Billyrrom 2021年リリース楽曲をなぜいまリメイクしたのか? その制作の中で得たもの、アジアツアーの構想と2026年の展望を訊く
Billyrrom
今年2025年もライブ、リリースともに精力的に活動を続け、メンバーたちがルーツに持つソウル、ファンク、ロックとオルタナティブな感性を掛け合わせながら、自ら掲げる“トーキョー・トランジション・ソウル”をアップデイトしてきた新進気鋭の6人組バンド、Billyrrom。11月5日に最新EP『Jupiter=』をリリースしたばかりの彼らが早くも新しいシングルをリリース。
今回、彼らが選んだのは、2021年にリリースした「Babel」のRe-recordedバージョン。
前述の『Jupiter=』でさらなる前進の意思をアピールしていた彼らがなぜこのタイミングでリメイクなのか。その意図に加え、新しいバージョンの手応えをメンバーたちに尋ねたところ、前回のインタビューに続いて、進境著しいBillyrromの今が明らかになってきた。
来年2月からは東京:Zepp DiverCity公演も含む『Billyrrom Asia Tour 2026 “Jupiter=”』がいよいよスタートするが、さらに強くなったメンバーの結びつきも含め、これまでとは一味違うバンドの姿を見せてくれそうだ。
来年の抱負を尋ねると、「今年同様、来年も正念場。行けるところまで行きたい」という答えが返ってきた。『Asia Tour』以降も飛躍のきっかけとなる予定が決まっているそうだ。
まずは『Asia Tour』を楽しみにしながら、Billyrromのこれからに期待している。
――前回のインタビューで、「音楽がナメられていると感じることが多くて、悔しい。メンバー全員がそういう気持ちを持っている」とおっしゃっていましたが、つまり音楽がナメられているような状況を自分たちが変えたいと考えている、と?
Mol(Vo):それが第一目標と思っているわけではないですけど、そうだよなって思いつつ、いろいろなタイミングで「ムカつくな」ってみんなで言いながらやってますね。
――どんなとき、「ムカつくな」って思うんですか?
Mol:挙げたらきりないと言うか、それだけでインタビューが1本作れちゃいますよ(笑)。
――なるほど。じゃあ、それはいつか時間がたっぷりある時に聞かせてもらうとしてですね、そういう思いが「Billyrromは等身大でいたい。正直でいたい」「これからのライブではバンドの生々しい姿を見せていきたい」という前回の発言や、11月15日にリリースしたEP『Jupiter=』のリード曲「Unknown Island」の自分たちに素直に未来に向かって進んでいこうというテーマに繋がっていったんじゃないかと思うのですが、その次のステップとしてリリースする曲が2021年にリリースした「Babel」のRe-recordedバージョンというのは、どういう流れとか意図とかがあるんでしょうか?
Leno(Key/Syn):シンプルに5周年記念です。Billyrromの。
――あ、そうなんだ。5周年記念なんだ。
Rin(Gt):いちばん最初に作った曲なんですよ。言ったら、右も左もわからない状態で作った曲を、今回、録り直してわかったことでもあるんですけど、確かにめちゃくちゃなところもあるし、でも、だからこそ縛られていないところもたくさんあって。その一方では、歌詞を読み返してみて、この頃の俺、こんなことを考えてたんだ、でも、今だったらこんなふうに表現できるけどって思うところもあって。それも含めたこの5年間の変化を、「Unkown Island」でこれからの自分たちを語った直後に振り返るというか。だから、5周年記念ではあるんですけど、単純に5周年だからリリースしようっていうわけではなく、ちゃんとそういう意味があるというか。
――なるほど。ところで、話が横道に逸れちゃうんですけど、「Unknown Island」のMVで、みなさん、水の上のラフト(浮き台)みたいなところで演奏しているじゃないですか。あれは合成ではないですよね?
Yuta Hara(DJ/MPC):合成ではないです。福島の猪苗代湖で撮影したんですけど、90センチ×90センチぐらいのラフトを、岸からたぶん150メートルか200メートルぐらい離れたところに設置して、ドローンで撮影したんですよ。
――あの上でバランスを取るのは難しくなかったですか?
Shunsuke(Dr):1回ありました。
――え、湖に落ちた!?
