不定期コラム・第2回『適当な返事はときに身を滅ぼす』
Blur
本題は結構下の方。
「どんな音楽聴くの?」と、あまり洋楽を聴かない人に聞かれた時に「具体的なバンド名を挙げてもどうせ分からないだろうなぁ」と思ったことのある人、結構多いと思う。
僕の場合、大体は「洋楽かな」と答えておけば「あ、そうなんだ~」で終了することがほとんどで、もう少し突っ込まれた場合は「UK系かな」で対応することにしている。そもそも好きなバンドを挙げてもキリがないし、UKに好きなバンドが多いのは事実だ。
かれこれ10年以上、音楽に詳しくなさそうな人からの質問にはそう対応してきた。
雑誌編集部時代に上司からふと「お前、洋楽で何系が好きなの?」と聞かれた時も、深く考えずに「UKっすね」と答えてしまった。すると「UKにも色々あるだろ」と至極当然な突っ込みが帰ってきた。
しまった。反射的に答えてしまったが、ここは音楽雑誌の編集部だ。しかもこの上司は熱狂的なツェッペリンファンだった。きっと「コイツは洋楽好きとか言いながら、大して分かってねえな」と思われてしまったに違いない。下手をすると音楽雑誌の編集としての適性を疑われてしまったかもしれない。適当な返答は時と場を選ぶのである。
そのことがあって、そういえば自分はどんなタイプのUKロックが好きなのか、なぜUKロックが好きなのか考えてみた。次に似たシチュエーションがあった時に、自分の好みを端的に分かってもらうにはどう答えれば良いか。
まずビートルズやストーンズは当然大好きだが、当然過ぎて胡散臭い。というか気軽に「好きっす」とか言うのが躊躇われるくらいの存在である。ツェッペリンもイギリスだが、個人的に「UKロック」で括るのは何かイメージと合わない。ハードロックやメタルの祖というイメージだ。ピストルズやクラッシュもUKかどうか以前にパンクの象徴だし、スミスとかあの辺りはそこまでハマらなかった。プライマル・スクリームは大好きなバンドだが、そもそも作品ごとにテイストが多岐に渡り過ぎていてジャンルという概念に当てはまらなすぎる。
……と年代とムーヴメントを追って考えていくと、いかに「UKっすね」という発言が適当すぎるものであったかが身に沁みるのだが、やがて自分の中の”UKロック像”がしっくりくるところに行き着いた。
ブリットポップ勢である。
厳密に定義しようとするとややこしくなるし、個人的にジャンル分けをキッチリするのは好きではないのでザックリ言うと、90年代の前半から中盤にかけての「ちょっとキラキラして聴きやすいギターロック」。
もちろん個体差はあるにせよ、メロディが綺麗でバンドサウンドが前面に出ていて、アメリカのロックと比べるとどこかウェット。当時の僕には(今も)それがオシャレで格好良いものだった。
そんなシーンを代表するツートップが、オアシスとブラーである。
UKロックという言葉で彼らの音楽を想像する層は、実際結構いるんじゃないかと思う。
日本でもCM等で当たり前のように流れ、洋楽に詳しくなくても曲自体は知っているというパターンも多数あることを考えても、当時から今に至るまでのUKシーンとそのイメージを牽引してきた存在であることは間違いない。
解散後もノエルとリアムがちょくちょく世間をお騒がせしつつ、はたして再結成はあるのか否かでやきもきさせているオアシスに対して、一度は空中分解しながらも感動の復活を遂げ、昨年には17年ぶりに来日、今年は12年ぶりにアルバムまで届けてくれたブラー。当時からライバル関係とされてきた彼らが、現在においても対照的な状況にあるのはなかなか面白い。
そのブラーだが、最新作『ザ・マジック・ウィップ』と密接に関わる香港の地で開催するライブ「blur Live in Hong Kong2015」の模様を、5カ国(香港含め6カ国)で独占生中継するそうだ。
以下、リリースより
【開催日】
2015年7月22日(水)日本 時間21時開始(香港時間:20時)
【視聴方法】
1. 生中継専用Webサイト http://kkbox.fm/06Jj0R
2. KKBOXアプリ(PC,スマホなど) ダウンロード http://bit.ly/kkboxdl
※ チャット機能を使うには、KKBOXアプリが必要です。
※ KKBOXアカウントでのログインが必要です。
※ 無料会員・プレミアム会員どなたでも参加可能です。
日本国内では、KKBOXアカウントでログインすれば誰でも生中継ライブを視聴することができるそうなので、当時のシーンを思い起こしながら観るもよし、現在進行形の彼らを存分に堪能するもよし。一時代を築いたロックバンドが20年以上経てなお最前線でステージに立っている姿を多くの人に観てほしい。
ちなみに、その後「UKっすね」の代わりに「ロック系を幅広く」と言うようにしたのだが、根本的には解決していない気がする。