フライング!?ポールダンス!? 歌謡倶楽部『艶漢』櫻井圭登&三上 俊にインタビュー
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浪漫活劇譚『艶漢』三上 俊、櫻井圭登 (撮影=こむらさき)
2016年3月30日(水)から4月3日(日)まで上演されていた浪漫活劇譚『艶漢』。原作・尚 月地の人気コミックを舞台化した本作は、その名のとおり艶やかな漢(オトコ)たちの耽美な世界に、上演中のみならず公演終了後も話題となっていた。公演の熱もまだ冷めない中、今年8月、歌謡エンターテインメントショーとして上演されることとなった。歌謡倶楽部『艶漢』と題したこのステージ、いったいどんな内容となるのか。吉原詩郎役の櫻井圭登と、“兄や”こと、吉原安里役の三上 俊に話を伺ってきた。
――浪漫活劇譚「艶漢」が大好評のうちに終演しましたが、振り返って今の気持ちをお聞かせください。
櫻井:原作の美をそのままに追及した舞台だったと思います。僕が演じた詩郎は美しい少年なので、立ち振る舞いから人と接するときの手の添え方まで、一から演出のほさかさんと作っていきました。観た方にとって美しい作品になっていたら嬉しいですね。
三上:僕は「原作が漫画のものを舞台化している」という言われ方は、この作品にはもはや当てはまらないな、と思っています。一つの演劇として成り立ったなあと。その舞台で人間として生きることを大事にやれました。人間ドラマとして確立したと思っています。
――原作の美しい世界観をナマで再現するのはどんなに大変だったか、と思います。まずビジュアルの作りこみから苦労されていたかと思いますし。衣装が特に。
三上:二人とも脱ぎ脱ぎでしたからね(笑)
――人前で身体をさらすことにはもう…?
櫻井:抵抗はなくなりましたね。
三上:すっかりね。このキャラの肉体を手に入れるのにすごい時間がかかって。この仕事をいただいてから鍛え始めたので、最初はこんなに腹筋も割れてなかったし。でも、その身体に関しての感想が「(原作)そのままだった」とお客さんに言われたのが嬉しかったですね。「あんなにいい骨格で!」とか。
――三上さんは、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』のときにも、裸に近い姿を見せていましたが。
三上:あの時はポヨンとしてましたよ。お腹をひっこめながらやってました(笑)
――櫻井さんは、稽古日数が短かったからより大変だったと思います。
櫻井:2週間くらいで作らなければならなかったので大変でしたね。休む時間はないな、と。ひたすら指示されたことを徹底的にやって、自分自身での味付けは最後の最後で一気にやろうと思って。段取り+動き+殺陣のセットを頭に叩き込んでました。あとはやっぱり、お腹が出ないようにと(笑)
――すでに身体を絞りきっているので、余計な脂肪とかはもうない状態だと思うんですが。
三上:本番2時間前にはご飯を終わらせておいて、とかね。食べたら食べた分、形としてお腹に出てしまうんです。
――すさまじいですね…。
『艶漢』は特に独特の世界観がありますが、普段やらないことを舞台上でやるのってどんな感覚ですか?
三上:そうですね。男性に身体を触らせて喜ぶとか、普段絶対ないですからね。日常で体験しえないことをやるのは楽しいですね。…10年前に役者を始めたとき、まさか舞台上で喘ぐことになるとは思ってなかったけれど(笑)
櫻井:(笑)
――もし『浪漫活劇譚』の続編があるのなら、自分の中で次はこうしたい、というような思いはありますか?
櫻井:今までの舞台でやってきたことがこの現場だとあまり通用しなくて。「艶漢」の方たちと触れ合ってお芝居して、結果、新しい引き出しができたという感じです。ミカシュンさん(三上)も二人だけのシーンとかは稽古に付き合ってくださったし。
役づくりや演技をつける際、頭では考えてわかっていたつもりでも、ミカシュンさんと二人でやりとりするときに、ちょっと視線をそらすその仕草など、細かいところも見逃さないようにしようと思っています。
三上:舞台が終わった後で原作の尚 月地先生とお会いして、「結局、僕が演じた安里って何をしたい人だったのか。そのとき、そのときのやっていることの意味は描かれているけど、最終的にはどうしたいのか」と質問したんです。そのあたりは舞台ではあまり描かれていなかったので。そうしたら、僕、聴いてしまったんです!なんと、まだマンガにも描かれてない話を…ここでは言えないんですが。だから、次に演じるときは、より深みをもってやることができるんじゃないかなって思っています。
櫻井:あと、もっと兄や(安里)との関係性だったり…もっとエロくできたんじゃないかなって(笑)もっとエロさを出していきたいなと。あと、もう2ランク上くらいまではいけたんじゃないかなって。
三上:そのときはもう18禁ですね(笑)
櫻井:女の人が見ても「かなわないなー」って思うような美しさを出せるようになりたいですね。喘ぎ方とかも(笑)兄やに教えてもらったりして。
三上:そこは想像力ですよね。もし自分が男が好きでイジメられた場合、最大限出る声はこれかな?とか。想像でしかないですからね。やったこともやられたこともないので。
――櫻井さんから見た兄やのエロさはいかがでしたか?