Shunsuke:いえ、落ちてはないですけど。
――よかった。
Shunsuke:他のみんなは1個のラフトの上に立ってるんですけど、僕はドラムだから4個使ってるんですよ。で、自分のソロショットの撮影の時に左前のステージがどんどん向こうに行っちゃって、1回、ハイハットが倒れかけるみたいなことがあって。カメラマンは「気にしない、気にしない」って言うんですけど。
Leno:それは無理でしょ。
Shunsuke:それがちょっと大変でした。
――ラフトまではボートに乗って?
Yuta Hara:いえ、徒歩です。あるじゃないですか。オーバーオールみたいなやつ。
――あー、防水つなぎ。
Yuta Hara:それを着て、ラフトまで歩いていって、ラフトに乗ったら脱いでみたいな。
――そうなんだ!(笑)
Mol:めちゃめちゃアナログな撮影でした(笑)。
Mol(Vo)
――一度ラフトに乗ったら、撮影が終わるまでずっと湖の上に立ちっぱなしですよね?
Mol:1回、岸に戻りましたけど、4時間ぐらいあそこにいましたね。
Taiseiwatabiki(Ba):気温が7度とかで。
――どなたのアイデアだったんですか?
Yuta Hara:監督です。でも、Rinも何か言ってなかったっけ? ビルが映らない場所がいい、みたいな。
Rin:“この先”がちゃんと見えてほしかったというか、“その先にあるのが未知だ”ってことを表現したくて、最初に(MVの)監督に伝えたんですよ。最後はやっぱり開けている場所がいいって。まさか湖の上になるとは思ってなかったですけど(笑)、出来上がったMVを見たとき、すげえって思いました。
――苦労した甲斐はあった、と。
Taiseiwatabiki:今までで一番しんどかったです。
Yuta Hara:過去イチだったよね。だから、終わってから食べたカップラーメンもうまかった(笑)。
――そう言えば、「Babel」はBillyrromが初めてMVを作った曲でしたね。
Taiseiwatabiki:Yuta Haraが監督です。
――あのMVはYutaさんのアイデアだったんですか?
Yuta Hara:Rinからテーマを聞いて、みたいな感じだった気がしますね、確か。あの時は千葉県の富津岬で撮影したんですよ。
――なぜ海だったんですか?
Yuta Hara:なんでだろうな。サウンドから海っぽい感じが合うかもって連想したのかもしれないです。そこまで深くは考えてなかったですけど、画が浮かんだというか、そういう感じだったと思います。
――ギターのリバーブの掛け方がちょっとサーフロックっぽいから、あのMV、ぴったりだなって。
Rin:確かに。あの時、細野晴臣さんとか杏里さんとか、海の情景が浮かぶ音楽を聴いてた記憶がありますね。
――『Jupiter=』の「Bon Voyage」でトレモログリッサンド奏法をやっていたから、Rinさんはサーフっぽいサウンドも好きなのかなと想像したんですけど、あまり関係ないですか?
Rin:そうですね。そんなに意識はしてないですね。
Rin(Gt)
――なるほど。さて、話がだいぶ横道に逸れてしまいましたけど、ここからは「Babel」のRe recordedバージョンについて聞かせてください。今回、レコーディングしなおすにあたって、元々、英語だった歌詞を日本語に書き直しています。なぜ、日本語に書き直したんですか?
Rin:いちばん最初に書いた曲と歌詞だから、大事にしたいと思っているんですけど、だからこそ、どんなことを歌っているのか、みんなにも知ってほしいという気持ちが前々からあって。最初書いた時は深く考えずに英語で書いちゃったので、だったらこのタイミングで日本語にしてみようって思ったんです。
――Rinさんが書き直したんですか?
Rin:そうです。だから、最初、ほんとに5年前の自分の頭の中をもう1回覗いてるみたいに思って、こいつ、何言ってんだろう?みたいなところもあったし。自分なりに比喩をたくさん使っていて、これは何を意味してるんだろう?みたいなところもあって、過去イチ難しかったですね。
――今回の日本語の歌詞は、元々の英語の歌詞の直訳ではないですよね?
Rin:直訳ではないですけど、意味合いは全部一緒にしてます。だから過去イチ難しかったんですけど、全体を通して言ってることは変えてないです。
――新たに日本語の歌詞になった「Babel」を歌ってみて、Molさんはいかがでしたか?
