音楽も食も、街も巻き込んで。ハッピーグルーヴを神戸中に広げたいーー開催目前!『MASHUP FESTIVAL kobe’26』主催者インタビュー・ブジウギ音楽祭編
『ブジウギ音楽祭』の様子
いよいよ今週末、2026年10月24日(土)に開催が迫った『MASHUP FESTIVAL kobe’26』。TOTTEI PARKを中心とした神戸ベイエリアの複数会場を舞台に、兵庫県内で独自のカルチャーを育んできた7つのフェスが集結する。今年は「神戸ベイエリアをめぐる、7つのフェスの大文化祭」をテーマに、音楽ライブをはじめ、グルメやショッピング、アート、スポーツなど多彩なコンテンツが展開される。そんな『MASHUP』を手がけるオーガナイザーたちは、どんな思いでイベントをつくり、何を届けようとしているのか。『MASHUP』公式サイトで公開中の主催者インタビューを、SPICEでは未公開トークも交えたディレクターズカット版としてお届けする。
今回は、音楽と食を融合させた神戸発のフェス『ブジウギ音楽祭』から、代表の小林元気氏、音楽ブッキングを担うダイゴロウ氏、運営や広報を支えるジャニ氏の3人が登場。同じく『MASHUP』の主催者のひとりである大原智氏(一般社団法人GREENJAM代表)が聞き手となり、飲食店のスタッフの送別会から始まったフェスの誕生秘話や、3人が見つめる神戸の街の課題、そして『MASHUP』で実現したい未来について語ってもらった。
送別会のはずが、なぜかフェスに。
『ブジウギ音楽祭』の始まりについて
ーーまずは『ブジウギ音楽祭』がどんなイベントなのか、紹介をお願いします。
小林:関西の人気飲食店を集めて、音楽と「食べる・飲む・踊る」を融合させたフェスです。一番大切にしているコンセプトは「ハッピーグルーヴ」。来ていただいたお客さんはもちろん、出演者も出店者も、みんなが楽しめる場所をつくりたいと思っています。個人的には、僕が経営する飲食店を卒業していったスタッフたちが、年に一度集まれる同窓会のような場所になればいいなという思いもありますね。
ーー初開催は2022年12月。まだコロナ禍の影響が残っていた時期でしたよね。
小林:そうですね。そろそろ何かやってもいいんじゃないか、という空気になってきた頃でした。もともとは、うちのスタッフだったシンゴという男が店を卒業する時に、「思い出野郎Aチームを呼んでイベントをやりたい」と言い出したのがキッカケなんです。
ーーそれが、どうしてフェスになったんですか?
小林:せっかくやるならちゃんとしたイベントにしたいと思って、採算が取れるか計算してみたんですよ。そしたら最初から赤字の見込みで。それなら中途半端にやっても意味がないし、もうフェスをやっちゃおうぜって(笑)。
ーー普通は赤字だから規模を縮小しよう、となりそうですけど(笑)。
小林:なぜか逆にリスクを大きくしてしまったんです(笑)。そこでシンゴが、以前に思い出野郎Aチームを呼んだことのあるダイゴロウに相談してくれて。そこから僕らがつながって、『ブジウギ音楽祭』が始まりました。
ーーそのダイゴロウさんは、普段どんな活動をされているのでしょう?
ダイゴロウ:神戸で「オトハトバ」というお店をやっています。もともとはクラブイベントやライブイベントを企画していたんですけど、毎週末、同じ人たちと顔を合わせるのに、音が大きすぎてほとんど会話もせず、「また来週」って帰るような関係が増えていって。それがちょっと寂しかったんですよね。
ーー音楽という共通の趣味があるのに、交流する機会が少なかった。
ダイゴロウ:そうなんです。せっかく同じ音楽が好きなんだから、もっと人がつながれる社交場みたいな場所があってもいいんじゃないかと。そんな時、知り合いが新しく始めるお店で日替わり店長を募集していて、週3日営業させてもらうことになったんです。それが12年前ですね。
ーー最初は週3日の営業だったんですね。
ダイゴロウ:はい。ほかの日の店長が少しずついなくなって、僕だけが営業しているような状態になったので、2年目からは店を任せてもらうことになりました。その後、元町の高架下からトアウエストへ移転して、今に至ります。
ーー「オトハトバ」という名前も、神戸らしくていいですよね。
ダイゴロウ:港町・神戸と、音楽が流れて人が集まる場所というイメージを結びつけて、「音の波止場」からつけた名前なんです。実は、最初のお店のオーナーが突然壁を青く塗り始めたことがあって。その青い壁から海や波止場を連想したので、あれがなかったら違う名前になっていたかもしれないですね(笑)。
ーーそこから、より大きなイベントにも対応できる「RINKAITEN」へと展開していくわけですね。
ダイゴロウ:オトハトバでイベントを続けているうちに、40人ぐらいのキャパをいっぱいにする若い子たちが出てきたんです。じゃあ、その次に100人、150人規模で挑戦できる場所が必要だなと。ちょうどコロナ禍で物件を探していた時に、理想的な場所が見つかったので始めました。今年で5年目になります。
ーーもう一人のジャニさんは、どんな経緯で『ブジウギ音楽祭』に関わることになったんですか?
