千葉の海でパンクロックのお祭!HOTSQUALLがおくる「ONION ROCK! FESTIVAL -CHIBA DE CARNIVAL 2016-」2年目の挑戦ロングインタビュー
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メロディック・シーンの15年選手、HOTSQUALLが地元・千葉県は美浜・稲毛野外音楽堂で5月に開催する「ONION ROCK! FESTIVAL -CHIBA DE CARNIVAL 2016-」。昨年、同会場で1回目を成功させた彼らだが、完全にバンド主体、行政への交渉も自ら行ったという超D.I.Y.精神にあふれるフェスであることが今回、改めてインタビューを通して分かった。アーティスト主導のフェスが増えてきた昨今だが、果たしてその現場は?2回目となる今年の展望はとは?
──まずオニオンロックフェスというものがどうやって始まったのか聞かせてください。
チフネシンゴ(Gt/Vo):僕らHOTSQUALLはもう15年以上活動してるんですけど、それでいろんな土地にツアーでライヴをやりに行く機会もあって。そういう時に各地の地元を盛り上げるイベントにも大きいものから小さいものまで出てて。そのうちに自分たちも千葉のバンドなんだって意識が出てきたので、町おこしって言ったらおこがましいですけど、ロックのイベントで盛り上げるようなことをやりたくて。そういう思いがずっとあって、協力してくれる人と出会って、遂に去年実現した感じです。
──いろんなアーティスト主導のイベントってあると思うんですけど、具体的にどういうイベントの影響が大きかったですか?
チフネ:野外でやるのがこんなに楽しいものか?と思ったのは、やっぱり10代の時に見た「AIR JAM」ですね。ただ、規模がでかいし、具体的にどうやったらあんなことができるのかも分からず(笑)、まぁ圧倒的にセンセーショナルな存在でした。それで僕らはまずライヴハウスシーンからやってたんです。で、具体的にすごいなと思うのは、10-FEETがやってる「京都大作戦」に出させてもらったりとかですかね。あとはもっと小規模でも思いが溢れてる各地のイベントには触れてきて、それでバンド主体でやってるのが美しいなと思っていて。
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──「京都大作戦」は年々、バンドの幅が広がってて。
アカマトシノリ(Vo/Ba):でもなんかあったかいんですよね。規模はでかいのになんでこんなに行き届いてるんだ?と。それはやっぱバンド仕切りで、京都で生まれたバンドが全国のかっこいいバンドを集めてやっていて、バンドが旗揚げてやってるからだと思うんです。それで「俺らもやっちゃおうぜ」っいうか。「京都大作戦」に出て強くなったっていうところがあります。
──ツアーで各地を巡って、バンド同士で繋がりができていくじゃないですか?上からブッキングされたものじゃないという。
チフネ:それは大きいです。その繋がりで好きな人が集まってるから、そういう愛情があふれたあったかいものになるのかもしれませんね。それは規模は関係ないから、俺らも目指してるところですし。
アカマ:俺らもツアー回るとき、対バン形式でやってるんですけど、ジャンルが違っても色んなとこ行って、同じ釜の飯を食ったバンドを呼ぶのと、初めましてで呼ぶのでは、たぶん熱が変わってくる感じはしますね。ライヴハウスで育った俺らが、なんか祭りやるって言ったときに、血の通った仲間とやるのがすごいいいなっていう。
──去年、これは大変だったわってことはありますか?
チフネ:第一回ですから、行政のやりとりが大変でした。その会場を使うっていうのも、その規模でやるのは前代未聞だったみたいで、そこをクリアするのが何しろ大変でしたね。
──どれぐらい前から交渉を始めたんですか?
チフネ:開催の約1年前ですね。具体的な話は。ずっとそういう思いはありましたけど、具体的な話が出て、協力者のもと一緒に話をしながら進めるようになったのは1年前です。で、約1年の準備期間でやりましたね。
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──行政側には最初まず誰に言ったんですか?