Mol:何かしら違和感があるのかなと思いましたけど、歌ってみたら、自然に歌えたので、すごく馴染んでるって感覚がありました。日本語になると、口の使い方が全然違うから、音ももちろん変わるんですけど、そこはいい感じに変わった気がします。個人的には、それがうれしかったというか、気持ちがいいポイントですね。レコーディングした歌を聴いたとき、こんなに変わったんだって思いましたけど、この5年間、歌を研究してきたところもあったので、その成果もあるのかなと思いつつ、歌詞とその言語が歌にもたらす影響ってでかいんだなって改めて思いました。
――今回、新たにレコーディングするにあたっては、アレンジはほぼ変えずに音色やプレイのニュアンスで曲をアップデイトしていますね。
Rin:そうですね。ライブでめちゃめちゃやってきた曲なんですけど、オリジナルのバージョンにYutaとLenoは参加していなかったので。
Mol:2人が加入する前の曲なんですよ。
Rin:だから、2人のエッセンスをいっぱい入れることも考えつつ、アレンジとか構成とかは変えずに。
Leno:元の曲がみんな好きなので、変に気張って、スペシャルバージョンみたいなものにしても、それは「Babel」じゃないみたいな話になったんです。
Taiseiwatabiki(Ba)
――当たり前ですけど、新しいバージョンを聴いてしまうと、オリジナルは音像がちょっと眠い印象がありますね。
Mol:でも、そこがいいんですよ。確かにちょっと曇ってる感じがあるけど、それが僕は好きで。今ではもう出したくても出せないものが出てるから、オリジナルはオリジナルでいいんですよね。
――新録はちょっとテンポが上がってます?
Shunsuke:上がってないです。
――そうか。キーもそのままですよね?
Mol:そのままです。
――テンポのキーもそのままの割に新録は音像がすごくぱきっとした印象になっていますが、それぞれにどんなアプローチをしたんでしょうか?
Shunsuke:変化した「Babel」はライブでいくらでもできるし、オリジナルの「Babel」は今でも好きなので、そのままでいこうって思いました。この曲でドラマー人生が始まったみたいなところもあるので、フレーズはほとんど変えずに……細かいことを言うと、ほんのちょこっとだけ変わってるんですけど。音色的なところはけっこう変わっていて。オリジナルを録った時は、ドラムを始めて半年足らずだったから、チューニングもわからないし、叩き方もよくわからないしって状態だったんですけど、今回はプロのテックさんにも入ってもらって、こういう音にしたいというレファレンスも伝えたので、自分のルーツみたいなものがより出たのかなと思います。
――レファレンスってたとえば?
Shunsuke:山下達郎さんです。オリジナルを録った時も山下達郎さん含め、あの年代のシティポップをちょうどみんなで聴いてた時期だったんですけど、それが言葉にできるようになったというか、その音楽のどんなところが感覚的にびしっときてるのか、みたいなことをちゃんと伝えられるようになったことが今回、けっこう曲にも出ていると思います。
――Lenoさんはオリジナルには参加していないわけですから、オリジナルに入っているキーボードの音色は、もちろんLenoさんが選んだものではない。それを今回、自分でプレイするにあたっては、音色を含め、どんなふうに取り組んでいったんですか?
Leno:俺、オリジナルの鍵盤の音、そんなに好きじゃなくて(笑)。だから、自分の好みにしちゃおうって考えたんですけど、でもよくよく考えたら、オリジナルの鍵盤の音は確実に他の楽器とマッチしていたので、最終的に間を狙おうと思いました。自分好みにしつつ、原曲の雰囲気を損なわないような音色で、一番メインのシンセのリードフレーズは作りました。あと、オリジナルには入ってなかったピアノを入れました。この曲、ライブでもう何回やったかわからないですけど、やればやるほど変わるというか。中でも鍵盤はたぶん一番変わっていて。最初は全部シンセで弾いてたんですけど、やっているうちにピアノがいいな、みたいになってきて。他の楽器も生感があるから、しっくりくるんじゃないかと思って。ライブでやっているアレンジを踏まえつつ、音源にふさわしいピアノのアレンジを考えました。
――アウトロのギターソロの直前に入るピアノのグリッサンドがかっこいいですね。
Leno:ありがとうございます。
Shunsuke(Dr)
――それにしてもオリジナルのシンセは、なんだかすごくレトロな音色でしたよね。
Mol:あれ、アプリのシンセなんですよ。
Taiseiwatabiki:あれはあれでいいよね。ライブの時、あれをBluetoothで飛ばそうとしたっていう(笑)。
Leno:そうだ。その話はしたほうがいいんじゃない?
