『好きな人の事ばっかをずっと考えるのが好き』ー藤井隆主催音楽レーベル・SLENDERIE RECORD がファミリーコンサート開催、プロデュースする事への熱き心意気とはー
SLENDERIE RECORD ファミリーコンサート2025
藤井隆が設立した音楽レーベルSLENDERIE RECORDが、昨年2024年に10周年を迎えた。フットボールアワー・後藤輝基のカバーアルバム『マカロワ』(2022年)、『ホイップ』(2024年)をプロデュース。その後『後藤輝基“ホイップ”ツアー2024 plus 藤井隆!』を経て、今年は『SLENDERIE RECORD ファミリーコンサート2025』を長野・愛知・新潟・香川・奈良・福岡・大阪・東京の全国8ヶ所で開催する事に。藤井を筆頭に、後藤・KOJI1200(今田耕司)・博多大吉・川島明、そして、南野陽子・和久井映見・はいだしょうこというスペシャルゲストたちがフルバンド編成と共に歌う。インタビューでは、改めて何故に音楽レーベルを設立しようと考えた経緯や、今回のファミリーコンサートに込めた想いなど、藤井の音楽プロデュースに対する真剣な姿勢について掘り下げている。是非とも読んで頂きたい。
藤井隆
――藤井さん主宰の音楽レーベルSLENDERIE RECORDが去年に設立10周年を迎えられました。設立された時は、どのような思いでしたか?
SLENDERIEと名付けたくらいですから、細く長く続けたい思いで付けたので、最初からやる気満々でした。その時のスタッフがふたりいて、現場マネージャーは大学卒業してすぐの人、スポーツ少年で可愛らしい人。もうひとりは、よしもとアール・アンド・シーの人でした。本社が新宿に変わったばかりで、庭の部分にあるプレハブで会議したり取材したり、やると決めたからには後には退けないので遅くまでふたりには付き合ってもらいました。僕は全部知りたい方なので、知らなくてよい事も会社の方々に交渉して、結構色々教えてもらいました、勉強の元として。引き返せないとは思いながらもドキドキしていましたし、椿鬼奴さんとRGさんはリリース前から全力で力を貸してくれました。もちろん僕には好きな先輩も好きな後輩もたくさんいて、みんなおもしろくて力を貸してくれますが、音楽レーベル設立の事までを「わかりました!」と言って嬉しそうに聴いてくれる人は中々いないですから。ふたりは「歌の仕事は楽しみ! そして、お金まで頂けるなんて素敵!」と自分なら照れくさくて言えない様な事まで言ってくれて。ふたりがいつも力強い「YES」をくれたので、動力になりましたし、ふたりが喜んでくれたり認めてくれたりした事が成功体験になりました。楽曲のゲストブッキングとかも真剣にやっていますが、他では不思議とか一風変わったとか言われましたけど、僕は全く思ってなかったですし、それも個性であり、レーベルカラーなのかなと。なので、椿鬼奴さんとRGさんのふたりは(レーベルを)突き動かす為のエンジンになってもらえましたね。
――本来、演者である藤井さんがレーベル設立という裏方側のビジネス業務を、なぜ担当したいと思われたのでしょうか?
