藤原さくら、cero、Bialystocksらが野音で響かせた至福のアンサンブル、『SONO SONO in the greenpark '26』をプレイバック

2026.6.11
レポート
音楽

写真=オフィシャル提供(撮影:Hoshina Ogawa、桃子)

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2026年4月25日(土)、大阪・服部緑地野外音楽堂にて『KOBE SONO SONO Extra 「SONO SONO in the greenpark '26」』が開催された。本公演は、2023年と2024年に道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢で開催されたフェスティバル『KOBE SONO SONO』の番外編として、昨年に続き行われるもの。出演者はBialystocks、cero、藤原さくら。そしてNEWCOMER ACTに井上園子とTrooper Saluteが登場。春のうららかな気候と自然の中で、最高に気持ちの良い「園苑(SONO SONO)な」空間が生まれていた。今回はそんな『SONO SONO in the greenpark ’26』の模様をレポートしよう。

『KOBE SONO SONO Extra 「SONO SONO in the greenpark '26」』2026.4.25(SAT)@大阪・服部緑地野外音楽堂

『KOBE SONO SONO』といえば、豊かな自然を感じられる場所で音楽やフード、ファッションなど様々なカルチャーを楽しめるフェスティバル。道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢での開催以来、Harbor Studioやクラブ月世界など神戸を象徴する会場や、大阪城野外音楽堂の野外でもスピンオフ企画が行われてきたが、その全てで「『SONO SONO』やな〜」という空気が漂っていた。

それはステージ装飾を手がける「ヅカデン(宝塚電子倶楽部)」のカラフルポップなネオン、大阪・関西万博ドイツ館など5つのパビリオンで植栽を提供した「緑向ガーデン(谷向俊樹)」によるオーガニックな植物装飾、ハイクオリティのフードとハイセンスなショップ、開場中や転換中に神出鬼没に現れては軽快な音楽を奏でるアイリッシュバンド・bird(irish sessions)が作り上げる空間、そしてそれを心から楽しんで味わうオーディエンスがいるからだ。このゆったりとした時間が流れる『SONO SONO』のファンだという人も本当に多い。この日はソールドアウトで、人気ぶりが伝わってきた。

天候にも恵まれた当日。会場には、朝から老若男女大勢のオーディエンスが集合。席に着くと、ドリンク片手に本を読んだり、フードをゲットしたり、後方の芝生エリアでレジャーシートを敷いたりと、みな思い思いに開演までの時を過ごしていた。

ちょうどランチタイムということで長蛇の列を作っていたのは、和歌山の食材を使ったおむすびや梅酢かけキーマカレー、梅酒などを提供した「湯浅米醤」、イタリアの伝統料理・ランプレドットとワインを提供したみなと元町のイタリアンレストラン「TAVERNA MANO」。

昨年も出店して人気だった六甲のガレットとクレープのお店「LE MARRON」や明石のコーヒーショップ「Youth Coffee」も大阪にやって来てくれた。

関西のインディーズバンド・Easycomeのjohnnyが店主をつとめる「On the beat」はヴィンテージアイテムを、植野秀章によるCDショップ「HOLIDAY! RECORDS」は選りすぐりのCDを販売。

ステージ装飾を手がけた「ヅカデン」と「緑向ガーデン」もブースを構える。「緑向ガーデン」にはミニ観葉植物や手ぬぐいなどが並び、「AHSO a.k.a. ヅカデン」にはプリクラの機械が! 見ているだけで幸せになるアイテムやフードに囲まれていると、あっという間に開演の時がおとずれた。

初年度から『SONO SONO』のMCをつとめるFM802 DJの土井コマキがステージに登場。「『SONO SONO in the greenpark ’26』ようこそお越しくださいました〜!」と歓迎し、寒かった初年度の思い出を回顧。4年の歴史をしみじみ観客とわかちあい、「それでは始めて参りましょう!」と開幕宣言した。

【Trooper Salute】

撮影=桃子

NEWCOMER ACTとしてトップバッターを担ったのは、小宮颯斗(Key)、ムサシ(Vo)、ロン三元(Ba)、梅村祈穏(Dr)、岩井純成(Gt)からなる名古屋発のシンフォニックインディロックバンド・Trooper Salute。イントロの鍵盤から気持ち良い「浮世離れ」でライブをスタート。浮遊感がありつつも分厚いバンドアンサンブルに、ムサシが澄んだ歌声を力強く響かせる。かなり骨太でカッコ良い。観客のノリも最高で、のっけから歓声をあげて大喜び。

