岡山『EIGHT BALL FESTIVAL 2025』に10-FEET、ORANGE RANGE、ハンブレら豪華集結ーー「今日だけは笑って帰ってくれ!」熱気爆発の初日を全組レポート(写真76点)
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Lucky Kilimanjaro【CUE STAGE】15:40〜
撮影=日吉”JP”純平
「何度でも言います、ダンスは自由です!」(熊木幸丸/Vo)と、8曲ノンストップでCUE STAGEをダンスフロアへと塗り替えたのはLucky Kilimanjaroだ。
「踊り方が分からなくてもいい、自由に踊って!」(熊木)と促す「350ml Galaxy」では、ちょっぴりナイーブな日常の描写から始まるも、それと地続きでダンスミュージックがあることを熊木は高らかに歌う。なのに途中退場する彼に、松崎浩二(Gt)は「いずこへ?」なんてリアクションを取るも、それはお約束。満タンの生ビールを手にカムバックした熊木は、全員をねぎらうように乾杯! パーティーは毎日あるわけじゃないけれど、この瞬間、ラッキリと踊れるならそれは何と幸福なことだろう。
撮影=日吉”JP”純平
そんなポジティブな空気ですっかり満たされた空間へ「HOUSE」でさらなる開放感をもたらし、大瀧真央(Syn)の「エイトボール、踊れてる?」というキュートなコールに沸いた「Burning Friday Night」へ。松崎がステージを降り観衆と同じ目線でギターを弾き倒すシーンではよりテンションが高まり、トロピカルな「KIDS」、ラミ(Per)の軽快なパーカッションがよく映えるラッキリ流盆踊り「踊りの合図」と、狂騒のピークは突き抜け続けるばかりだ。
撮影=日吉”JP”純平
柴田昌輝(Dr)の重厚なリズムに山浦聖司(Ba)の強靭なビートが絡み合う「Dancers Friendly」、さらにカオスに踊り狂わせた「楽しい美味しいとりすぎてもいい」で、もうこの上ないほどにアガり切ったところへ「ひとりの夜を抜け」をドロップ! 終始歌い踊る、根源的なライブの多幸感を教えてくれたLucky Kilimanjaroを、オーディエンスは万雷の拍手で送り出していた。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=後藤愛
MONONOKE【STRIPED STAGE】15:45〜
撮影=aoi / アオイ
STRIPED STAGEではソロアーティスト・MONONOKEが「room」から軽快なバンドサウンドを鳴らし、自然と体が揺れる心地よいビートで観客の心情をじわりじわりと盛り立てていく。「MONONOKEです。よろしくお願いいたします」と、さらりと挨拶を交わすと「トーキョー・ジャーニー」へ。
撮影=aoi / アオイ
めまぐるしく変化する街の喧騒、都会の波に乗るのでなく、強制的に乗っけられたようなジェットコースターみたいなスピード感あるサウンドで観客を心酔させる。次曲「悪魔と戯れ」では背徳感のある甘く気だるげな歌声、デジタルとストリングスを混ぜこんだ混雑したサウンドで観客を躍らせるなど、多面的な楽曲で自身の魅力をアピール。
撮影=aoi / アオイ
「普段は家で曲を作っていて、岡山でのライブは今日が初めて。ジャンルの幅がある曲ばかりだけど、最後まで楽しんで聴いて帰って」。マスクを深く被り素顔を見せない彼。表情こそしっかりと見えないけれど、嬉々とした声で感謝の気持ちを告げ、次曲「テイク・ミー」へ。先述の言葉の通り、「テイク・ミー」ではこれまでと一転し、力強く温かな歌声を響かせ、「ラブリー」では観客の手拍子を受けながら多幸感いっぱいの楽曲を届ける。「みなさん、最高です!」と、ラストは新曲「ワールドイズマイン」で多幸感にあふれたサウンドから、スリリングなバンドサウンドに急展開させるなど、感情大忙しなステージで楽しませてくれた。
撮影=aoi / アオイ
取材・文=黒田奈保子
ハンブレッダーズ【SOLID STAGE】16:25~
撮影=AZUSA TAKADA
初の『EIGHT BALL FESTIVAL』であろうと、ムツムロ アキラ(Vo.Gt)が「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました!」とライブを始めるのは変わらない。冒頭の「BGMになるなよ」から、積み重ねてきた歳月を音にした分厚いバンドサウンドをかき鳴らしたハンブレッダーズは、「みんなの退屈とか悲しみに風穴をぶち開けに来たんで!」(ムツムロ、以下同)と宣言。「はじめから自由だった」でも四位一体となって駆け抜ける!