ジャニ:僕は大阪出身なんですけど、2019年頃、神戸の知り合いのお店に飲みに行くうちに、元気さんの周りの人たちと仲良くなったんです。ある時、「元気ってやつが困ってるから、ちょっと相談に乗ってくれへんか」と言われて行ってみたら、すでに飲食店の新しいプロジェクトの会議が始まっていて(笑)。そこから広報や企画など、飲食店の人たちが手を回しにくい部分をお手伝いするようになりました。
ーー気づけばフェスの運営まで。
ジャニ:そうですね(笑)。元気さんが「あれやってみたい」「これやってみたい」と言うのを受けて、どうしたら実現できるか一緒に考える役割です。『ブジウギ音楽祭』も、最初は送別会ぐらいの話だと思っていたら、どんどん大きくなっていって。でも僕自身、基本的には「できない」じゃなくて「どうすればできるか」を考えたいタイプなので。音楽はダイゴロウさん、飲食は元気さん、それ以外のいろんなことを僕が担当するような形ですね。
「人育て、町育て」。飲食店から始まる街づくり
ーー元気さんは、そもそも飲食店の経営が本業なんですよね。
小林:はい。神戸で飲食店を展開していて、最初に始めたのが肉を中心にしたビストロ「LE BOOZY」です。そこからベーカリーの「THE BAKE」や「洋食パリス」など、いろんな業態のお店をつくってきました。
ーーその会社、BOOZYSには「人育て、町育て」という企業理念があるそうですね。
小林:そうなんです。僕らが大切にしているのは、個性のある人間を育てること。スタッフ一人ひとりの個性を伸ばして、やりがいや新しいことに挑戦するきっかけを与えられる場所にしたいんです。
ーー人を育てることが、街を育てることにつながると。
小林:そうですね。うちの店で働いたスタッフが卒業して、地元に帰ったり、別の街で独立したりする。そこでまた新しいお店や文化が生まれたら、街が面白くなっていくじゃないですか。人を育てれば、街も自然と育っていく。そういう考え方です。
ーー『ブジウギ音楽祭』も、その理念を体現する場所なんですね。
小林:そう思っています。僕自身が育った神戸市西区で初開催したのも、街に還元できる場所をつくりたかったからなんです。飲食店で働く人たちや、お店を卒業していった人たちが集まって、音楽を楽しんで、また新しいつながりが生まれる。フェスも街づくりの一環なんですよね。
ーー 一方で、『ブジウギ音楽祭』は、音楽フェスともフードフェスとも言い切れない独特の雰囲気がありますよね。
ジャニ:そうなんです。音楽を目当てに来る人もいれば、おいしいものを食べたい人もいるし、マルシェ感覚で遊びに来る人もいる。僕ら自身、これが何フェスなのか、いまだに迷っているところがあるんですよ(笑)。
ーー主催者自身も分類できていない(笑)。
ジャニ:毎年、今年はどういうコンセプトにしようかって、ゼロから考え直しているんです。去年と同じことをやれば効率はいいんでしょうけど、そうならない。それがブジウギらしさなのかなと思います。
ーーお客さんの雰囲気も独特ですよね。
ジャニ:ありがたいことに、お客さんがめちゃくちゃいいんです。代表がワインボトルを持って踊り狂っていても、怖い雰囲気や危ない感じが全然ない(笑)。めちゃくちゃ楽しい立ち飲み屋が、たまたま屋外にあって、流れている音楽も最高だった、みたいな感覚なんです。そういう空気は、これからも大事にしたいですね。
「自分たちが楽しまなきゃ始まらない」ハッピーグルーヴの原点
ーー僕も初年度と2年目に遊びに行きましたけど、何より衝撃的だったのが、主催の元気さんがめちゃくちゃ酔っ払っていたことなんですよ(笑)。主催者って、こんなに楽しんでいいんやって。
小林:僕もそもそも、オーガナイザーがどうあるべきか知らなかったんですよ(笑)。初めてのフェスで、何が正解かもわからない。だったら、自分ができることは何かと考えたら、めちゃくちゃ飲んで、みんなと一緒に楽しむことだったんです。
ーーでも、それが結果的にフェスの空気をつくっていたんですよね。
小林:そうですね。自分たちが楽しんでいると、お客さんも楽しんでくれるし、そこから何かが生まれる。そういう空気があるんだって、後から気づきました。新しいことをやるには、ある程度リスクも取らないといけないと思っているので。
ーー今年の『MASHUP』でも、そのハッピーグルーヴを広げていきたいと。
小林:もちろんです。そもそも『MASHUP』に参加しようと思ったのは、『ITAMI GREENJAM』の大原さんの思いや覚悟に衝撃を受けたからなんです。ここまでリスクを背負って挑戦する人がいるんやって。そこまで言われたら、僕も「ノー」とは言えないですよね。
ーー『MASHUP』では、どんな役割を果たしたいですか?
