ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン) 常に進化をとげる音楽へのアプローチ

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クラシック
2016.5.26
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン) ©Michel Patrick O’Leary

ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン) ©Michel Patrick O’Leary


 聴けば必ず新たな発見がある。それがヒラリー・ハーンのヴァイオリン・リサイタルだ。この6月の来日公演でも、ヒラリーならではの独自性を持ったプログラムが組まれた。

 プログラムの前半はモーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタ K.379」とバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」。古典的な名曲が2曲並ぶ。モーツァルト作品は第1楽章がゆったりとしたアダージョで開始され、これに短調のアレグロが続くという特徴的な一曲だ。バッハ作品は言うまでもなく無伴奏ヴァイオリンのための聖典からの一曲。高い技巧とみずみずしい音色によって、流麗な音楽が紡ぎだされることだろう。

 一方、後半はがらりと雰囲気を変えて、アントン・ガルシア・アブリルの「6つのパルティータ」より、コープランドの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」、ティナ・デヴィッドソンの「地上の青い曲線」が演奏される。コープランドのソナタは明快な作風で書かれた作品で、ところどころにアメリカの民謡を思わせるような親しげな表情を垣間見せる。スペインのアントン・ガルシア・アブリルとアメリカのティナ・デヴィッドソンは、ともにヒラリーの「27の小品」プロジェクトに参加していた作曲家である。このプロジェクトは現代の作曲家と聴衆をつなげるべく、ヒラリー自ら作品を委嘱したもので、同名のアルバムがリリース済み。私たちに届く今の音楽とはどのようなものか、という問いに対するヒラリー流の回答とでもいえるだろうか。

文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)


ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
6/8(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問合せ:ジャパン・アーツ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
他公演
6/4(土)フィリアホール(045-982-9999)、6/5(日)松本 ザ・ハーモニーホール(0263-47-2004)、6/7(火)東京文化会館(都民劇場03-3572-4311)、6/10(金)愛知県芸術劇場コンサートホール(CBCテレビ事業部052-241-8118)、6/12(日)横浜みなとみらいホール(045-682-2000)

 
 6/7東京文化会館

 東京オペラシティ・愛知県芸術劇場・兵庫県立芸術文化センター・横浜みなとみらい
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