後世に残したい名作ゲーム第1回  心に強く響かせるRPG「MOTHER2 ギーグの逆襲」

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 ©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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後世に残したい名作ゲーム第1回  心に強く響かせるRPG「MOTHER2 ギーグの逆襲」

 ゲーム業界は日々映像技術などの進歩により、私たちを楽しませてくれる名作が次々生まれています。ですが、真の名作は多少インターフェイスの面で不便な面があったり、技術の面で今と比べて見劣りしようとも色褪せない魅力があります。このコラムではそんな今の時代でも通じるような後世に残したい名作ゲームを紹介します。

 第1回の今回は、先日55歳の若さで亡くなった任天堂の岩田社長の追憶も込めて、「MOTHER2 ギーグの逆襲」(以下マザー2)を取り上げます。マザー2とは、1994年に発売された任天堂のRPGで、ゲームデザインはコピーライターの糸井重里氏が担当しています。

 このマザー2の開発に関して岩田社長はひとつの伝説を残しています。マザー2は当時開発が難航して挫折しかかっていましたが、そんなところにヘルプで招かれた岩田社長は「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と発言し、見事にそれを成し遂げてみせました。

 そんな本作ですが、不朽の名作として世の中に知られており、筆者も強く印象に残っている作品です。いったいどうしてこのゲームが多くの人の記憶に深く刻まれているのでしょうか?

糸井さんの紡ぎだす名台詞の数々と、ユーモアあふれるモブキャラたち

 ゲーム内のテキストはゲームデザインを担当するコピーライターの糸井重里氏が監修しています。普段から数々のキャッチコピーを作り出す糸井氏の作り出す台詞の数々は、私たちの記憶に強く印象に残ります。それこそ、「マザー2 名言」というコラムが成立するほどでしょう。実際上記でネットの海を検索するとそういうまとめが出てきます。

 そんな台詞ですが、これはストーリーで必要な物だけではなく、街のモブキャラたちや、看板に至っても独特な味を醸し出しています。新しい場所や街に辿り着くたびに全ての人や看板などを調べたくなるのは、マザー2独自の魅力といえるでしょう。そんな台詞の一部を紹介します。

アルプスの少女○○ジ さて○○に入る言葉は??
ハイ イイエ
ここでイイエを選択すると
アルプスの少女 イイエジってことは無いだろ
©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 こんなかんじで、本編とはまるで関係ない台詞ですが、ゲームでハイ・イイエという選択が出ることをうまく利用したユーモアあふれる台詞で、私は最初に発見した時は腹がよじれるほど笑わせていただきました。その他にも

呼吸を止めるな、喧嘩を止めろ。「そよ風運動の会」
©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 と、何かそれっぽい、深いようなよくわからない標語が看板に書いてあったりします。こんなかんじのユーモアあふれる文章が各地に散らばっているので、プレイする際にはぜひ、人や看板はなるべく全部調べて欲しいです。私が子供の時にマザー2を初めてプレイした時にはその事実に気づかず、今思うと相当損したなと感じておりますので。

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生きている限り何度でも立ち上がれる「ドラムロールシステム」

 本作の戦闘システムは、「ドラムロールシステム」という本作独自のものを採用しています。これは、ダメージが1ずつ徐々に減っていくシステムで、どれくらいダメージを受けても、高速で1ずつ減っていきます。これによって、例えばHPが50ある状況で100くらうなど、一気に0になる攻撃を受けたとしても、0になる前に回復すれば戦闘不能にならずにすみます。この仕様は、HPが低い序盤のうちはあまり意味はありませんが、自分のHPが成長してくる中盤から重要になってきます。

