ORANGE RANGE×神はサイコロを振らない【結成10周年対談企画】第2弾は音楽にも存在にもシンパシーを感じる2組の接点と相似点とは
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神はサイコロを振らない×ORANGE RANGE 撮影=大橋祐希
2025年、結成10周年を迎えた神はサイコロを振らない。過去と今を繋ぐ“ワームホール”のようなニューアルバム『EINSTEIN=ROSEN BRIDGE』のリリース、そして6月には初のアリーナ公演も控えている。そこで10周年記念としてバンドが影響を受けた先輩バンドや各界で活躍する人物との対談企画が実現。10年の変化や成長、また、それぞれの世界で10年活動することの意味をメンバーとともに探る。第二弾はメンバー全員がジャストな世代だというORANGE RANGEから、NAOTO(Gt)とHIROKI(Vo)を迎えて、神サイの楽曲に潜むまさかのオマージュ告白から、お互いのプライベートスタジオでのリアルな制作秘話、そしてキャリアを重ねたからこそ行き着いた価値観、世代を超えて共鳴し合うバンドの在り方をじっくり語り合ってもらった。
●何をやってもORANGE RANGEになる、その姿勢が好き
神はサイコロを振らない
――まず、神サイの皆さんはORANGE RANGEのどういうところに影響を受けているのか、教えてください。
柳田周作(Vo.Gt):マジめっちゃ好きで。子ども時代に聴いていた先輩アーティストの音楽や存在が全部俺らのクリエイティブの礎になっていて、それで言うとただの憧れというレベルではないっていうか。神サイの主にソングライティングするのが僕なんですけど、神サイの曲があるのは誇張抜きにORANGE RANGEという存在があるからで。
HIROKI・NAOTO:ありがとうございます。
――曲作りに直接影響してるんですか?
柳田:はい。パクってるやんと言われたら、そのレベルの曲もあるっちゃあって例えば……(スマホを取り出す)。
HOROKI:「この曲のここです」とかやってくれるの?(笑)
柳田:神サイの曲って基本シンプルなんですよ。シンプルな進行の中でメロディアスに動いていくみたいなところがあるんですけど、それで言うと「六畳の電波塔」という平和を願った曲がありまして、それが俺の中では「papa」だったり。
HIROKI:言っちゃうんだ?(笑)
柳田:クイズすれば良かったな。じゃあ行きますよ。
(曲を流す)
HIROKI:ほんとだ!
柳田:そうでしょ?
NAOTO:ま、言われたからっていうのもあるよね。
柳田:なんとなく自分流にパズルを組み立てていくみたいな感じで。
HIROKI:でもルーツがこのバンドにあるってのは嬉しいことですね。
柳田:ORANGE RANGEの何がすごかったって、もうジャンルがなかったことで。神サイもジャンルとかないんですよ。ガワはロックバンドみたいな言い方しているんですけど別にロックにこだわりがないというか。メンバーもいろんな曲を聴くし、しかも20代の10年間って多感な時期だから、毎年聴く音楽も変わっていくし、インプットする幅がどんどん広がっていく中で、「俺たちはこのジャンルだけをするんだ」と決めるのはもったいないというか。音楽ってもっと広いし、世界中にいろんなアーティストとかクリエーターがいるので、そういう意味で何をやってもORANGE RANGEになる、その姿勢が好きですね。
HIROKI:若い頃は特にそうだったかもね。何も考えずに作ってできたらとりあえず詰め込む、みたいなのもあったかもしれない。
●音源だけ聴くと洗練されたカッコいいバンドしてんだけど、
会ってみたときの人柄や人間味とのギャップが印象的
神はサイコロを振らない
――皆さんそれぞれ「俺のORANGE RANGE」的な曲と言えば?
吉田喜一(Gt):それで言うと、高校生か大学生の時に「ラヴ・パレード」をコピーしたことがあって、めっちゃいい曲だし、ギターソロすごいなと思ったんですよ。「このスケールは何なんやろ? たぶんハーモニックマイナーか」と思ったんですけど衝撃でしたね。こんなポップで明るめのキーの曲に突拍子もないソロを入れるんだという感動、音楽的な振り幅にめっちゃ感銘を受けたことがありましたね。
黒川亮介(Dr):僕はそもそも音楽を聴く習慣がなくて。初めて買ったCDがORANGE RANGEの『musiQ』というアルバムで、姉に貸してもらったCDプレーヤーで音楽を聴き始めたというのもあり、それがすごく良くて好きになって。で、学校で「朝の歌」というのがあって、「ORANGE RANGE歌いたい!」と自分から言って「以心電信」をみんなで歌うというのをやってましたね。
HIROKI:「以心電信」ぐらいだったらちょうどいいかもしれないね。うちら5年1組の「朝の会」で歌ったのが森高千里さんの「気分爽快」だった。
一同:ハハハ(笑)。
――奇しくも四字熟語(笑)。桐木さんはいかがですか?
