「続けてきてよかった」ヒトリエがみせた、今、この瞬間の生き様『HITORI-ESCAPE TOUR 2026』大阪・梅田CLUB QUATTROレポート

2026.9.11
レポート
音楽

撮影=ハヤシマコ

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『HITORI-ESCAPE TOUR 2026』2026.7.19(SUN)大阪・梅田CLUB QUATTRO

ヒトリエというバンドが積み重ね続けた記憶、その大きな更新地点となった。5月から開催してきた『HITORI-ESCAPE TOUR 2026』のセミファイナル。超満員の会場は、開演前から前のめりな空気が充満していた。「楽しみ」と口にする者、肩にかけたタオルを何度も握り締め直し高揚感を噛み締める者、この日をどれだけ心待ちにしてきたか、フロアにいる一人ひとりの表情や仕草から伝わってくる。シノダ(Vo.Gt)も「ただならぬ思い入れがある」と語っていた会場である梅田CLUB QUATTROにて、ヒトリエというバンドの持つ”底知れなさ”に触れた。誠実に鳴らし続ける覚悟、ヒトリエがヒトリエたるゆえんがここにあった。

登場SEが聞こえてくると、自然とオーディエンスからクラップが巻き起こる。ゆーまお(Dr)、イガラシ(Ba)、そしてシノダが登場し、大きな歓声が上がる。会場が一気に熱を帯びる中、ゆーまおの揺るぎないドラムのキックの音が響いた。「ゲノゲノゲ」だ。シノダの気迫に満ちたギター、力強い歌声、イガラシの骨太ベースのスラップと畳み掛けるような展開に、一気に音の渦に飲み込まれてゆく。「Let’s Go Osaka!」とシノダの掛け声から「ハイゲイン」へ。鋭く歪むギターの音色を合図にオーディエンスの拳が上がり、特大のコール&レスポンスが会場に轟く。まるで呼応し合う魂のぶつかり合いである。<最大音量で食らえ>の歌詞が目の前に迫りくる。勢いそのまま、悲哀をも荒々しく解き放ってくれる「3分29秒」へ。 <あなたの声を、忘れはしないだろう>の一節が、いま目の前で巻き起こっている光景とリンクさせずにはいられない。以前のSPICEインタビューで、「スリーピースンドとしてもっと鋭角な角度で攻めていくためには、どうしたらいいか考えて生み出した」そうシノダが話していた「みにくいかたち」では、この3人だからこそ生み出せる歪で美しいサウンドが響いた。オープニングからここまで演奏された楽曲は3人体制になってから生み出されたものだ。ヒトリエの意思とこれからの覚悟を思うはじまりである。

「インターネットからやって参りました。我々ヒトリエと申します。どうぞよろしく!」「梅田CLUB QUATTRO、パンパンでございますね」と、メンバーが会場を見渡すその瞳が優しい。「テノヒラ」がはじまると、そのまま優しい空気が会場を包む。ヒトリエとして長年大切にしてきた楽曲が、そっと心の内側を撫でるように優しく揺蕩う。四つ打ちのビートにディスコ風味のギターカッティングが鮮やかな「Loveless」では、会場が一気にダンスフロアに変貌を遂げる。シノダがハンドマイクで縦横無尽に動き回る様は、オーディエンスの心の叫びを掬い上げていくように思えた。一段と幻想的な空気に包まれたのが「Neon Beauty」だ。鮮やかな緑色の照明に切り替わり、エレクトロと生の音が絶妙に絡み合う。ゆーまおの細やかで推進力抜群のビートにイガラシのクリアなベースの音色がダンサブルなグルーヴをつくりあげる。ヒトリエの楽曲の幅広さを改めて痛感する。

「この梅田CLUB QUATTROをガンガン揺らしていきたいと思っていて。任意でよろしくお願いします。いってみよう」。そう熱くも心地よいシノダの呼びかけと、全身全霊飛び跳ねながら揺れ動くオーディエンス。築き上げてきた確かな信頼関係を思う。会場を揺れに揺らしながら轟音のバンドサウンドでシームレスに楽曲が展開する。「SLEEPWALK」から「ジャガーノート」へ。電流を巻き起こせそうなギターに、歪むスリリングなベースライン、ぐっと高鳴っていく強烈なドラム。痺れる、痺れまくる。この3人だからこそ、成し得る強烈なエネルギーなのだ。疾走感なんてものではない、ぶっ飛びである。どこまでも突き抜けるようなドライブ感に、オーディエンスは、ありったけの歓声で応える。