小林:ブジウギの強みは、食と音楽、そしてハッピーグルーヴだと思っています。その空気を僕らのエリアだけで終わらせず、ほかのフェスにも伝染させていきたい。僕自身は、みんなを引きつける役になれたらいいですね。
ーー楽しさが会場全体に広がっていくイメージですね。
小林:そうです。一緒にフェスをつくっている人たちにも、街でお店をやっている人たちにも、遊びに来てくれるお客さんにも、「こんだけ楽しんでいいんや」って思ってほしい。人生、楽しんだもん勝ちじゃないですか。それを体現するようなフェスになればいいなと思っています。
ーー去年の『ブジウギ音楽祭』のエリアも、まさにそんな空間でした。
小林:あの場所は本当に可能性があると思っています。ダイゴロウとも話しているんですけど、比較的自由に使わせてもらえて、周りの方々も好意的に受け入れてくださって。いろんな条件がうまく重なった場所だったので、今年も楽しみですね。
神戸のカルチャーは、もっと混ざり合えるはず
ーーダイゴロウさんにとって、『MASHUP』に参加する意味は何でしょう?
ダイゴロウ:僕は、神戸でこういうことを続けていく意味があると信じて、実際に行動している人たちがいること自体が嬉しいんです。以前、神戸は何かを諦めてきた街だという話もしましたけど、それでも諦めずに続けていく人が増えれば、僕らが思い描く未来の神戸に近づいていく可能性は上がると思うので。
ーー続けること自体に意味があると。
ダイゴロウ:そうですね。街には、普段の週末に行われるイベントも必要だし、『MASHUP』のような特別な日も必要だと思っています。去年一度開催しただけなのに、今年の発表前から「今年もやるんですか?」って、いろんな人に声をかけてもらったんですよ。
ーーもう街の人たちの中に、次の開催を待つ気持ちが生まれていたんですね。
ダイゴロウ:そうだと思います。応援なのか期待なのか、あるいは心配なのかもしれないですけど(笑)、気にかけてもらえていることが嬉しい。そういう積み重ねが未来につながっていくんじゃないかなと思っています。
ーーそもそも、神戸という街でカルチャーを育てていく難しさは、どんなところにあると思いますか?
ダイゴロウ:言い方が難しいですけど、神戸ってちょっとおしゃれすぎるところがある気がするんですよね。文化的な感度は高いし、いま面白いものを見つけるのは上手なんです。でも、これから面白くなっていきそうなものに対して、一緒に汗をかこうという人は、そこまで多くないような気がしていて。
ーー完成されたものへの感度は高いけど、これから育つものに関わる人が少ない。
ダイゴロウ:そういうところはあるのかもしれません。もちろん神戸にも面白い人はたくさんいるんですけどね。
ーー大阪出身のジャニさんから見ると、神戸はどんな街ですか?
ジャニ:僕が感じるのは、コミュニティごとの結束はすごく強いのに、違うコミュニティ同士があまり交わらないということです。例えば、飲食やファッション、音楽など、それぞれの界隈には面白い人たちがたくさんいる。でも、隣のコミュニティのことを知っていても、そこから一緒に何かやろうとはなりにくい印象があります。
ーー大阪とは違いますか?
