陳内将、戸谷公人、遠藤舞にインタビュー 今抱えている「片想い」とは!?~方南ぐみ企画公演

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(左から)遠藤舞・陳内将・戸谷公人 ©こむらさき

(左から)遠藤舞・陳内将・戸谷公人 ©こむらさき


出演者3名に聞く、方南ぐみ企画公演『片想い』

 
方南ぐみ企画公演『片想い』が2月3日(水)~2月7日(日)俳優座劇場にて上演される。脚本・演出を㭴田正剛が務める本作は、第2次世界大戦末期の名古屋・東山動物園を舞台にした物語。稽古が急ピッチで進む中、海軍大尉・三井戸高広役の陳内 将、動物園飼育員・佐々岡一平役の戸谷公人、小学校教員・森本千代役の遠藤 舞に話を聞いてきた。
 
 
――台本を最初に読んだときの感想をお聞かせください。
 
陳内:最初にみんなで読み合わせをしたんです。そのときに樫田さんがおっしゃったのは「そのまま読んでもすっと最後まで読めてしまうホンだから、セリフの「裏」の想いを加えながら作っていきたい」と。おっしゃる通りだなって思いました。確かにそのまま読むと内容は頭に入ってきますが、人間の感情の揺れや気持ちのバトンパスのようなものが成立しづらいので、そこは役者が作業しなければいけない部分だなと。
 
戸谷:自分が演じる佐々岡という人間に対して、「あ、ピュアな人だな」って思いました。女の子も知らないし、戦争という時代さえも若さで突っ走っている…そういう感じを強く受けました。「もうちょい、周りを見ろよ」って。三井戸にも真っ向から食ってかかるし、すべてに真っすぐな奴だなって。
 
陳内:(佐々岡)一平って、主役気質だよね。熱さが。
 
遠藤:北岡園長(演:岡森 諦)の最後のセリフがただひたすら泣けるなって思いました。本読みをしても岡森さんの持つ力がすごいので。ご本人的には「軽くやってみたよ」っておっしゃっていたんですが、それでさえもすごく響くものがあったので、本番はヤバそうです。
 
陳内:泣いちゃいそうだよね。
 
遠藤:うん、泣きそうになるのをぐっとこらえないと。
 
 
――ご自身が演じられる役について、理解できる部分とそうでない部分を教えていただけますか?
 
遠藤:千代先生は、一般的に言うならば「いやな女」なんです。すべてにおいてきちっとしてないと嫌な性格で。A型でしょうね、たぶん。音楽に対して完璧にやりたい、と思う気持ちは理解できます。私も譜面が違っていたりするときっちり直すし、ちょっとうるさいタイプだよって言われますが、そのほかについては全然きちっとしていないです(笑)姿勢とかすごく注意されますね。完璧主義な先生役だから姿勢をしゅっと伸ばしていたほうがあるべき姿なんじゃないかなって。気が抜けたり、しゅんとなったときってどうしても猫背になってしまうものですが、「森本先生だったらしゅんとしつつも背筋は伸びているんじゃないかな」とも思いますし。
 
遠藤舞 ©こむらさき

遠藤舞 ©こむらさき

――千代先生の姿勢は、背中に鉄の棒が入っていそうですね。
 
遠藤:(背中に)棒とか入れておいたほうがいい?
 
戸谷:定規とか入れとく?(笑)
 
遠藤:猫背矯正ベルトとか買おうかな(笑)あと、千代先生は結構ピリピリしているんですけど、自分はあまりピリピリしてないし、喧嘩の仕方とかも知らないです(笑)
 
 
――三井戸大尉については?
 
陳内:お国のために動物園に派遣されていますが根っこは動物大好きで。基本的に争い事は嫌な性格だけど、「郷に入りては…」ですし、そういう社会情勢ですから、そういった感情を出してはいけない、けれどもどうしても表に出てしまう。そこのバランスをとるのがおもしろいけど、果たしてどこまで出したらいいかなって思っています。「ここで死んだら無駄死です」というセリフがあるんですが、先日ダメ出しされました。どれくらいの想いで、どのくらいの声量で、誰に向かっていったらいいのか、全セリフ、バランスを考えていかないとと思っています。
 
戸谷:三井戸と自分の性格とは逆?
 
陳内:俺…争い事は好きじゃないし、長いものに巻かれるのもあまり好きではないし、似ているところはありますね。三井戸には「軍人としてしっかりしなければ」という想いを感じる。もし、僕がこの時代に生まれていたら、もっと鉄拳制裁的なバキバキの軍人になっていたかもしれない。たぶんこの時代って何かこうだと決めて生きていたほうが恐怖心などが薄れると思うんです。「お国のために生きているんだ、俺らが弱音を吐いたらいけない」って。死んだときは誉れになるし、とか理屈をつけて。僕はそうなると思います。
 
陳内将 ©こむらさき

陳内将 ©こむらさき

――佐々岡一平と演じる戸谷さんは似ていますか?
 