桐木岳貢(Ba):親の車の中でもずっとORANGE RANGEが流れてたり、学校の校内BGMもずっとORANGE RANGEです。一番好きなのは「おしゃれ番長」で狂ったように聴いてて、それを余興のダンスでもやったりしてました。それぐらい学生の頃身近な存在だったので、まさかライブで共演できたりすることが自分でも驚きでした。
神はサイコロを振らない
――ORANGE RANGEの自主企画で神サイと初めて共演した時の印象は?
HIROKI:あのツアー(2023年開催『縁舞 -vol.16-』)は他にもアーティスト、バンドが何組かいましたけど、その前にぎーちゃん(柳田)だけは前にスペシャさんの企画で会ってたんだよね。
柳田:「アレンジレンジ」という、いろんなゲストボーカル迎えてORANGE RANGEのコピバンとORANGE RANGEで2マンする企画があって。
HIROKI:その後バンドで2マンライブするんですけど、音源だけ聴くと洗練されたカッコいいバンドしてるんだけど、会ってみたときの人柄や人間味とのギャップが印象的でしたね。
NAOTO:キャラが面白い子だったので、今風の言葉で言うとギャップ萌えってやつ?
一同:(笑)。
NAOTO:ギャップがいいなと思いましたね。
ORANGE RANGE
――両バンドとも10年ぐらいは続けたい、長く続けたいというのは結成当初ありましたか?
柳田:自分たちはないですね、右も左も分かってないまま事務所なるものに入ってみて。しかも当時「おまえら何ができるんだったら事務所に入りたい?」と訊かれたんです。で、「MV撮りたい」と(笑)。
一同:(笑)。
柳田:今やっと10年経って、具体的にどうやったらバンドが動かせるんだとかいうのがちょっとずつ分かってきたみたいな。
HIROKI:これがこうなんだみたいな仕組みがね。
柳田:はい。今やっとクラウチングスタートのケツを上げた瞬間ぐらいな気持ちですね。
HIROKI:うちらも長く続けようとかはなかったよね?
NAOTO:なかったね。
HIROKI:勢いというか流れというか(笑)、高校生の時に結成した直後にすぐインディーズ盤みたいなものを作ってリリースして。で、メジャーデビューの期間も結成してから2年ぐらいだっから。
桐木:当時の状況もたぶん今と全然違いますよね。修羅の道っぽい。
柳田:ネットもないしどうやって広げて行ったんですか?
HIROKI:沖縄時代は地道にビラ配りですね。
柳田:メジャーデビューのタイミングって何歳ぐらいだったんですか?
HIROKI:19ぐらい? RYOが17。
柳田:やば!
HIROKI:わけもわからんよね、10代だし。目の前にニンジンをぶら下げられてるような感じ(笑)。「ここでレコーディングできる〜」って(笑)。
NAOTO:本当に目の前の憧れを実現できるということだけでした。
柳田:それであんな若いうちにアルバムをぐんぐん出しているのがすごいですね。
HIROKI:でも縛られることもなかったしね。これやっちゃダメ、あれやっちゃダメとかもないし、ほんとに自由にやらせてもらってたから。
NAOTO:当時はボツってなかったよね?
