キャストを一新、海宝直人らが人気作に挑む ミュージカル『レベッカ』 が開幕
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左から明日海りお、豊原江理佳、海宝直人、朝月希和、霧矢大夢
イギリスの作家ダフネ・デュ・モーリアのゴシックロマンス小説を原作としたミュージカル『レベッカ』。2008年4月にシアタークリエ・オープニングシリーズのミュージカル公演第一弾として上演され、約3ヶ月の公演が全日程完売という大ヒットとなった。
2010年には帝国劇場でも大劇場バージョンが上演され、2019年にはシアタークリエ開場10周年記念ラインナップの締めくくりを務めるなどした人気作が、7年ぶりに上演される。
今回はキャストを一新。海宝直人、豊原江理佳・朝月希和(Wキャスト)、石井一彰、俵和也、吉田広大、彩乃かなみ、生田智子、明日海りお・霧矢大夢(Wキャスト)と、実力派が名作に挑む。
開幕を前にゲネプロが行われ、キャスト陣からのコメントも到着した。
<キャストコメント>
マキシム・ド・ウィンター役:海宝直人
新たなミュージカル『レベッカ』を、ようやく皆様にお届けできることにドキドキワクワクしております。
演出の山田さんが稽古序盤におっしゃった「みんなで作るレベッカ」という言葉の通り、今回のカンパニーならではの解釈と息づかいが宿った作品になっていると思います。
日々新鮮に、この作品の持つ魅力とエネルギーを劇場でお届けできるよう、千穐楽まで努めます。
「わたし」役(W キャスト):豊原江理佳
小説、映画そして舞台と、世界中で長く愛される作品に携わることができ、とても嬉しいと共に常に緊張感を持って作品に取り組んできました。
人は誰かを愛し誰かのために生きることができた時、強くなる。そんなメッセージを「わたし」役と向き合わせていただく中で強く感じています。それぞれの形での愛や正義を持ったキャラクター、どの登場人物にも共感していただけるのではないかと思っています。そして最後は皆さまの心も少し癒せたらなとの願いを込めて。
劇場でお待ちしています。
「わたし」役(W キャスト):朝月希和
まもなく、初日の幕が上がります。
この作品をお客様にお届けできる喜びと、緊張が身を包んでおります。
「わたし」役の目線を通して、お客様にも同じ視点でこの物語を辿っていただけるような存在でありたいと思っております。そして素敵な楽曲を、一つひとつ丁寧にお届けしてまいります。
8月の大千穐楽まで、海宝さん率いるカンパニーの皆さまと共に、心を大切に務めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ダンヴァース夫人役(W キャスト):明日海りお
ここ数日、まだ細かな段取りやビジュアルの調整に追われていますが、劇場入りをして一番感じるのは、これまで波打ち際を行き来していた感情のうねりを、生のオーケストラの音楽が、さらに大海原へと押し流してくれているな、ということです。
カンパニー一丸となって、繊細に作り上げた『レベッカ』のお芝居、世界観をお客様にお届けできることがとても楽しみです。
偉大な先輩方が演じてこられたダンヴァース夫人を、私も心して大切に、豊かに演じられたらと思っています!
ダンヴァース夫人役(W キャスト):霧矢大夢
稽古場初日から、皆で丁寧に作品と向き合い、稽古を積み重ねてきた 2026 年版『レベッカ』がいよいよ開幕致します。
初演から受け継がれてきた精神と、新たなキャストが生み出す新鮮な躍動を、どうぞお楽しみ下さい。
その一員として、ダンヴァース夫人役として存在できる喜びを実感しています。
劇場でお待ちしております!