戸谷:僕は一平と真逆ですね。そんなピュアな心は持ってないわ!(笑)
 
陳内:そんな、まだ26歳なのに…(笑)
 
遠藤:ファンが悲しむよ!夢壊すよ!(笑)
 
戸谷:とはいえ、好きな食べ物は子どもっぽい…ハンバーグとかスパゲッティとかハンバーグとか…。
 
陳内:今、ハンバーグって2回言ったな?「ガスト」いく?(笑)
 
戸谷: …っていう、無邪気なところは似ているかな?(笑)
 
戸谷公人 ©こむらさき

戸谷公人 ©こむらさき

―― 一平は、りつ子さんとの関係の進展が気になります。りつ子さんは口がきけないということで、手話を習っていらっしゃるそうですね。
 
戸谷:三浦(剛)さんが全面的に教えてくださっています。
 
遠藤:みんな鋭意訓練中です。毎日手話を教わる時間があって、みんな日々成長していて、自己紹介ができるようになったり、人の手話もわかるようになったり、しりとりをしたり。昨日三浦さんの奥様、忍足亜希子さんがいらっしゃって、一人ひとり、忍足さんに伝えたいことを手話で話したりしました。想いが伝わるとうれしいですよね。
 
 
――今回動物園が舞台なんですが、みなさん、動物はお好きですか?
 
戸谷:大好きです!!(即答)うちに7匹います。犬4匹と猫3匹。
 
陳内:うちは実家にいますね。
 
遠藤:犬一匹と暮らしています。
 
陳内:だからこそ、この物語と日常生活がリンクしますね。動物に対する想いが。
 
 
――この作品、タイトルにもある「片想い」がテーマとなりますが、皆さんが今抱えている「片想い」といえば?
 
戸谷:片想いか…バイクはたぶん「両想い」だしなあ(笑)俺、バイク大好きで。今BMWのRnineというのに乗っています。さすがに稽古中と本番中は乗らないですが。
「片想い」となるとやっぱり猫かな?先日、新しく猫が一匹増えたんですが、その子はまだ片想いですね。一生懸命甘えさせようとしていますが。
 
遠藤:猫ってずっと片想いな感じがする。
 
戸谷:でもうちは犬が多いせいで、猫が犬寄りになってくるんだよ。
 
遠藤:うちの猫も矯正してもらおうかな、祖母の家に2匹いるの。1匹は元アイドリング!のメンバーから譲り受けたコなんです。最初はうちの犬と共存させていたんですが、すごく甘えん坊で、寝るときに私の二の腕をおっぱいだと思って前脚でフニフニ押してたり…。
 
戸谷:あるあるー!
 
遠藤:でもお祖母ちゃん家においていたら、性格がすっかり猫になってて全然寄り付かなくなっちゃった。
 
陳内:俺の「片想い」って海外旅行かなあ。したいしたいと思ってもなかなかできない。
 
戸谷:俺、モルディブ行きたい。行く?
 
陳内:そこからセブ島って近い?
 
戸谷:割と近いよ。
 
陳内:俺、セブ島にいとこがいて、スキューバーダイビングの先生をやってるんだよね。「遊びに来いよ!」って言われるんだけど行けてなくて。
 
――海外旅行に行くならリゾート派?史跡・美術館巡りとか、職業的に劇場巡りする方も多いと聞きますが。
 
陳内:俺、全部やりたい!どこの国なら全部できるかなあ。
 
戸谷:NYとか?でもリゾート感は味わえないか。
 
陳内:そうなるとやっぱリゾートかなあ。でもなかなか行けないよね。
 
 
――リゾートでするお仕事をもらってくるとか?写真集とか。メンズな水着姿で(笑)
 
陳内:30歳になるときにやってもらおうかな。水をパシャパシャやってる系の(笑)
 
戸谷:下からアオリで撮ってもらったりして(笑)
 
陳内将 ©こむらさき

陳内将 ©こむらさき

――遠藤さんの「片想い」は?
 
遠藤:なんだろう。
 
陳内:いいんだよ、近い人に「片想い」してもらっても(アピール)
 
戸谷:そうそう(アピール)
 
遠藤:いいの?喧嘩にならない?
 