ジャニ:大阪ももちろんコミュニティは分かれていますけど、エリアを横断して人が動くことが多いんです。今日は心斎橋で飲んで、次は難波に行って、明日は梅田で遊ぶとか。テーマや興味が合えば、違う場所の人たちが自然とつながる。神戸は、それぞれのコミュニティが成立しているからこそ、外へ出る必要を感じにくいのかもしれないですね。
ーーそう考えると、『ブジウギ音楽祭』が掲げる「ハッピーグルーヴ」は、そうした壁を越えるためのものでもありそうですね。
ジャニ:そう思います。だからこそ、神戸だけじゃなくて、大阪や京都のお店にも出店してもらおうと考えるし、県外からどれだけ人が来てくれるかも気にしている。いろんな人やカルチャーがごちゃ混ぜになって、いつもとは違うつながりが生まれることに意味があると思うんです。
ーーまさに『MASHUP』そのものですね。ジャンルやコミュニティの垣根を越えて、新しい出会いを生み出すという。
ジャニ:そうですね。別に今あるコミュニティを否定したいわけではないんですけど、もう少し外に出て、一緒に何か面白いことをやってもいいんじゃないかと。ハッピーと言いながら、実はちょっと反骨精神もあるんですよ(笑)。
ーーただ楽しいだけじゃなく、街の空気を変えたいという思いもあるわけですね。
ジャニ:そうですね。楽しいことをやりながら、結果的にそういう壁を越えていけたら、すごく面白いと思います。
昨年の『MASHUP FESTIVAL』の様子
取材=大原智(一般社団法人GREENJAM代表)
文=SPICE編集部(大西健斗) 写真提供=ブジウギ音楽祭
イベント情報
日程:2026年10月24日(土)
会場:兵庫・TOTTEI PARK他 神戸ベイエリア複数会場(各会場間 徒歩1分~5分程度)
〒650-0041 兵庫県神戸市中央区新港町2-1
出演:大黒摩季 / 氣志團 / 石野卓球 / EGO-WRAPPIN'(Acoustic Set) / アバンギャルディ / w.o.d. / デラックス×デラックス / 黒猫CHELSEA / OKAMOTO'S / 四星球 / tofubeats(feat. オノマトペ大臣,Neibiss) / 小原綾斗(Tempalay/FCO.) / ETSU & CHIHARU from TRF / 奇妙礼太郎 / アフロ /VIDEOTAPEMUSIC / スーパーオギャー / オカモトレイジ(DJ) / HUGEN / Zα SAVAGE / waco /doni doni / BIG MOUTH BRASS BAND / Pretits / おばけ座 / ヤング / ボニーボニー / 母性人
【DJ's】in the blue shirt / KING3LDK(脱線3) / キングジョー / グルーヴあんちゃん / 佐藤マタ / 諸行亭夢常 / TANK(TANK酒場) / DJ薬師丸 / ひろしげ / mikio / 宮本雅夫 / 喪服のマリー / 安田謙一 /Yudai Sada(mugi band) / よだもち / ロビンカワムラ
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◯一般入場券:7,800円
◯MASHUP 応援:8,800円
メインステージのLEDモニターに名前やメッセージを掲示!入場券付きの応援プランです。
◯ペア:14,600円
2名様入場可能な、お得なセット券です。
◯神戸市民割入場券:6,800円(SOLD OUT)
◯入場券+神戸ストークス観戦付き:9,300円
隣接するGLION ARENA KOBEで開催されるプロバスケットボール、神戸ストークスの観戦がついた数量限定のプランです。
◯入場券+海のテラスBBQ・飲み放題付:26,600円(2名様)~
オフィシャルフリーラウンジ「TOOTH TOOTH MART FOOD HALL」のテラスで、神戸の絶景を眺めながらBBQ&飲み放題を楽しめるプランです。
◯入場券+EN³ TOTTEI BBQ・飲み放題付:15,300円
メインステージとなるTOTTEI PARKのレストラン「EN³ TOTTEI」にて、MASHUP FESTIVALと絶景のベイロケーションを楽しみながらBBQ&飲み放題をお楽しみ頂けるプランです。
その他『MASHUP FESTIVAL kobe’26』をすでにご購入済みの方を対象としたアップグレードもご用意しております。
ARIFUJI WEEKENDERS / ONE MUSIC CAMP / MUSIC ZOO WORLD / ブジウギ音楽祭 / 六感音祭 / ITAMI GREENJAM / 爆発メルヘンシティ
イベント情報
日程:2026年10月23日(金)OPEN:18:00 / END:20:00
会場:TOTTEI PARK他 神戸ベイエリア複数会場(各会場間 徒歩1~5分程度)
〒650-0041 兵庫県神戸市中央区新港町2-1
◯前夜祭
※MASHUP FESTIVAL kobe’26入場時別途1ドリンク代¥600
受付期間:10月16日(金)18:00~10月23日(金)18:30
▽主催:MASHUP FESTIVAL kobe’26実行委員会 / 株式会社DONUTS ENTERTAINMENT / 一般社団法人
GREENJAM
▽企画制作:MASHUP FESTIVAL kobe’26 実行委員会