岡山『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』に10-FEET、ORANGE RANGE、ハンブレら豪華集結ーー「今日だけは笑って帰ってくれ!」熱気爆発の初日を全組レポート(写真76点)
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撮影=センイチ
『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』2025.3.29(SAT)CONVEX岡山
2025年3月29日(土)・30日(日)の2日間、岡山県岡山市にあるCONVEX岡山にて『EIGHT BALL FESTIVAL 2025 supported by GROP』が開催された。3回目の開催となる今回から、新たに屋外ステージが増設され、SOLID STAGE / STRIPED STAGE / CUE STAGEと名付けられた3ステージに、全34組のアーティストが出演。SPICEでは、岡山から音楽シーンを盛り上げるべく集まったアーティストとオーディエンスが作り上げた、岡山でのライブの模様を全組レポートする。
初日は10-FEETをヘッドライナーに、エイトボールらしいたたき上げのアーティストがズラリとラインナップ。CUE STAGEはフードエリアと隣接しており、休憩がてら訪れた人々の目と耳にも自然と飛び込んでくる場所ゆえ、偶然の出会いも多かったはず。ある意味最もフェスらしさのあるステージと言えるだろう。全体的にはこれまで以上にタイムテーブルが充実し、せわしくも楽しそうに巡る参戦者の姿が印象的だった。一方で、サンプリングやフォトスポットなどのブースにも絶えず人だかりができるなど、ライブ以外のお楽しみも見逃せない。開催を追うごとに進化するエイトボール、2025年の模様をとくとご覧あれ!
炙りなタウン【CUE STAGE】11:30〜
撮影=センイチ
「今年初めてできた野外ステージ。エイトボールの歴史に残る一番最初に音を鳴らすバンド、あんたの街のあんたのバンド、岡山・炙りなタウン始めます!」(ゆきなり/Gt.Vo)、以下同)
1曲目の「ライブハウス」からあたかもクライマックスかごとくの熱狂を噴出させた地元勢・炙りなタウンが2年連続のオープニングを奪取! 「ルールも縛りもないんで、ドキドキしたら拳をください!」との言葉を具現化したフロアへ、「パンクな彼女」や「狼煙をあげろ」と怒涛のショートチューンを投下する。曲間では、口々に「ヤバい!」「熱過ぎる」とフロアから称賛が浴びせられ、最前の炙りなラヴァーは言わずもがな、色とりどりのバンドTをまとう人々もどんどん前方へと吸い込まれていくさまは圧巻だ。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「朝は嫌いだし、いつもだったら太陽やこの気温、花粉にもボロ負けなんですけど、今日は勝てる気がする。この緑にも、あの太陽にも、今日は勝てる気がする。一緒に戦ってくれますか?」
そんな思いを一身に受け取り、ギアを上げるように「プルースター」を捧ぐ3人。マシンガンのようなリリックに挟まれた「岡山にはずっと大きなフェスがなかったんです。でももう大丈夫! わしらにはエイトボールがある!」とのメッセージにも胸を打たれるばかりだ。「岡山の皆さん、あんたのバンドでした。またライブハウスで!」と瞬間最大風速で走り抜け、これぞライブバンドたる姿を叩きつけた炙りなタウンのステージで、『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』開幕です!
