『VIVA LA ROCK 2016』オフィシャル・クイックレポート パノラマパナマタウン
パノラマパナマタウン 撮影=釘野孝宏
『VIVA LA ROCK 2016』2016.5.29 さいたまスーパーアリーナ
CAVE STAGE パノラマパナマタウン
CAVE STAGE2番手に登場したのはこの半年でめきめきと注目を浴び始めている新鋭、パノラマパナマタウン! 新人バンドらしからぬニヒルな自信を漂わせる堂々とした立ち振る舞いで1発目の“真夜中の虹”をぶっ放すと、あっという間に彼らが醸し出す空気に会場の温度が変容していく。彼らはMASH A&Rのオーディションで優勝し、VIVA LA ROCKへの出演が決まったのだが、「『優勝特典』みたいに言う人もいるんだけど……でもこんだけ集まってくれたってことは、ここに出ていいバンドってことですよね? ぶちかましていいですか!」というMCで会場を煽りながら、一気にギアを上げていった。
おそらくほとんどのオーディエンスがこの日初めて彼らを観るという人だったと思うのだが、スローな酩酊グルーヴと岩渕(Vo)の挑発的な言葉で酔わせる、自己紹介代わりの“パノラマパナマタウンのテーマ”、「踊れー!」という声とともに雪崩れ込んだ必殺チューン“ロールプレイング”と、確実にオーディエンスの心を掴んでいく。
「僕らはよく『どういうジャンルかよくわかんない』とか言われることが多くて。でも『ジャンルにくくられてたまるか!』って思ってるんで、そう言われるのが一番嬉しいです。どこにも属したくないし、どこにも属さないままでド真ん中ブチ抜くんで、ついてきてください」と不敵な笑みと言葉で宣誓をかましてから始めたのは“SHINKAICHI”。パノラマパナマタウンはソリッドなガレージロック・サウンドや直線的なビートで焦燥感を煽ったかと思えば、ヒップホップやファンクなどの横ノリのグルーヴもぶちかます。目まぐるしく曲のテイストやテンポを変える自身らのサウンドに、フロアはみんな自由なリズムで踊りながら確かな熱狂を立ち上げていった。
ラストは岩渕がフロアへ降り、お客さんの肩の上でMCを披露。「今僕らがここに立ってるのは、誰のおかげでものありません。主催者のおかげでもありません。僕らのおかげです、僕らの力です! 来年もここに帰ってきます。もっと大きなステージでここに帰ってきます!」と所信表明を繰り出し、最高のテンションでこの日のラストを飾った。己が野心と大志、それを挑発的なサウンドとMCで35分間休むことなく撃ち続けたエネルギッシュなパフォーマンス。その裏側にある音楽へのどこまでも誠実な愛と熱情も覗かせながら、CAVE STAGEの地に確かな楔を打と込むアクトだった。
撮影=釘野孝宏 レポート・文=黒田隆太朗
CAVE STAGE パノラマパナマタウン