「今、観たいアーティスト」をライブハウスでーー無料招待制の新ライブイベント『ワンダービートクラブ〜WBC〜』開催直前、仕掛け人にインタビュー
FM802 DJ ハタノユウスケ、清水音泉・梶ふふみ氏
2026年3月2日(月)大阪・心斎橋JANUSにて『ワンダービートクラブ〜WBC〜第1試合』が開催される。出演は、Aki、Doona、FUJIBASEの3組。同イベントは、大阪のラジオ局・FM802の番組『RADIO∞INFINITY』(毎週木曜24:00-27:00オンエア)と、関西の名物イベンター・清水音泉がタッグを組んで開催する無料招待制のライブイベントだ。2021年に同番組がスタートさせた若手バンドの登竜門ともいえるライブイベント『寿限無座』からバトンを受け継ぎ、今回より新イベントとして開催される。開催を目前に控え、今回SPICEでは番組DJのハタノユウスケと清水音泉の梶ふふみ氏にインタビュー。イベント名のリニューアルにいたった経緯や今回のラインナップについて話を訊いた。
「ライブハウスから音を止めない」想いを継承
若手バンドの登竜門的イベントに
ーー梶ふふみさんは『寿限無座』の立ち上げから参加されてるんですよね?
ふふみ:はい。当時は2021年のコロナ禍でした。私がまだ入社3年目の頃で、初めて立ち上げから参加したイベントなんです。
ーー新進気鋭の若手が出演する、番組のコンセプトにもマッチした登竜門といえるイベントですよね。この想いは初回から、今回の『ワンダービートクラブ』まで変わらず?
ふふみ:注目の若手を応援したいなという気持ちは変わらずです。立ち上げ当初はコロナ禍からようやく抜けそうだという時期だったので、集客はキャパシティの半分といった状況でした。おもいっきりイベントを開催することはできなくても、「ライブハウスで音を止めない」「この空間が永遠に続きますように」という意味を込めて、樋口先輩が落語に取り組まれていたこともあり「縁起がいい言葉を名前につける」という古典落語の『寿限無』にちなんで名付けられました。そこから、いいバンドがいたら番組ディレクターの龍田さんに連絡を続けていて、そこからラジオで曲が流れたり、イベントへの出演にも繋がって、気づけば『寿限無座』を合わせて今回で9回目の開催に。
ハタノ:「音を止めない」という気持ちは僕もしっかり意識しています。
ーーハタノさんは2023年に『RADIO∞INFINITY』の新DJに就任されて、樋口さんによる最後の『寿限無座』でイベントを引き継いでいく宣言をされていましたね。SPICEでは、その日の模様をハタノさん目線でライブレポートを執筆していただきました(https://spice.eplus.jp/articles/317972)。歴史もあり愛されてきた番組とイベントだっただけに、引き継がれるにあたってプレッシャーもあったのでは?
ハタノ:樋口さんや番組のファンの方々にも気に入っていただいているイベントだったのでもちろんプレッシャーもありました。その後、『寿限無座』として2回開催したのですが、樋口さんがバンド名の由来にまつわる落語を披露してから呼び込む、というのを僕がするわけにはいけないので、どうしようかと考えた結果、大好きな野球の実況にみたてて呼び込むことになったのですが、それが受け入れてもらえるかすごい不安で……。実況席とわかるセットを用意したりスーツを着たり、どうすれば伝わるか苦労しましたね。
ふふみ:『寿限無』が人の名前にまつわる落語なので、バンド名の由来にまつわる話で呼び込む、という流れはきれいで分かりやすかっただけにね。私が「ハタノくんは野球が好きやし、ラジオでも実況のようなシーンがあるからいけるやろ」と突っ走って決めてしまったために、全然違ったスタイルになり苦労させてしまったと思います……(笑)。
ハタノ:イベント名と野球にどうしてもギャップがあるので、番組スタッフや清水音泉さんと相談して、今回から野球に寄せたイベント名に変えることになりました。
ふふみ:野球感が伝わるタイトルにしようとね。ハタノくんとはもちろん、ChatGPTにも相談しながら決めました(笑)。最初は、「バックスクリーン3連発!」とか。過去の実況で出てきた言葉を並べたりしたけどしっくりこなくて。
ハタノ:最初は全然違う案もありましたよね! 「実況〇〇!」のような、実況感が伝わるようなタイトルもあったり。「フルカウント」とかもあって、それやと追い込まれてるやん! とか(笑)。
ふふみ:響きがかっこいいワードやなと思って言ってみたけど、よく考えたらピンチの時に使われるワードやった(笑)。いろいろアイディアを出し合った結果、『ワンダービートクラブ』略して『WBC』に。
ーーそもそもハタノさんはいつから野球が好きなんですか?