陳内・戸谷:ならない。
 
遠藤:ならないのかよ!!!(笑)
 
戸谷:うまく共存するから(笑)
 
遠藤:(二人をスルーして)えっと、自動車免許ですね。たぶん運転できないんですよ。怖くて。でも欲しいんですよ。
 
陳内:大丈夫だって!
 
戸谷:自動車学校行けば絶対取れるって。
 
遠藤:免許を取ることはできても、その後運転するとなると怖いもん。クラクション鳴らされたりしたら…。
 
陳内:初心者マークついているから大丈夫だよ!周りの車もやさしくしてくれるし!
 
遠藤:でも初心者マークって1年しかつけられないでしょ?
 
陳内:だからその間で慣れなさい(笑)
 
戸谷:でも都内は怖いよね。246号線とか…それこそ番組でやればいいんじゃないの?免許を取得する企画とかで!(笑)
 
遠藤舞 ©こむらさき

遠藤舞 ©こむらさき

――稽古場の雰囲気はいかがですか?みなさんたち若手と上の世代とで割と年齢差がある現場だと思ったのですが。
 
陳内:結構、和気あいあいとやってますね。しめるところはしめ、ゆるむところはゆるんで(笑)
 
 
――騒ぐときの盛り上げ隊長は?
 
陳内:(鈴木)健介さんじゃないですかね。ずーっとしゃべってるし!(笑)
 
遠藤:あと、石倉(良信)さんが酔っぱらって大変だったり。
 
陳内:すぐ帰る方向がわからなくなって、奥さんに電話して!
 
遠藤:今日は早く帰らなきゃならないときにも、早く稽古場を出たのに反対方向の電車に乗っちゃって。
 
陳内:しかも快速にね(笑)
 
戸谷:天然な大人が多いかも。岡森さんもね!
 
陳内:そう思うとゾノさん(西ノ園達大)がいちばんしっかりした大人に見えるよね。
 
 
――そんな天然な(笑)大人たちが、いざ稽古になるとびしっとなるんですよね。
 
陳内:立ち稽古初日から岡森さんが、ものすごくセリフ量が多いのに、台本を持ってらっしゃらなかったんです。最年長で大先輩の岡森さんが初日からそういうのを見せてくれると、みんなケツを叩かれる。「先輩ありがとうございます」って気持ちになる。みんなそれぞれにやり方は違いますが、やはり場が締まりますね。それでいてお茶目で、笑わせてくれるんです。
 
 
――台本を拝見したら岡森さん演じる北岡のセリフがページの3分の2くらいあって驚きました。
 
遠藤:あったあった。しかもそれが×3って量で。
 
陳内:その合間の三井戸のセリフが「…」とかだったりするので、実質岡森さんがしゃべりっぱなしで(笑)
 
 
――千代先生は加茂川さん(演:森山栄治)との絡みも多いですが、先輩と演技をすることで得られることは?
 
遠藤:もうすべてですね。先輩・後輩だからということではないですが、先輩たちはやはり確固たるキャリアとか自信とか、自分の力がオーラとして伝わってくるんです。こっちも心から信頼していられるし、頼りにしていますね。
 
陳内:この座組みって役の年齢と実際に演じる人の年齢や役同士のかかわり方が実際と近しいものがあるんです。僕とかも年相応で無理な設定がないのでそこはすんなりと。でも(江崎)葉奈ちゃんは、年下で今回初めてくらいの舞台出演なので最初は緊張していました。今はほぐれてきましたけどね。
 
 
――自分の役どころを演じるにあたって、ここは絶対大事にしたいと思っていることは?
 
陳内:はい!(挙手)
 
 
――どうぞ!(笑)
 
陳内:「とはいえ」軍人だってことですね。動物好きではあれど、一本筋通しているのは「軍人であること」ここは絶対もっておかないとと思っています。
 
遠藤:逆に、森本先生はいやな女だけど、「とはいえ」人間だってこと。
 
戸谷:俺は、(二人に無理やりあわせて)「とはいえ」純粋だってこと。大人になっていくとどこかとんがっていくことが失われていくと思うのですが、そこは捨てずに。
 
陳内:純粋故の生意気さと向こう見ずで。
 
遠藤:「純粋は武器」だよね。
 
 
――「純粋は武器」なんだかいいこと言いましたね。
 
陳内:ね、それ俺が言ったことにしない?(笑)
 
遠藤:やだ、あげない(笑)
 
戸谷:(笑)
 
戸谷公人 ©こむらさき

戸谷公人 ©こむらさき

――三人、本当に仲が良いですね!ならば、お互いのいいところを教えていただけますか?
 
遠藤:!?(困る)
 
戸谷:じゃ俺らが先に舞ちゃんのいいところを考えよう!
 