Mol:そんなことあったね(苦笑)。
Leno:バンドに鍵盤がいないのに鍵盤の音を入れっちゃってるんで、ライブの時に……。
Taiseiwatabiki:あれ、何ていう機械?
Mol:名前はわからないけど、Bluetoothで繋げるトリガーみたいなやつを買ったんですよ。それを足で踏むと、Bluetoothで繋いでるものを再生できるんですけど、クリックなんか聞いてないから。いや、そもそもBPMがわかってないから、踏んだところでシンセのフレーズがどんどんずれていくんです。
Rin:しかも、ミキサーがないと使えないってことをわかってなくて、ライブハウスに出たとき、ライブハウスにもスタジオみたいにミキサーがあると思い込んでたので。
Leno:ライブハウスのステージの上にミキサーがあると思ってたんだ!?
Rin:だって、ライブハウスって出たことなかったから、たぶんあるんだと思って、PAさんに「ミキサーに繋いでください」って言ったら、「ミキサーは持ち込みですか?」「いや、ないです」「どういうことですか?」って。結局、そのトリガー、けっこういいやつを買ったのに1回も使わずにLenoが入るまで、「Babel」はシンセなしでやってました。
Leno:なんで、誰も同期のやり方を調べなかったの!?
Rin:それでイケるって思ってたから。
Leno:そうだよね。そう思ってたんだもんね。
Rin:最近知ったんだけど、サポートミュージシャンの人がさ、ライブの時、タブレットの譜面のページをめくるのに俺らが買ったフットスイッチを使ってて。
Leno:え、そうなんだ。
Rin:それが正しい使い方だったんだよ。
Taiseiwatabiki:あれで音を鳴らす人なんていないんだ。
Mol:バカすぎる(笑)。
――いや、ある意味、この5年間のバンドの成長を物語る、すごくいいエピソードだと思いますよ。
Mol:しかも、それを1回ライブに持って行ったっていう。怖かっただろうね、ライブハウスのPAさん。
Yuta Hara(DJ/MPC)
――さて、話を戻してですね、Taiseiさんは今回、どんなアプローチを?
Taiseiwatabiki:ほぼループしてるだけの、めっちゃシンプルなフレーズだったので、俺も大幅に変えるというよりは、元々の良さを残しつつ、自分の手癖じゃないけど、要所要所で動けたらいいなみたいな感じで。ほんとにそれだけですよね。だから、Shunsukeと一緒で、元々の良さを最大限に生かそうと思って、フレーズは考えました。考えたっていうか楽器隊の5人揃ってレコーディングしたので、その場のノリというか、ライブをやってるような感じで演奏しました。音色はShunsukeのドラムが割とぱきっとした音になりそうだったから、ベースは前に出るのではなく、下で支えるイメージで作りました。
――Rinさんのギターは?
Rin:バッキングの音色は大幅に変えずに、元々の音を良くしたみたいな感覚でした。
――今回、アウトロにソロを加えていますね。
Rin:そうですね。あれはほんとにライブアレンジの中でできたんですけど、ギターソロが2回出てくる曲になったので、せっかく2回弾くなら、それぞれに音のキャラを変えたいと思って。アウトロのソロは松原正樹さんみたいな音色がいいと思って、伸びのいいディストーションにディレイで、あの年代感を出すみたいなことをやって。で、もう一つのソロは、フュージョンはフュージョンなんだけど、海外のフュージョンというか、ジェフ・ベックというか、そういう音にしたいと思って、指弾きでニュアンスがより出やすいようにしてっていうのはけっこう意識しました。
――オリジナルバージョンはピック弾きしていたんでしたっけ?