撮影=AZUSA TAKADA
撮影=AZUSA TAKADA
「岡山エイトボール、楽しみにしてきました。僕らが出てくるときのオープニング映像がすっごいギラギラしていて。(パチンコの)「確変」みたいな(笑)。最高の演出から始まりました。踊りたい人は踊って、手を挙げたい人は挙げて、後ろの方でバンドマンの彼女みたいに見たい人は見て(笑)、好きな楽しみ方を見つけてください」
撮影=AZUSA TAKADA
高速BPMかつシアトリカルな「フィードバックを鳴らして」のスリル、木島(Dr)のパワフルなドラミングにでらし(Ba.Cho)のスラップとukicaster(Gt)のカッティングが合流する「ワールドイズマイン」の躍動感、「DANCING IN THE ROOM」の軽やかなグルーヴに身を委ねた後は、「僕と木島は高校一年生からの付き合いなんですけど、2人ともまぁ目立たないヤツだったんですよ(笑)。でも、音楽に出会ってバンドを始めてから、みるみるうちに人生が好転して……だからこれからも自分の生きてきた道を歌っていこうと思ってます」と、新曲「バタフライエフェクト」を披露。先ほどの思いをしかと曲にしてみせ、ラストは「⚡️(ビリビリ)」を。トリックもフェイクもなしで突き進むハンブレッダーズの美しき過程が、『EIGHT BALL FESTIVAL』に刻まれた。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文:奥“ボウイ”昌史
osage【CUE STAGE】17:05〜
撮影=センイチ
日も落ち始め、肌寒さを感じるようになった初日のCUE STAGEは、osageの4人が熱気たっぷりに締めくくる! ド頭の「フラグメント」から、りりしい表情でアジテートする山口ケンタ(Gt.Vo)。ヴィブラートたっぷりに響かせるボーカルで耳を奪ったかと思えば、「ジオメトリック」では金廣洸輝(Gt.Cho)とのツインギターで鮮やかなアンサンブルを組み立てていく。さらに、4月3日に配信となった新曲「オーバードライヴ」を一足早くお披露目するサプライズも挟み、ブライトな音像と吸引力に満ちた言葉の数々で、邦ロックの伝統と新たな継承を示していくよう。
撮影=センイチ
「俺たちはタオルを回したり、モッシュが起こるようなバンドではないですが、だからこそしっかり真正面から歌を届けたいと思います。今日一番いい歌を歌いに来ました」(山口、以下同)
そう熱く語るや、ヒロクサマ(Ba.Cho)のベースシンセをアクセントに、「残り香」を歌心いっぱいに放出! 「夜煩い」でもセンチメンタルな情景を紡ぎ上げていく。
撮影=センイチ
「僕らは2年連続の出演ですが、エイトボールはすごくお世話になっている人たちが特別な思いで作っているフェスで。当たり前に音楽が流れているし、こうやって当たり前に目の前にあなたがいてくれる。でも当たり前だと思いたくないし、当たり前なんてない。それでもこの先また会えたら、今度は偶然じゃなくて必然。そうやって巡り合える当たり前を一生懸命作っていきたいと思います!」
この日この場で出会えた喜びを「ウーロンハイと春に」に乗せてエネルギッシュに奏でていく彼ら。田中優希(Dr)が仕掛ける猛ラッシュにクライマックスを予感させるなか、osageが放ったのは渾身のラストチューン「マイダイアリー」。未来のロックヒーローたる堂々としたシルエットを岡山の地に刻みつけ、2日目へと熱量高くバトンを渡した。
撮影=センイチ
取材・文=後藤愛
RUNNERS-Hi【STRIPED STAGE】17:10〜
撮影=日吉”JP”純平
