劇団☆新感線初の本格派時代劇『乱鶯』で初挑戦の役柄に意気込む稲森いずみに独占インタビュー!
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『乱鶯』 稲森いずみ
初共演の古田新太と演じる“切ない大人の恋模様”の行方にもご注目
この春、開幕する注目の舞台『乱鶯(みだれうぐいす)』は劇団☆新感線が初めて挑む、ビターな味わいの本格派時代劇だ。“いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK”と銘打たれた今回は、新感線初参加の倉持裕が脚本を書き、座長のいのうえひでのりが演出を担当。いつものアクションやギャグが満載の新感線のステージとは、ちょっと趣の違う作品になる模様だ。この意欲作で、7年ぶりに舞台に立つことになったのが稲森いずみ。劇団の看板役者・古田新太とは映像も含めてこれが初共演で、役どころとしては古田演じる主人公、元盗賊の≪鶯の十三郎≫とほんのり切ない恋愛関係となる居酒屋の女将≪お加代≫を演じることになっている。稲森自身にとっても“初めての挑戦”が多いという今回、どんな思いで舞台に臨もうとしているのか、話を聞いた。
『乱鶯』 稲森いずみ
――今回の舞台へのオファーを聞いた時、まずどんなことを思われましたか。
なんだか身が引き締まったというか、すーっと新人の気持ちに戻った気がしました。なにしろ劇団☆新感線には7年ぶりの参加になりますし、舞台に立つこと自体、これがまだ3回目なものですから。あと、「また新橋演舞場の舞台に立てるんだ!」とも思いました。
――稲森さんは前回の舞台出演が劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『蛮幽鬼』(2009年)で、あの時も東京公演は新橋演舞場だったんでしたね。だけど、舞台経験3回のうち2回が新感線ってすごい割合ですね(笑)。
本当ですよね(笑)。これも、ご縁だなあと思います。
――振り返ると『蛮幽鬼』に出演したことで得られたこととは?
お芝居をするということを改めて新鮮に考えられるようになったことでしょうか。ふだん、役者さんたちがそれぞれ役づくりをする過程って見ることがないんですが、稽古場では大勢のさまざまな方々の役づくりの仕方を間近で見られたので、すごく刺激になりました。
――新感線の稽古場の場合はまた、特殊な経験ができそうな気もしますね。
確かに(笑)。初舞台の時のお稽古場とは全然違いました。そういう、ふだんとは勝手の違うところに行って、慣れないことをするというのもとても新鮮でしたし、自分を試したり、見つめ直すいい機会でもありました。
――稲森さんがそれまで口にしたことのないセリフとかもありそうですし。
ふふふ! セリフもそうですし演技の面でもそうですし、声の出し方からして違いますから。舞台裏での過ごし方や稽古場での居方とか、何もかもが新鮮で学ぶことが多かったです。
――特に新感線の稽古場は、みんながみんな楽しそうにしていらっしゃいますし。
本当にそうなんですよね。おかげでこちらもガチガチに固くならずにリラックスしていられて。みなさん気を遣って和ませてくださって、そうやって稽古に臨める現場を作ってくださるので、とても居心地が良かったです。でもそれでいて、それぞれが役を自分のものにしなきゃいけないという真剣さもものすごく伝わってくるんですけどね。
――そして今回の『乱鶯』ですが、台本を読んだ感想はいかがだったでしょうか。
登場人物たちが交わす会話が本当に面白くて、スラスラ楽しみながら読みました。時々、声を出して笑ったりもしながら。
――稲森さんが演じられる<お加代>という役柄についてはいかがですか。居酒屋の女将さんの役ですよね。
こういう役柄は初挑戦だな!と思いました。職業としてもそうですけど、江戸っ子なので。ここまでちゃきちゃきの江戸弁のセリフってこれまでしゃべったことがないんですよ。これまでは時代劇に出演する時は、きちんと足袋を履いてお作法よくお行儀よく教育された武士の奥方だったりお姫様の役ばかりでしたから。今回みたいに裸足に草履で、前掛けをかけているのも、「何、言ってんだい!」みたいな口調でしゃべるのも、初めてなんです(笑)。
――古田新太さんとはこれが初共演になるんですね。切ない大人の恋愛関係になる役どころだそうですが、ご本人はどんな印象でしたか。
優しさに溢れている方、という感じ。先ほど「今回の芝居は自分たちのほうでいろいろ変えていくことになるかもね」なんておっしゃっていましたけど、果たして今回どんなお芝居になるのか、私もとても楽しみなんです。
――いのうえひでのりさんに演出をつけてもらう面白さというと?
いのうえさんって本当に細かく、それでいてハッキリと動きや立ち位置を決めてくださるんです。そこをはずさずにしっかり受け止めていきたいですね。前回も、この立ち位置から動くのならきっとこういう気持ちで動いてほしいのかなとか、立ち位置から探って芝居を考えていっていた思い出があります。
――映像とは違う、お芝居ならではの面白さ、また難しさはどこだと思われますか。
それは、やっぱりナマだということ。熱というか、エネルギーがそのまま伝わる。だからこそ体調をちゃんと管理しなきゃいけないという緊張感がいつもありますね。絶対ケガしちゃいけないとか、この場面では絶対この持ち道具を忘れちゃいけないとか。映像と違って撮り直しができないので、そのへんも常に気が緩まないように、とても真剣にやっています。
――新感線の場合は、何か失敗すると罰ゲームがあったりするようですが。
いえ、私は絶対に罰ゲームだけはしたくないので! 今回もきっと大丈夫だと信じます!(笑)
――では、今後の稽古、そして本番に向けて楽しみなことは。
なんでしょうね、まだ今日の段階では稽古前なので想像がつかないなあ。稽古場の雰囲気は想像つくんですけど、実際に始まってみないと。とにかく今はすべてのことが楽しみであり、ちょっと心配でもあるという感じですね(笑)。初挑戦なこともたくさんあるし、舞台は7年ぶりというブランクもあるので、最初は劇団員のみなさんにしっかりついていかなきゃ!って思っています。
――では最後に、お客様へお誘いのメッセージをいただけますか。
今回の『乱鶯』は“いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK”ということで、劇団☆新感線としてもきっとレアな舞台になると思います。これはぜひ、観ておいたほうがいいですよ!(笑)
『乱鶯』 稲森いずみ
■日時・会場:
東京公演:2016年3月5日(土)~4月1日(金) 新橋演舞場
大阪公演:2016年4月13日(水)~30日(土) 梅田芸術劇場 メインホール
北九州公演:2016年5月8日(日)~16日(月) 北九州芸術劇場 大ホール
■作:倉持裕
■演出:いのうえひでのり
■出演:古田新太/稲森いずみ、大東駿介、清水くるみ/橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと/山本享、大谷亮介 ほか