋に楽しむぞ部門でトップクラスに楽しかったです。大好きなエレクトロスウィングを全身で浴びて、VJの野良いぬさんがお客さんのことをめちゃくちゃ煽って……あの興奮は忘れられないですね。会場がZepp Shinjuku(TOKYO)だったんですけど、関係者席になっていたバルコニー席からバスケの観戦みたいな感じで臨場感たっぷりにステージを観ることができたというのもありがたかったです。
――この夏超学生さんが出演されるイベント『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』の会場がまさにZepp Shinjuku(TOKYO)です。
共演させていただく缶缶さん、Souさんはもちろん、2日目に出演されるEmpty old Cityさん、水槽さん、DAZBEEさんのステージもぜひ観させていただきたいです。
――多様性に富むネット音楽を一挙に楽しめるライブイベントを目指し、デジタルネイティブ世代の若者にとって画面を超えてリアルで“推し”に会える場になってほしい、という意図で企画された『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』。超学生さんはどんな期待感を抱いているのでしょうか。
『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』に出演されるのは、僕にとってご一緒したいなと思っていた方たちばかり。おしゃれな方、透明感ある澄んだ方たちもいてそれぞれに世界観を色濃く打ち出すだろうなという中で、めちゃくちゃ盛り上がる熱狂の山みたいなものを僕含めて誰かのところでつくれたらいいなと思っています。
――同日に共演されるのは、Souさんと缶缶さん。Souさんとは2022年にライブイベントでご一緒されて、缶缶さんとは2022年8月投稿の「ドロシー」でコラボされていますよね。
そうなんです。Souくんとはライブでは一度しか共演がないんですけど、僕が活動を始めた小学生のころからお互いに知っている仲だし、最近もLINEで機材オタクトークをしているので、対面でディープな話をしてみたいですね。缶缶さんとは動画でコラボはしたものの実際にお会いするのは初めてで。でも、昔から缶缶さんのことを知っているし、曲もたくさん聴いているので、いろいろとお話ししてみたいです。あと、ファッションとか美容とががお好きな方なのかな?と勝手ながら思っているので、そういうお話もしたいですね。
あとは、せっかくの機会なのでステージで一緒になにかできたらいいなとも思っています。
――なにしろ、刺激的なイベントになりそうですね。今後の活動に目を向けると、挑戦してみたいことや目標はありますか?
Xのプロフィールに書いているように、まずはYouTubeの登録者数100万人を目指していまして……。
――もうすぐ達成しそうですね。
はい、ありがたいことに。あと、ボカロPになりたいと思ってCeVIO AIの可不の音源を買ったので、いい曲を書き下ろしたいです。
――表現欲は尽きませんね。
なにかやりたいと思ったらやりたいと思っているうちにやってしまおうと。去年はライブはゼロにして投稿に集中したんですけど、今年は初めて野外フェスにも出させてもらいますし、投稿もライブもどちらも頑張っていきます。
――たくさん得るものがある1年になりそうですね。今後ネットカルチャーがどうなっていくんだろうだとか、その中で自分はどうなるんだろうだとか、そんなことに想いを馳せたりもするのでしょうか。
活動を始めて5〜6年くらいは、流行曲を歌うのは数字を取りにいっているみたいでいやだっていう斜に構えたオタクだったんですけど、最近の僕は長いものに巻かれるの全然OK派なんですよ(笑)。なので、流行りにものるしなんなら2次創作してみたりとかも全然やろうという所存です。
――可能性がどこまでも広がっていくネットカルチャーの世界に憧れて、“自分もインターネットカルチャーの作り手になりたい”と思う人たちに向けて超学生さんが伝えたいことは?