最高潮の盛り上がりの中、まだまだ突っ切っていくのがヒトリエだ。「ジャガーノート」ラスト一節のリフレインから約3分にわたるタフなセッションがはじまった。それぞれの道を極め続けている3人の演奏化け物っぷりが溢れる。シノダとイガラシが向かい合い、鋭利なギターと密度の高いベースの掛け合いからゆーまおの強靭なドラムが合流、そしてどんどん渦巻くようにBPMが上がっていく。ゆーまおからは、思わずニヤリと笑みもこぼれる。ヒリヒリする渾身のセッションに、オーディエンスは半ば放心状態になるくらいである。「どんどん行きます!」掛け声とともにまだまだ凄まじいロックンロールが畳み掛けられる。「Flight Simulator」、2014年2月にFM802ヘビーローテーションでもあった「センスレス・ワンダー」。様々な感情が引き摺り出される感覚になる。自分の中に眠っている、荒々しさも優しさも全部である。会場のボルテージが上がっていく。

「これ以上、言葉はいりません。あなたの声を聞かせてください!」マイクを通さずにシノダがダイレクトに呼びかける。”ワンツー”の掛け声から、集まった一人ひとりの渾身の歌声が響き渡る。「アンノウン・マザーグース」だ。コール&レスポンスという枠には収まらない、存在証明のような響きである。シノダが拳を掲げると、一人、また一人と上がりゆく拳、力強く拳を上げながら叫ぶのだ。

「梅田CLUB QUATTROという会場には、ただならぬ思い入れがあります」シノダがポツリと話し始めた。「ヒトリエというバンドが3人になって、はじめて出たツアーのファイナルが、ここでした。あのときは終わった瞬間に、その場で泣き崩れるほど疲弊していた。あれから7年、バンド続けているよ」「本当に、辞めなくてよかったと思う」と、すごく丁寧に発するシノダに、長い拍手が送られる。

「いま、この瞬間、ヒトリエというバンドに触れ合ってくれて、ありがとうございます」

彼らの生き様が滲む言葉に胸打たれる。「変わらない気持ちを1曲捧げて終わります」そんな言葉のあと演奏されたのが「Quit.」。<何もかもが過ぎ去ってゆく それでも君に夏はくる>と、シノダの揺るぎない歌声とともに届けられる言葉。夏という季節は、一際名残を思う季節だという。この夏のはじまりに、ヒトリエは紛れもない本物を届けてくれた。

「俺たちが、インターネットからやってきました、ヒトリエでした!」

力強い言葉とともに本編は締めくくられた。

アンコールではリラックスした空気の3人を垣間見ることができた。「続けてみるもんだね」シノダがそう発すると、「続けてきてよかったよね。なんだか止まれなかったし、”辞める気が無い”みたいな感覚かな」と、ゆーまおが共に過ごした日々を回想するように言葉にする。「『HITORI-ESCAPE TOUR 2019』のとき、ちょうどそこの楽屋で、そろそろ新曲を書かないか、ってお前(ゆーまお)が言い出したんだよ」とシノダが、当時のゆーまおとの会話を思い返す。イガラシは、2人の会話をいつも通り飄々とした様子で見守る。そんな3人の絶妙なバランスを感じ取れるゆったりしたムードから、アンコールで披露されたのは、「ポラリス」。歌詞の手触りまで感じられるようなシノダの弾き語りからはじまり、バンドサウンドで魅せてゆく。美しくひと際強い光を放つ星、ポラリス。これからどんな夜がきたとしても、きっとこの日を思い出して”光”を感じ取れる、そんなことを思った。「じゃあ後1曲」シノダの言葉に歓声が上がる。ラストに披露されたのは「カラノワレモノ」。ヒトリエの原点といえる曲である。ヒトリエというバンドは、これからも原点を大切にしながらヒトリエを更新し続ける。2026年夏、HITORI-ESCAPE TOUR 梅田CLUB QUATTROは、未来へと繋がる大きな更新地点となった。

取材・文=FM802 DJ 田中麻希 撮影=ハヤシマコ

ライブ情報

シノダ弾き語り東名阪ワンマンツアー2026「都心邂逅」
2026年10月22日(木) 愛知:CLUB UPSET
 OPEN 18:30 / START 19:00
2026年10月23日(金) 大阪:Music Club JANUS
 OPEN 18:30 / START 19:00
2026年11月4日(水) 東京:SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
 OPEN 18:30 / START 19:00

料金
【愛知・大阪】 自由席 ¥5,500(税込)※整理番号順での入場
【東京】 全席指定 ¥5,500(税込)  
*全会場、ドリンク代別

<オフィシャル最速先行>
9月16日(水) 18:00 ~ 9月23日(水祝)23:59 
※おひとり様 4枚まで、抽選にて受付


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