一気に疾走感を増して、90’sのカルチャーをふんだんに盛り込んだリリックや「ムーンライト伝説」のサンプリングが特徴的な「野菜生活」、メリハリのきいた構成で大きく波を作り上げた「幽体離脱」を披露した。カウベルや横笛も操るムサシのボーカル表現の幅広さ、強靭で柔軟なバンドサウンドは良い意味で鮮烈だ。後半で演奏された「埒」は6月リリースの1stアルバム『友達がいました』にも収録される楽曲。

撮影=桃子

パワフルでメロウで、アウトロの熱はすさまじかった。ラストの「不治」は約8分にも及ぶ長尺。ムサシのハイトーンボーカルが深いリバーブに包まれたサウンドの上を走り、静から動へと昇華した爆発的エネルギーに圧倒させられた。たっぷり40分のセットで自身の魅力と世界観を存分に発揮し、しっかりと爪痕を残したのだった。

【井上園子】

撮影=Hoshina Ogawa

続くNEWCOMER ACTは井上園子。アコギを持ってステージに現れると「見ての通り最初から最後まで1人でやりますので、お酒飲みながら楽しんでいってくれると嬉しいです」と挨拶。ゆったりとギターを爪弾きながら「たのしいくじびき」を歌い始めた。ブルージーなギターの音色に、抑揚のついた抜けるような歌声が広がっていく。<くじくじ たかがくじ>という軽快なリズムには、子どもたちも自由に身体を揺らす、微笑ましい光景が広がった。

続く「常磐炭坑節」は常磐炭田(福島県南部~茨城県北部にあった炭田)で働く労働者の間で歌われていた民謡。井上はエフェクターを駆使してサイケデリックな音を鳴らして独自の雰囲気を醸成、歌声はゆっくりとおおらかに青空に乗せていった。次に<信州信濃の新そばよりも 私あなたのそばがいい>というフレーズが印象的な「信州信濃」を情緒たっぷりに歌い上げた。

撮影=Hoshina Ogawa

後半では、アメリカのカントリー・ミュージックの名曲「Tennessee Waltz」を日本語訳も交えてカバー。あたたかくどこまでも伸びていく歌声が本当に気持ち良く、野音の空に溶けていった。そして最後に<ヨロレイヒー>と高らかに飛ばした「カウボウイの口癖」で締め括った。どこか懐かしい気持ちになる、あたたかな余韻に包まれたライブだった。

【藤原さくら】

撮影=桃子

本編1組目は、フラワーパーク大沢での『SONO SONO』やスピンオフ企画にも出演した藤原さくら。2月に初の日本武道館単独公演を大成功で終えた。この日はお馴染みの閑喜弦介(Gt)、銘苅麻野(Violin)に加え、初めて千葉広樹(Ba)を迎えた4人編成。1曲目の「My summer」から極上のハーモニーが優しく会場を満たしていった。藤原は「本当に良いお天気で。よろしくお願いします」と穏やかに微笑み、「daybreak」「JULIA」をブルージーに響かせ、春の陽気にぴったりの「Ellie」を心地良く届ける。

「『KOBE SONO SONO』はすごく大好きなイベントで、普通にお客さんとして観に来たいと思うような方たちばかりが出てるイベント。そのエクストラ公演に呼んでいただけて嬉しいです」と愛と感謝を述べて「Angel」へ。この日は2月にリリースされたアルバム『uku』に収録された楽曲も何曲か演奏されたが、この曲はアルバムのリードを担う曲。さらに「sunshine」ではウッドベースの低音、バイオリンの繊細な音色に野音の鳥たちの鳴き声が自然と重なり、この日この時だけのアンサンブルを作り出した。

撮影=桃子

藤原の落ち着いたボーカルと楽器隊の深みのある演奏で没入させた「my dear boy」 に続いては、スピッツの「春の歌」をカバー。「辛いことがあった日や雨が降ってるような日も、雲の上を歩いてやれという曲です」と言葉を添えて「walking on the clouds」をおおらかに奏でると、最後は藤原がウクレレを持って、バイオリンソロが恵みの雨のように降り注いだ「OK」を披露。実に豊潤な時間を届けてくれた。

撮影=桃子

【cero】

撮影=Hoshina Ogawa

2番手はcero。高城晶平(Vo.Fl.Gt)、荒内佑(Key.Sampler)、橋本翼(Gt.Cho)とサポートの厚海義朗(Ba)、光永渉(Dr)がSEなしで登場すると、大歓声と拍手に迎えられる。高城は嬉しそうに「服部緑地の皆さんこんにちは! ceroです! ちょうどよく陽が陰ってきましたね。この調子でやれたらと思います!」と挨拶し、早速「Summer Soul」を繰り出した。高城のボーカルとフルート、橋本のハイトーンのコーラスは祝祭のような軽やかさを纏う。

