集う20世紀の巨匠たち!ポンピドゥー・センター傑作展
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東京都美術館は、6月11日(土)から9月22日(祝)にかけて、「ポンピドゥー・センター傑作展 ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで」を開催する。
本展は、ヨーロッパ最大の近現代美術コレクションを誇る、パリのポンピドゥー・センターの所蔵作品の豊かさと多様性を紹介しつつ、1906年のフォーヴィスムの始まりから1977年のポンピドゥー・センター開館まで、さまざまな分野の傑作を展示する。
1年ごとに1作品を選んで造られた独創的な展示空間では、体感型のダイナミックな作品鑑賞が楽しめるとともに、絵画、彫刻、写真、映像、デザインなど、多彩なジャンルの作品との出会いを楽しみながら、フランス20世紀美術を一望する絶好の機会となる。
■ はためくトリコロール、色彩の魔術
本展の幕開けを飾るのは、1906年夏、ラウル・デュフイがフランス革命記念日のドラピエ通りを描いた作品「旗で飾られた通り」。デュフイは、陽気なパリ祭りのさなか、旗が列をなして高く掲げられている様子や、通りをぶらぶらと練り歩く人々を高い視点から捉えた。色彩や祭日の興奮よりも、幾何学的な配置や構図に関心を向けて描かれた作品だ。
■ パリのシンボル、色とかたちのリズム
パリの街のシンボルであるエッフェル塔は、生涯にわたってロベール・ドローネーのインスピレーションの源となった。「エッフェル塔」は、下から見上げた角度で描くことで、鉄の建造物が持つ至高の価値が強調され、色彩には卓越したリズム感が漂い、彼がキュビスムやオルフィスムの成熟した画家であることを物語っている。
■ 画家79歳、油絵の到達点
室内、というテーマに非常に重きを置いたアンリ・マティス。長い年月、さまざまな表現の変遷を経て室内を主題に制作を続けたが、本作「大きな赤い室内」が室内を描いた最後の一点となる。2点の絵画、2台のテーブル、2枚の動物の毛皮。形や色、モチーフが異なるそれらのオブジェは、予測を裏切るシンメトリーを生み出した。また、黒い輪郭線が強烈な赤い背景から浮き出るかのように表現されて、全体の絵画空間が見事に描かれている。
■ 梱包もアート?
ブルガリアからパリに移り住んだクリストは、紙、紐、布あるいはビニールを使って梱包した新しい芸術の実践を始める。消費主義に対する批判だと捉えられることもあったが、身のまわりにある商品の価値や意味を見直すよう促したのである。その後、妻とともに梱包する対象を世界各地の有名なモニュメントや建造物にまで広げ、50年以上この手法を続けている。
今回、展示デザインを担当した気鋭の建築家・田根剛氏は、“作品をアーティスト本人が語る展示構成にした”と語っている。2度の世界大戦が引き起こされた20世紀という激動の時代の中、芸術家たちはどんな作品を生み出していったのか。巨匠の傑作から日本ではあまり知られていない画家の隠れた名品まで、偉大なる傑作への敬意ある挑戦に、ぜひ足を運んでみてはいかが。【東京ウォーカー】