日本人特有の感覚や美意識を作品作りのテーマに　注目の劇団・あやめ十八番へインタビュー

歌舞伎、能、浄瑠璃など、様々な日本の古典芸能を基礎とし、古典のエッセンスを盗み現代劇の中に昇華することと、現代人の感覚で古典演劇を再構築することの、両面から創作活動している『あやめ十八番』に次回公演について伺った。

－－あやめ十八番結成までの経緯を教えてください。

7年ほど前、背負いきれないほど不幸な出来事を経験しました。

当時から俳優だった僕(堀越涼)は、なんとかこれを芸術に昇華したいと考え手を尽くしたのですが、どうにもそれに見合う“場”というものを見つけられずに居りました。それじゃあ、一つ、僕が本を書いてみようか。

これがあやめ十八番、旗揚げのキッカケです。

－－あやめ十八番の作品の特徴や雰囲気、作風を教えてください。

歌舞伎、能、浄瑠璃など、あらゆる古典芸能のエッセンスを“盗み”、現代人の感覚で再構築させた舞台を作っています。

インテリアなどでよく使われる“和モダン”という言い方がわかりやすいでしょうか。

また、劇中音楽が全て生演奏であることも特徴の一つです。ギター・サックス・バイオリンで歌舞伎の下座音楽を真似てみようという趣向です。

－－次回公演『江戸系 諏訪御寮／ゲイシャパラソル第六回公演 再演・新作二本立て』について、作品のあらすじを教えてください。

「江戸系 諏訪御寮」

舞台は現代、十六島。古くからのしきたりが色濃く残るこの島では、今なお鬼の気配が近い。
この島の旧家・諏訪の女は“拝み屋”と呼ばれ、鬼の力を借りた霊力を持つと信じられていた。
人々の信仰心を逆手に取り、百年もの長きにわたり島を統治する諏訪の家。
しかし、この家の刀自“御寮さん”には門外不出の秘密があった。
一人の青年の恋が、拝み屋に纏わる秘密を浮き彫りにしていく・・・
小さな島で巻き起こる、鬼の騒動、一部始終。

「ゲイシャパラソル」

時は平成60年、まだ見ぬ先の話である。
深川芸者、柳屋・仇吉（あだきち）は若くして“花柳界の宝”と称されていた。
彼女は、その美貌や芸で名を売ったわけではない。ただ一点、その“本名”ゆえに花街の宝となった。何故、人々は彼女を讃えたのか？
人気絶頂の中、何故、彼女は姿を消したのか？
路地裏の野良猫だけが知っている。
激動の時代に祭り上げられてしまった一人の芸者と、名もなき男の物語。

－－次回公演『江戸系 諏訪御寮／ゲイシャパラソル第六回公演 再演・新作二本立て』の見どころを教えてください。

最大の見どころは、再演・新作の二本立てというところです。

諏訪御寮を執筆したのが2年前。2年で人は変わります。劇作家として緩やかに変化していった僕の過去と最先端、さらにはあやめ十八番・成長の軌跡をお楽しみ頂ければと思います。

“旬”をお見せ致します。

－－あやめ十八番の今後の展望・野望があれば教えてください。

隙を見せないこと。
創作の手を緩めないこと。
“再演に耐え得るだけの強度をもった”作品作りを心掛けること。
初の再演となる『江戸系 諏訪御寮』はその成功例です。こういう作品をどんどん作っていかなくちゃならない。

いかなくちゃならない、というのが本当の所だと思います。

追いたてられるように作る作品達が、いつかは花を咲かせてくれる・・・と。
展望と言うより希望かもしれませんが、
そう信じることのできる若い表現者であり続けようと思います。

－－あやめ十八番に関心を持たれた方に、メッセージをお願いいたします。

折角ですから、そのまま劇場までお越し頂ければと思います。

鬼が出るか蛇が出るか。

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