RUNNERS-Hiの『EIGHT BALL FESTIVAL』出演に驚いた人は多いはず。2012年の解散から12年の時を経て、昨年9月に再結成した彼ら。Teppei Yoshikawa(Vo.Ba)がバンドの名を声高らかに叫び、「The dark night butterfly」から一瞬でフロアに心地よい緊張感を張り巡らせる。錆も曇りもない、最新のバンドの音を鳴らし続ける4人。Naoki Nakamura(Gt.Cho)、Kohta Hyugaji(Gt.Cho)、2人の紡ぐ音にぐっと胸が締め付けられるし、Yudai Yamada(Dr)の弾むビートに体が痺れる感覚もなんとも心地よい。
撮影=日吉”JP”純平
撮影=日吉”JP”純平
「フェスの醍醐味のひとつは、知らないバンドを観ること。今日の“オマエ、誰やねんスポット”をいただいております!」と笑いを誘うも、「今日から岡山でストーリーを作っていきたい」と、決意新たにこれからも活動を続けていくと思いを語り、昨年リリースした13年ぶりの新曲「DEAD STOCK」へ。タフなバンドサウンド、哀愁を感じるメロに観客は瞬時に心奪われ、気付けばフロアのいたるところから拳が突きあがっていた。
撮影=日吉”JP”純平
岡山でのライブは10数年ぶりだという彼ら。「ライブハウスに足を運んで、今日のオレたちみたいな“誰やねん枠”みたいなバンドに出会い、さらに深堀りしてほしい」と、ライブハウスへの思いを語ると、ラスト「The Minority」で一層熱量高いバンドサウンドで観客を圧倒した。
撮影=日吉”JP”純平
取材・文=黒田奈保子
ORANGE RANGE【SOLID STAGE】17:50~
撮影=aoi / アオイ
イントロで歓声が上がった「以心電信」から、初見でもなぜだか歌えるポップソングの数々で楽しませたのが、「初登場エイトボールでございます!」(RYO・Vo)と岡山にはせ参じたORANGE RANGEだ。「1曲目からめちゃくちゃ盛り上がってくれてうれしいんですけど、知らない曲になったらポカーンってならない? ノリでごまかせる?(笑)」(HIROKI・Vo)と身も蓋もないMCで和ませた「解放カーニバル」でもしっかりクラップを巻き起こし、その熱量は「みんなが一つになれる曲、踊れる曲、ここらでいっときましょうか!」(RYO)と導いた「上海ハニー」でも、もちろん継続。広大なSOLID STAGEの隅々までが手を振る絶景を軽々と作り出してしまう。
撮影=aoi / アオイ
そして、ここからは「ソイソースメドレー」と銘打ち、タオルが舞った祝祭の「Pantyna」から「SUSHI食べたい」~「DANCE2」~「おしゃれ番長」とダンスミュージックの渦へととことん楽しく、心地良く引きずり込んでいく! 「沖縄から来て良かった。この会場だけは暑く/熱くさせたい! ついて来れますか岡山?」(RYO)と、最後は「イケナイ太陽」「三線Punk」「キリキリマイ」の3連発で場内の気温をグンと上げ、その期待に存分に応えて超えていったORANGE RANGEの真骨頂たるステージだった。
撮影=aoi / アオイ
撮影=aoi / アオイ
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=aoi / アオイ
chelmico【STRIPED STAGE】18:35〜
撮影=AZUSA TAKADA
