A9×Plastic Tree 共鳴と共振を感じさせた2マンライヴ『共鳴の夜、共振の宴』レポート
A9/撮影=キセキミチコ
『共鳴の夜、共振の宴』2016.2.11(Thu)Zepp Tokyo
2月11日にZepp TokyoにてA9主催の2マンライヴ『共鳴の夜、共振の宴』が開催された。共演したのは、彼らがリスペクトするバンド、Plastic Tree。このイベントが実現に至ったいきさつも明らかになった。
Plastic Tree/撮影=キセキミチコ
客電が落ち、最初にステージに登場したのはPlastic Tree。真っ白な服に身を包んだ有村竜太朗(Vo)がギターを弾きながら歌った幕開けのナンバーは「Thirteenth Friday」。歪んだギターサウンド、ふわふわゆらゆらと揺れるような独特の浮遊感とアートな映像に一瞬で場内はPlastic Treeの色に染まっていく。代表曲のひとつ「メランコリック」ではシャウトで煽り、結成22年のバンドの阿吽の呼吸がさすがのアンサンブルを響かせた。
Plastic Tree:有村 竜太朗/撮影=キセキミチコ
「今年に入って初めてのプラ・ライヴです。明けましておめでとうございます。(A9の)ヒロト(G)さんがある日、“対バンしませんか?”というメールをくれて、こういう機会を得ております。こんな、ちょっとややこしそうなバンド、よく呼んでくれたなと(笑)。誘われて僕らは本当に嬉しかったです。泣いちゃうかもしれないですね。泣きませんけど(笑)。『共鳴の夜、共振の宴』ということで海月(Plastic Treeファンの呼称)のみなさんも9組(A9ファンの通称)のみなさんも共に泣き、共に震えようじゃありませんか!」
Plastic Tree:ナカヤマ アキラ/撮影=キセキミチコ
昨年の末にニューアルバム『剥製』をリリースしたPlastic Treeだが、この日は2マンならではのスペシャルなセットリスト。竜太朗がギターを下ろしてフロアにマイクを向けたロックンロール「ナショナルキッド」では狂気を感じさせる演奏でステージを動きまわり、「冬なので冬の曲をやります」と「雪蛍」を披露した。
Plastic Tree:長谷川 正/撮影=キセキミチコ
そして長谷川 正(B)が「今日はせっかくの対バンということでいろいろ策を講じてきました」と言うと、竜太朗が「僕たちの隠し玉を調達してきました」とA9のファンに「どの曲だと思いますか?」と問いかけ、期待にザワめく中、佐藤ケンケン(Dr)がタイトルを叫び、A9のキラーチューン「RAINBOWS」をカバー。ツインギターをナカヤマ アキラが1人で引き受け、Plastic Treeバージョンとして披露されたこの曲に、A9のファンもサイリウムを振って盛り上がった。
Plastic Tree:佐藤ケンケン/撮影=キセキミチコ
Plastic Tree/撮影=キセキミチコ
後半は「Plastic Treeの曲でも踊ってくれよ!」と結成20周年“樹念”第2弾作品となったエッジーなダンスロック「マイム」へと突入。初めて彼らのライヴを見た人も巻きこむステージを展開し、パンキッシュなナンバーで暴れ倒してアッという間にラストナンバー。アルバム『剥製』を携えての全国ツアーが3月16日からスタートすることを告知し、感謝の言葉を述べて、儚くも美しいナンバー「蒼い鳥」でライヴを締めくくった。
Plastic Tree/撮影=キセキミチコ
A9/撮影=キセキミチコ
対するA9はオレンジの光に覆われたステージにメンバーが登場し、ライヴは場内をすっぽり包みこんでしまうようなスケール感のあるメロディアスなナンバー「the beautiful name」でスタートした。シンガロングが響きわたる中、A9としての活動再開第1弾であり、和洋折衷の要素が原点回帰を思わせるナンバー「Phoenix」を“不死鳥”をイメージさせる映像とともに投下。
A9:将/撮影=キセキミチコ
「閃光」では将(Vo)、虎(G)、ヒロト(G)、沙我(B)の4人が前に出て煽り、はじけ飛ぶような演奏を届け、たたみかけるように攻撃的な「開戦前夜」に突入。2014年に結成10周年を迎えた彼らだが、Nao(Dr)の芯のあるビート、沙我のメロディックなベース、虎とヒロトの個性が異なるギターソロの応酬など聴きどころ満載の演奏と、歌を届けるまっすぐな姿勢が伝わる将のボーカルは、バンドがさまざまなことを乗り越えて一つのカタマリとなっていることを感じさせてくれる。
A9:虎/撮影=キセキミチコ