撮影=センイチ
撮影=センイチ
取材・文=後藤愛
IdolPunch【STRIPED STAGE】11:35~
撮影=日吉”JP”純平
3年連続出演、そして3年連続でSTRIPED STAGEのトップバッターを務めるのは地元・岡山が誇るファスト・ハードコアバンドのIdolPunchだ。今年ももちろん、メンバーはパンツ一丁! Racco(Vo)は自身がオーナーを務めるバーガー店「RACCOS BURGER」のマスコットキャラ・スーちゃんの着ぐるみを脱ぎ捨て、早速「Ichigo」から高速チューンを連発。叫ぶように歌うRaccoにHAMA(Gt)、U.S.G(Gt)がかき鳴らすギター、A(Dr)の突っ走るようなビートが絶妙なバランスで重なり合っていく。観客は最初こそあまりのスピードの速さに茫然としていたけれど、気付けば拳を突き上げご機嫌な表情に。
撮影=日吉”JP”純平
撮影=日吉”JP”純平
ステージはもちろんどの楽曲も素晴らしかったが、この日のMCで発表された2つのトピックスを報告したい。まずは「来年も出ます!」と、すでに来年の『EIGHT BALL FESTIVAL』出演が決定したこと。さらに、「RACCOS BURGER」の開店20周年を記念し、10年ぶり2回目となる音楽イベント『I SCREAM FESTA 2025』を10月4日(土)・5日(日)の2日間にわたって同会場で開催されることが発表された。
撮影=日吉”JP”純平
大きな歓声が沸き起こるなか、Raccoは『EIGHT BALL FESTIVAL』のこれからの存続を願いつつ、「始まったばっかり。ゆっくり楽しみましょう」と、さらにスピードを増した「After 5 Shoot」「My Summer」など、ライブハウスさながらの熱量を作り上げ、トップバッターを駆け抜けた。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=黒田奈保子
ヤバイTシャツ屋さん【SOLID STAGE】12:10~
撮影=aoi / アオイ
初出演にして最大キャパのSOLID STAGEに登場したヤバイTシャツ屋さんは、「おいでおいで! ゆっくり見るバンドちゃうから(笑)」と、こやまたくや(Gt.Vo)が呼び掛ければ瞬く間に観客が押し寄せ、1曲目の「あつまれ!パーティーピーポー」から高揚感というギアは一気にトップスピードへ!
撮影=aoi / アオイ
その後も、フロア総出のジャンプに揺れた「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」、ありぼぼ(Ba. Vo)がメインボーカルを担う「Blooming the Tank-top」、「ええ声出てるね~!」と、こやまも頬を緩めたシンガロングが映えた「ハッピーウェディング前ソング」。
撮影=aoi / アオイ
さらには、「エイトボールフェスのスタッフ接しやすい/めちゃ優しい/感じがいいetc」(こやま、以下同)等のコール&レスポンスや、何の脈絡もないウォール・オブ・デスでにぎわせたかと思えば、唐突にエイト=瑛人の「香水」をもじった「喜志駅周辺なんもない」と(笑)、容赦なくアンセムを連発。照明と映像のスイッチングもとにかくお見事で、ライブをドラマチックに見せるのに一役買っていた。
撮影=aoi / アオイ
後半戦はさらにヘヴィネスがマシマシで、「DANCE ON TANSU」「すこ。」「無線LANばり便利」と畳み掛ければサークルモッシュが発生! トドメは大衆の叫びをぶち込んだ「NO MONEY DANCE」、「この後にいろんなバンドが出てくるけど、ヤバTのライブが楽しかったことを忘れんなよ~!」とアドレナリンを注入した「かわE」で怒濤のエンディングへ。最強最速の全10曲で、SOLID STAGEのトッパーとしての役割を果たした。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=奥“ボウイ”昌史
tricot【CUE STAGE】12:50〜
撮影=AZUSA TAKADA
サウンドチェックからじわじわ吸い寄せられる観客を前に本編の「ポークジンジャー」へとなだれ込んだtricot。育休中のヒロミ・ヒロヒロ(Ba.Cho)に代わりBENCH.(Ba)を伴う、清涼感と変態的リズムのミクスチャーに惑わされながら、「おもてなし」では全身全霊でプレイするキダ モティフォ(Gt.Cho)にクラップが自然発生!