「もっと前においで~♪」と、サウンドチェックから観客をナチュラルに引き込んでいく2人。本編でも「Player」からご機嫌にタオルを振り回しつつ、重低音を効かせたトラックで観客を揺さぶっていく。Rachel、Mamikoのフリーキーかつ、気迫のあるラップに呼び寄せられ、続々とフロアに人が集まってくる。「肌寒い日に、夏をつれてきたよ~。好きに踊っていこう!」と、「Highlight」へ。夏の夕暮れみたいな、開放感とちょっぴりの哀愁が入り混じったサウンドの中をゆらゆら泳ぐように歌う2人。“この瞬間をとにかく極上にしてやろう!” という、そんな気迫に満ちた2人によるステージは喜怒哀楽の感情が次々にやってくる。
撮影=AZUSA TAKADA
撮影=AZUSA TAKADA
「まだまだ夏の曲やりま~す!」と、「Watermelon」では低音を効かせたラップでの掛け合いがたまらかく良いし、観客とのコール&レスポンスもスムースにアジテートしてくれるもんだから、フロアの一体感も上がりっぱなしに。「知ってる人は踊る!知ってない人も踊る!」と、名曲「Sunburn」でさらに気分は上々に♪ <愛したい!恋したい!でも愛されたい!>の掛け合いがきたら、それはもちろん「Love is Over」! 恥ずかしがっていたらもったいないと、気付けば誰もが楽しそうに声を大にして<Love is Over>を叫ぶ素敵な空間が目の前に広がっていた。 「また岡山戻ってくるんで!健康第一!chelmico 第二!」、その約束が守られる日が早く来ることを願いたい。
撮影=AZUSA TAKADA
取材・文=黒田奈保子
10-FEET【SOLID STAGE】19:15~
撮影=センイチ
「ぶっ飛ばしていくんでついてこいよ!」というTAKUMA(Vo.Gt)の頼もしい一言が、「VIBES BY VIBES」の圧倒的なエナジーが、いきなり魂を突き上げる。SOLID STAGEに3年連続出演の皆勤賞=『EIGHT BALL FESTIVAL』の誕生から共に歩んできた10-FEETが、「セキュリティの皆さんに先に言うとこ。ありがとう、ごめんなさい(笑)。跳べー!」(TAKUMA、以下同)と、「goes on」でも天井知らずの熱気を爆発させる迫力に、トリはやっぱりこのバンドだと確信する。続いても「ハローフィクサー」に「helm’N bass」と、やる曲やる曲胸に迫りくるエモーションの洪水は、ただただ圧巻。
撮影=センイチ
「アンコールなし、一発勝負でやらせて。その方が一曲多くできるから。仲間が盛り上げようと思ってやってるフェスなんで、10-FEETはエイトボールをひいきします(笑)。これから何年も何年も積み重ねて、歴史と物語を作っていって、岡山を盛り上げていこうよ。ハッピーは倍に、悲しいことは半分に、それがロックやライブハウスにはできると思うんで。このフェスには何となくライブハウスの匂いを感じてます」
撮影=センイチ
からの「RIVER」ってもう、10-FEETは全部分かってくれてる。そんな信頼感に声と拳で応えるオーディエンス。「今日だけは笑って帰ってくれと本気でそう思ってます」と真摯に届けた「蜃気楼」から一転、再び沸点を更新したのは「第ゼロ感」だ。ライブでしか味わえない強烈なテンションでぶっ壊れんばかりに盛り上がりつつ、ロックが好きで集まった同志へ愛と優しさのこもったメッセージを投げ掛け続けるTAKUMA。ついに迎えたクライマックスは、「さぁ飛ばしていくぞ!」と「その向こうへ」「ヒトリセカイ」を情感たっぷりに歌い上げ、大盛況の初日を締めくくった。
撮影=センイチ
撮影=センイチ
取材・文:奥“ボウイ”昌史
■2日目の記事はこちら!
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