市川海老蔵&中村獅童が『勧進帳』で全国巡演~『秋の特別公演 古典への誘い』会見レポート

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左:中村獅童 右:市川海老蔵

左:中村獅童 右:市川海老蔵


『秋の特別公演 古典への誘い』が、2016年10月の米子コンベンションセンターを皮切りに、浅草公会堂、NHK大阪ホールなど全国7カ所を巡演する。注目は、市川海老蔵と中村獅童が『勧進帳』に出演することだ。江戸時代に市川宗家=成田屋の家の芸である「歌舞伎十八番」のひとつに選定された、歌舞伎屈指の人気演目。今回、主君源義経を守る剛胆かつ繊細な弁慶に海老蔵が、そして、懐深い関守の富樫左衛門を獅童が初役で挑戦する。

6月1日にはこの公演の製作発表が都内で行われ、海老蔵、獅童、そして松竹株式会社 山根成之常務取締役が登壇した。山根常務は、この公演で『勧進帳』に加え、その元となった能『安宅』を上演することを紹介。両者の世界をより深く理解して欲しいと述べた。なお、今回の謡曲『安宅』は面・装束をつけずに紋付袴姿で演じる「舞囃子」形式で上演される。

松竹株式会社 山根成之常務取締役

松竹株式会社 山根成之常務取締役

ブルーのスーツ姿の海老蔵は「旅巡業で『勧進帳』を勤めるのは初めてなので、大変緊張感がある。しかし、獅童さんが富樫として勤めてくださると伺い、気持ちもうれしくありがたく、一所懸命この公演をして、地方にいる多くの方に見ていただきたい」と挨拶。

市川海老蔵

市川海老蔵

一方、ブラックのスーツに身を包んだ獅童は「昨年、宮藤官九郎さん脚本・三池崇史さん演出の六本木歌舞伎(『地球投五郎宇宙荒事』)を海老蔵さんと一緒にやらせてもらった。前回は新作歌舞伎だったが、今回の『勧進帳』は古典中の古典なので、新たな気持ちで臨みたい」と抱負を語った。

中村獅童

中村獅童

記者からの質疑応答では、能と歌舞伎を並べることについて尋ねられた海老蔵は「(うちの先祖である)七世市川團十郎が能の『安宅』を観て歌舞伎化を思い立ち、家の芸として完成させたのが『勧進帳』。『安宅』は600年という歴史ある能楽、その後に出てきた歌舞伎も400年の伝統がある。昔、能は織田信長や豊臣秀吉といった限られた一部の偉い人しか見ることができなかったので、能と歌舞伎を両方見比べることのできるのは現代人の特権であり、贅沢な時間になる」と今回の企画の意義を強調した。

市川海老蔵

市川海老蔵

今回の巡業には熊本県山鹿市の八千代座公演も予定されている。海老蔵は「八千代座では色々よくしていただいた。自分たちができることは何かを考えた。(熊本の人の)力になれるよう気を引き締めたい」、獅童も「役者は人に見てもらうことでしか被災者の方々を勇気づけられない。大変な時だが、観劇で元気になってもらえたら嬉しい」と意気込みをそれぞれ語った。

中村獅童

中村獅童

また物語の舞台となる安宅の関がある石川県小松市で今回、特別公演がおこなわれることについて海老蔵は「父(團十郎)が小松の人に舞踊を教えに行っていた。今は妹のぼたんが行っているが自分も訪れたいと思っていた。今回初めてじっくりと現地の舞台に立てるのが嬉しい。小松で『勧進帳』をやることは寺社仏閣に奉納するのと同じような意味がある」、獅童も「縁のある地で『勧進帳』を演じることができるのはとても楽しみ」と答えた。

初役で富樫に挑む獅童に対して「(役の演じ方を)誰から教えてもらうか」というマニアックな質問が歌舞伎専門誌の記者から飛ぶと、「ディープな質問だね」と海老蔵。当の獅童は「高麗屋のおじさま(松本幸四郎)に教えていただきます」と些か小声で答えつつも、「古典の芸について誰から教わるかってこと、そんなに気になるものですかね」と記者に逆質問。すると脇から海老蔵が「気になるから質問するんだよ(笑)」と記者への援護射撃。それに対して獅童が「歌舞伎専門誌だから気になるのであって、一般の人はそうなのかな。あるいは、歌舞伎座のお客様は気になるかもしれないけど、コクーン歌舞伎のお客様には関係ないのでは?」と応じると、すかさず海老蔵「歌舞伎座もコクーン歌舞伎も六本木歌舞伎も、どれも全部、歌舞伎。なんで、そんなにこだわるの? 何か揉めたの? それとも酒が入ってる?(笑)」と突っ込み、獅童は慌てて「入ってない、入ってない」。 思いがけずテンポのよい漫才と化した掛け合いに、会場は爆笑の渦に。

