ムッシュ・モウソワール第2回来日公演「レッドジャケット」会見と公開稽古~仏貴族たちの高雅な妄想劇
ムッシュ・モウソワール第2回来日公演「レッドジャケット」
歴史と芸術の大国フランスより、あの貴族の方々が再来日中だ。400年の歴史を持ち、フランス革命の荒波をも乗り越えた、由緒ある伝統喜劇“ムッシュ・モウソワール”。それは、気高くも、比類なきユーモアに満ちあふれた、貴族の方々の戯れ=「妄想」の世界。今回、日本でご披露あそばされる演目は、ムッシュ・モウソワール第2回来日公演「レッド・ジャケット」である。先日は、その稽古のご様子を、都内某所にて、私たち平民階級にも一部公開していただいた。来日中の、平野良伯、滝川英治伯、宮下雄也伯、佐藤永典伯、オラキオ伯、脚本・演出の西田シャトナー伯が集結。稽古前には我々記者たちも直接お目通りが叶い、稽古のご様子や「お茶会」について、有難いお話をたっぷりとうかがうことができた。
第1回来日公演に続き、再来日となる平野伯、宮下伯、オラキオ伯、シャトナー伯は、念願の再来日公演が決まってとても喜んでおられるご様子。オラキオ伯は「第3回目ができるように、1回1回が勝負!」と並々ならぬ意気込みを、平野伯は「5人という少人数で芝居ができるのが至福な企画です。それぞれの個性が混じり合わず、ただひとつの世界観を作るのにぴったり。この5人だからこそ、無限に広がる空間になっています」と、宮下伯は「シャトナー伯の演劇の作り方が面白くて好き。稽古場だけで作るのではなく、みんなで劇場見学をしたり、一の一から作る感じがします」と、それぞれに熱い思いを語られた。
今回が初来日となる佐藤伯と滝川伯は「来日公演が今回で終わる訳にはいかない」と、たいそうな意気込み。滝川伯は「勉強することばかりです。シャトナー伯のおっしゃることや皆さんの芝居から発見することも多く、刺激を受けながら、もっと成長していきたいです」と、佐藤伯は「5人で出ずっぱり。ずっとこの芝居の中にいられることが幸せです」と、目を輝かせた。なんと、稽古場では「お茶会」も行われているとのこと。さすがは貴族、いついかなる場所でも、優雅なたしなみを欠かさない。「それぞれの俳優の人生まるごとのセンスを芝居に押し込もうとしていますので、お茶会の時間が必要なんです」と、シャトナー伯がその意図を明かす。
見どころについて。宮下伯が「密室劇です。前回作はアトラクションに乗ったような勢いのある作品でしたが、今回作はノンストップで5人のいろんな会話で構築しながら作っていく物語です。新しい世界を見る感覚で来てほしいです」と語れば、シャトナー伯は「どこまで底があるかわからない井戸のなかに、気がついたら落ちていっているような芝居です。密室ほど果てしなく広い闇もない」と付け加える。滝川伯は「ひとりひとりが密室にくるまでに強い思いを持って生きています。その強い魂を感じて頂きたいです」と言葉を力強く放つ。オラキオ伯が「軍人の役をします。解散したコンビの相方が軍人みたいでした。ずっと側で見てきていたので、誰よりも軍人役ができると思います。そこが見どころです!」と発言すれば、シャトナー伯も「リアリティがある」と太鼓判を押した。平野伯は「あっという間だったと感じないぐらいたくさんの思いが詰まった内容です。演劇は人にプラスを与える仕事だと思っていますので、皆さんの今後の何かの力になれるような可能性を秘めた作品になると思います」と経験者らしく、佐藤伯は「皆さんと初めてですが、やってみたかった世界で、すごく嬉しいです。皆で素敵な作品を本番にお届けできるように頑張ります」と初々しく、まとめていただいた。
「レッド・ジャケット」は、5人の妄想紳士が演じる“超妄想からの脱出劇”。公開稽古では、冒頭部分を披露。まず、稽古に入る前に、稽古場に組まれた舞台セットについて演出家が説明、各々動きを確認。平野伯と宮下伯ふたりが世界を構築して、まわりの3人が揺らしにいくという流れ。一段高いセットの上でのふたりの会話から、緊迫した状況にいることが伝わってきた。そこへ、滝川伯、佐藤伯、オラキオ伯が「囲まれています!」と叫びながら駆け込んで来る。「生き残りが他にもいたのか」と驚く平野伯と宮下伯。5人の切迫した芝居をみて、この後どんな展開になるのか、本番への期待がこのうえなく高まった次第。
平野良伯
滝川英治伯
宮下雄也伯
佐藤永典伯
オラキオ伯
西田シャトナー伯
■会場:草月ホール (東京都)
■日程:2016/5/11(水)~2016/5/15(日)
■脚本・演出:西田シャトナー伯(シャトナー研『例えばなし砦』より)
■出演:オラキオ伯/佐藤永典伯/滝川英治伯/平野良伯/宮下雄也伯
■公式サイト:http://monsieur-mausoir.com/