陳内:1回だけお仕事で舞ちゃんが稽古にこれなかったとき、やっぱり稽古場がぱっとしなかったね。
 
遠藤:本当~!?
 
陳内:ヒロインの存在はでかかったね。みんな思ってたよ。
 
戸谷:あと、「折れない心」だよね。家ではしゅんとしているかもしれないけど、稽古場では絶対出さないね。
 
遠藤:家でもしゅんとしてないかも。
 
戸谷:少しはしろよ(笑)
 
陳内:稽古中に演技について何かあってもめげない、ちゃんと戦ってます。
 
遠藤:ずっと、アイドリング!というグループのリーダーだったので、集団の中であまり弱いところを見せないように、後輩たちの前で弱みを見せないようにしてきたから、そのクセが出てるんだと思います。甘え下手なのかもしれませんが。
 
陳内:猫だな、猫。
 
 
――本当は誰かに甘えたいんじゃないんですか?
 
遠藤:そうかも。
 
 
――…って言ってますよ!
 
陳内戸谷:しょうがねえなあ(同時)
 
遠藤:二人、発言がカブってるんだけど(笑)
 
戸谷:(笑)こういうときのリアクション、だいたい一緒なんだよね、間が。性格は俺が能天気で、将ちゃんはかなりマジメ。そこは逆なんですが、盛り上げたいという願望が…
 
陳内戸谷:一緒なんだよねー!(同時) ってまたカブった!
 
 
――陳内さんと戸谷さん、まるで双子みたいですね(笑)
 
陳内:戸谷とは最初に飯に行ったときに「あ、波長があう。仲良くなりそう」って思ったよね。
 
戸谷:俺もこんなんだけど芝居に対しては熱いし、将ちゃんは見るからに熱いし。芝居が好きっていう共通点もでかいね。抜くところは抜くという考え方も似ている。
 
遠藤:戸谷くんは「バランサー」って感じがしますね。オンオフのタイミングとか冷静さもそうだし。割となんにでも立ち回れるという感じ。
 
戸谷:俺、本当はそうじゃなかったんだけどね。どっちかというと不器用で。なんとなーく器用になってきたかな。
 
遠藤:順応性の高さを今は醸し出していると思うよ。得意じゃなかったんだとしたらそこまでもってきたのはすごいと思う。
 
 
――二人からみた陳内さんのいいところは?
 
遠藤:ほめるべきところはいっぱいあるんだけど…大人だよね。
 
陳内:雑だなあ(笑)
 
遠藤:若手俳優っていい意味でお芝居に突っ走っちゃうタイプが多いと思ったんだけど、将くんは結構周りのことも見ていて視野が広い。物事を俯瞰で見れるタイプだなって。ちょっと悟っている感ある。
 
戸谷:で、子ども心もある。
 
遠藤:アホっぽいところもあるけど、しめるところはしめてる。
 
戸谷:そのバランスがいいよね。
 
陳内:(照れ笑い)
 
(左より)遠藤舞・陳内将・戸谷公人 ©こむらさき

(左より)遠藤舞・陳内将・戸谷公人 ©こむらさき

――話もつきませんが、最後に本作の見どころをお願いします。
 
遠藤:今は稽古10日くらいですが、個々のキャラを綿密に組み立てています。これが3週間でさらに固まって、どこを見られても大丈夫というお芝居にしたい…
 
陳内:それ言っちゃっていいの?どこから見られても大丈夫って(笑)
 
遠藤:…いい!(笑)ええっと、一回観に来てもらって、楽しかったらもう一回観に来てほしいです。
 
戸谷:チラシの上の文字だけを見ると、なんだか悲しいイメージですが、笑えるところもあるし。笑ってちょっとほろっとする芝居になると思います。
 
陳内:俳優座劇場という300人くらいのキャパの劇場だからこそ成立する声量とかリアリティなどがあると思います。今は、みんなが心に持っていることを嘘つかずにやりあっているところです。もちろん、お芝居は大前提で嘘なんでしょうが、そこに生きている2時間は間違いなく嘘がない世界を作りますので、ぜひ楽しみにきてください。
 
(文・写真/こむらさき)
 
公演情報
方南ぐみ企画公演『片想い』

■日時:2016年2月3日(水)~2月7日(日)
会場:俳優座劇場
出演:
陳内将 戸谷公人 遠藤舞
岡森諦(扉座) 西ノ園達大 三浦剛(演劇集団キャラメルボックス) 森山栄治(*pnish*)
鈴木健介 石倉良信 江崎葉奈
公式HP:http://www.hounangumi.com/

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