チフネ:公園です(笑)。
アカマ:公園の管理事務所にぶっ込んでって、「ここで祭りがやりたい」って言ったら「何言ってんだ、この人は」と。CD渡しても「いりません」って言われて。けど何回か通ったり市役所にも出向いたりしていくと、やっぱり理解のある人がいて、そこから徐々に広げていって。一回目を開催して見に来てくれた公園の人とか、噂を聞いて来てくれた市役所の人とかが「すげえじゃん!お前らただの金髪じゃねえな」って(笑)。
チフネ:千葉市の文化振興課が意外とお話できたので、そっからはスムーズでしたね。あと千葉市長の考えで若者たちの文化を応援したいっていうのがあったみたいです。市長が30代で若いみたいで、そういう機運とタイミングが合ったのも良かったかもしれないですね。
──次の段階には券売やセキュリティの問題もあるでしょうし、フードやゴミのこともありますよね。
チフネ:それは僕らだけじゃ全然できなかったので、一緒にやってくれる協力者に「こういうことをやりたい」、そういうことだけは言うんですけど、セキュリティの事とかは沢山のスタッフたちの協力や、イベンターの人に入ってもらったりして話を詰めながらやっていきました。
──運営していくと「こんな細かいことまで?」ってことが次々出てきませんか?
チフネ:知らなかったですね、こんなに大変だとは。ここに何人セキュリティが必要だとか、フード、ドリンクは難しいとか、それこそ電源タップは何個必要だとか(笑)。
アカマ:お客さんの不測の事態もあるじゃないですか?ケガしちゃったとか、暴れだしちゃったとか、酒はダメって言ったのに酔っ払っちゃった奴がいたとか、いろいろもう手に及ばないようなことまで。でも、ゴミの話でいうと、ライヴ中に俺らの地元の友達も来て、キッズがワッてなった時、ゴミがぽろっと落ちたのを全然、仲間じゃないやつが見て、それを拾ってゴミ箱に持ってったらしくて、俺たちがあってほしい姿というか、「ゴミ、よろしくね」って言ったら「よし、分かった」って、気持ちが伝わったから。そこまででっかい問題はなかったんですよ。それが去年、すごい嬉しくて。
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チフネ:やっぱ遊びなれてる子達、ライヴハウスの延長で行けたと思うんで。その公園上のルールだけ伝えて、あとはモラルだったりはずっとやってきた結果で。極端に規模がでかいわけでもないから、延長線上で行けてる感じはあります。
──2日間で延べ動員どれぐらいだったんですか?
チフネ:1500人×2日ぐらいですかね。実際、どれぐらい来たかわかんないんですけど(笑)。ラバーバンド持ってる人は入れるようにしたんで、3000弱ぐらいですかね。
──何か去年の教訓はありますか?
チフネ:教訓というか、今年からできるのは、お酒飲めるようになったことで(笑)。飲んでもよかったんですけど、販売できるようになるんで、わざわざ近くのコンビニまで買いに行かなくて済むようになるかなと。大きな国道渡ったりとか、それも危ねえなってことで。それにそこのコンビニがパンクしてたんで(笑)。挨拶して人員用意してくれてたけど、それでも足りなくて、物も足りなくてってことだったので、それは公園内で販売できるのに越したことはないので、管理事務所も分かってくれて。
──それは前進ですね。やりたかったことをやってみたことで、逆に普段のバンド活動にフィードバックされてることはありますか?
