「私たちでできることがあれば役に立ちたい」渡辺えりと戸田恵子が被災者に思いを寄せる　ミュージカル「わがまま」

ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する渡辺えりと戸田恵子が、二人だけのミュージカル「わがまま」を上演する。4月20日（水）からの東京初日に先駆けて、19日（火）、公演会場となる世田谷パブリックシアターにて公開ゲネプロが行われた。

ゲネプロの前に行われた囲み取材に登場した渡辺と戸田は、紫色のゴージャス＆タイトなドレス姿。「これは自分たちの内面、心を表しているんです」と渡辺。「舞台上で心の声を吐き出し、気持ちを炸裂させるときにこの姿になります！」と戸田も語る。とはいえド派手な姿について、戸田は「私はだいぶ慣れましたが、テンション高まるもんです。気合い入るというか気合い入れなきゃという気持ちになる」と語ると、「私の場合、（布地を）2着分使ってますので（笑）でも公演中に痩せましてちょっとスッキリした」と自画自賛（？）な渡辺。

還暦を迎えたベテラン・ミュージカル女優役に扮する渡辺と戸田が、劇中劇となる舞台で何役もこなしながら、なぜ自分は舞台に出ているのか、これからどうなるんだろう、と本番中に立ち止まって、いろいろなことを考えてしまう二人を演じている。

渡辺は「私たちの世代って両親の介護とか老眼になり、仕事でやったことのないミスをしたり。自分自身が悔しいけれど、そんな自分と付き合いながらがんばろうって。今日も明日も支えあって頑張っていこうとする姿をこの舞台で描いています」と語る。

戸田も「ミュージカルには主演の方々とアンサンブルという、周りで何役もやる方がいる。その人たちがいないと舞台はできないんです。その人たちの心の声も代弁しながらやってます」とコメントし、「舞台の見どころは、えりさんの役全部です」と笑った。

会見後半は、先日発生した熊本大震災の話へ。地震発生時は福岡での公演後、「楽屋で片づけをしているときに遭って、みんなで向かいの大きな木の下に逃げた。その後も余震が続くので、服を着たまま寝ていた。でも戸田さんも一睡もできなかったっておっしゃってました」と生々しい体験を語る渡辺。福岡から次の公演先、鹿児島へ行くときは新幹線も止まっているのでプロペラ機で移動したとのこと。

一方、熊本に母方の親戚がいっぱいいるという戸田は、「（親戚は）小学校に避難していたり、家が半壊だったり。元気ではいるけどやはり大変で」と不安な思いを口にした。

最後に渡辺の口から、今回公演で発売されているトートバックの売り上げを丸ごと被災された方に寄付することが発表され、二人ともそれぞれに「私たちでできることがあれば役に立ちたい」とコメントしていた。

渡辺・戸田と近しい世代にとっては、思わずグッとくる内容も多々あることだろう。しんどい日常を完全に取り除くことはできなくても、二人の素晴らしい歌とダンスがきっと心を支えてくれる存在になってくれるに違いない。