Rin:ピックで弾いてました。あの頃はまだ、指でソロは弾けなかったので、今回、やってみようと思いました。
――確かに一つ目のソロもオリジナルに比べてかなりフュージョンらしい音色になっているという印象でした。そして、Lenoさん同様にオリジナルをレコーディングした時はまだメンバーではなかったYutaさんが今回、DJプレイを加えています。
Yuta Hara:そうですね。オリジナルの良さを際立たせたかったので、情報量を変に増やして曲の印象をぼやかしてしまうよりは、コーラス的な位置で加えて曲そのものの音像を最大化する、みたいなことを考えました。
Leno(Key/Syn)
――なるほど。決して、オリジナルバージョンに不満があったからレコーディングしなおしたわけではなく、曲が元々持っていた良さをさらに引き出すことにメンバー全員で取り組んだ、と。ところで、めちゃめちゃなんだけど縛られていない部分があるとさっきRinさんはおっしゃっていましたが、縛られていない部分って、たとえばどんなところですか?
Rin:今だったら、これは入れないよなってところも含め、この感じ良くね?って最後まで直感だけで作ってて。今だったら、ここでこうなるから、ここはこうしよう、みたいに音楽理論的に作るようなところも当時はほんとに無知だったから、全然ないんですけど。逆に、だからこそ生まれるものもあって。自由って言ったらちょっと違うんですけど、そういうのもいいよなって改めて思えたんですよ。
――そういうところに立ち返ったみたいな感覚もあるんですか?
Rin:それはあると思います。こうしたらうまくいくみたいな、ある程度のルートというか、セオリーみたいなものがいつの間にか自分の中にできてたんだなって。それはもっと崩していかなきゃ、みたいなことは思いましたね。
――Molさんのボーカルについては、さっき聞かせてもらいましたが、アプローチとしてはどんなことを考えましたか?
Mol:言葉を全部きれいに聴こえるようにっていうのはすごく意識しました。Rinとも話してなんですけど、ちゃんと聴かせたいっていうのはありましたね、今回。これまで出してきた曲の中でも、特にそれが強かったと思います。
――ところで、タイトルの「Babel」って何の象徴なんでしょうか? もちろん、旧約聖書の創世記に出てくるバベルの塔がモチーフになっているとは思うんですけど。
Rin:“理想”ですね。理想を作り上げすぎてしまうと、そこから抜け出せなくなるということを歌っているんですけど、自分の中にある理想をバベルの塔にたとえているんです。
Mol:おもしろいよね。バンドとしての理想像なんて全然ない時に作った曲が、そういうメッセージを持っていて、理想像を持っている今の自分たちがそれを改めてレコーディングしているんだから。
Rin:しかも、その曲に自由を再確認させられるっていう。
Mol:おもしろいなって思います。
――そういう曲の歌詞が今回、日本語になったことでラブソングっぽいニュアンスが加わったという印象もありますけど。
Rin:そうですね。そこはやっぱり聴いてくれる人がちゃんと入り込めるようには書きたいなと思って。だから、誰が聴いても自分を重ねられるようにというか、せっかく日本語で書くんだったら、自分たち以外、共感できない形で書くのではなく、聴いた人がみんなちゃんと自分の気持ちも重ねられるように書きたいなと思って、恋愛も含めた対人関係の中で書いてみました。
「Babel (Re-recorded)」ジャケット写真
――ところで、今回のジャケットの写真はバベルの塔と形は違うけど、そういう高層建築感がありますね。
Taiseiwatabiki:あれ、(オリジナルの)MVを撮った場所です。
――あ、やっぱり富津岬にある明治百年記念展望塔なんだ。
Mol:5年前にMVを撮ったところでジャケットの写真を撮りたいねって話になって、一緒にやってるカメラマンも含め、みんなでまた富津岬に行って、カメラマンの好きなアングルで撮ってもらったんですよ。
――そうか。MVを撮った時に撮影した写真なのかなって思ったんですけど、わざわざ撮りなおしに行ったんですね。
Rin:いつもカメラやってもらってる新谷隼人って奴がいるんですけど、MVを撮影した時はいなかった、そいつが今回撮るってことに意味があると思ってて。前に撮った写真を使うよりも、新谷隼人っていう新しい仲間が撮る写真をジャケットにするのがいいよね、みたいなことです。
――すべてにちゃんと意味があるわけですね。
Taiseiwatabiki:みんなでマザー牧場にも行きました。
Mol:撮影の帰りに。撮影が終わったあと定食屋に寄ったら、すごくおいしくて、すっかり長居しちゃったんですけど、近くにマザー牧場があるじゃんって盛り上がって。みんなで行ったら閉演1時間前で、1時間で牧場を駆けまわってきました(笑)。