僕、マネージャーさん(という仕事)が好きなんです。元々、経理の勉強をしていたので、棚卸とか原価などにも興味があって、表現としてだけでなく商品として考える癖があるんですね。それに僕に携わってくれた人たちが徹底的に僕を20代の時から商品として考えてくれました。自分のことを自分以上に考えてくれるマネージャーのおかげでその人たちの思う理想の商品になれるよう一生懸命頑張ろうと思えました。吉本新喜劇自体が特殊な劇団で、自分の名前が役名になるし、お兄さん、お姉さんのおかげで本当の家族のように育てていただきました。お芝居しますし、喜劇のノウハウも教えてもらってました。ただ、コンビでもトリオでも落語家でも無く、劇団員というキャラクターを背負いながらテレビに出て行くからこそ、とにかく自分の意見を持ちなさいと叩き込んでくれて。自己プロデュースと言われましたけど、僕は自己管理だと思っていて。そういうコントロールやマネージメントを自分の手前でしてくれるマネージャーさんたちに影響を大きく与えられましたね。音楽でいうと当時所属していたアンティノスレコードの担当の方が本当に大事にして下さったので、自分を管理される事に対して反発どころが、こっちも徹底的に凄く頑張らないといけないと思えて。自然と自分も人をプロデュースしてみたいとなりましたし、好きな人の事をずっと考えるのが好きなので。僕のプロデュース業は「自分が好きな人」から始まるプロデュース業なので本来の「なんでも出来る」という意味のプロデューサーではありませんで身が引き締まります。僕が20代の時みたいな予算感はご用意できないですけど、当時僕がやって頂いた心意気はご用意できますし、予算はアイデアや感情や気持ちという心意気でカバーできるので、身の丈に合ったプロデュース業をやりたいですね。当たり前ですが赤字にならないように死ぬ気で考えて頑張ってます。
――そういう中でのプレッシャーや大変さしんどさは無かったですか?
全然無いです。今回の川島(明)君のアルバム『アメノヒ』(5月28日(水)リリース)の写真撮影も楽しかったです。表紙になる1枚は最初イメージして描いたコンテとは違うものになりました。現場で思いついて撮った1枚なんですが色んな要素に想いが込めることができる1枚になったのでとても気に入ってます。多分、写真が凄く好きなんです。CDというパッケージ自体が今はいらないとも言われますけど、デジタルリリースでもジャケットやアーティスト写真は必要ですから。写真は音楽の仕事と切っても切れないので。例えば、他のお仕事で手ごわいなと感じている時でも、スレンダリーレコードの仕事を考えたらどちらも頑張れるんです。一個一個の仕事に向かった方が良いですけど、同じ週に2本掛け持ちするようなことを若手の頃にさせていただいてたので、色んなことを同時に死ぬ気で頑張るのが好きです。ひとつの事だけをやる美学に憧れはありますけど、僕はそうじゃない方がエネルギーになりますし、ひとつの仕事をやっていて落ち込んだ事はあっても、ふたつの仕事をやっていて落ち込んだ事は無いので。恵まれていますね。
藤井隆
――昨年夏に開催された『後藤輝基“ホイップ”ツアー2024 plus 藤井隆!』の大阪公演ライブレポートを担当させてもらったのですが、今まで観た事が無いタイプのライブですごく興奮して感激したんです。ライブとトークがミックスされているのですが、物凄く脱線したりするのに、どこかでカチッとしているというか。その場での藤井さん即興判断も凄かったですし、それを一緒に創り上げているスタッフチームも素晴らしかったです。構成の自由さがとんでもなかったんです。
それは対応してくれるスタッフがいるので恵まれているんです。今回の『SLENDERIE RECORD ファミリーコンサート2025』もリサイタルコンサートにするかファミリーコンサートにするか悩みました。ずいぶん昔に新喜劇の井上竜夫さんや池乃めだかさんが昔されていたリサイタルコンサートの台本を見たことがあって「リサイクル」の響きも好きなんです。ご来場いただくお客様がファミリーという意味合いのはずなんですけど、自分がやりたいのは、やる側のこっちがファミリーですという事で。だから、はいだしょうこさんというファミリーコンサートを実際に開催されてる方に参加していただけて感謝してます。僕の最初のコンサートは構成作家さん3人に入ってもらい、全部台本だったんですよ。当時の僕にはそれしか出来なくて。