撮影=Hoshina Ogawa

撮影=Hoshina Ogawa

撮影=Hoshina Ogawa

続いては「Yellow Magus(Obscure)」。名曲の連投に観客は大歓喜。5人編成のcero、あまりにも良い。高城の変幻自在なボーカルと、躍動感あふれるアンサンブルが融合した「Elephant Ghost」でさらに熱量を引き上げた。高城は「今日は詰め詰めでセットリストを用意してるので」と手短にツアーの告知を済ませると「Orphans」へ。

ここまで、昨年リリースから10周年を迎えた3rdアルバム『Obscure Ride』(2015年)からの楽曲を披露すると、続いては『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018年)から「遡行」「Waters」をタイトにソリッドにプレイする。<気ままに あるがままに 踊ろう>という歌詞に呼応し、観客も高城も一体となって踊る光景は、音楽を純粋に楽しむ幸福感に満ちていた。

撮影=Hoshina Ogawa

終盤は「Nemesis」、昨年7月リリースの新曲「健忘者たち」「次はBialystocksが僕が大好きな『違国日記』の曲やってくれるって言ってたので楽しみにしてまーす!」と無邪気に述べて、「Angelus Novus」で締めくくった。ceroの歴史を初期から辿るようなセットリストで会場全体を巻き込み、多層的な音楽表現で魅了した50分。観客からは惜しみない喝采が贈られた。

【Bialystocks】

撮影=桃子

トリはBialystocks。2022年の『SONO SONO in the moonlight』でOPENING ACTとして出演して以来、今年で4度目の登場。もうすっかり『SONO SONO』の常連だ。サポートに朝田拓馬(Gt) 、越智俊介(Ba) 、小山田和正(Dr) 、オオノリュータロー(Bvs)という盤石のメンバーを迎えた編成でステージに立った甫木元空 (Vo)と菊池剛 (Key)。小山田が大きく鳴らしたドラムフィルにバンドメンバーがジョイン、甫木元がいきなりパワフルな歌声を響かせる。なんという圧倒的な幕開け。

撮影=桃子

1曲目は「雨宿り」を軽快に披露し、「コーラ・バナナ・ミュージック」では朝田のギターが激しくわななく。甫木元と菊池のパフォーマンスはもちろんだが、バンドメンバーのプレイからえもいわれぬ気合いを感じた。長年彼らを支えてきたメンバーとの信頼関係と深い絆も、近年のBialystocksのライブクオリティを劇的に引き上げているのだろう。それを証明するような演奏が続いていった。

撮影=桃子

「差し色」「憧れの人生」と繋ぐと、TVアニメ『違国日記』のエンディングテーマで、ceroの高城が楽しみにしていると話していた「言伝」が柔らかく伸びやかなアンサンブルで奏でられる。ふと袖に目をやると、高城と藤原さくらが並んでステージを見守っていた。そんな優しい光景に応えるように、笑顔で歌う甫木元の姿が印象的だった。心地良い風に音が運ばれた「頬杖」、芸術性豊かな「灯台」、波打つようなフェイクが冴え渡る「Over Now」、鋭利なギターソロと叩き込まれ続けるボーカルが圧巻だった「I Don’t Have a Pen」と、濃密な表現で会場を魅了した。

撮影=桃子

甫木元は「素敵なミュージシャンの方と共演できて嬉しいです」と短く挨拶し、タンバリンを持って「Upon You」を晴れやかに歌唱。「光のあと」で清々しいクライマックスを迎えた。オレンジ色の夕陽がステージを照らす中、彼らの音楽は“今”という瞬間を鮮やかに切り取り、観る者の心へ深く刻み込んだ。

鳴り止まぬ大喝采はアンコールに変化。ステージに再登場した甫木元は「すごい風が心地良くて、ほんとに……今日来れて良かったなと。また会いましょう」と感情を込めて挨拶し、真っ直ぐに「Mirror」を歌い届けた。

撮影=桃子

MCの土井は「園苑(SONO SONO)した〜! 良い1日でしたよね〜!」と感無量の様子。「来年も園苑したいですよね!」と語っていたように、次回の開催が楽しみでたまらない。

取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供(撮影:Hoshina Ogawa、桃子)

イベント情報

『KOBE SONO SONO Extra SONO SONO in the greenpark ‘26』
■日時:2026年4月25日(土)
■会場:服部緑地野外音楽堂
■出演者:cero/Bialystocks/藤原さくら/井上園子(NEWCOMER ACT)/Trooper Salute(NEWCOMER ACT)
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