Taiseiwatabiki:めっちゃよかったです。
Mol:1時間でめっちゃ楽しめたね。
Leno:もっとゆっくり楽しみたかったよ。
――さすが元々友人だった6人が集まったバンド。あいかわらず仲がいい。そろそろ時間なので、最後に来年2月から始まる『Billyrrom Asia Tour 2026 “Jupiter=”』について聞かせてください。
Mol:どんなツアーにしたいか、ちょうどみんなで話し合ったところなんですよ。
Taiseiwatabiki:9月10日に『GER vol.2 ~5th Anniversary』っていううちらの企画ライブを渋谷WOMBでやったんですけど、その時はさっき話したカメラマンの新谷とか、「Unknown Island」のMVを撮ったり、VJをやったりしてくれてるKotaro Yamadaとか、アートワークをやってくれてるAKI君とか、周りにいるクリエイターと一緒に何かおもしろいことをやろうってやったんですけど、今度のツアーも演出を含め、俺らにしかできないものにしよう、みたいな話はしていて。
Leno:具体的にどうするかまではまだ全然詰めれてなくて、これからそれぞれにどんなことをやりたいのか考えて、話し合いながら詰めていくんですけど。
Mol:ラフな時間が欲しいなって話はしたよね。
――ラフな時間というのは?
Taiseiwatabiki:それこそ『First One-Man Live』だったり、『First One-Man Tour“noidleap”』だったり、1stアルバムの『WiND』のリリースツアーだったりは、アメリカのスーパーボウルとか、東京ドーム公演とか、スタジアムでやるライブに憧れがあって、けっこうショーとして魅せる完成度みたいなところに注力してたんですけど。今度のツアーはもちろんそういうところにも力を入れつつ、もっとバンドっぽさを変に気張らずに、そこが自分たちならではのオリジナリティーだとも思うから、もっと出していきたいという話はしていて。
――なるほど。そういうところがツアーの見どころの一つになる、と。
Leno:最近のBillyrromはかっこつけていない部分も魅力になってるみたいなことを、いろいろな人が言ってくれるので、そういうところも、みんなに知ってもらえたらいいなっていうのはありますね。
Mol:何も考えないことがすごく苦手だったんですけど、確かに何も考えなくてもいいかもねっていう空気になってるかもしれないです。そのままでいいじゃんって。
――もはや何も考えなくてもBillyrromらしさって出るんじゃないですか?
Leno:それにようやく気づいたんですよ。
Mol:何も考えないことの素晴らしさと、何も考えないって決して悪いことじゃないってことに気づけたっていう。2025年の一番の収穫はほんとそれですね。
取材・文=山口智男
撮影=大橋祐希
Styling: Hiroyo Aoki , Sayaka Kitagawa
Styling assistant: Shunnosuke Takeda
Hair and makeup : Yuri Miyamoto
Hair and makeup assistant : Mai Hayashi
<SPICE衣装協力>
・ラッド ミュージシャン 新宿 03-6457-7957
・アイバー、エルエイチエムイー、シンゴクズノ(シアン PR) 03-6662-5525
・原宿シカゴ(原宿/竹下店) 03-6721-0580
・ミューズギャラリー 03-6416-4217
・buff、HERGO、saraghina、yuers(アドナスト)03-5456-5821
リリース情報
https://nex-tone.lnk.to/BabelRerecorded
3rd EP『Jupiter=』
https://nex-tone.lnk.to/jupiter
<収録曲>
1. Bon Voyage
2. Funky Lovely Girl
3. Hold Me Tight
4. Stained Glass
5. Unknown Island
ライブ情報
2/21(Sat)大阪: BIG CAT
2/27(Fri)東京: Zepp Diver City (TOKYO)
3/14(Sat)ソウル:KT&G Sangsangmadang
3/17(Tue)香港:PORTAL
3/20(Fri)上海
3/21(Sat)北京
4/18(Sat)台北:Legacy Taipei
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