サットン・フォスター来日詳細決定~“華”を出したり引っ込めたりできるブロードウェイTOP女優
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SUTTON FOSTER/サットン・フォスター
ファンが選ぶ“ブロードウェイの巨星”第6位
サットン・フォスターと言えば、誰もが認めるブロードウェイの名花である。今年1月に開催されたブロードウェイ初のファンコンベンション『BroadwayCon』で、スター俳優たちが2組に分かれ、演劇ファン100人のアンケート結果を当てるクイズ大会があった。「ブロードウェイの巨星と言えば?」とのお題で、トニー賞最多受賞記録を持つオードラ・マクドナルドや、『王様と私』で渡辺謙の相手役を務めたケリー・オハラらがランク外に沈む中、6位にランクインしていたのがサットンだ。
上位のイディーナ・メンゼル(『アナと雪の女王』)やリン=マニュエル・ミランダ(『ハミルトン』)のように、出演作が話題に上っている時期だったわけでもないのに名前が挙がったというのは、それだけ彼女が人々の記憶に強烈に残っている証だろう。たまたま答えた100人によるアンケートであり、統計的な結果というわけではないが、だからこそ今の演劇ファンの率直な印象が反映されているように思う。
忘れ難い主演デビュー作『モダン・ミリー』
サットンを一躍有名にしたのは、『グリース』のサンディ役、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役などを経て、初めてオリジナルキャストとして主演したミュージカル『モダン・ミリー』(2002)だった。ヒロインのミリーは、玉の輿を夢見て大都会ニューヨークに“上京”してきた田舎娘。幕が上がるとそこは高層ビルが立ち並ぶニューヨークで、舞台中央に既にヒロインのミリーが立っているという演出だったのだが、その瞬間のサットンのキラッキラの瞳が今でも忘れられない。
「着いたわよニューヨーク!」──そう第一声を放つサットンはそれはそれは魅力的で、幕開きのその一瞬でミリーの味方になってしまったのは、決して筆者ひとりではなかったはずだ。それから約2時間半、伸びやかな歌声と、長い脚を駆使したダイナミックなダンス、そして圧倒的な“華”で舞台を引っ張り続けたサットン。初主演にして、『イントゥ・ザ・ウッズ』のヴァネッサ・ウィリアムスらを抑えてトニー賞主演女優賞を獲得したことにも、疑問をさしはさむ余地のないパフォーマンスであった。
その後、『若草物語』『ドロウジー・シャペロン』『ヤング・フランケンシュタイン』などに主要な役で出演して順調にスター街道を駆け上がったサットンが、2011年に満を持して主演したのが『エニシング・ゴーズ』。過去にエセル・マーマンやパティ・ルポン、日本では大地真央らが演じた、本物のスターにしか許されないクラブ歌手のリノ役を務め、その実力とスター性を改めて示した。2度目のトニー賞主演女優賞も手にし、“華のある女優”としての地位を不動のものとしたと思われたのだが……。
『ヴァイオレット』で見せた新境地
2014年、『ヴァイオレット』のタイトルロールとしてブロードウェイの舞台に戻ってきたサットンは、あの“華のある女優”とは全くと言っていいほど別人だった。幼いころ顔に負った大きな傷のせいで自分に自信が持てない、言っていれば“地味”な女性の役を、特殊メイクなどに頼らず身ひとつで演じて見せたのだ。舞台に照明が入るとそこに既にヒロインがいる、という『モダン・ミリー』と同じ幕開きの演出が、サットンの表情の違いを一層際立たたせ、女優としての幅広さを見せつける形となった。
そんなサットンが、8月に日本でソロコンサートを開くという。2012年にも来日はしているが、ガラコンサートに出演したのみで、単独での公演は今回が初めて。何を選曲するのか、コンサートという場面でどの程度役を背負って歌うタイプなのか、そしてやはり“華”は自由自在に出したり引っ込めたりできるのか……。興味は尽きないが、どんな形であれ、日本にいながらにしてブロードウェイの名花の輝きを堪能できる、貴重な機会となることは間違いない。
8/1(月)19:00 サンケイホールブリーゼ(大阪)
8/3(水)19:00 神奈川県民ホール 小ホール(横浜)
8/4(木)19:00 東京国際フォーラム ホールC(東京)
8/5(金)19:00 東京国際フォーラム ホールC(東京)
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■公式サイト:http://udo.jp/Artists/SuttonFoster/index.html
※6歳未満(未就学児童)入場不可
アメリカ合衆国ジョージア州ステートボロ出身。15歳の時に米TV番組「スターサーチ」でテレビ初出演。その後も様々なテレビ番組に出演。活躍の場を舞台に広げ、2002年に「モダン・ミリー」(Thoroughly ModernMillie)、2011年「エニシング・ゴーズ」(Anything Goes)で、2度のトニー賞主演女優賞に輝く。この他にも2005年「若草物語」(Little Women)、2006年「ドロウジー・シャペロン」(The Drowsy Chaperone)、2009年「シュレック・ザ・ミュージカル」(Shrek The Musical)でもトニー賞にノミネートされた。現在までに11本の作品に出演しており、ブロードウェイを代表する女優の一人となっている。