今って、小さいころから自分の好きな分野を突き詰めてきた人がいっぱいいると思うんですけど、極端なゼロイチ信仰はしないほうがいいと思うんですよ。どういうことかというと、無から生み出せる人がすごいって思う時期がたぶんみんなあって、それこそボカロPのはるまきごはんさんみたいに、曲を作るだけじゃなく歌も演奏もイラストも動画も全部やりますっていう人も確かにいます。でも、いきなりそこを目指すのってとんでもない次元の話だし、歌だけしかできない、イラストだけしかできないって極端に自己肯定感が低くなっちゃうのってもったいないなと。たとえば八百屋さんは野菜を自分で作っていないから偉くないのかというと、そんなことはないじゃないですか。だから、胸を張って自分のできることで一番になろうとしてほしいし、それ以外の分野はその道のプロにガンガン任せて自分の得意をやりきればいい。僕はそう思います。
――目から鱗が落ちるような、多くの人の背中を押す言葉です。最後に、ジャンルを問わず今の超学生さんの“ふぁぼい”(推し)を教えてください。
最近また僕の中で熱いみたいなところで言うと、『BEASTARS』という漫画ですね。動物の世界の話で、肉食動物と草食動物が分断されていて、みんな仲良くしようねとは言っているものの実際はどうなんだ……というところを描いていて。動物の世界の話だけど、僕の読んできた漫画の中でトップクラスに人間らしいところが描かれているんです。
僕の推しは主人公のレゴシなんですけど、とにかくビジュがいいんですよ。作者である板垣巴留先生のセンスが素晴らしくて。超学生のリスナーさんには手がきれい・スタイルがいい人が好きっていう方が多いなと思ってるんですけど、そういう方は絶対にレゴシを好きになると思います。
取材・文=杉江優花
イベント情報
2025年8月7日(木) 17:15開場/18:00開演
2025年8月8日(金) 16:30開場/17:15開演
出演(五十音順):
2025年8月7日(木) 缶缶/Sou/超学生
2025年8月8日(金) Empty old City/水槽[LIVE SET]/DAZBEE(ダズビー)
主催/企画制作:イープラス
制作協力:YUMEBANCHI(東京)
https://eplus.jp/favoytokyo2508078/
公式サイト:https://eplus.jp/favoy/
Instagram:https://www.instagram.com/favoy_eplus/
X:https://x.com/favoy_eplus
キャンペーン情報
キャンペーンの詳細はFAVOY(@favoy_eplus)公式Xをチェック
詳細はこちら:https://x.com/favoy_eplus/status/1908444508473155715
リリース情報
「pa pa pa」
作詞・作曲・編曲:前田佑、久保田真悟(Jazzin’ park)、栗原暁(Jazzin’ park)
配信日:2025年3月26日(水)
配信URL:https://lnk.to/papapa
MVURL:https://youtu.be/t8DePOVpJEg?si=xC9npSxNdMfj7-rS
ツアー情報
8/31(日)福岡・福岡国際会議場メインホール 開場 16:45 / 開演 17:30
9/15(月祝)愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール 開場16:45 / 開演 17:30
9/20(土)宮城・トークネットホール仙台大ホール 開場16:45 / 開演 17:30
9/23(火祝)東京・J:COMホール八王子 開場16:45 / 開演 17:30
10/5(日)大阪・NHK大阪ホール 開場16:45 / 開演 17:30
先行販売限定特典付指定席:¥8,800(税込)
指定席:¥7,700(税込)
※小学生は18歳以上の方の同伴が必要となります。また、18歳未満の方は、保護者の同意を得た上でのご来場をお願いいたします。
※お客様のご事情によるキャンセル・払戻しは致しかねますので、予めご了承ください。
※開場・開演時間・内容は予告なく変更する場合がございます。
※未就学児入場不可
※営利目的の転売禁止
福岡公演:キョードー西日本 TEL:0570-09-2424 (平日・土曜11:00-15:00)
愛知公演:サンデーフォークプロモーション TEL:052-320-9100 (全日12:00~18:00)
宮城公演:キョードー東北 TEL:022-217-7788 (平日13:00~16:00、土曜日10:00~12:00)
東京公演:DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
大阪公演:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888 (11:00~18:00 日祝休業)