「今日はPlastic Treeさんとの2マン、みんなビックリしましたか? 俺自身も竜太朗さんとバーベキューしたり、そんな関係はあったんですが、引き受けてくださるとは! 『金田一少年の事件簿』のテーマ曲になった「Sink」(1999年)とか聴いてたし、雑誌の竜太朗さんのファッションコーナーも見てたからね。そんなバンドが僕らの「RAINBOWS」をやってくれたんですよ」
A9:ヒロト/撮影=キセキミチコ
将がPlastic Treeとの共演の感動を語り、僕らにも“海月”をモチーフにした曲があると告げ、「jellyfish」を演奏。翳りのあるバラード「birth in the death」では宇宙の営みを感じさせるような演奏を届け、夜明けを告げるナンバーへと展開する中盤戦も印象的だった。
A9:沙我/撮影=キセキミチコ
そして将が「僕らもPlastic Treeさんの曲をやりたいと思っているんですけど、選んだのは沙我さんなんですよ」と振ると「昔のバンドでリハーサルでよくコピーしていたんです。せっかくなら思い出のある歌をやるのが伝わるんじゃないかなと」と沙我。Plastic Treeのヒット曲の一つ「ツメタイヒカリ」の曲名が告げられると場内からは“ウォーッ!”という声が沸き上がった。A9からPlastic Treeへのリスペクトが感じられるカバーが雪の降る光景を浮かび上がらせ、一気にテンションを上げていく「RAINBOWS」に移行し、ラストには感謝の想いを込めた「すべてへ」が贈られた。
A9:Nao/撮影=キセキミチコ
4月からスタートするツアーで会おうと告げ、「海月のみなさん、9組のみなさん、これを機会に一緒に盛り上がっていきましょう」と去っていったA9。先輩、後輩の垣根を超えた共演はまさにタイトル通り、共鳴と共振を感じさせてくれた。今後もこういう刺激的なイベントが開催されることを期待してやまない。
撮影=キセキミチコ 文=山本弘子
A9/撮影=キセキミチコ
A9/撮影=キセキミチコ
01. Thirteenth Friday
02. メランコリック
03. イロゴト
04. ナショナルキッド
05. 「雪蛍」
06. RAINBOWS(A9カバー)
07. マイム
08. あバンギャルど
09. 蒼い鳥
◆A9
01. the beautiful name
02. Phoenix
03. 閃光
04. 開戦前夜
05. Jelly fish
06. birth in the death
07. Daybreak
08. ツメタイヒカリ(Plastic Treeカバー)
09. RAINBOWS
10. すべてへ
3/19(土) 松山 SALONKITTY
3/21(月・祝) 大分 DRUM Be-0
3/26(土) 金沢 EIGHT HALL
3/27(日) 神戸 VARIT.
4/02(土) 名古屋 ボトムライン
4/03(日) 長野 CLUB JUNK BOX
4/09(土) 京都 FAN J
4/10(日) 広島 クラブクアトロ
4/14(木) 横浜 YOKOHAMA Bay Hall
4/16(土) 大阪 BIG CAT
4/17(日) 香川 DIME
4/23(土) 熊本 B.9 V1
4/24(日) 福岡 DRUM LOGOS
4/29(金・祝) 仙台 Rensa
5/01(日) 札幌 ペニーレーン24
5/03(火・祝) 新潟 LOTS
5/08(日) 東京 TOKYO DOME CITY HALL
12/25ライブ演奏曲「ANIMUS 」先行音源配信
※2nd EP「LIGHT AND DARKNESS」にも収録されます
A9 TOUR 2016「TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS」
4/16(土)品川ステラボール
4/21(木)札幌cube garden
4/24(日)青森Quarter
4/26(火)新潟NEXS NIIGATA
4/27(水)仙台darwin
4/29(金)郡山Hip Shot Japan
5/01(日)金沢AZ
5/03(火)京都FANJ
5/04(水)神戸Kobe SLOPE
5/06(金)名古屋ボトムライン
5/08(日)浜松窓枠
5/13(金)岡山CRAZY MAMA KINGDOM
5/15(日)広島クラブクアトロ
5/19(木)大阪BIG CAT
5/21(土)福岡BEAT STATION
5/29(日)東京TSUTAYA O-EAST