世界10都市を巡るナチュラルワインの祭典『RAW WINE TOKYO 2026』レポート ドメーヌ・タカヒコら国内外の造り手が東京に集結
-
ポスト -
シェア - 送る
2026年5月10日(日)・11日(月)の2日間、東京流通センターにて世界最大級のナチュラルワインフェア『RAW WINE TOKYO 2026』が開催された。
『RAW WINE』は2011年にロンドンで誕生し、現在はパリ、ニューヨーク、ベルリンなど世界各地を巡回する欧州でも絶大な人気を誇るイベントだ。3回目となった今回の東京開催は、世界全体では通算59回目。会場には多くのワインラバーが詰めかけ、終始熱気あふれる2日間となった。
世界中からナチュラルワインが大集合。造り手と対話する贅沢な試飲体験
RAW WINEには、オーガニック栽培を基本とし、添加物や醸造補助剤を極力使用しない、自然な醸造哲学を持つ生産者が世界中から参加する。今回の東京には75を超える生産者が参加し、その約3分の2が海外から来日。昨今の世界的なインフレやワイン消費減少といった厳しい状況の中でも、多くの海外生産者が日本市場への参加を熱望したという。
日本国内からも25のワイナリーや酒蔵が参加した。北海道・余市町で地域のテロワールを反映したワインを手がける「ドメーヌ・タカヒコ」をはじめ、自然醸造にこだわる「寺田本家」や、環境保護の観点から食のあり方を提案する「パタゴニア プロビジョンズ」など、ジャンルを超えたコミュニティが顔を揃えた。
PINO(ピノ)2個入 予定価格 5,500円 (税込)
来場者は、6月に発売予定の「リーデル_SPIEGELAU(シュピゲラウ)」の新作グラス「PINO(ピノ)」を手に、生産者と直接対話しながらその哲学に触れるという、贅沢な時間を堪能していた。
このグラスの開発協力に携わったドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦氏は、「私がリーデル・ジャパンにお願いしたのは、ワインの香り、特に “旨味” のニュアンスを従来のグラス以上に引き出すことができる、グラスでした」と明かす。さらに高級寿司店の繊細な空間でも違和感なく使える小型さと薄さ、軽さを追求した結果、香りの表現力、使いやすさ、強度を兼ね備えた非常に完成度の高いグラスが完成したという。
曽我氏は「今では、自宅でワインを楽しむ際には欠かせない存在となりました」と語るが、そのポテンシャルはワインだけに留まらない。「さらに驚いたのは、このグラスでビールを飲んだときの美味しさです。飲み物の魅力をここまで引き出してくれるグラスは、なかなかありません」と大絶賛。ワインはもちろん、ビールの味わいをも劇的に心地よく引き立てる器の登場に、来場したワインラバーや関係者からも大きな注目が集まっていた。
「ナチュラル」の本質を探る。徹底された透明性とトークセミナー
また、本イベントが多くの生産者やワインラバーから支持を集める大きな理由が、徹底された透明性だ。ワインに使用される亜硫酸塩の有無だけでなく、その使用量まで明確に開示する運営を行っている。
創設者であるイザベル・レジュロン氏は、日本の市場について「日本は世界でも重要なナチュラルワイン市場であり、歴史的にも文化の中心地の一つ」と期待を寄せ、ナチュラルワインの魅力を次のように語る。
イザベル・レジュロン氏
「ナチュラルワインとは、テロワールを純粋に表現する“生きたワイン”。純粋に発酵したブドウジュースそのものであり、そこには土地や気候、生産者の哲学が映し出されています」
その言葉を証明するように、会場では試飲以外にも多彩なプログラムが展開された。無料で開催されたマスタークラスやセミナーでは、ドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦氏らが登壇し、「日本の“ナチュラル”とは?」というテーマで熱い議論が交わされた。日本酒における自然醸造についても取り上げられ、日本の発酵文化への理解を深める貴重な機会となった。
フードエリアでは、西荻窪の「Organ」によるワインに合う料理や、「Toner」のコーヒーとスイーツなどが提供され、ナチュラルな食の魅力を多角的に体感できる空間となっていた。
アジア、 そして世界へ。広がり続けるムーブメントの今後
『RAW WINE』はこの後、中国など世界各地を巡回する予定だ。
単なる飲料の枠を超え、土壌の生命を守り、土地を耕すことにコミットする生産者たちの思想。生産者、インポーター、飲食業界、そして消費者をつなぐ一大ムーブメントとして、今後もその動向から目が離せない。
取材・文=塩谷由記枝 写真=オフィシャル提供