小日向文世ら実力派が描く極限状態の会話劇 三谷幸喜の新作、PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』が開幕
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PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
1994年からPARCO劇場をホームグラウンドとしている三谷幸喜の新作『アメリカン・ドリーム』が、東京・PARCO劇場で2026年8月15日(土)に開幕した。
本作は、三谷幸喜が長年温めていたテーマを用いた渾身の書き下ろし作品。1940年代後半のアメリカで起きた反共産主義に基づく“赤狩り”によって大きな影響を受けた映画産業、ハリウッドの人々を濃密な会話劇で描いている。
出演は、小日向文世、浅野和之、山崎一、浅野雅博、関谷春子、中川大志。初日前にゲネプロが行われ、作・演出の三谷とキャスト陣からのコメントも到着した。
<ゲネプロレポート>
物語はホテルの一室で繰り広げられる。丁寧に作り込まれた部屋のセット、それぞれの立場や状況を伺わせる衣装、時折現れるスクリーンに映る白黒の映像といった舞台美術や演出によって、物語の舞台となっている1940年代に自然と誘われた。
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
まずは女優(関谷春子)が非米活動委員会によって部屋に呼ばれ、調査が始まる。
中川大志が演じる映画好きな非米活動委員と映画について語る様子は穏やかだが、そこに浅野雅博が演じる非米活動委員が加わり、「今現在、あるいはかつて、あなたはコミュニスト(共産主義者)でしたか?」という本題を投げかけることで緊迫感が生まれる。
雑談から尋問に移る緩急、尋問を受ける映画人と委員の掛け合いはもちろん、映画への愛に満ちた委員と淡々と仕事を進める委員という二人の温度差や関係性も面白い。
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
続けて、映画監督(浅野和之)、マイスター(山崎一)、脚本家(小日向文世)と一人ずつ尋問が行われる。
コミュニストであることを認めて仲間を売れば自分の生活は守ることができるが、狭い映画業界でその事実が広まれば今後仕事はできなくなる。その極限状態の中で投げかけられる「コミュニストか」という質問から、一人ひとりの矜恃や人生観、仕事への思いが見えてくる。
ハリウッドで活動している映画人といっても、それぞれが違う価値観を持って行動しており、それによって様々な打算が生まれているのも見どころ。1940年代を描いた作品だが現代にも重なる部分が多く、それぞれの言葉や思いに共感しながら観ることができると感じた。
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
PARCO PRODUCE 2026『アメリカン・ドリーム』ゲネプロより
また、尋問を行う委員会と映画人が尋問を通して理解し合ったり、逆に期待や理想を裏切られたような気持ちになっていたりと、人間同士の交流や複雑な感情もリアリティを持って描かれていた。
テーマ的にも全体を通して緊張感があるが、会話のテンポや登場人物たちのキャラクターで笑えるシーンも多い。一人ひとりの生き様から多くのことを受け取り、考えられる作品を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
<スタッフ・キャストコメント>
■三谷幸喜
真面目な作品です。いつもが不真面目な訳ではないですが。もちろん笑いはありますが、今回は喜劇ではありません。上手い俳優さん達に集まってもらい「権力」と「芸術」のお芝居をやります。物を作る全ての人々に捧げる物語です。
■小日向文世
三谷さんが長年温めてきたテーマの新作に参加できる事はとても幸せです。
しかし2年半ぶりの舞台、こんなに稽古の段階から緊張するとは思わなかったです。
70歳を過ぎてもこんな状態になってる自分に驚いてる日々です。
どんな初日を迎えるのか…お楽しみに。
■浅野和之
今回はこれまでの三谷作品とちょっと違う、また面白い物語りに出会う事が出来ました。
ご来場の皆さんに、どんな風に楽しんで貰えるか、稽古を重ねながらワクワクドキドキの毎日でした。
そして初日、お客様の反応が楽しみです!!
■山崎一
1940年代後半から1950年代にかけてハリウッドを揺るがせた“赤狩り"。東西冷戦を背景に「非米活動委員会」からコミュニストだと告発されると映画界からの事実上の永久追放(ブラックリスト化)になってしまう。そんなアメリカ映画界の暗黒の時代に生きた四人の映画関係者たち。仲間を売って自分の生活を守るのか、それとも自分の人生を犠牲にするのか。彼らに突き付けられた究極の選択。
映画、演劇を愛する全ての人たちに観てほしい。
これはけっして昔の話ではない、かもしれない。
■中川大志
今作で描かれる時代背景を学ぶところから始まり、当時の映画や音楽にも触れながら役に向き合った時間は、このキャラクターの血となり肉となっていると信じています。
とても楽しい、冒険のような時間でした。
でも、冒険はまだ始まったばかりです。
なんなら、これからが始まりです。
どんな景色を見られるのか、どこに辿り着けるのか、心の底からワクワクしています。
劇場で、お客様と共にかけがえのない時間を過ごせますように。
お待ちしています!
■浅野雅博
三谷幸喜さん新作舞台『アメリカン・ドリーム』、いよいよPARCO劇場にて幕が開きます。
この密室劇、心から[いま]観て頂きたい作品だと感じています。
素晴らしい共演者・スタッフのもと、とても充実した稽古でした。あとはお客様の熱を頂いて、その密室もさらにヒートしていくと思います。
私自身はしっかり役目を果たせるよう、毎回捨て身の覚悟で臨んでまいります。
心より、劇場でお待ちしております。
■関谷春子
この作品に参加できたことは、わたしにとって一生の宝ものです。ご来場くださる皆さまと、最高の時間を過ごせますように。そして、チーム全員が千穐楽まで健やかでいられますように。
本作は8月15日(土)に東京・PARCO劇場で開幕。京都、北海道、岡山、大阪、愛知、福岡でも公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