柳田:まじっすか? 出す曲「それもいいね、これもいいね」って? 最高や。でもちょっと俺らと近いかも。曲なんか出さないと分からんし、出してもないのに音楽家でもない人の好みでジャッジされるから、そんなので世の中に作品出すのって違うくない?とずっと思ってたし。でもそこを分かってくれる人たちが周りにいたから俺らも出す曲ごとにジャンルも変えることもできたんですけど。
HIROKI:結構近いかも。メジャーデビュー後は正直「これ何やってるのかわからない」という仕事だったり、「この人誰なんだろう」という大人もたくさんいたけど、その中で自分たちの個性を消さずに育ててくれた周りの大人がすごいなと今振り返ると思うね。
NAOTO:ましてや沖縄だしね。
柳田:今でこそZoomとかあるから別に距離あってもミーティングできるけど、その都度集まって……。
HIROKI:携帯のメールでやりとりしてたのかな? にしても効率は圧倒的に悪いですよね(笑)。
柳田:でもだからこその楽しさもあったのかも。今はZoomでインタビューもできちゃうけど、やっぱり対面で会ったり、わざわざその人のいる土地に行ってみて、ご当地グルメ食べたりみんなで酒飲んでそこで絆が生まれてみたいなことが減ってきているんだろうなとは思うし。今の若い子たちは打ち上げもあまりしないし、別に飲まなくても全然いいと思うんですけど、やる・やらないで言ったらたぶんやった方が何かが生まれるだろうから。
NAOTO:やっぱ人間は会ったら想いも入るしね。
柳田:俺らがその最後の世代というか、CDショップにサインしに行ったり、ラジオ局に行くとアルバムの感想をしっかりラジオのパーソナリティーさんが伝えてくれたりするんですけど、そういうのってSNSでは意外と分からないし。
●未だにずっと楽しんでるんだろうなというのが音で伝わる
理由を今聞いて「だからこうなんだろうな」と全部点と点が繋がった感じ
ORANGE RANGE
――最初の10年という話で言うと、ORANGE RANGEは結成10周年の時に出たアルバムが『NEO POP STANDARD』という、なかなかアバンギャルドな手法の作品でしたね。
HIROKI:“ネオポ”がまだ10年目のやつだったんだね。デビューしてからの4〜5年ぐらいが濃すぎて。元々自由にはやらせてもらってたけど、その頃自主レーベル作って制作も沖縄でミニマムな感じでやるようになって。それまでは東京出てきてみんなで……。
NAOTO:スタジオ入って。
HIROKI:って感じだったけど、制作も沖縄に移して大人があんまり関与してないというか、メンバーだけでやってた時期ではあるね。
柳田:それ結構ヤバいっすね。俺らもちょうど去年10年経ったんで、4人だけで作りたいってなって、基本レコーディングスタジオにはエンジニアさんとメンバーしかいないというのを去年ぐらいからスタートして。だから作品作りが遠回りなんですけど最短距離みたいな、自分らが表現したものに余計なものが入らないやり方というか。
HIROKI:愛着と責任感みたいなものも出てくるもんね。
柳田:そうです。みんなそのタイミングでそう思い始めるんですかね?
HIROKI:どうなんだろう?(笑)感覚として変化して行きたいという気持ちが生まれるのかな。10年やれるということがまずすごいことじゃない? すごいことだけど、さらにまた続けていくためには何か変化が必要かもなっていうのは話し合ったわけではないけど、バンドとして芽生えてくる感じなんじゃないかな。
――大きく最初の10年で得た手応えは何だと思います?
柳田:今日もずっとそのことばっかり考えていたんですけど、そもそも10年やってないと分かんなかったことばっかで、さっきやっと今クラウチングスタートのケツが上がったとこなんだっていうぐらい、右も左もわからずに音楽作ってたなっていう反省? それも歴史の一つとして美しいんですけど、「なんでこういうフレーズがここにあるんだろう」とか「なんで歌メロがここでこういう動き方しているんだろう」とか、その全部をそれまでの10年は感覚でやってたものが、今は音が絵で見えるようになってきたというか。言語化するのは未だに下手くそで、エンジニアさんに「何言ってるか分かんない」とめっちゃ怒られるんですけど。
一同:(笑)。
柳田:でも身振りとか手振りとか色とかお化けの映像とか、そういうので意外と伝わるものがあるし、言語化がすべてではない気もしてて。
HIROKI:分かる。こいつ(NAOTO)も同じ感じ。「ゴジラっぽい感じ」とか。
柳田:おお!
NAOTO:それは知らない(笑)。
一同:(爆笑)。
HIROKI:そういう絵とかシチュエーションでイメージを伝えることとかあるよ。
柳田:最近、このフレーズがいいか悪いか、歌詞がハマるかハマらないかはその情景が浮かぶか浮かばないかでジャッジしていますね。で、その情景を4人ですり合わせよう、みんなで同じ景色になったらフレーズなんかミスっても、どこにいってもぶっちゃけ関係なくなるんだろうなというか。
桐木:逆にどんな感じですか?
HIROKI:うちらはマジですり合わせが未だにないから。浮かんでる映像みんなバラバラだよな?
NAOTO:バラバラ。結果もバラバラ。それはずっとだよね?