櫻井:もう、すごかったです!!!本当に!!(エロについて)僕の前を歩いてくれたので、本当に尊敬しています。
――三上さん、エロに関してストップはかからなかったんですか?
三上:それが、演出のほさかようさんもたいがいクレイジーなので(笑)、「もっとあえいで!もっとエロく!」って指示を出してくるんです。まれに「これ、大丈夫かなあ」とも言うんですが「…いいや。もっとやって!」って。「この(原作の)絵のとおりにやって」っていうのも何か所かありましたね。殺陣師の六本木さんと「どうしたら(原作に)近づけるかな?」と相談しながらやっていましたね(笑)
――お二人が演じた役について。まずは安里について思うところは?
三上:安里は素直。素直すぎてぶっとんでるけど。中身は単純に自分に素直に生きているだけの男ですね。
――本当に詩郎のことが好きなのかどうかも…
三上:ふふふふ。僕は知っているけど言いません(笑)
――櫻井さんは、ご自身と詩郎に共通点ってありますか?
櫻井:僕は…隠し事する時とか、詩郎と似ているかも。気持ちをオープンにしないところとか(笑)
――三上さんから見た櫻井さんの魅力とは?
三上:櫻井くんのことは最初は知らなかったんですが、いざ会ってみると、まとっている空気が詩郎にぴったりハマるんじゃないかなって。ちょっとミステリアスでつかみどころがないところとか。何考えているかわからないところとか。笑顔でやりすごすけれど何かを抱えているのが透けて見えたり。
浪漫活劇譚『艶漢』三上 俊、櫻井圭登 (撮影=こむらさき)
――そんな中、今回、歌謡倶楽部『艶漢』が上演されることになりましたね。歌って、踊って、ということですが…歌と踊りに関してはいかがですか?…あ、今、目をそらしましたね?(笑)
櫻井:あはは。僕、何回か舞台では歌わせてもらう機会もあったんですが…本番までにはしっかり練習をしようと。
三上:でもこれ、ただのダンスショーではないんです。ダンスもあるし歌もあるけど、ストーリーや心情を見せるところもあるので、単なる「ダンスを見せますよー」な公演にはならないと思います。だから、(櫻井のほうを向いて)お芝居ができれば大丈夫です!
――お客さんいじりもありそうだ、ということですが。
櫻井:そうそう。「浪漫活劇譚」のときは、お客さんいじりってどうしようかと思ってました。
三上:初日はわからないところもありましたが、「安里だったら何をやってもいいんだ」という空気をお客様も作ってくださったので、最初は「みんなー!」って言ってたのが途中から「おめぇら!」に変わって。逆にそのほうが安里だし、お客さんも喜んでくださったので…次はとことんいじってやりますよ!「いじられたい奴は手をあげろ!」って(笑)
――で、手を挙げた人以外を攻めるんですかね、安里なら(笑)
三上:ありそうですねー(笑)
――詩郎は、安里に比べたらまだ素直…いや、全然素直じゃないですね。
櫻井:女好きですからね。お客さんのところにナンパしにいく?
三上:お客さんの寸法を測りだしたりしそう。
櫻井:お客さんをドキドキさせたいですね。
三上:その様子を見たいですよね。いじられたい、という気持ちと共に。
――まだ詳細はこれから、というところですが、もし自分から企画持ち込みができるならどんなことをしたいですか?
三上:僕はフライング!
