『ネタバレ注意』夏アニメ「のんのんびよりりぴーと」の時系列で見る漫画原作との違いを追ってみた

2015.7.24
コラム
アニメ/ゲーム

©2015 あっと・KADOKAWA刊/旭丘分校管理組合二期

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癒やしアニメ「のんのんびより」に秘められた原作漫画との違い

 夏アニメの放映が始まってしばらく経ちますが、みなさんはお気に入りのアニメは見つかりましたか? 私は「のんのんびより りぴーと」で癒やされています。

 「のんのんびより」とは、バスが5時間に1本しか来ないようなド田舎に住むれんげ・蛍・夏海・小鞠ら4人の少女たちとその周囲の日常を描いたアニメです。その緩い少女たちのやりとりと田園風景が絶妙にマッチした結果、スゴイ癒やし力を持った作品で、1期目のアニメは絶大な人気を誇り、私個人としても毎週楽しみながら、次第に近づく放映終了の時を恐怖したものです。

 そんな「のんのんびより」が、約1年半ぶりに「りぴーと」として帰ってきました。ですが、「りぴーと」では、前期には無かった試みが行われています。それは、原作アニメであまり語られていないれんげの入学時や、ほたるの転校直後の時期といった、原作であまり描かれていない時期にスポットを当てるというものです。その結果、アニメ版独自の展開をいくつも見ることが出来ました。ここではそれをいくつか紹介します。

新しい学校生活にワクワクしつつも若干緊張しているれんげと越谷兄弟

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 1話はれんげの入学式にまつわるお話でした。れんげの入学前は、原作では外伝的エピソードで赤ん坊時代が描かれたのみで、物心がついたこの時期のれんげは今回アニメで初めて描かれました。突発的に奇行に走ることも多い彼女ですが、基本的には精神的に強く、頭も良い彼女がワクワクしながらもどこか緊張している様子は貴重です。そして、入学式でのおめかしで、今回髪に少しウェーブがかかっていますが、とても可愛いです。

 そんなれんげの入学を歓迎する越谷兄弟ですが、ここにもアニメ独自の展開が待っていました。この学校はかつて楓(駄菓子屋)やこのみ、ひかげといったサブキャラクター達も通っていましたが、夏海はそんな中で長い間ずっと最年少ポジションにいました。恐らく一番下であることと、持ち前のお調子者の性格でずっと暴れまわってきたと思われます。今回れんげが入ってきたことで初めて後輩ができました夏海は、そのことでちょっと感慨深い様子です。本編ではすでにれんげと蛍という2人の下級生がいるため、あまり一番下という印象がありませんので、ここでのこの様子は割りと貴重なシーンだと思います。まあ、もともと夏海は気さくなお調子者の印象が強く、先輩という感じはしませんでしたが。

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 また、本編ではすでに東京にいるため、長期休み中しか登場しないひかげが普通に家にいる点にも注目です。普段、東京の自慢話をしたがり、ちょっと残念な人の印象が強いひかげですが、学校へ通学する練習をするれんげについて回っているところなど、意外とお姉さんらしいこともあるんだなと意外でした。れんげの姉であり学校の教師でもあるかず姉も、学校ではだらしない先生という印象が強いですが、家ではれんげの姉であり保護者らしいところも多く見せていることを考えると、いい姉に囲まれて育ったんだなということが分かって微笑ましいです。個人的にはひかげやら他のサブキャラクターと現在学校に通う5人が勢揃いしている状態のifストーリーなんかも見てみたいものですね。なお、ひかげが大好きな人には、ひかげの登場するあっと先生の別作品「小悪魔メレンゲ」もオススメです。ひかげのこの適当な人柄とドヤ顔がたくさん拝めることと、空回り系少女の魅力がたくさん詰まった作品です。

蛍とクラスメイトのまだ若干距離感が遠いながらも受け入れられていく過程

 ちょっと話が脱線してしまいました。2話は蛍が転校してきた直後のお話です。原作は開始時にすでに蛍が転校してきていたため、転校直後のぎこちない時期は1巻の最初のエピソードくらいで、このように出会ったばかりのエピソードが描かれるのは珍しいです。そして、転校直後のエピソードとして原作8巻の定規遊びのエピソードを用いることで、蛍の歓迎の意を込めた遊びを通じて段々仲良くなっていく過程を描くことを試みています。そのことで、ここのシーンでの皆の様子が原作に比べ微妙にぎこちない様子になっていますが、ここで夏海に注目してみると、そんな中で夏海が頑張ってクラスを馴染みやすい雰囲気に盛り上げようと頑張っている事が分かります。今回のテーマとは直接関係ありませんが、夏海は頭が悪い面がプッシュされがちですが、普段からよく存在感が極端に薄い兄の卓に話しかけていたり、最年少のれんげの様子を気にしている場面が多いなど、意外と周囲を気にかける場面が多いです。

 また、原作の蛍はある時期を境に急激に小鞠好きになっていました。ですが、「りぴーと」では星を見に行くエピソード(原作では6巻のお話ですでに2人はかなり仲が良くなっている頃)をこの時期のエピソードとすることで、この時に半べそかきながらも助けてくれたのをきっかけに蛍が小鞠を先輩として慕うようになったと理由づけしました。

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 このシーンは弱虫の小鞠が後輩の蛍のためにここ一番の勇気を出す、のんのんびより屈指の名シーンです。こんな姿見せられたら、蛍も先輩として慕わないはずがありません。ちなみに、この話は土地勘のない蛍が道に迷うエピソードも収録されているため、蛍は1日で2回もピンチになっています。ちょっとかわいそうですが、普段は大人っぽく見られがちでも、恐らく4人の中で精神的に一番弱い蛍の泣き顔が可愛いと思いました。

 このように、原作収録のエピソードでありながら、時期が違うことで意味や状況が変わっている場面も多い「のんのんびより りぴーと」。基本的に何も考えず癒してくれるのが魅力のアニメではありますが、原作を持っている人は見比べてみると、新しい発見があってより楽しめるかもしれません。

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