八王子P熱狂のリリースパーティー 声をからして叫んだ感謝のサウンド シークレットゲストにはlivetune kzも登場
八王子P
『Eight -THE BEST OF 八王子P-』リリースパーティー 2016.6.19 渋谷CIRCUS Tokyo
今やネット文化のみならず、日本の文化を象徴するアイコンの一つになりつつある「初音ミク」。初音ミクをはじめとするボーカロイドを使用することで様々な楽曲制作者が「P(プロデューサー)」としてニコニコ動画を始めとする動画投稿サイトに自作を発表、昨今のボーカロイドブームを作り上げていることはもはや周知の事実だが、その中でもいわゆる「4つ打ち」系の曲を得意とする筆頭格が八王子Pだ。
八王子P
彼が作曲した「エレクトリック・ラブ」はニコニコ動画上で既に44万回以上再生される殿堂入り楽曲であり、レジェンドの一人でもある彼が6月19日、渋谷CIRCUS Tokyoにて自身のベストアルバム『Eight -THE BEST OF 八王子P-』のリリースパーティーを行った。
ゲストに、踊り手、DJ、振付師として大人気の「めろちん」、近年では著名アーティストのプロデュースやリミックスも手がける「DJ’ TEKINA//SOMETHING」、現在小学5年生の人気踊り手「りりり」を迎えたこのパーティーは、会場にあふれるばかりの満員の観客で興奮の坩堝となった。
小学生ながらそのキュートかつ迫力のあるダンスで人気急上昇のりりりが「最近DJ楽しいです!」とフロアに投下したのはEDMの貴公子Aviciiの楽曲。参加者の殆どがボーカロイドファンであろうフロアがその瞬間に爆発したのは意外だったが、よく考えれば今日の主役である八王子PはDJとしても活躍、自身のプレイの中にはEDMもふんだんに取り入れている。楽曲もエレクトロを中心とした曲が多く、貪欲に「踊って騒いで楽しみたい」という気持ちにあふれていることに気付かされた。
全体的にダンスミュージックで溢れるフロアは熱気に溢れ、歌い踊り、興奮を増していく。
八王子PのDJタイムは今作に収録された新曲や自身のヒット曲である「気まぐれメルシィ」「デスクトップ・シンデレラ」「Tomorrow」などをノンストップでプレイ。声を枯らしながら「まだまだ踊れますかー!?」と会場の温度を上げていく。
そして60分の熱狂のプレイの後に待っていたシークレットゲストはlivetuneのkz、登場と同時に絶叫で迎えられたkzは自身の楽曲であり、「Google Chrome “あなたのウェブを、はじめよう。”キャンペーン」CMソングにもなった「Tell Your World」のリミックスからスタート。「Packaged」やClariSに提供した名曲「irony」などを次々にドロップ、あっという間の30分が過ぎる。
「八王子のリリースパーティーなのに出番俺のほうが後っておかしくない?」と八王子Pにマイクでコメントしたkz、ボーカロイド黎明期からシーンを支え続けている第一線の二人の会話はお互いの仲の良さと信頼関係を感じさせる。「せっかくだから僕とB2B(一曲ずつ交互にアドリブでDJをするスタイル)してよ!」という八王子Pの申し出にもkzは快く快諾。
「まだ流してない曲あるよね?」と一曲目に投下されたのは八王子Pとkzの共作である「Weekender Girl」、更にはEDMのアンセム中のアンセム、ショーテックの「Booyah」からSMAPの「SHAKE」まで縦横無尽に駆け回る。
イベントの最後には「こうやってベストアルバムを出して、リリースパーティーまで出来て、沢山の仲間やお客さんに祝ってもらって、本当に幸せです」と思いの丈を叫んだ八王子P。全出演者がステージに上がり、めろちんとりりりのダンスと共に流したのは「Tell Your World」の原曲ver、そして『“HATSUNE MIKU EXPO 2016”』のテーマソングでもある八王子Pの「Blue Star」。
ステージ上もフロアも関係ない、音を楽しめる人たちが大いに騒いで笑える空間はハッピーそのものだった。これからもクラブ文化とボーカロイドの橋渡しとして八王子Pはきっと先陣を切っていくだろう。その時彼の横には沢山の仲間がいる。そう実感できる素晴らしいパーティーだった。
全出演者登場のエンディング
レポート・文=加東岳史