ハタノ:物心ついた頃から好きでしたね。おじいちゃんが熱心な阪神ファンやったので、遊びにいくといつもテレビで試合が流れててずっと見てました。
ーーハタノくんといえばバスケのイメージもあるので。
ハタノ:中高6年間はバスケ部で、高校も部活の推薦で入学してるのでかなりしっかり取り組んでいました。一方、野球はやったことないので観る専です(笑)。だけど、お仕事で阪神タイガースや千葉ロッテマリーンズでプレーされていた今岡 誠さんにお会いした時に、「野球好きには、野球をしたことがない人の方が多い」というお話をしてくださって。それを聞いて、勇気をいただきました。
「ライブハウスに遊びに行くキッカケをつくりたい」
ーー満を持して、今回から野球押しのイベントカラーに。これまでロックバンドの出演が多かった印象なのですが、ラインナップのカラーも今回はガラッと変わっていますよね。
ハタノ:今回は「ビートクラブ」っぽいですよね。
ふふみ:毎回ラインナップを決める時には、ハタノくんも番組チームも、清水音泉もみんなで意見を出し合って決めているんです。今回は偶然、みんなの観たいアーティストが一致して、こういうイベントの軸になったのかなと。
ハタノ:番組で楽曲をお届けしているけど、ライブを観たことがない方にもイベントに出ていただいたりと、「今、観たいアーティスト」にお声がけさせていただいてます。
ふふみ:無料の招待制イベントでたくさんの人に知ってもらえる機会だからこそ、ほんまに気になってるアーティストに声をかけさせてもらって、みんなで一緒にライブが観たいなという私たちのわがままな想いも反映されています(笑)。だから、これまでも大阪で初めてライブをするという方もいらっしゃったり。これをキッカケに、年末の『RADIO CRAZY』に繋がることもありましたね。それにイベント名がガラッと変わるこのタイミングで、ハタノくんの色もしっかり出したいなという個人的な思いもあります。実際、番組を聴いていてもハタノくんが担当している番組だからこそ流れるアーティストや音楽もあるので、そういう「ハタノくんらしさ」を出したい。なので、今回はビートが印象的なアーティストが軸になっていますけど、次回はまた違ってきたりもすると思います。
ハタノ:単純に「今、このアーティストが観たい!」という気持ちが先行してブッキングに反映されているので、僕やスタッフの想いがすごく乗っかっている3組ですね。ということは、実況にも熱が入るんじゃないかなと! あ、でも実況といっても、バンドの小ネタを紹介しているだけなんですけどね(笑)。
Aki「これも愛としよう」
ーー実況スタイルも模索しながら(笑)。せっかくなので、それぞれ3組の気になるポイントもご紹介お願いします!
ふふみ:Akiさんは私が推薦させていただきました。女性シンガーで、唯一無二の歌声と歌詞がすごくよくて。悲しい、切ない、悔しい……といった感情を、ぜんぜん違った歌詞で表現されていて、さらに彼女の歌声と合わさることでより伝わってくるんですよね。悲しい、悔しいと言われるより、Akiさんの歌詞と声で聴く方が伝わるし、「そういうことあるな」とすごく共感できるんです。
ハタノ:ビジュアルも含め、透明感や浮遊感を感じるアーティストなので、どんなライブをされるのかすごく気になりますね。まさに歌詞のセンスがすごくおもしろいなと思う方なので、対面してみたいなと。
ふふみ:素直に「頑張れ!」という応援ソングを聴くより、個人的にはすごく励まされるんです。
ハタノ:まだまだベールに包まれているところもあると思うので、当日はどうやって実況しようかなと考えてます(笑)。
ふふみ:ハタノくんの実況からライブが始まるから、迷惑かけられへんしね(笑)。腕の見せどころ!
Doona「DON'T JUDGE ME」
ハタノ:Doonaは、僕がサーキットイベントで初めて観た時にすごい衝撃を受けたバンドです。5人組でブラックミュージックをルーツに持つミクスチャーロックバンドなんですけど、パンクな曲からトークボックスを使った曲もありと、ジャンルを飛び越えた音楽をされているんですよね。それに全員2002年生まれで年下なんです。オシャレなんですけど、攻撃的な曲もあり、いろんな手札があるのがカッコいいなと。
ふふみ:ライブを観たことがあるのですが、すごいかっこいい。今注目されているR&Bの要素もありながら、それだけではない魅力を感じています。
FUJIBASE「smoke and mirrors」
ハタノ:FUJIBASEは、番組プロデューサーの筒井さんが何度もライブに通っていて。その度に「よかったよ!」と話を聞いていたので音源を聴いて知りました。ライブが観てみたいなと気になっていたので、僕自身もとても楽しみです。
ふふみ:1曲1曲の幅が広いから、底が見えないんですよね。ジャンルではくくれない音楽がライブではどんな風に聞こえるのか楽しみです。
ーーこの3組が無料で観られると。
ふふみ:「タダほど怖いものはない」という言葉もありますが、このイベントに関しては信じてもらって大丈夫です! 一生懸命、お届けするので絶対に損はさせません。「ライブハウスは出会いの場である」という番組コンセプトの通り、これを気にライブハウスに遊びに行くキッカケになったり、3組それぞれのファンの方以外も、初めてライブを観られる日になるとうれしいなと思います。
ハタノ:「ライブハウスに行ってみようかな」と思うキッカケになるイベントになったらうれしいですね! そしてこの日の感想が、ラジオに届くようなイベントになればなと思います。
ふふみ:「1人で行くのは不安……」とかも気にしなくて大丈夫です! ライブ中は、ステージ上のアーティストとフロアにいるみなさんが一対一で向き合う時間なので。それに当日はハタノくんがいますしね!
ハタノ:僕もひとりで実況してるんで! 応援よろしくお願いします(笑)。
ーー今回イベントタイトルに「第一回」とついていますが、今後の展望は?
ふふみ:『ワンダービートクラブ』に出たい、と言ってもらえるようなイベントにしていきたいですね。
ハタノ:そうですね。最初は「1回表」にしようという話もあり「18回はしたいな」と思っていたぐらいなので、しっかり続けていきたいなと思います! そのためにはまずは初回となる今回、ぜひ遊びに来ていただけたらうれしいです!
取材・文・撮影=SPICE編集部(大西健斗)
イベント情報
日程:2026年3月2日(月)
会場:大阪・心斎橋JANUS
時間:開場18:30/開演19:00
出演:Aki、Doona、FUJIBASE
MC:FM802 DJ ハタノユウスケ
料金:完全無料招待制