勅使川原三郎、山田うんが抱負を語る〜あいちトリエンナーレ2016企画発表会
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企画発表会より 山田うん(左)、港 千尋芸術監督 (左から4番目)、勅使川原三郎(右から2番目)、佐東利穂子(右)
3年に一度、愛知県で開催される国内最大級の現代アートの祭典『あいちトリエンナーレ2016』の企画発表会が4月8日都内で行われ、概要が発表された。
(取材・文:渡辺真弓 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)
今回は、2010年の第1回「都市の祝祭」、2013年の第2回「揺れる大地」に次ぐ第3回に当たり、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」をテーマに、8月11日〜10月23日の74日間にわたって名古屋、豊橋、岡崎の3都市で開催される。
「キャラヴァンサライ」とはペルシア語で「隊商宿」を意味。港千尋芸術監督によれば、「現代美術、舞台芸術、普及・教育を3本の柱に、旅をしながら創造するという同時代の姿を提示したい」と企画の趣旨について語った。
今回は、内外から多彩なジャンルの100組を超すアーティストが参加。まず〈現代美術〉は、国際展に80組が出品し、最先端の現代美術を紹介するほか、映像プログラムでは「旅」をテーマにした映像を上映する。
〈舞台芸術〉はパフォーミングアーツとプロデュースオペラの2企画。前者については、唐津絵理キュレーターから「人間の旅をテーマにアートの枠組みを問い直す10作品を上演します。そのうち3作品は屋外公演」と説明があった。気鋭の振付家、山田うんの新作をはじめ、フラメンコの新たな可能性を切り開くイスラエル・ガルバンのソロ、舞台のマジシャンと言われるフランスのフィリップ・ドゥクフレによる『CONTACT』など本邦初演作が多いのが注目。10月の開催期間最後の3週間は“レインボーウィークス”と命名され、遠来の観客のために週末に集中して公演が行われる。
山田うん
一方フェスティバルの目玉でもあるプロデュースオペラは、モーツァルト作曲『魔笛』を上演。10年の『ホフマン物語』、13年の『蝶々夫人』に続く名作の上演となるが、王子タミーノの旅は、まさに開催のテーマと重なる。演出に世界で活躍するダンサー、振付家の勅使川原三郎、指揮にイタリアのガエタノ・デスピノーサ、ソリストにライプツィヒを拠点に活動する妻屋秀和、ウィーンで活躍する森谷真理など世界的なソリストたちを迎え、愛知県芸術劇場の機構を生かしたユニークな舞台がお目見えしそうだ。勅使川原のミューズである佐東利穂子と東京バレエ団のダンスが見どころとなるほか、佐東が進行役を務め、セリフを日本語のナレーションで入れるのが興味深い。
勅使川原三郎
企画発表会には山田と勅使川原も登壇。山田が新作について「奥三河地方の郷土芸能の花祭をモチーフにダイナミックな舞台を演出したい」と抱負を語れば、勅使川原は「大事なのは身体。“動くオペラ”でダイナミズムを追求したい。質の高いダンサーが必要なので、東京バレエ団に出演をお願いした。難しい挑戦だからこそ、私が演出する意義があるのではないか」と意気込みを示した。
このほか芸術文化の地域活性化を図る<普及・教育><連携事業>のプログラムを予定。東京から2時間弱。現代最先端のアートを体験しに愛知に出かけてみたい。
会期:2016.8/11(木・祝)〜10/23(日)[74日間]
主な会場:愛知芸術文化センター/名古屋市美術館/名古屋市内、豊橋市内、岡崎市内の各まちなか
[舞台芸術]
●パフォーミングアーツ
参加アーティスト:青木涼子、カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ、山田うん、イスラエル・ガルバン、小杉武久、アニマル・レリジョン、カンパニー・ディディエ・テロン/ディディエ・テロン
モーツァルト:歌劇《魔笛》(全2幕・ドイツ語上演)
2016.9/17(土)、9/19(月・祝) 愛知県芸術劇場
演出・装置・照明・衣裳:勅使川原三郎
指揮:ガエタノ・デスピノーサ
http://aichitriennale.jp