三浦一馬五重奏団、結成15年迎え初の『ファン感謝祭』開催! 抜群のアンサンブルに喝采【レポート】
-
ポスト -
シェア - 送る
三浦一馬五重奏団(キンテート)
三浦一馬五重奏団(キンテート)の『ファン感謝祭』が2025年12月21日(日)にサントリーホールで開催された。キンテート結成15周年での初めての感謝祭だという。しかも会場は、クラシック音楽の“殿堂”といえるサントリーホール。「ピアソラ・ザ・ベスト」の副題通り、オール・ピアソラ・プログラムが組まれた。
三浦一馬五重奏団は、アストル・ピアソラが率いたピアソラ五重奏団を範として、バンドネオン、ヴァイオリン、コントラバス、エレキギター、ピアノといういささか特殊な楽器編成を採っている。この日は、バンドネオンの三浦一馬のほか、ヴァイオリンの石田泰尚、コントラバスの黒木岩寿、エレキギターの大坪純平、ピアノの山田武彦という五重奏。
1曲目は「デリカシモ」。まず、三浦のバンドネオン・ソロで始まる。そこに石田がチチャーラ(ヴァイオリンの駒とテールピースの間で弓を擦る特殊奏法)で加わる。三浦は、左右を見て、メンバーや客席を確かめながら演奏。さすがリーダーである。「ミケランジェロ’70」はリズミックで、シンコペーションのきいた曲。5人のノリが伝わってくる。最後に大きなリタルダンド。名曲「ブエノスアイレスの夏」は少し重々しく始まった。独特のリズムを繰り返し、徐々にヒートアップ。
そして、「こんばんは、お越しいただいて、ありがとうございます」と、三浦のトークが入った。「キンテートもおかげさまで15年。応援してくださる方々、一緒に演奏してくださる方々に感謝して、ベストをお贈りします」
三浦一馬
「悪魔のロマンス」では、静かにしみじみとしたアンサンブルを聴くことができた。バンドネオンが旋律の美しさを際立たせ、ヴァイオリンが深々と歌う。石田はさすがの美音。エレキギターのソロも美しい。短調と長調の移ろいがまさにピアソラ。
「天使の死」は、石田のヴァイオリンで始まり、バンドネオン、エレキギター、コントラバス、ピアノとフーガ的に展開され、5人の演奏能力の高さが示される。そして、勢いよく疾走していく。
「五重奏のためのコンチェルト」は、コントラバスとピアノの低音部分の下降音階で始まる。音の積み重ねやアンサンブルがクラシック音楽のよう。そして遅いテンポの音楽となり、エレキギターのソロが入る。そしてまた、速いテンポでのアンサンブル。5人がそれぞれにキレの良い音楽を披露。
ヴァイオリンがフィーチャーされる「鮫」では、石田がリズミックなフレーズを弾き始め、続いて技巧的な速弾きを聴かせる。石田のヴァイオリンの魅力が見事に示された。
石田泰尚
「チェ・タンゴ・チェ」は、バンドネオンを中心とする明るく楽しい曲。三浦が楽器のボディを叩いて、ヴァイオリンとコミュニケーション。最後は石田がサンタ帽を被って演奏。
今日は感謝祭ということで、三浦が、メンバーにインタビューしながら、彼らを紹介。三浦は、石田がメンバーでは一番昔からの付き合いだという。つまり、高校生の三浦がコンチェルト・デビューしたときのオーケストラが神奈川フィルで、そのときのコンサートマスターが石田であり、それ以来の付き合いが続いているとのこと。無口な石田は最後に「よろしくお願いします」の一言のみ。
続いて、三浦はピアノの山田を「キンテートの裏ボスだと思っています」と紹介。山田は「まさか、(石田)組長がサンタ帽を被ってくださるとは!」と話す。大坪は、エレキギターはピックで弾くこと、クラシック・ギターは爪で聴くことを説明。彼は、フィレンツェ国際ギター作曲コンクールで優勝するほどの作曲家でもある。コントラバスの黒木は「このバンドで生活指導を担当しています」と言って、笑わせる。
山田武彦
大坪純平
黒木岩寿
この日は、キンテートのコントラバスを黒木が務めたが、髙橋洋太が担当することもあり、感謝祭ということで、髙橋も登場する。
プログラムの最後は、コントラバス2人という六重奏で、「リベルタンゴ」を演奏。コントラバスは、黒木がアルコ(弓)で演奏し、髙橋はピッツィカートで弦をはじき、ゴリゴリと低音が響く。山田のピアノに導かれ、石田のヴァイオリンも、三浦のバンドネオンも歌う。そして石田が強烈な半音階のトレモロを聴かせる。
髙橋洋太
アンコールでは、髙橋は鈴を持って現れる。「そり滑り」や「きよしこの夜」などのクリスマス・ソングをピアソラ風にアレンジした「クリスマス・メドレー・タンゴ・バージョン」。これは、クリスマス・シーズン限定であり、楽しく、面白く、貴重だった。
そして三浦は感謝を述べる。「15年の節目をサントリーホールでの特別公演。ここでの初めてのファン感謝祭をうれしく思います」。
アンコールの最後は、スマートフォンによる撮影OKで、「アレグロ・タンガービレ」。三浦のキレの良いバンドネオンのソロに続いて石田のヴァイオリンのソロ。黒木はアルコでゴシゴシ。髙橋のピッツィカートはノリノリ。6人が抜群のアンサンブル。山田の派手なパッセ―ジでファン感謝祭の舞台は締め括られた。
感謝祭ではあったが、ただ盛り上がるだけでなく、聴衆が静かに熱心に聴き入っているのが印象に残った。個々が際立つと同時にアンサンブルも見事なのが三浦一馬キンテート。それは、三浦のリーダーシップとメンバーへのサポート、そしてファンの喝采のたまものである。
取材・文=山田治生 撮影=奥野倫
三浦一馬五重奏団(キンテート)今後の公演
2026/3/26(木)開演:14:00~(開場 13:15~)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール (兵庫県)
2026/5/27(水)開演:19:00~ (開場 18:30~)
めぐろパーシモンホール 大ホール (東京都)