【2025年をプレイバック!】2年ぶり華やかに開幕!『スタクラ 2025 in 横浜』~高嶋ちさ子、石井琢磨、菊池亮太ら出演の1日目をレポート

レポート
クラシック
2026.1.10

時代を超えて受け継がれる新たなクラシック。
アニメ・シネマの名曲コンサート。

 『あなたの思い出リクエスト 〜アニメ・シネマ名曲コンサート』
日程:10月4日(土)17:00開演(約90分)
出演:菊池亮太(ピアノ)、紀平凱成(ピアノ)、12人のヴァイオリニスト、野々村彩乃(ソプラノ)、高嶋ちさ子(トークゲスト)、石井琢磨(MC)

『スタクラ2025』初日の2公演目は、『あなたの思い出リクエスト アニメ・シネマ名曲コンサート』。客席には多くのシニア世代に観客にまじって、小・中学生の姿も見える。公演ごとに観客の入れ替えはしているものの、前公演が温めてくれた会場の雰囲気というのは不思議と残っているものだ。

まずはYouTubeチャンネル登録者数82万人を誇るピアニスト、菊池亮太の「アニメ&シネマ即興メドレー」。とろけるような「ムーン・リバー」で幕が開くと、一瞬で客席の雰囲気がほぐれるのを感じる。『ニュー・シネマ・パラダイス』から「愛のテーマ」、『千と千尋の神隠し』から「あの夏へ」と続き、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」で閉じる。

菊池亮太

菊池亮太

左から菊池亮太、石井琢磨(MC)

左から菊池亮太、石井琢磨(MC)

ここで、オープニング公演で大活躍だった石井琢磨が、今度はMCとして登場。「昼公演にも来てくれた方は?」と観客に尋ねると、かなりの手が上がった。「コンサートのハシゴができるのもフェスならではですね」。

幅広いジャンルで活躍するソプラノ歌手、野々村彩乃が歌う「もののけ姫」は、森羅万象に想いを馳せたくなるような世界観。どこか儚さを感じさせるカウンタテナーとはまた趣が違い、まろやかかつ芯の強さを感じる歌声は感動的で、菊池が「(感動して)弾くのを忘れそうになる」というのにも頷ける。「いつも何度でも」も朗らかでシンプルな曲調にのった言葉がすっと入り込んできて、心が浄化されるよう。

野々村綾乃

野々村綾乃

同じく野々村による「ディズニー・プリンセスメドレー」は、うっとりと夢見るような『白雪姫』の「いつか王子様が」に始まり、『リトル・マーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」ではミュージカルの臨場感を再現。寄り添う菊池のピアノも秀逸だ。『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー」では、自信に満ちあふれた、自由で強い新時代の女性像を見せてもらえた気がして、なんだか元気になった。

続いて、情景や心情を即興で紡ぎ、唯一無二の音楽世界を描く異才ピアニスト、紀平凱成が両手を振りながら登場。「ディズニー名曲メドレー」では、「右から2番目の星」、「ハイホー」、「チム・チム・チェリー」、「ユーヴ・ガット・フレンド・イン・ミー」、「ジッパディー・ドゥーダ」、「パート・オブ・ユア・ワールド」、「星に願いを」、「イッツ・ア・スモール・ワールド」、「ホール・ニュー・ワールド」などを、まさにここで湧き上がるようなみずみずしさで繋いでいく。演奏中にも時折、客席に向かって片手を振り、会場はなんとも言えない和やかなムードに。

紀平凱成

紀平凱成

菊池と紀平による2台ピアノの演奏は、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」。菊池が奏でる原曲に紀平がオブリガードのように寄り添い、静謐な雰囲気のままの対話が素敵だ。そして、改めてこの曲の素晴らしさと、亡き作曲家の偉大さをしみじみ思った。

その後はトークゲストとして高嶋ちさ子が登場し、「12人のヴァイオリニスト」のユニットコーナー。まずは7名による「ジブリ・メドレー」だ。「となりのトトロ」、「ルージュの伝言」、「海の見える街」、「いつも何度でも」、「人生のメリーゴーランド」を、手拍子にのって、“美しく楽しい”振り付けとともに演奏。

さらに、ジャスミンの衣装を現れた5名で「アラジン・メドレー」。「アラビアン・ナイト」、「ホール・ニューワールド」、最後は赤いパンツドレスに着替えた7名のジブリチームも加わり「フレンド・ライク・ミー」。本当に、彼女たちの観客を巻き込む力は抜群だ。

そしていよいよ目玉企画、「あなたの思い出リクエスト」。事前にSNS上で行われたアンケートでリクエストが多かった上位5曲を、菊池亮太が即興演奏するというものだが、なんとこの時点で菊池には曲目が知らされていない。「マジで、やらせではない」と石井。10位〜1位の順に発表され、「E.T.のテーマ」、「She(ノッティングヒルの恋人)」、「ムーン・リバー(ティファニーで朝食を)」、「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(タイタニック)」、「愛のテーマ(ニュー・シネマ・パラダイス)」の5曲を弾くことが決まったが、菊池は「She」を知らないという。そして菊池はオープニングの即興演奏でランクインした10曲のうちの2曲をすでに演奏していた! 石井曰く「舞台裏が大騒ぎだった」そうだが、それも「やらせではない」証し。ここでは雰囲気を変えて弾くことをリクエストした。

スタッフのスマートフォンで「She」を数秒聴き、準備が整うと、いよいよ即興演奏がスタート。「E.T.」のテーマを繋ぎに使ったり、情熱的な「ムーン・リバー」を弾きながら「She」を伴奏として使ったり、「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」のメロディーに全くちがうコードを纏わせたり。軽やかな3拍子でサティ風の「She」、ジャズ風の「愛のテーマ」、超絶技巧の「E.T.」など、変幻自在な菊池ワールドを繰り広げる。リクエスト通り、壮大に愛のテーマを歌い上げ、コンチェルトのフィナーレさながらに演奏を終えると、会場からもブラボーの声がかかった。

最後は『天空の城ラピュタ』から「君をのせて」を出演者全員で演奏、見事な大団円を迎えた。企画を担当した構成作家の新井鷗子氏は、アニメやシネマの音楽を「21世紀の新しいクラシックになっていくべき日本の重要な財産」と言っていたが、素晴らしい名曲が演奏され続け、愛され続けていくことで、それが果たされていってほしいと思う。

シェア / 保存先を選択