チフネ:活動自体にどれだけ変化があるかは分かりませんけど、気持ちは変わりますね、1年に一回、これがあるっていうんで、ずっと意識してる。あとはの代わりとなるラバーバンドをいつも現場で売ってるので、それをお客さんが意識して買ってくれるのをダイレクトに感じてるのはそれがなかった時よりはそのイベントを知ってくれてるのを感じますね。
──手売りって実感ありますよね。
チフネ:ありますね(笑)。「行きます!」って買ってくれますし。
アカマ:九州だろうと北海道だろうと、遠くてもその日のライヴが良かったり、HOTSQUALLを「あ、いいな」と思ってくれるとラババンが売れるんですよ。するとこの人たちも俺たちの地元の千葉に来てくれるかもなって思えるとやっぱいい祭りにしたいし、一回めは成功だったから、「来てよ」って思うし。別にオニオンに来てもらうためにライヴしてるわけじゃないけど、でも、来てくれたらいいなっていうワクワクした気持ちが芽生えましたね、
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──そのテンションを保ってくれるのか?っていう意味でもやりがいがありますね。
アカマ:あと俺らがちっちゃい頃とかは、いろんなところで祭りがあったじゃないですか?でもだんだん不況なのか祭り自体が減っちゃって、俺らの地元もどんどんなくなってるんですよ。その中で自分たちが育った地元ででかい祭りを毎年できるっていうのはすごい嬉しくて。これはいい意味で恒例行事になって、音楽以外でも楽しくなってくれたらめっちゃいいなぁみたいな。今だからこそやり甲斐もあるというか。
──たしかに。今年の出演バンドは去年に引き続きのバンドもいるし、新たにHEY-SMITHやNAMBA69も参加しますね。
チフネ:そうですね。ずっとやってきた仲間だったりして、頭にはありましたね。現場でやってきた人とやりたいですし。そう思って、去年のメンツを揃えたし、たまたま去年、タイミングが合わなかった人は今年にっていう、付き合いのあるバンドはまだまだいますから、まずはそこを呼んで、一緒に味わってもらってそこから広げて行きたいですね。
──メンツ以外のセールスポイントはなんだと思います?
チフネ:そこなんですよね。俺はあの規模と土地の雰囲気だと思ってるんです。デカすぎず、でもみすぼらしいわけでもないですし(笑)。千葉の駅からちょっと歩いちゃったりして、それも時間だけで言ったらめんどくさいかもしれないですけど楽しいと思うんですよね。夏休みに海に行く感覚で、着くと向こうに海があって、決してきれいな海ではないですけど、そこもまたオツだと思ってるので。ロックフェスで東京ベイの公園に来るのが面白いかなと。あと、ゆくゆくは千葉の特産品とかも出したいですけど(笑)。
──千葉はいろいろあるじゃないですか。
アカマ:ピーナッツもそうだし、俺らのよく行くラーメン屋さんも出店したいって言ってたしなぁ。
チフネ:あとロックイベントを僕らの規模でやるっていうのがなくて、幕張メッセってなったらもう大型フェスなんですよね。それを見てるだけだと、俺もロックバンドやろうかなとか、ライヴハウスやろうかなって子達にダイレクトに影響すんのかがわかんなくて。俺たちみたいなのがあの規模でやってるのがいいと思ってて。何を見てほしいか?って、そこなんですけどね。「あいつらでできるんだったら」と思ってもらいたいです。そいつらと繋がって、そういうシーン作りができたらいいなと思うんですよ。千葉って単発でバンドが出てくることはあっても、意外とそういうことはないから。
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──フェスをやってるとバンドで出たい人はもちろん、運営に関わりたい人も出てくるし、それぞれの得意なことをやりたいって気持ちが自然に起こるじゃないですか。そういう場として広がっていく?
チフネ:それ、いいですね。そうありたい。
アカマ:俺らがバンドやってる、燃えてる熱量と同じぐらい、フードの人が俺も出店したい!って人がバーッと集まって、で、いつしかそれがオニオンだったり、オニオンじゃなくてもいいんだけど、それが千葉の祭りになってかっこいい千葉みたいになったらすげえいいなぁ。
──そこまで地元のことを愛せる理由はなんなんですか?