 本作の敵は、これらを前提とした通常のゲームなら絶対出せない仕様のダメージを与える敵も登場します。例えば、撃破すると死に際に全体に即死級のダメージを与えるような敵が登場しますが、普通のゲームではそんなことされては戦闘するたびに全滅してしまいますが、ドラムロールシステムのおかげで、その敵を最後に倒せば大きなダメージを受ける前に戦闘が終了するため問題ありません。このように、本作独自の強攻撃を持つ敵が多数登場するため、常に緊張感のある戦闘が楽しめます。実際、本作のザコ敵はかなり強めの部類に入ると思いますが、その多少強引に回復が可能な仕様によってストレスをそこまで感じること無く戦闘を楽しむことが可能です。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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世界を救う冒険のワクワク感と、それを暖かく見守る家族の絆

 マザー2では「自分の場所」と呼ばれるパワースポットを巡る旅の途中で、黒幕が引き起こすさまざまな異変を解決します。例えば、ゾンビまみれになった町を、黒幕が差し向けた敵を倒して解放するわけですが、そうすると、町の様子が一気に変わり、のどかな田舎町になります。そうして、町の人達の台詞はゾンビが支配していた頃と違い、明るく、また感謝の意を述べてくれます。このように、異変を解決した場所はダイレクトに反映されるため、やりがいがあります。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 また、本作は砂漠や雪国、人のいない魔境などさまざまな場所に行くため、そのたびに未知の世界に足を踏み入れているような、そんな感覚があります。特に、序盤はずっと田舎町を舞台にしているため、初めて田舎街を抜けて砂漠に入り、そして大都会の街にたどりついた時には、ついにここまできたんだという感じをすごい感じます。その後、物語後半は移動するたびにUFOだの潜水艦だの新たな乗り物を探して渡っていくため、冒険しているワクワク感を感じます。ただし、本作には一般的にRPGによくある飛行船的な、自由に世界を飛び回る乗り物がありません。とても世界が魅力的に描かれているため、そんな世界を自由に飛び回ってみたいという思いが少なからずあるため、その点は少し残念に感じます。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 そんな冒険をする主人公一行は全員子供ですが、そんな彼らを彼の両親や保護者は、信じて暖かく見守る、または資金援助や冒険の手助けなどの物理的援助など、さまざまな形で支えてくれます。そのように、自分たちを育てて暖かく見守ってくれる家族との絆というテーマが本作にはあります。最終的に冒険が終わった後、彼らは大きく成長して帰ってくるわけですが、そのように、帰れる場所があるから冒険ができるんだと、感じずに入られません。

 このように、家族の絆が描かれた本作ですが、プレイする年代、または自分の立場によって感じ方が変わってくるのが特徴でもあります。筆者は残念ながらまだ人の親ではないため、どちらかと言うと冒険に憧れる方ではありますが、すでに家庭を持つ自分の兄が久しぶりにプレイした際は、思わずパパに感情移入して驚いたと語っていました。自分の立場と歳によって感じ方が変わってくるストーリー。これが、時を超えて何度でもマザー2をプレイしたくなる理由です。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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ラスボスからエンディングまでの演出がスゴイ

 物語の根幹に関わるネタバレになってしまうため、詳しくは語れませんが、本作のラスボスからエンディングまでの演出がとても強く印象に残っています。ラスボス戦で初めて明かされる、ゲーム途中でいきなりプレイヤーネームを入力させられた本当の意味、それがわかった初プレイの時は、思わず鳥肌が立ちました。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 そうして冒険は終わり、その思い出を胸にそれぞれの居場所に帰っていきます。その後、スタッフロールでこれまで道中で撮ってきた記念撮影の数々が感動的なBGMとともに流れてきます。カメラマンのおじさんが撮影するたびに言っていた「きっとこれは最高の思い出になりますよ」という言葉は本当で、本当に楽しい思い出だったと、初プレイ時は泣いてしまいました。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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 このように、とても心に強く訴えかけてくる作品です。ですので、もし未プレイの人も経験者も、大人も子供も、おねーさんも、今どう感じるか実際にプレイしてみて欲しいです。その時は、物語途中で聞かれるプレイヤーネームはぜひ自分の名前にすることをオススメします。

©1994 Nintendo/APE inc. Scenario:©1994 SHIGESATO ITOI

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