市川海老蔵、中村獅童

市川海老蔵、中村獅童

その後テレビ局の囲み取材で「二人は仲が良さそうですが」と訊かれ、海老蔵が「仲はすごく悪いです。良さそうに演じているだけ(笑)」と答えると、獅童も「死んだ母が、枕元に海老蔵さんのポスターを貼るほどの海老蔵ファンだった。そのポスターは破り捨ててやりましたよ(笑)。母はいつも“海老蔵さんが海老蔵さんが”と言うので喧嘩になっていた(笑)。海老蔵さんの顔と比べられ“整形しなさい”と言われてたから」と返す。それについて「どうですか」と海老蔵にマイクが向けられると「整形しなさい(笑)」。しかし、二人は共演の機会も多く、一緒にお茶をすることもあるという。

くまモンも飛び入り

くまモンも飛び入り

お堅いイメージの歌舞伎の記者会見とは思えないような、奔放で愉快なトークが繰り広げられる中、ついには熊本から緊急上京したくまモンが突如、飛び入り参加。生のくまモンを初めて見る獅童は大喜び。自分も舞台に立ちたいと土下座をして懇願するくまモンに、海老蔵は「『勧進帳』には役がないからなあ。でも、そんなに出たいのなら何か考えるよ」と対応。喜んだくまモンが歌舞伎の見得を切ってみせるなど、てんやわんやの雰囲気の中、時間切れで会見の幕が閉じられた。

(取材=尾上敬亮&安藤光夫  写真=安藤光夫)

公演情報
『秋の特別公演 古典への誘い』

■演目:
一、能楽舞囃子『安宅』
二、歌舞伎十八番の内『勧進帳』
■出演:市川海老蔵、中村獅童、他

 
[米子]
■日程:10月1日(土)~10月2日(日)
■会場:米子コンベンションセンター
■問合せ:(株)かばはうす TEL:0854-23-1113(平日9時~18時)
■一般発売開始:未定

 
[倉敷]
■日程:10月5日(水) 13:00・17:00
■会場:倉敷市民会館
■問合せ:グッドラックプロモーション TEL:086-214-3777(平日10時〜17時)
■一般発売開始:6月11日(土)

 
[広島]
■日程:10月6日(木) 13:00・17:00
■会場:広島文化学園HBGホール(旧:広島厚生年金会館)
■問合せ:グッドラックプロモーション TEL:086-214-3777(平日10時〜17時)
■一般発売開始:6月11日(土)

 
[熊本県山鹿市]
■日程:10月8日(土)~10月11日(火)
■会場:八千代座
■問合せ:八千代座公演実行委員会公演事務局 TEL:0968-43-0202
■一般発売開始:6月25日(土)
 
[石川県小松市/小松特別公演]
■日程:10月14日(金)~10月15日(土)
■会場:こまつ芸術劇場うらら
■問合せ:株式会社サウンドソニック TEL:076-291-9070
■一般発売開始:7月10日(日)
 
[石川県小松市/小松特別公演]
■日程:10月16日(日)
■会場:安宅の関特別舞台
■問合せ:株式会社サウンドソニック TEL:076-291-9070
※雨天の場合こまつ芸術劇場うららで開催
 
[大阪]
■日程:10月18日(火)~10月19日(水)
■会場:NHK大阪ホール
■問合せ:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(10時~18時)
■一般発売開始:6月12日(日)
 
[札幌]
■日程:10月21日(金)~10月23日(日)
■会場:ニトリ文化ホール
■問合せ:道新プレイガイド TEL:011-241-3871(9時30分~18時)
■一般発売開始:7月20(水)

 
[東京]
■日程:10月25日(火)~10月26日(水)
■会場:浅草公会堂
■問合せ:Zen-A(ゼンエイ)TEL:03-3538-2300(平日11時~19時)
■一般発売開始:6月11日(土)

 
■公式サイト:http://zen-a.co.jp/koten2016/

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