NHK大河ドラマ『真田丸』新キャスト続々と判明、松本幸四郎が38年ぶり呂宋助左衛門
NHK『真田丸』公式サイトより
NHK大河ドラマ『真田丸』(脚本:三谷幸喜)の新たな配役が続々と発表されている。
最も興味深いトピックとしては、堺の貿易商人・呂宋助左衛門役で松本幸四郎が出演することだ。松本幸四郎は六代目市川染五郎時代にNHK大河ドラマ『黄金の日日』(1978年)において同役で主演しているので、38年ぶりの助左衛門復活となる。『黄金の日日』ファンにはたまらないことだろう。そもそも『真田丸』脚本の三谷も『黄金の日日』のファンだったとのことで、リスペクトのこもったキャスティングとみられる。
なお、『黄金の日日』には放映当時人気を誇っていた状況劇場から唐十郎(長崎の貿易商人・原田喜右衛門役)、根津甚八(石川五右衛門役)、李礼仙(お仙役/現・李麗仙)が出演していたことが当時たいへんな話題だった。今年の『真田丸』第一・二話に、現在の唐十郎の劇団=劇団唐組から稲荷卓央(跡部勝資役)が出演したことが『黄金の日日』への記憶の呼び水として機能したのではないか、というのはさすがに考えすぎだろうか。
ほかに『真田丸』は今後の出演者として、大谷良継の娘で真田信繁の正室となる春(竹林院)に松岡茉優、また切腹に追い込まれる豊臣秀次の娘で信繁の三番目の妻となるたかに岸井ゆきの。伊達政宗に長谷川朝晴、片倉小十郎景綱にヨシダ朝。関ヶ原合戦の直前、真田昌幸・信繁親子に散々な目に遭わされる徳川秀忠いに星野源。大蔵卿局の息子で、大阪の陣で豊臣方を主導する大野修理こと大野治長に今井朋彦。大阪の陣において信繁とともに豊臣方で奮戦する武将としては、後藤又兵衛に哀川翔、長宗我部盛親に阿南健治、キリシタン武将の明石掃部(全登)に小林顕作、そして猛将・毛利勝永に岡本健一。時間軸は前後するが五大老の一人・宇喜多秀家に(元・男闘呼組つながり……というわけでもないが)高橋和也、などなど…(あまり詳しくは書かぬが)演劇ファンにとっては嬉しい名前が次々と登場する。
先日も、聚楽第落書き事件の回で門番に本多力、尾藤道休に横田栄司という、演劇界では有名な俳優が配役されていた。聚楽第は現在の京都・堀川中立売付近にあったとされるが、その門番役に京都の劇団、ヨーロッパ企画に所属する本多を起用したことは実に気が利いていた。また、同回で真田信幸に理不尽にも離縁されてしまったこうを演じた長野里美も、ここにきて世間の注目度が急上昇中だ。第三舞台のファンには感慨深いことこのうえなかろう。彼女は堺雅人の所属していた早稲田大学演劇研究会の先輩だ。そういうつながりでいうと、石田三成の妻・うたを演じる吉本菜穂子も早大劇研出身で堺雅人の後輩となる。そういう見方もまた楽しい。
三谷の大河ドラマ脚本は『新選組!』(2004年)以来だが、現在、石田三成(山本耕史)と真田信繁(堺雅人)が対話するシーンを見ると、かつての土方歳三副長と山南敬助副長の記憶が重なってくる(……まあ、そんなことを言ったら、大谷吉継に『半沢直樹』の黒崎検査官が重なってしまう人だっているだろうけど)。今後、『新選組!』出演組からのカメオ出演などの可能性なども期待できないだろうか。ともあれ、演劇ファンは今後も『真田丸』のキャスティング動向から目を離せそうにない。