SAKANAMON、6年越しの『LANDER』リベンジツアーファイナルで歌った再会できる喜び
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撮影=酒井ダイスケ
『SAKANAMON 全国“着陸”ワンマンツアー~今度こそ君の街まで~』2026.07.17(FRI)東京・渋谷eggman
「SAKANAMONのツアーファイナルにお集まりし、選ばれしみなさま。ありがとうございます! 6年前に発表した『LANDER』というアルバムのリベンジツアーです!」
藤森元生(Vo.Gt)の挨拶どおり、6月21日(日)から全国6カ所を回った『SAKANAMON 全国“着陸”ワンマンツアー~今度こそ君の街まで~』が7月17日(金)、SAKANAMONのホームである渋谷eggmanでツアーファイナルを迎えた。
なぜ、リベンジなのか。
それは本来なら、2020年3月28日(土)から予定されていた6thアルバム『LANDER』のリリースツアー『SAKANAMON 全国"着陸"ワンマンツアー~君の街まで~』がコロナ禍のため中止になってしまったからなのだが、それから6年を経たことで、ツアーが単なるリベンジで終わらなかったことは、この日、メンバー達が異口同音に語ったとおり。中でも『LANDER』の全12曲に新旧の楽曲も織りまぜながら、SAKANAMONというバンドが持つ可能性を存分に見せつけたのだから、今回、リベンジツアーを開催した意味は大いにあったはずだ。
ライブは『LANDER』の曲順通り、「FINE MAN ART」からスタート。木村浩大(Dr)がキックする4つ打ちのリズムとともにソリッドなギターロックサウンドを轟かせながら、「クダラナインサイド」「ミュージックプランクトン」と繋げ、早速、フロアを埋めた観客にシンガロングの声を上げさせる。そして、激しいライティングの中、メンバー全員で声を上げながら、凄みを見せつけた「ONE WEEK」を演奏し終えた直後、「改めまして、渋谷のみなさま、SAKANAMONです!」と雄叫びを上げた藤森が続けた言葉は「楽しみにしてきてくれたのでしょうか?」という観客への問いかけだった。
藤森の質問に割れんばかりの拍手で答える観客を目の当たりにしてもなお、「どうですか? 今のところ、ちゃんと期待に沿えるものになっていますか?」と観客に尋ねる藤森に対して、「不安なの?」「やわすぎない?」と森野光晴(Ba)と木村が突っ込むところも含め、SAKANAMONらしいと言えば、らしいのかもしれないが、この後、藤森の言葉を借りれば、まさに「なんでもあり」の展開を持つセットリストを用意していたのだから、しょっぱなから藤森が観客の反応を気にしていたのも大いに頷ける。
もちろん、スタートダッシュを見事にキメた序盤や、同期でピアノを鳴らしたポップソングの「HOME」、せつないメロディーが胸を焦がした「アフターイメージ」、静から動へというダイナミックな演奏が観客を圧倒したポストロック~シューゲイザー・ナンバー「アオイ」も見どころだったと思うが、「なんでもあり」という意味で言うなら、この日一番の見どころはやはり、中盤の藤森曰く「変な曲に特化したセクション」だったかもしれない。
その「変な曲に特化したセクション」に入る前に『LANDER』を、「それまでのSAKANAMONとはちょっと違って、珍しくポジティブな言葉がいっぱい出てきたアルバム」と振り返った藤森は、その理由を「スランプを抜け出せたこととその頃ハマり始めたサウナのおかげ」と語った。すると、森野がその言葉を引き取って、「そういう明るいアルバムができて、よし、やるぞって時にコロナ禍になって、ツアーが中止になった(苦笑)」と当時を回想する。
「でも、6年前だったら、演奏はめちゃくちゃだったかもしれない。打ち込みとか、ピアノとか、同期を使った曲が少なくなかったし、中には僕らがまったく演奏していない曲もあったし」(森野)
「そういう曲はカラオケを流して、踊ればいい(笑)」(木村)
「あの時、なんでもありなんだと思えた」(藤森)
「そう。どんな曲でもSAKANAMONになるという自信がそのくらいから生まれた。今日は6年分パワーアップした僕らが『LANDER』の曲を存分に披露します!」(森野)
『LANDER』にまつわる思いを語ってから、この日、3人が演奏した「変な曲」は、『LANDER』からの「少年Dの精神構造」および「WOULD YOU LIKE A HENJIN」とその2曲に挟んだ「すっぽんぽん」の計3曲。