それを極端なN極とすると、椿鬼奴さんやRGさんと自由にライブをしていたのはS極で。ギチギチに全て固めて必死だった初めてのコンサートを経て、椿さんとRGさんとロフトプラスワンさんのおかげで自由に展開していくステージが楽しくなりました。ご覧いただいた去年のステージはやることはきっちり決めてありましたが「どうなるかわからない部分」も最初から残しながらバンドマスターの冨田謙さんとメンバーの皆さんに柔軟に対応していただいたおかげで本当に楽しくできた自覚があります。一昨年、てるきんがカバーアルバム『マカロワ』をリリースした時のツアーでの成功体験が自分にはあって、そしてそれが去年のツアーで確信に変わったので、今後もツアーをやっていこうと決めました。
――『SLENDERIE RECORD ファミリーコンサート2025』は出演者皆様も本当に豪華です。
川島君とてるきん、KOJI1200(今田耕司)、そして大吉さんと、スペシャルゲスト南野陽子さん、和久井映見さん、はいだしょうこさんの皆様で。南野さんは、この世界に僕が入る前から好きな人で、この世界に入ってからもお世話になった人なんです。最近のステージを観させてもらった時にファンサービスが分厚い事に尊敬しましたし、歌う歌に季節があって夢を感じたので、僕のステージでも表現して頂きたいなと。はいださんは先程もお話ししましたけど、僕らのファミリーコンサートを違うファミリーコンサートの角度にしてくれる大事なお方ですね。和久井さんは1990年代のリリース当時から音楽のすごさに気付いていましたけど、今サブスクで改めて聴いた時に歌詞の凄さを感じましたし、当時のポリスターレコードのプロジェクトとしても凄かったんだなと。女優さんが歌う歌のすごさというか。和久井さんは断られても仕方がないと思いつつ相談させて頂きました。どうせ倒れるならば前向きに倒れようと。そしたら出て頂ける事になり、とても驚きましたし、とても嬉しかったです。後、香川公演にはシークレットゲストとしてYOKOお姉さんも出ますので、南野さんとのWようこを観て頂けるので、是非とも来て欲しいですね!
――去年の『後藤輝基“ホイップ”ツアー2024 plus 藤井隆!』大阪公演で大活躍された後藤さんの実のお姉さまですね!
てるきんには「姉ちゃんの歌を1回も聴いた事が無いのに何で歌わせようと思ったの?!」とは言われたんですけど、当時てるきんとのインストアイベントに大阪だけで無く、わざわざ横浜まで観に来て下って。その時に「歌ってもらおう!」と決めて。スタッフに相談して、お姉さんにもアタックして、レコーディングで初めて歌を聴いたのですが、やっぱり歌が上手くて。僕は念が強いので(先が)見えるんです。本気で考えた事は結構実現しますしね。こういった出演をお願いする前から、今でも好きな歌と出会うとお宅で自らレッスンするという話を聴いて、本当に素敵だなって。若い時に歌手に興味を持たれたものの、その道を選ばす、だけど弟さんが芸能の仕事をされる様になり、お姉さんに「自由になって」という曲を歌っていただいて、歌詞をステージで体現してくださったその姿が観ていて本当に誇らしかったので今年もYOKOお姉さんを観ていただきたいです。YOKOお姉さんが観られるのは香川公演だけですのでそちらもチェックよろしくお願いします。
『アメノヒ』
――最後に先程アルバムジャケットの話を少しして頂きましたが、今回アルバム『アメノヒ』を5月28日(水)にリリースされる川島明さんについても改めてお話をお伺いしたいです。
川島君はお忙しい方ですけど、昔から一緒に仕事をしていても控えめな方で気になる方だったんです。カラオケに一緒に行く機会があった時に声が凄く好きで、5年前に『where are you』で歌をお願いしました。控えめな川島君に昔から、しとしと降る雨を感じて、雨が降っている人だなと思っていまして、そのイメージを堂島孝平さんにお伝えして曲を作っていただき、神田沙也加ちゃんに歌詞をお願いしたんです。沙也加ちゃんもパステルカラーで音符みたいな雨粒が浮かぶ方だったんです。歌詞を書いてもらえた事を大事にしたくて、今回のアルバムにも収録しました。アルバムは朝の顔のひとりである、頼りになって甘えられる川島君が、どんな夜を過ごしているんだろうと、作家先生方に相談していきましたね。「この時間帯で」と言ったり、「どの時間帯でも」と言ったり、ケースバイケースではありましたが、She Her Her hers、Le Makeupさん、川島君より年上の方が手がけてくださる楽曲は川島君への応援歌になるんじゃないかなと考えました。