チフネ:メンバーの出身が一緒ですし、地元の仲間も一緒で家族もそこにいて、そこでみんなに「おまえすげえじゃん!」って言われたい気持ち(笑)、単純にそれはでかいですね。
──でもそれが自然に続けていく秘訣かも。ところでいろんなフェスのレベルが上がっていくと、音響とか食とか良くなっていくと思うんですよ。「あそこは野外だけど音が良かった」って評判になったり。
チフネ:あ、俺たち、オニオンの売り、それですね。実は音量制限ってあってないようなものなので。これはあんまり声を大にして言っていいのかわかんないですけど(笑)。
アカマ:ライヴハウスぐらい爆音でやってるんで(笑)。
チフネ:だからお客さんもすごく楽しそうで。俺らもどっか出て行った時に音量制限が厳しくて、なんか後ろまで届いてこないなっていうのを味わったことがあるので。オニオンは結構いい音で、聴けます(笑)。
──それは駅から海岸に向けて歩いていく価値があると。
チフネ:あります。海に向かって音を放っているので。
──ドウメンさんは寡黙ですが(笑)、フェスの中でも3人の役割ってあるんですか?
チフネ:バンドでの役割の延長なんじゃないですか?この人(ドウメン)は寡黙ですし(笑)。なんだろうな?役割。
ドウメンヨウヘイ(De/Cho):去年だったら俺は物販回りながら、会場の中もどうかな?大丈夫かな?って見ながら。もちろん、バンドも見れる限り見たいなと思って、いろんなところで見てて。でもなんかこう、去年やってすごくボランティアのスタッフの人たちが頑張ってくれて。ほんとにみんなで作り上げてイベントができたなぁと思ってたんで、今年もそういうのはしっかり見ていきたいですね。
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──ところでニューアルバムが出たばかりですが、今回は全編日本語の曲もあったりして、バンド的にはどういう立ち位置の作品ですか?
チフネ:そんなに器用なバンドじゃないから今までの流れから全く違うことをやるなんて思ってもないし。でも今までの流れをくみながらなんか新しい事をやらないとつまんなくなっちゃうので、常に新しい事をやりたくて、それがいいバランスで詰め込めたかなっていう作品ですかね。作るのはほんと大変でしたけど。その中の一つが日本語でもやってみたって感じですかね。
──メロディックって聴いた人が入りやすいというか、構えずに入ってこれる音楽だと思うんです。
チフネ:そうありたいですね、はい。
──逆に言えばメロディックのバンドはみんな同じように見えるかもしれないですけど。
アカマ:それはもうしょうがないことだと思うんですけど、でも何か触れて中身見たら全然違うぞっていう魅力があふれてるじゃないですか。だからそういう窓口になるようなものがあって、「いい色してるな」っていうバンドにはなりたいと思ってるし、今回のアルバムはそういう間口は広いんじゃないかなと思ってます。
──では最後に今年の「ONION ROCK FES」の明確な目標とか、ふんわりした目標とかありますか?
チフネ:去年って第一回だし、俺らの事昔から応援してくれてる人たちも、「おめでとう、おめでとう」ってお祝いで楽しんでくれてる感じだったんですけど、今年はそうはいかないかなと、ちょっとドキドキ感もあって。去年の方が感動したなとか簡単に言われちゃうかも知んないので。また今年ならではの色を出して「やっぱ楽しいな。来年も来たいな」と思ってもらうことがシンプルに目標ですね。
文=石角友香 撮影=秤谷建一郎
日程2016年 5月28日(土) / 29日(日) 2DAYS開催 ※ 雨天決行(荒天中止)
開場 10:00 / 開演 10:45 / 終演予定 17:00
会場稲毛海岸 野外音楽堂 (千葉市美浜区高浜7丁目2番3号)
主催ONION ROCK FES –CHIBA DE CARNIVAL 2016- 実行委員会
企画制作HOTSQUALL / 下北沢ReG / JMS / DISK GARAGE
後援千葉市
ONION ROCK FESTIVAL2016公式サイト
http://www.onionrockfes-chiba.com/
2016/04/06 RELEASE!!
2.Green Winds
3.Standing At My Place
4.Everybody Knows
5.Save All The Dreams
6.Westship Serenade (Acoustic)