撮影=AZUSA TAKADA
アンニュイなムードを漂わせた中嶋イッキュウ(Vo.Gt)は、そのたたずまいとは裏腹にエモーションいっぱいに「OOOL」を歌唱。続く「不出来」ではエフェクティブなボーカルが焦燥感を駆り立て、tricotというバンドの揺るがぬ存在感をまざまざと見せつけていく。さらに、ゆったりした「potage」では、どこかセッション感ある音像にスリリングさをにじませる4人。
撮影=AZUSA TAKADA
中嶋とキダが織り成す鮮やかなツインギター、吉田雄介(Dr)とBENCH.が繰り出すビートは、ヘヴィで高密度なサウンドである一方、どこか心地良く、ふつふつと感情をたぎらせていく。BPMに関係なくこの場に集った誰もを等しくアガらせるパフォーマンスには脱帽だ。
「今日は岡山に来れてうれしいです! とっても久しぶりの岡山。たくさん来られるように頑張ります。また会いましょう」(中嶋)
そう再会を約束し、「おやすみ」でさっそうとCUE STAGEを後にした彼女たち。音が鳴り止んでも脳内をこだまする一音一音に、tricotのすごみを思い知らされた一幕だった。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=後藤愛
Arakezuri【STRIPED STAGE】12:55~
撮影=センイチ
「(このステージを)選んでくれてありがとう! あんたと一緒にライブハウスを作りにきた!なるべく素顔でいようぜ!」と、白井竣馬(Vo.Gt)が大きく叫び「素顔」へ。真っ直なリリック、熱情を純度100%でぶつけるバンドサウンドに魅せられ、観客は拳を突き上げ、ともに大きな声で歌う。「始めようぜ! あんたにウルトラエール!」で「ウルトラエール」へ。曲に導く言葉のひとつひとつがしっかりと心を揺さぶるし、宇野智紀(Ba.Cho)、椿佑輔(Dr.Cho)の確実に鼓動を掴むビートに、誰もが真摯な瞳でステージを見つめている姿がとても印象的だった。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「最後まで楽しんだもん勝ち!」「アンタたちが主役!」、白井が投げかねる言葉や、リリックに込められた想いの数々には眩しくて、曇りのない言葉が詰まっている。「ヒーロー」のドラマチックな石坂亮輔(Gt.Cho)のメロにも、白井は溢れる思いを歌い叫ぶ。そこに呼応するように、自然と大合唱が沸き起こるフロア。バンドだけでなく、観客とともに作り上げる景色はとにかく美しいったらない。2月26日にリリースした新曲「蕾」では、これからもバンドの歩みを止めることなく突き進んでいくと決意を語る。タイトルの通り、これから大輪の花を咲かすべく、がむしゃらに音を鳴らす4人は初出演の『EIGHT BALL FESTIVAL』に確かな軌跡を残していった。
撮影=センイチ
取材・文=黒田奈保子
WurtS【SOLID STAGE】13:35~
撮影=日吉”JP”純平
SEの重低音が地鳴りのように響きわたるなか、さっそうとSOLID STAGEに現れたWurtSは、ミラーボールの幻想的な光が空間をなぞるクールな「ライフスタイル」からスタート。続く「BOY MEETS GIRL」や「Talking Box(Dirty Pop Remix)」でも、歴戦のロックバンドが居並ぶ『EIGHT BALL FESTIVAL』においては異色とも言えるサウンドデザインと洗練されたダンスビートで、シーンの第一線を突っ走る理由を鮮やかに証明していく。
撮影=日吉”JP”純平
「僕は初めての出演ということで、呼んでくれてありがとうございます! 岡山に来れてうれしいです。WurtSを初めて見る方も、子どもの頃のように自由に楽しんでもらえたら」といざなった「大人になるのは」ではMPCを操り、そのままシームレスに「SWAM」へとつなぐなど観衆を巧みにフックアップ。「エイトボール最高です! みんなもっともっと高く飛べますか!?」とアジテートした「コズミック」のエクスタシーもたまらない。
撮影=日吉”JP”純平
「(ケータリングの)ご飯がすごくおいしくて、出番前にお腹がパンパンなんですよ。だからみんなと盛り上がって解消したい(笑)」と和ませたWurtSは、終盤も「NOISE」を皮切りに、心も体も動き出す代表曲「分かってないよ」、「もっと歌って踊って最高な一日にしましょう!」と突入した「リトルダンサー」と、有言実行のパフォーマンスで見る者を魅了。溢れる才能を岡山の地に記した。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=奥“ボウイ”昌史
G-FREAK FACTORY【CUE STAGE】14:15〜
撮影=aoi / アオイ