中盤に収録されている大江千里さんの曲からは、もっと川島君のパーソナルなところが歌になっていますし、それによって川島君と応援してくれている人が川島君に近づける事が出来たらなと。川島君の初めての新しいツアーをプロデュースできる事は、本当にラッキーですので真剣にやります。てるきんの時と同様ですが、レコーディングでも会えていたのが、ツアーでも毎週会えたりするのが嬉しくて。その最たるものである本番で逢えるのが何よりも嬉しい。僕も川島君のファンですから、ファン代表として頑張りますので、川島君ファン皆様は楽しみに来て下さい。川島君が出演しない香川や福岡などのツアーも是非とも来て下さいね!
藤井隆
取材・文=鈴木淳史
ツアー情報
5/31(土) 長野:須坂市文化会館 メセナホール [〜川島明『アメノヒ』ツアー〜 ]
Open 16:00 / Start 17:00
出演:藤井隆、川島明 スペシャルゲスト:はいだしょうこ
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問い合わせ:サンライズプロモーション北陸 https://sunrisehokuriku.co.jp/
6/13(金) 愛知・名古屋中日ホール
Open 18:00 / Start 19:00
出演:藤井隆、KOJI 1200 (今田耕司)、スペシャルゲスト:はいだしょうこ
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問い合わせ:JAIL HOUSE https://www.jailhouse.jp/
6/21(土) 新潟:上越文化会館 [〜川島明『アメノヒ』ツアー〜 ]
Open 16:00 / Start 17:00
出演:藤井隆、川島明 スペシャルゲスト:はいだしょうこ
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問い合わせ:サンライズプロモーション北陸 https://sunrisehokuriku.co.jp/
6/27(金) 香川・高松レクザムホール
Open 18:00 / Start 19:00
出演:藤井隆、後藤輝基 シークレットゲスト:YOKOお姉さん スペシャルゲスト:南野陽子 バンド:冨田謙[Key] KASHIF[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問合せ:DUKE https://www.duke.co.jp/
7/05(土) 奈良・なら100年会館 [〜川島明『アメノヒ』ツアー〜 ]
Open 16:30 / Start 17:30
出演:藤井隆、川島明 スペシャルゲスト:和久井映見
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 宮川剛[Dr]
お問合せ:GREENS https://www.greens-corp.co.jp/
7/11(金) 福岡・国際会議場 メインホール
Open 18:00 / Start 19:00
出演:藤井隆、博多大吉 スペシャルゲスト:和久井映見
バンド:冨田謙[Key] KASHIF[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問合せ:BEA https://bea-net.com/
7/18(金) 大阪・NHK大阪ホール
Open 18:00 / Start 19:00
出演:藤井隆、後藤輝基 スペシャルゲスト:南野陽子
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問合せ:GREENS https://www.greens-corp.co.jp/
8/02(土) 東京・江戸川区総合文化センター [〜川島明『アメノヒ』ツアー〜 ]
Open 16:30 / Start 17:30
出演:藤井隆、川島明 スペシャルゲスト:南野陽子
バンド:冨田謙[Key] 奥田健介[Gt] 南條レオ[Ba] 小松シゲル[Dr]
お問合せ: DISK GARAGE https://www.diskgarage.com/
リリース情報
収録楽曲
1.「D Breeze」 ※2/26先行配信 OA解禁済み