中村天平(作曲/ピアノ)「旅での出会いを音と映像で描きます」
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中村天平(作曲/ピアノ)
永福町の閑静な住宅街の一角にある「sonorium」は、演奏者との距離を身近に感じながら、極上の響きを楽しむことができる小ホール。2010年より、「映像とともに演奏を楽しむ」というコンセプトに添った企画公演を募り、共催補助を提供する『映像と音楽』シリーズを続けてきた。16年シリーズも全7企画でNo.3は、力強さと美しさを兼ね備えた作品とパワフルな演奏スタイルによって世界中で人気を博すコンポーザー・ピアニスト、中村天平。自作の演奏と自ら撮影した写真による映像とのコラボレーションによる演奏会シリーズ『Vision』を披露する。公演タイトルは4枚目のアルバムのリリース記念として、アルバムと同タイトルの“Vortex”。
「僕は自分の“人生のサウンドトラック”を作るように創作を行ってきましたが、視覚と聴覚の両方から僕の作品を味わっていただく『Vision』は、それがより強調されるものになっています。これまで旅で見てきたこと、感じてきたことを、一緒に旅をするように楽しんでいただけると思います」
中村天平はニューヨークにも拠点があるが、ヨーロッパでも多くの音楽ホール、またストリートでも演奏。この間に沢山の風景との出会い、人々との交流があり、彼はそれを音として作品に残すと同時に、写真として形にもしてきた。
「今回のコンサートにはこれまでの旅や演奏ツアーで様々な土地を巡る中で生まれた組曲に加え、『神宿る道』といった新曲など、沢山の作品を演奏します。どれも自分の喜怒哀楽や経験が反映されています。例えば組曲『モネ』は、モネが愛する女性の面影を描いた作品『日傘の女』との出会いから生まれました。モネの絵そのものは勿論ですが、作品から透けて見える人間性に強く惹かれたんです。そうしてモネが訪れた場所を巡るうち、沢山の人に出会い、経験を重ねました。作品にはそれら全てが集約されています。モネの人生に、僕の人生の軌跡が重なっていく感覚でした」
自主公演も含め、今回で3回目となる
sonorium公演。毎回、ホールとそのスタッフから、演奏者とそれを楽しむ聴衆に対する素晴らしい配慮を感じるという。
「演奏会を楽しんでいただくには、空間の雰囲気がすごく重要になります。その点、sonoriumは、お客さんへと“伝わる”環境が揃っていると思うんです。そして、何よりも、ここまでのピアノの音色の美しさ、ホールの素晴らしい響きには、そう出会えるものではありません」
中村天平の“人生のサウンドトラック”を存分に味わえるコンサートとなりそうだ。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)
4/9(土)13:30
sonorium
問合せ:ベス・カンパニー06-6462-4055
http://tempei.com