<ゲネプロレポート>
物語は、ヴァン・ホッパー夫人(生田智子)の付き人である「わたし」がマキシムと出会い、恋に落ちることから始まる。上流階級の紳士と素朴で可憐な女性のロマンスというワクワクする展開でありながら、どこか不穏な空気が漂っており緊張感がある。
海宝は、品が良いが神経質でカッとなりやすい紳士を魅力的に描き出す。前妻・レベッカの話題に対する反応など、どこか影のあるミステリアスな雰囲気で観るものを惹きつけていた。一方、「わたし」の純粋さに微笑む姿、ふとした時に見せる安らいだ表情はあどけなく、幸せを願いたくなるキャラクターだ。
豊原が演じる「わたし」は、無邪気な可憐さが印象的。マキシムへの純粋で深い愛、ダンヴァース夫人に怯えながらもマキシムに迷惑をかけまいと頑張る健気な様子が愛らしい。
朝月は大人しく控えめだが芯の強さを感じる「わたし」を好演。レベッカの影に戸惑いながらもマキシムへの愛を貫こうとする、ひたむきでまっすぐな姿を表現していた。
それぞれのアプローチで、「レベッカと何もかも違う」女性を表現した豊原と朝月。純朴な少女から夫を支える女性への変化と成長を凛々しく見せている。マキシムやヴァン・ホッパー夫人、ダンヴァース夫人との関係も微妙に違って見え、Wキャストの組み合わせによる化学反応が楽しみになった。
「わたし」:豊原江理佳
「わたし」:豊原江理佳
「わたし」:朝月希和
「わたし」:朝月希和
明日海と霧矢もそれぞれの解釈でダンヴァース夫人の矜持やレベッカへの思いを見せ、強烈な存在感を放っている。
明日海は冷たく怪しい美しさによって圧を生み出し、女主人であるはずの「わたし」よりも堂々とした佇まいだ。レベッカへの崇拝にも似た愛が静かだが激しく燃えている印象を受ける。
霧矢は厳しく凛とした態度の中に激情が覗いている。屋敷においてはマキシムに拮抗する権力を持っているのではないかと思わせる貫禄を放ちつつ、レベッカへの深い思いは慈愛に満ちている。
本作の代表的なナンバー「レベッカ」の表現、「わたし」への態度などから、それぞれのダンヴァース夫人がレベッカと共に生きてきた過去が想像できるのも楽しい。
「わたし」:豊原江理佳/ダンヴァース夫人:明日海りお
ダンヴァース夫人:明日海りお
「わたし」:豊原江理佳/ダンヴァース夫人:明日海りお
「わたし」:朝月希和/ダンヴァース夫人:霧矢大夢
ダンヴァース夫人:霧矢大夢
「わたし」:朝月希和/ダンヴァース夫人:霧矢大夢
さらに、レベッカの従兄弟・ファヴェル役の石井は軽薄で不誠実な男をいやらしくもチャーミングに演じ、マンダレイの海辺を放浪するベンを演じる吉田は不穏さと純朴さを両立。
そして、作品全体に暗い影が漂っているからこそ、マキシムの姉・ベアトリス(彩乃かなみ)やマキシムの親友・フランク(俵和也)のあたたかい思いやり、パワフルで自由なヴァン・ホッパー夫人の明るさが心地良い。
社交界の人々や使用人が語る「完璧な奥様」、マキシムやファヴェルが見ていた奔放なレベッカ、ベンがいう「意地悪な人」……。作中にレベッカは登場しないのだが、物語が進むにつれて彼女をよく知っているような感覚になっていく。
キャスト陣の芝居と魅力溢れるナンバーの数々はもちろん、衣装や舞台セットの美しさも見どころだ。部屋の内装や調度品からもレベッカの人となりが想像でき、「わたし」が彼女の気配によって不安になるのも納得できる。
「わたし」がマキシムと出会い、マンダレイの屋敷になかなか馴染めずにいる一幕、レベッカの死にまつわる真実が次々に明らかになっていく二幕の温度差にゾクゾクする本作。個性豊かなキャラクターたちが辿り着く結末は、ぜひ劇場で見届けててほしい。
本作は2026年5月6日(水)から6月30日(火)まで、東京・シアタークリエで上演。7月10日(金)~12日(日)まで福岡・博多座、7月17日(金)~19日(日)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、7月24日(金)~26日(日)に愛知・御園座、8月1日(土)~2日(日)に東京・シアター1010でも公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
マキシム・ド・ウィンター: 海宝直人
「わたし」: 豊原江理佳/朝月希和 (Wキャスト)
スタッフ
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
原作:ダフネ・デュ・モーリア
演出:山田和也
オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会
製作:東宝