「少年Dの精神構造」は思春期の自意識を独特の言語感覚で見つめ直したプログレポップス。めまぐるしい変拍子が最後はスウィンギーになって、観客を踊らせる。
リズミカルな演奏をストイックに追求しながら、その一方でタイトルも含め、歌そのものはユーモラスな「すっぽんぽん」は、もはや彼らのライブに欠かせない曲と言えるだろう。藤森がパッドを叩きながら、サンプリングした「すっ」と「ぽん」をアドリブで鳴らして、リズム隊の2人がそれに合わせる途中のインプロは、ライブにおけるこの曲の見どころだが、この日、藤森のアドリブは「長崎ちゃん」ぽん!、「ミツカ~ン味」ぽん! とエスカレート。しまいには♪ピーヒャラピーヒャラと「おどるポンポコリン」を歌いだし、「おどる」ぽん! とキメたのだから、観客は爆笑しながら大喜び。
そんな観客をさらに湧かせたのが、「WOULD YOU LIKE A HENJIN」だった。変人の矜持を謳った歌詞はさておき、曲そのものはシンセオリエンテッドかつアーバンな魅力もあるダンスポップナンバーなのだが、それをこの日、藤森はタイトルを表示したLEDサングラスをかけ、ギターの代わりに赤色のLED誘導灯を手に持ち、歌ったのだった。あ! 前掲の「カラオケを流して、踊ればいい」という木村の言葉は、まさかこれの伏線だった!?
まさに「なんでもあり」のパフォーマンスを観客が楽しんでいることは、藤森が左右に振るLED誘導灯に合わせ、観客がワイプで応える光景からも明らかだったが、そこから一転、ゴスペル風のピアノが鳴るダンスポップナンバー「YOKYO」、フォーキーな味わいもある「矢文」、淡い曲調が心地いいギターポップナンバー「夏の行方」という誰が聴いても、いい曲と思わせることができる3曲を、まるで「変な曲」との振り幅も楽しませるように繋げていったセクションもギミックに頼らない曲作りの実力を証明していたという意味で、見どころだったと言えるだろう。
「『LANDER』の発売の翌日、イベントの自粛要請が出て、インストアライブとか、ツアーとか、いろいろ予定していたライブが中止になった。音楽が不要不急と言われて、何もできないと思いつつ、特に解散しようという話にもならなかった。解散したバンドもいたけど、僕らは、ただ音楽やバンドが好きだからやっているだけなんで。でも、長く続けてれば、こうやってリベンジツアーもできる。6年経てば、みなさんの生活も変わって、ライブから離れた人もいたかもしれないけど、こうやって続けてれば、またライブにも来てもらえる。ここにいる人達にとって、SAKANAMONは不要不急じゃないと思ってます!」(森野)
藤森がジャキジャキジャキと鳴らしたギターリフに応えるように木村が声を上げ、なだれこんだ「CORE」からの後半戦。再びアップテンポのロックナンバーを繋げていき、一気にラストスパートを掛ける。
「6年前の我々も喜んでいることでしょう。こんなにお客さんを呼んでくれてありがとう。演奏もうまくなっていてありがとうと思っているはずです。続けてきてよかったです!」(藤森)
ライブが始まった時は観客の反応を気にしていた藤森も揺れるフロアを目の当たりにして、大きな手応えを感じていたようだ。
そして、本編の最後を飾ったのは、『LANDER』のラストナンバーだった「コウシン」と、『LANDER』のアンサーソングとして、再会できる喜びとやり直せるという事実を綴ったという新曲「RE LANDER」。「RE LANDER」のアンセミックでエモいメロディーが胸を打つ。そして、6年越しのリベンジを果たしたことで、「コウシン」に込めたスランプからの再出発という思いは、いつだって再出発できるという証明に変わったのだった。
「我々も更新しつづけていきます。そして、みなさまも更新されていく。お互いに進化しつづけ、素敵な音楽を楽しもうじゃありませんか。楽しくやって参ります。これからもSAKANAMONをよろしくお願いします!」
藤森がさらなる前進を誓うと、バンドはアンコールの「PLAYER PRAYER」を演奏する前にバンドの結成日である11月11日(水)、ここeggmanで『SAKANAMON 19th ANNIVERSARY 2MAN LIVE “憧憬 vol.3”』を開催することを発表した。ゲストは後日発表される。
取材・文=山口智男 撮影=酒井ダイスケ
ライブ情報
前売り:¥4,800/当日:¥5,300
ツアー情報
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【SAKANAMON】