HIROKI:ボーカルが3人いる特殊性もあるし。一つの楽曲のクオリティを高めるのであればちゃんと話し合って映像を共有して主観とかもしっかりと決めていくのがいいことだとは思うけど、そこのすり合わせを逆に放置してるというか。“俺”という人もいれば“僕”という人もいるし、「夏がテーマね」と言っても夜だったり朝だったりみんなバラバラだったりするから、もう合わせるのをやめましたね。「それでいっか」みたいな。
NAOTO:それを楽しんでる感はあるかな。それでいろんなことが凸凹なのって面白い、みたいな。あんまり動かない核みたいなのを作っといて、あとは許容だらけ、誰かが入ってきてかき乱してもらいたい、ぐらいだから。タイアップとかになるとHIROKIが一本とるんだけど、そういうのばっかりやってるよりはとんちんかんなほうがいい。まあ好みでもあるんだけど。だからRYOが「合わせたほうが良いかな? HIROKI先輩の歌詞を見てなんか俺ちょっとこっちにしたほうがいいかな」って言ってくると「いや絶対変えないほうがいいよ。そんなことしたら余計に中途半端になるよ。ちょっと滑ってるぐらいがいいよ」って(笑)。
一同:(笑)。
神はサイコロを振らない
――現状の新曲である「ドラマティック平凡」もめちゃくちゃ面白い曲で。神サイの皆さんどう聴かれました?
柳田:未だにずっと楽しんでるんだろうなというのが音で伝わりますね。しかもその理由を今聞いて「だからこうなんだろうな」と全部点と点が繋がった感じはあるし、それで言うと神サイは逆に今ちょっとまとまろうとしてるというか、一旦4人で一つの絵を描いていこうよみたいなタームなんすけど、どっちがいいんだろう?
HIROKI:人生相談(笑)。でもバンドってそのバンドでしかないし、全部違うし全部に当てはまらないから。バンドごとの正解もあるし、あと周期もあると思うよ。もちろんちゃんと内側を向こうという時間があるだろうし。
NAOTO:曲単位でもあるし。
HIROKI:まだまだいいんじゃない? それはみんなにそういう瞬間があるのであれば向き合うべきだろうし、流れというか時間に任せる感じでいいんじゃない?
柳田:ああ。今回の新曲も沖縄の自分たちだけのスタジオで作ったんですか?
HIROKI:スタジオと呼べない。部屋? オープンクローゼットの中で歌ってる。
柳田:本当ですか?
HIROKI:今いるメジャーアーティストで一番制作費かかってないと思う(笑)。それは2010年ぐらいからNAOTOの部屋のクローゼットでやってて、こいつは吸音材と言ってるけど顔の横にパンツとかがあって。
一同:ハハハ!
HIROKI:一番のメリットというか、それがうちらに合ってた。東京でカンヅメになって締め切りに追われて、調子悪いのに今日中に録らないといけないとかって、スタジオ代を計算したらめちゃくちゃプレッシャーになるし、そういうのもやっぱり嫌だったし。今はNAOTOのスタジオで期限も決めずに「この1週間ぐらいだったら、この中でこのフレーズだけ録れればいいかな」みたいな。で、朝イチでスタジオ行って「やっぱちょっと声出ないかも」「じゃあまた明日録ろう」って帰るし。これが気持ち的にも楽だし、今そこにたどり着いたって感じだね。
NAOTO:そうだね。外のスタジオに行ったら緊張する。
HIROKI:たまによそ様のコラボででっかいスタジオ行ったらまじ怖いもんね。パンツないし。
一同:ハハハ!
桐木:未だに恐怖を感じるんですね。
HIROKI:恐怖感じる(笑)。やっぱ狭ければ狭いほどいいね。
柳田:その歌っている姿をあんま誰にも見られたくないみたいなそういう?
HIROKI:そういうことじゃないけど、それに慣れて来たというか。あとはいつもこの2人でのやり取りでディレクターとかもそういう人もいないから。
柳田:結構俺らもそこに向かおうとしてます。特にボーカルテイクってリラックスしてる状態が一番いいんですよ。家で適当に録ったデモのテイクを越えられないみたいな。スタジオにわざわざ行っていいマイクとか立てるけど、いい音かどうかなんて関係ないっていうか。
HIROKI:仮歌とかがね、意外に良くて使う時もあるもんね。
柳田:それを基準に今回ベースもギターもうちに来てもらって俺の部屋で弾いたものをそのまま使ってたりします。レコーディングスタジオで高いお金払ってその緊張感でやるからいい音で録れるんだよというのはあまりにも精神論すぎる、部活で水飲むなぐらいの話だと思うし(笑)。「メジャーはこうだからこうなんだよ」というところから、今ちょっと自分たちのやり方に向かえる環境をようやく手に入れつつありますね。
HIROKI:色々実験っていうか試しながらやっていくのもいいんじゃない? うちらも結果ここにたどり着いているだけだから。
●目の前のことを楽しんでたらここまできてたという感じで、
自分たちがいろいろと楽曲の挑戦も広げてきたことが財産になってる
ORANGE RANGE
――最後に今後の展望や挑戦したいことを、10年経った神サイの皆さんと25年経験してきたORANGE RANGEのお二人にお伺いしてもいいですか?
