中村勘九郎・七之助、坂東巳之助『八月納涼歌舞伎』記者懇談会

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2015.8.1

8月6日に開幕する『八月納涼歌舞伎』について、出演する中村勘九郎と中村七之助、そして坂東巳之助がそれぞれ記者懇談会を行った。

「『納涼歌舞伎』は歌舞伎座に定着しましたね」という記者の発言に勘九郎は、「この『八月納涼歌舞伎』という興行を、(父と坂東三津五郎さんが)今の僕らと近い、35歳ごろに始めてもう17年だそうで。僕たちも子どものころから出させてもらった、本当に宝物のような興行です。その精神を引き継いで、今後もみんなで力を合わせて続けていければ」とコメント。七之助も「やはりとても大切な興行ですし、父と三津五郎のおじさまが全力で得たものですから、おこがましいですけれどもそれを引き継がなきゃいけないなと思います」と言葉に力を込めた。

『納涼歌舞伎』の思い出については、「本当に苦しい想いと、芝居が好きな気持ちを同時にここで教えてもらいました」(勘九郎)、「楽屋に行くと父がよく“面白かったかい? やりたいだろう”と言ってましたね。一つのものをみんなで楽しもうというパワーが劇場中にあったし、みんな優しくてキラキラしていました。今回の座組は若い方が多いので、僕たちがかつてそう思ったように後輩たちにも、“ああ、いつか『納涼歌舞伎』でこういうのがやりたい”と思われるようなものをやりたいですね」(七之助)と意気込みを語った。

それぞれの演目と見どころについて、まず第1部の『おちくぼ物語』でおちくぼの君を演じる七之助は、「ディズニーが好きな方だったら、“あ、シンデレラだ”と思うのでは? とても分かりやすい演目だと思います」とコメント。『棒しばり』で坂東巳之助と共演する勘九郎は「絶対に踊りたいと思っていました。三津五郎のおじさまと踊らせていただいたことがある縁深い役なので、今回もしっかり踊りたいなと思います」と意気込んだ。

第2部では、『ひらかな盛衰記』で勘九郎が畠山重忠役に、『京人形』で七之助が京人形の精に初挑戦する。第3部の『芋堀長者』では、七之助は緑御前をつとめる。「すごく華やかな作品なので楽しく見せたい。かっちりした『棒しばり』とほわーんとした『芋掘〜』、どちらも(振り付けした)三津五郎のおじさまの味が出ていると思います」(七之助)。さらに『祇園恋づくし』について勘九郎は、「(今年4月に亡くなった中村)小山三さんのお見舞いに行った時に、“今度の8月にぜひやりなさいよ”と言われていたんです。その話を(中村)扇雀さんにしたら、やろうかということになって」とエピソードを披露。同作で芸妓染香を演じる七之助は「京都弁は難しいですが、染香はころころ態度が変わって、とんでもないところもあるけど僕はすごく好きな女性です。楽しくやりたいですね」と語った。

一方、巳之助は本公演について、「『納涼歌舞伎』が、ひとまずは続く様子で良かったなと思いますね」と発言。そして、父・三津五郎が振り付けた『棒しばり』と『芋掘長者』の“十世坂東三津五郎に捧ぐ”というコピーに触れ、「こうやって字面で書かれてしまうとやる側も観る側も構えてしまうところがあると思うんですが、どちらもそういう作品ではないので(笑)。むしろそんなことを忘れて楽しんでいただけるのが一番です」と笑顔で語った。

また、『棒しばり』を一度、母校の同窓会で三津五郎と踊ったことがあるというエピソードから、記者より「お父さまからの教えで印象的なことは?」と尋ねられると、「特別なことはなく、でも踊りは下半身ありきだと。私もそれは、一番難しいところだけれど一番基本的なことだと思います。ただ『棒しばり』は、目いっぱい踊ればいいものでもなく、身体の力が抜けて気持ちの軽さもないと、お客さまが一緒に楽しんでくださるレベルのものにはなかなかならない。そこが難しいところです」と踊りの奥深さを語った。

そのほか、第1部の『おちくぼ物語』について、「七之助さんがお姫様、隼人君が左近少将、僕が帯刀、(坂東)新悟が阿漕を演じて、基本的にこの4人でいる場面が多いんですね。こういう(若手の)配役で、しかも古典ではなく新歌舞伎なので、まずはやってみないと分からないなと思っています」と慎重さを見せた。さらに第3部の『祇園恋づくし』の手代文吉役については、「京言葉をしゃべる、それがこの役にかんして本当に難しいところですね。上方らしい男で優柔不断というか、そんな“もにょん”とした、“京都の手代さんだなあ”っていう雰囲気が出せたら。楽しくて分かりやすい、『納涼』らしい演目でもあるので、みんなで楽しくできるといいなと思っています」と語り、和やかに会を締めくくった。

松竹創業120周年『八月納涼歌舞伎』

【キャスト】中村七之助/中村隼人/坂東新悟/坂東巳之助/坂東彌十郎/中村勘九郎/中村橋之助/中村児太郎/中村扇雀/坂東秀調

2015年8月6日(木)〜28日(金)
・会場=歌舞伎座
・料金=全席指定1等席15,000円/2等席11,000円/3階A席5,000円/3階B席3,000円/1階桟敷席17,000円


 

 

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