櫻井:おおお!(笑)
三上:何らかの「高さ」がほしいんです。この作品、速さとか強さもそうですが、戦闘シーンの「高さ」が特徴的なので。屋根の上を飛び回るといった動きが印象的なので、あれを是非…。
――そうなると兄やだけに任せておくわけにはいかないですよね。
櫻井:まさかの僕も!?(笑)
三上:ワイヤーでも空中ブランコでもいいんだけど。
櫻井:いつも屋根の上とかで闘ってますしね。
三上:実現したらすごいですねー。
――櫻井さんの持ち込み企画は?
櫻井:いや僕自身は…他の人にやってほしいことならあるんです。兄やにスタンドマイクを持ってパフォーマンスしてほしいなって。
――逆に三上さんが詩郎にやってほしいことってありますか?
三上:そうですね…兄やと一緒にストリップとか!?(笑)脱ぎますよ!
あと、やりたいことといえば、ポールダンス。この世界に合うと思うんですよ。やってみたいんですよねー。サーカスみたいな総合エンターテイメントを見せたいんですよ。お客さんもそういう目線で観てくださったらいいなあ。じっと観ているじゃなく、拍手や歓声があったりして。お客さんにも参加していただきたいし。ペンライトを振りながら、とか。
――(スタッフさんが横から)ポールダンスも登りながらポール自体が回るタイプもあれば、回らないものもあるみたいですよ…三上さん、この際、技を会得しますか?
三上:そのときは挑戦しますよ!
――詩郎がポールダンスで逆さになった瞬間に、黒子が「禁」マークを持ってダッシュしてきますよ!(笑)あと、物販も楽しそう。傘の形のペンライトとか…。
三上:かっこいいー!それいいなあ。開いてると邪魔だから閉じてる形?
櫻井:暗器を抜いたらペンライトになるとか!?
――この世界観の中には様々なモノがあるので、グッズ企画も夢が広がりますね。
櫻井:やりようはいくらでもありそうです。もう物販企画から参加したいです。
――原作も舞台もマニア人気の高い(?)早乙女さん(演:花組芝居の堀越 涼)にも活躍していただきたいですし!
三上:なにをやってもらおうかなあ。…早乙女さんには僕(安里)は殺されていることになっているんですが、それでも絡んでみたいですよね。そもそも一緒にお芝居してみたい役者さんだったので。
あ!「ふんどしショー」とか。みんなでふんどしはいて「どうだ!」って(笑)
――舞台に花道じゃなくランウェイ作りましょうよ!(笑)
櫻井:いいですねー!(笑)
三上:原作の本編じゃなく巻末のおまけを読む気持ちで観にきてほしいですね。このセリフを言ってほしい、っていうリクエストもありそうですが、セリフに関しては「次の」浪漫活劇にとっておきたいです!だからこそ続編をぜひ!(スタッフをチラ見)
浪漫活劇譚『艶漢』三上 俊、櫻井圭登 (撮影=こむらさき)
――それにしても年齢差を感じさせませんね、お二人とも。
三上:僕、結構な年配です。「艶漢」の中でも2番目に年長ですから!でも18歳の役で(笑)
――それなのにあんなあられもない姿でステージ上に…そりゃあ身体も鍛えますよね。
三上:わかっていただけましたか!(前のめりで力説)「負けないぞ」という気持ちもありますし。俺が安里をやるからには34歳の色気と18歳の肉体を手に入れるんだって。
櫻井:(笑)
浪漫活劇譚『艶漢』三上 俊、櫻井圭登 (撮影=こむらさき)
(C)尚月地/新書館 (C)2016尚 月地・新書館/幻灯署活劇支部
日時:2016年8月19日(金)~8月21日(日) 全4公演
会場:サンシャイン劇場
原作:尚 月地「艶漢」(株式会社 新書館)
構成・演出:伊勢直弘
コレオグラファー:當間里美
楽曲制作:大石憲一郎
<出演者>
吉原詩郎/櫻井圭登
山田光路郎/末原拓馬 (おぼんろ)
吉原安里/三上 俊
六口/田上真里奈
山田アグリ/小槙まこ
荒上三郎太/羽場涼介
早乙女水彦/堀越 涼(花組芝居)
<ゲスト>
橘 伸三/林野健志 【19日19時公演出演】
瓜生夏月/伊崎龍次郎 【20日13時公演・18時公演出演】
瓜生冬陽/倉貫匡弘(TRASHMASTERS) 【20日18時公演・21日16時公演出演】
公式サイト:http://www.clie.asia/adekan_show/