ひやりとした風が吹き荒ぶのを感じた瞬間、次なるステージの嵐を予感せずにはいられない。堂々たる存在感でCUE STAGEを揺らしたG-FREAK FACTORYは、サウンドチェックで軽く音を鳴らしただけでもその迫力たるや! 一気に人だかりとなったフロアの大歓声を受け、「G-FREAK FACTORY始めます!」とハンドマイクを手に端から端まで躍動する 茂木洋晃(Vo)。極太グルーヴうごめく「SOMATO」に腹の底から鼓舞される「YAMA」と、間髪入れずにタフネスなサウンドで場を包囲していく。
撮影=aoi / アオイ
「我ら何を隠そうヴィジュアル系バンド(笑)。今日も本当にかっこよくてスミマセン。ライブハウスにしていこうか!」(茂木、以下同)
そんなバンドの圧倒的存在感にクラクラしつつ、「Too oLD To KNoW」ではオーディエンス一人一人をしっかりと見据える茂木。その強固な意思を受け取り、一層大きなコールを返す美しき相互関係は彼らのライブならではのものだ。
撮影=aoi / アオイ
「近年まれに見る雨バンドの俺たちを、この屋根のないステージにブッキングしたエイトボールはさすが(笑)。今は、個人個人がメディアになっていろんなものを伝えていける時代になった。こんな雨バンドでも見事に空がもって、G-FREAK FACTORYが最高だったって書けばいいよ。俺らはここに来たんだ。いいものにしていこう」
撮影=aoi / アオイ
そう続けて「ダディ・ダーリン」へと突入。どんな場所から音を浴びても近距離に思わせるさすがの求心力。「Fire」では共に大きな音塊を創出するような一体感を覚え、猛ラッシュの「らしくあれと」でフィニッシュへ……と思いきや、茂木だけ去ることなく、怒涛のフリースタイルで観る者を鼓舞! 幾度も声を合わせたG-FREAK FACTORYとの絆は解けることはないと確信したひとときだった。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=後藤愛
十明【STRIPED STAGE】14:20~
撮影=AZUSA TAKADA
すっと息を吸い上げ、透明感ある歌声を響かせると、ダンサブルなナンバー「NEW ERA」からライブがスタート。深い藍色の照明に染まるなか、凛とした歌声を響かせ、音の中を泳ぐようにしなやかに体を揺らす彼女。映画のワンシーンを見るような、感情の深いところに響く歌声に観客はただじっと見入っている。
撮影=AZUSA TAKADA
「こんにちは、十明です。今日は楽しんでってね」と、先ほどの凛とした姿から一転、屈託のない笑顔で観客に声を掛けたかと思えば、次曲は妖艶で艶のある「蜘蛛の糸」で流れる黒髪の隙間から鋭い視線を送る。さらに「蛹」ではスリリングかつ矢継ぎ早に言葉を紡ぎ、より一層怪しげな雰囲気をまとっていくし、デビュー曲「灰かぶり」では透明感ある歌声に怪しげな表情を掛け合わせていく。
撮影=AZUSA TAKADA
多彩な楽曲のなか、まるで名俳優の如く、楽曲の全てに憑依するように歌い上げる彼女の姿からひと時も目が離せない。ステージ後半はアコギを抱え、優しく歌い上げる「夜明けのあなたへ」。はかなくも凛とした歌声のなかにも柔和な一面が垣間見えたかと思えば、「メイデン」でまたも表情がガラリと変化。見ているこちらは彼女の千変万化な姿に翻弄されっぱなしだ。「今日は楽しんでもらえたかな? 次で最後の曲、全力で楽しんでください」と、ラストは「革命」でしなやかに美しく伸びる歌声を響かせた。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=黒田奈保子
打首獄門同好会【SOLID STAGE】15:00~
撮影=センイチ
出番が15時ということでサウンドチェック中におやつ=うまい棒を配り始めるなど、完璧な準備の下で挑んだ(笑)岡山のフェス初出演。気合十分の打首獄門同好会は、「おかしにつられた皆さま、ついてきてくださいよ~!」と大澤敦史(Vo.Gt)の雄たけび一発、「デリシャスティック」で幕を開け、すさまじい轟音を響かせすぐさま「筋肉マイフレンド」へ。開始5分で見渡す限りがスクワットする風景を生み出してしまう(笑)。VJによる映像もろとも楽しませる「ほっこりニュース大集合」や「部長ぷっちょどう?」といい、初にしてすでに岡山とマイメン状態の親近感はさすがだ。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
「今日はちょっと涼しいじゃないですか? だから俺たちも慌ててセットリストを変えたの(笑)」(大澤)と全国民の気持ちを代弁した「布団の中から出たくない」の後は、「BUNBUN SUIBUN」「ニクタベイコウ!」「島国DNA」「日本の米は世界一」=水・肉・魚・米と、日本人の生活密着型ラウドロックナンバーを連発! 岡山との蜜月関係の始まりを告げる強烈なインパクトを残した打首獄門同好会だった。
撮影=センイチ
取材・文=奥“ボウイ”昌史
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