平田オリザ演出による細川俊夫新作オペラ、3月13日深夜に早くもテレビ放映

SPICER

2016年1月にハンブルク州立歌劇場で初演がおこなわれた、細川俊夫作曲1幕5場のオペラ作品『海、静かな海(Stilles Meer)』が、3月13日(日)深夜、早くもNHK BSプレミアムの「プレミアムシアター」で放送される。演出は平田オリザ、指揮はケント・ナガノ。

オペラ『班女』(2004)や『松風』(2011)が世界中で上演されている現代音楽の作曲家・細川俊夫。近年の彼は人と自然の関わりに着目、祈り・鎮魂としての音楽を作ってきた。その流れの延長上で作られているのが、オペラ『海、静かな海』だ。東日本大震災と原発事故が起きた福島を舞台に、犠牲者への鎮魂、そして被災地に留まる人々の心が描かれてゆく。劇作家の平田オリザが日本語で書き下した台本をドロテア・ガストナーがドイツ語に翻訳、これを原作として、ハンナ・デュブゲンがリブレットを作成した。

<あらすじ>
高台から海への眺めが広がっている。バレエ教師として福島で暮らしていたドイツ人女性クラウディアは、日本人の夫タカシと息子のマックスが2011年3月11日の津波によって命を落として以来、しばしばここに立っている。死者の鎮魂のために海へ流す灯籠は、各々が津波で大切な人を失ったということを意味している。死者の捜索は、被災者の避難によって進まない。夫の姉ハルコはクラウディアにドイツへ帰国するよう勧め、マックスの実の父であるクラウディアの元恋人シュテファンも「現実を直視しろ」と彼女を祖国に連れて帰ろうとする。しかし、海にさらわれ帰ってこない死者こそが彼女にとっての現実であるとして、被災地に留まり続ける。とある儀式により、死んだ息子の魂がクラウディアの前に姿を現した。クラウディアは息子を手放すことができない。しかしその幻はクラウディアの腕の中で消えてしまう。「私たちを家に帰して、死んだ人たちをそれぞれの家に帰してよ」とクラウディアは言う…。

本作は、能の『隅田川』と森鴎外の『舞姫』を文学的な下地としている。また、平田が近年試みてきたロボット演劇の成果がここでも発揮され、防護服を着て歌う合唱隊を先導するロボットが放射線管理区域に入ってゆくシーンもある。

番組では本編の放送に先立ち、ドキュメンタリー「海、静かな海 フクシマへのレクイエム」も放送する。ここには細川俊夫、平田オリザの他に、このオペラを歌うスザンネ・エルマーク、藤村実穂子、ベジュン・メータらも出演している。

3.11から5年を経た今、このオペラを鑑賞し、改めてあの震災がもたらしたことが何であったかをじっくりと考えてゆきたい。


ハンブルク州立歌劇場youtubeチャンネルより
 
放送情報
NHK BSプレミアム「プレミアムシアター」 3月14日(月)【3月13日(日)深夜】午前0時~4時5分

◇本日の番組紹介
◇ドキュメンタリー『海、静かな海 フクシマへのレクイエム』
◇ハンブルク州立歌劇場公演
歌劇『Stilles Meer   海、静かな海』【5.1サラウンド】
◇アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル
◇本日の番組紹介(0:00:00~0:03:30)
ナレーション: 水落幸子(みずおち ゆきこ)

 

◆ドキュメンタリー
「海、静かな海 フクシマへのレクイエム」
(0:03:30~0:20:00)

<出 演>
細川俊夫(作曲家)
平田オリザ(劇作家・演出家)
スザンネ・エルマーク(オペラ歌手)
藤村実穂子(オペラ歌手)
ベジュン・メータ(オペラ歌手)ほか
 
ハンブルク州立歌劇場公演
歌劇「Stilles Meer   海、静かな海」
(0:20:00~2:04:30)

<演 目>
歌劇「Stilles Meer  海、静かな海」  
細川俊夫  作曲 / 平田オリザ 原作・演出
 
<出 演>
クラウディア:スザンネ・エルマーク
ハルコ:藤村実穂子
シュテファン:ベジュン・メータ ほか
<合 唱>ヴォーカルゾリステン・ハンブルク
<管弦楽>ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>ケント・ナガノ
収録:2016年1月 ハンブルク州立歌劇場(ドイツ)


アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル(2:06:30~4:05:00)


<出 演>
アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
 
<曲 目>
1.厳格な変奏曲 ニ短調 作品54  メンデルスゾーン 作曲
2.ピアノ・ソナタ 第1番 嬰ヘ短調 作品11  シューマン 作曲
3.幻想曲 作品28  メンデルスゾーン 作曲
4.交響的練習曲 作品13  シューマン 作曲
5.「無言歌」作品19から「甘い思い出」  メンデルスゾーン 作曲
6.「無言歌」作品67から「紡ぎ歌」 メンデルスゾーン作曲
7.アラベスク 作品18  シューマン 作曲
8.幻想曲 ハ長調 作品17から 第3楽章  シューマン 作曲
9.パルティータ 第4番 BWV828から サラバンド  バッハ 作曲
 
収録:2014年3月19日 東京オペラシティコンサートホール
シェア / 保存先を選択