HIROKI:もともとあんまり目標がなかったバンドでそれが続いてる感じで、あれやりたいこれやりたいっていうのがなくていつも回答に困ることがあるんですが、特に今この歳になって、ちょっと頑張って体力を維持して「あのツアーをやろう、このイベントをやろう」と目の前のことをやってきているので大きいことはあんまり言わないようにしてます(笑)。
――むしろ自分が感じることが変わったり、体力や健康を維持すること自体が面白くなって行ったり?
NAOTO:それはめちゃくちゃありますね。食べ物とか確かに変わってますね。
HIROKI:いやでもバンド全体の野望は本当にないからね。スタートから「武道館に立とうぜ」というような目的を持ったバンドとかでもないし、キャパシティも何も気にならないし。例えばバンドによってはトリじゃないと出ないとか、自分たちでブランディングするバンドとかいるじゃないですか。そういうのも全くないし。
NAOTO:あるとしたら早く出てビール飲みたいとか(笑)。
HIROKI:むしろ早く出て早くケータリングで飯食いたい(笑)。目の前のことを楽しんでたらここまできてたという感じで、自分たちがいろいろと楽曲の挑戦も広げてきたことが財産になっていて、今何やっても驚かれないというか、全部「それっぽいよね」というふうに言ってもらえるから、自信を持って曲作りもできるし。あとは関わる大人が、もう自分たちのことを聴いてました、神サイみたいな世代の人たちと仕事にするようになってからは、そういう人たちのアドバイスや意見を逆に……。
NAOTO:訊くよね。
HIROKI:面白い発想だったり、自分たちの中でも凝り固まってるものにハッとさせられたり、「それ面白いね」というような遊びをしているかもしれない。
柳田:バンドってよりもなんか旅人の集団みたいな感じで、風の流れるままに人生そのものを楽しんでて、どんだけ体が元気にやれるかとか、凝り固まらずに若い人の話も全部吸収している感じですよね。俺らもロックバンド!みたいな感じじゃないですけど、ORANGE RANGEは沖縄のめっちゃ優しいお兄さんたちが音楽しながら楽しく生きてるみたいな感じだし、それはORANGE RANGEにしかできない。
NAOTO:確かにそっちの方が近いかもしれない、ロックバンドよりは。
神はサイコロを振らない
――じゃあ神サイの皆さんにも。
桐木:ぶっちゃけ俺も大きな野望はあんまりなくて、とりあえず目の前の面白いことを探してみんなで遊んでお酒飲んでライブして。ライブじゃなくてもいいんですけど、海外には行きたい。10周年を経て、いろんな外の世界を見てみたいですね。
柳田:どんだけ長く音楽をやれるかもめっちゃ頭の中にはあるんですけど、刺激中毒というか1回見たものはもういいやとなっちゃうんですよ。だから2〜3年前に初めて海外に行った時にストリートで音楽やってる人たちを見たことも含めて全部カルチャーショックで概念が壊されて。それ以降神サイももっと海外行きたいという話からこの2〜3年海外にいっぱい行って、全然ネガティブな意味じゃなく自分が見てた世界ってこんだけしかなかったんだなとシンプル食らってしまって、「なんで音楽やるんだろう?」みたいなことばっか最近考えているんですよ。だからその答え探しの一生なんだろうなという感じはします。
吉田:ORANGE RANGEが自分らを東京の2マンに呼んでくれたじゃないですか。逆に俺たちが沖縄行ってORANGE RANGEと2マンしたいなというのが結構夢で。
HIROKI:いい夢(笑)。
吉田:俺、その2マンした後から5、6回一人で沖縄行っているんですよね。パワースポットというかパワーアイランドというか、毎回違う自分になれる土地だなというのですごく思い入れがあって。そこで生きてきたバンドと一緒に沖縄で2マンやって朝まで騒いだらめちゃ楽しいだろうなと単純に思ってますね。
黒川:これは野望じゃなくて改めてORANGE RANGEに感じたことなんですけど、一緒にライブしたときも思ったことで、着飾ってない素の自分のままでいる感じがすごいカッコいいなと思ったし、自分が「それでいいんだよ」と言われてる気がして、自分もそういう大人になりたいなっていうのをすごく感じました。
神はサイコロを振らない×ORANGE RANGE
取材・文=石角友香 撮影=大橋祐希