もしもヒトラーが街に現れたら……ケータイの自撮りも大歓迎?映画『帰ってきたヒトラー』が描く現代社会のリアリティとは

2016.5.19
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自撮り大歓迎のヒトラー 映画『帰ってきたヒトラー』 © 2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH 

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6月17日公開の映画『帰ってきたヒトラー』から、一枚の場面写真が公開された。

『帰ってきたヒトラー』は、ナチスドイツの指導者・独裁者として悪名を馳せたアドルフ・ヒトラーが現代に甦り、モノマネ芸人と誤解されてテレビの世界で大スターになるという、奇抜な同名小説を映画化したものだ。原作は絶賛、非難を受けながら、ドイツ国内で200万部を売り上げ、世界41カ国で翻訳された。さらに、タイムズ誌のベストセラーリストでもNO.1に輝いている。

主役のヒトラーを演じたのは、映画では知名度のない舞台俳優オリヴァー・マスッチ。同作は、ヒトラーにふんしたマスッチが街に飛び込み、実在の政治家や有名人、果てはネオナチと顔を合わせるアドリブシーンを盛り込んだ展開と、原作と異なる予測不能な結末で一大ブームを巻き起こしたという。公開された場面写真は、センセーショナルな同作を象徴する一枚だ。

画像は、ヒトラーが若者たちと一緒にケータイの自撮りに写りこむようす切り取ったもの。 同作では、20世紀最悪の独裁者と言われ、悪の象徴とされるこの人物に、現代の人々が次第に惹きつけられていくさまが巧みに描かれているのだ。稀代のアジテーター(扇動者)としても知られるヒトラーが、現代人の生活の一部となったネット社会を巧みに利用し、ブレイクしていく様は想像に難くないはずだ。

大人気のヒトラー 映画『帰ってきたヒトラー』 © 2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH 


実際に同作の撮影中には、街中で多くの人々が彼を取り囲み、一緒に自撮りをしたがったという。デヴィッド・ヴェンド監督は「民主主義に毒づき、誰かがもう一度ドイツで思い切った手段を取ってくれることを望んでいる人たちもいた」と言う。一方で、“ヒトラー”を見て激しく非難する人や「恐ろしい」と言う人もいたそう。 まさにそれは「ヒトラーの人間的魅力」の存在を認めるか否か、を反映したリアクションではないだろうか。一見奇抜なコメディにも思えるが、同作には現代社会に生きる人々が惹きつけられる何か、を映し出しているのかも?

映画『帰ってきたヒトラー』は6月17日TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー

作品情報

映画『帰ってきたヒトラー』​
 


(2015年/ドイツ映画/116分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル)

監督:デヴィッド・ヴェンド 
出演:オリヴァー・マスッチ ファビアン・ブッシュ クリストフ・マリア・ヘルプスト カッチャ・リーマン
原作:『帰ってきたヒトラー』ティムール・ヴェルメシュ著(河出文庫 訳:森内薫)
原題:Er ist wieder da 

字幕翻訳:吉川美奈子
© 2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH 

配給:ギャガ gaga.ne.jp/hitlerisback

 

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