山田武彦(音楽監督/作曲/ピアノ) 名手たちの饗宴で華やぐ夏の名物公演

インタビュー
クラシック
2016.7.3

 2004年にスタートし、ほぼ毎年開催されている、音楽事務所コンサートイマジンの契約アーティストたちによる豪華な顔ぶれの『七夕コンサート』。音楽監督を務めるのが作曲家・ピアニストの山田武彦だ。
「私は“交通整理”のような役目です。サントリーホールでソロ公演するような人たちばかりなので、彼ら彼女らの出番をどのように配置するのかが大変ですね(笑)。幅広いジャンルのアーティストが揃うわけですから、その“振れ幅”を意図的に生かして、様々な対比を楽しんでいただきます。クライマックスの大合奏と奏者個々のプログラムのコントラスト、静かに聴くところと笑うところ、作り込んだ部分と即興的な部分。アーティストも曲目も、普通のコンサートでは味わえない組み合わせを聴けるので、出演する私たちにとっても刺激になります」

 司会はフルートの山形由美と、作曲家・ピアニストの加藤昌則。
「いいんですよ、これが。山形さんの愛情あふれるやさしい口調が、会場の空気をすっと落ち着かせてくれます。そこに加藤さんがいい感じでボケてくれる」

 自身のパフォーマンスでは新しい挑戦も。
「チラシ等には載っていませんが、佐藤久成さんと弾くモンティの『チャールダッシュ』に、コンテンポラリー・ダンスのアレッシオ・シルヴェストリンが参加してくれることになったので楽しみです。彼は作曲家でもあり、そのとんでもなく新しい身体表現はまさに音楽のようです」

 所属事務所の名前を前面に押し出したガラ・コンサートは珍しいと思う。コンサートイマジンの母体は、東京近郊に住む本誌読者ならおなじみの、演奏会場でチラシを配布する画期的ビジネスを定着させた「コンサートサービス」。もともとユニークな発想があるのだろう。
「最初は私も、面白いことをやる会社だなと思いました。でもこのコンサートが仲間意識を強くしている側面もあるし、お互いの現在を見つめ合う場でもある。それを、お客さんに演奏を聴いてもらいながらできるのがいいですね。われわれ演奏家は自分の技量を磨き、信用を得て演奏機会をいただくのが仕事ですが、成長のペースは人によってさまざま。でもその過程を見守ってくれるような会社です」

 なお、開演15分前からは「山田武彦・加藤昌則が大いに遊ぶ」と銘打ったプレコンサートがある。内容は「おそらく即興によるピアノ連弾」とのことだが、はたして何が出てくるか。2人の作曲家・ピアニストの遊ぶ姿を見逃さぬよう、18時45分必着!

取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年7月号から)


イマジン七夕コンサート2016
7/6(水)19:00 サントリーホール
問合せ:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp
WEBぶらあぼ
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